ギーツエクストラ 仮面ライダーチークヘッズ from:ぼっち・ざ・ろっく 作:きゅー。
IDコアに触れた後藤ひとりが思い出した"悪夢"。
それは中学1年生の時に彼女が経験した、ある出来事が深く関わっていた────
ぼっちの願い
今、私は夢を見てるんだろうか…そう思って思い切りほっぺをつねってみたものの、物凄く痛いだけだった。
目の前に広がるは、どこかの空に浮かんだ舞台。
なんだかゲームの中の世界にまるごと自分が入りこんだような…そんな感じの光景に私はすっかり腰が抜けそうになる。
腰───そう、腰に巻いたベルトだ。
確か学校の図書室で、謎のモノトーンファッションのお姉さんから渡された箱の中に入ってて、説明書どおりにIDコア…?なる物体を中心に入れて、腰に付けた…所までは覚えてる。
そしたら、眩しい光とともにこんな異世界チックな所に飛ばされたんだった。
私の周りには、私より年下の男の子や女の子…さらには恐らく違う土地の、見たことのない制服に身を包んだ人たちが溢れている。
みんな腰に私のと同じベルトを巻いていて、困った顔で辺りを見渡したり、途方に暮れている様子だった。
───って、意味がわからないうえに状況が全く飲み込めないぃぃ!
ここは一体何処!?なんていう国の何県のナニ市!?
ああぁ…家に帰りたい、そんでもって自室に篭って掛け布団巻いて安心安全カタツムリ状態になりたいぃぃ…
「あ…大丈夫…ですか…?」
「ぁあっいっひっ!?」
突然掛けられた声に驚いて、素っ頓狂な声が出てしまう。
とっさに身体が反応し、私は声のする方から大ジャンプして飛び退き……
─────どしゃっ。
聞くも無残な音を立てて硬い床に転がる、わたし。
そして直後に襲ってくる、頬をつねった時よりも強い痛み。
いててて……でももっと言うと…周りからの視線も痛い!
絶対「なんだこいつどんくせーな」とか「関わらんとこ、あいつヤバそうだな」とか思われてる!!
…なんて事を思っていた私に、差し伸べられた手があった。
それは、さっきの声のする方からで…
「あの、血が出てる…よかったら、バンソーコーどうぞ」
恐る恐る見上げるとそこには、私と同じくらいの背丈をした女の子が心配そうにこっちを見ていた。
紺を主体とする色の、パリッとした制服。伸ばした黒髪をゴムで後ろで束ねていて、とても真面目な子なんだな、という印象だ。
それが私、後藤ひとりと、
******
「皆さーん、こんにちはー♪ようこそ、デザイアグランプリへ!」
突如、私と世武ちゃんを含む、大勢の目の前に現れたのは、あのモノトーンファッションのお姉さんだった。
そのお姉さんは、"ツムリ"という名前だそうで、私たちが置かれている状況を説明し始める。
どうも私たちは、厳正な審査を経て選ばれた存在"仮面ライダー"なんだそうで。
世界を救うゲームに参加して、見事勝ち抜く事ができれば『理想の世界」…すなわち、どんな願いだって叶う…らしい。
いや。いやいやいやいや。
そんな突拍子もない話が渋滞しすぎて、とっても信じられない
…第一、厳正な審査ってなんだろう。
私なんかを選ぶなんて、きっと書類が何かが、他の誰かと間違ってるに決まってるんだ。うん、絶対、きっとそう。
「それでは、お手元のデザイアカードに、願いをご記入ください」
ツムリさんがそう告げると、私の手元にどこからともなく、横向きにしたハガキくらいの大きさをしたカードと、これまた上質そうなペンが出現した。一体、どんなタネのマジックなの…?
私の、理想の世界。叶えたい願い事。それって一体なんなんだろう。
頭をひねって、ひねって、何を書くか迷ってしまう。
色々な情報がとっ散らかった今の状態だと、ちょっと厳しいみたいで…
そんな時、隣にいた世武ちゃんが声を掛けてくれた。
「あの、欲しいものとか、これから自分のやりたい事、やってみたい事…なんでもいいから書いてみた方がいいと思います…こんなチャンス、滅多になさそうだから」
その言葉が、私の背中をそっと押していて。
ふと気がついたら、私は願い事を、さらさらとカードに書いてた。
瞬く空の星に、ちょっとした願いをかけるような…そんな感覚で。
私の欲しいもの。やりたい事。これからやってみたい事。
それは───────
******
デザイア神殿内には、プレイヤーが立ち入る事のできないエリアが多数存在している。
ここはその中のひとつ、VIPオーディエンスタジアム。
DGPのVIPオーディエンスのみが利用できる施設である。
まるで、古来の闘技場のような外観をしており、中央のモニターには、進行中のDGPのゲーム状況をリアルタイムでスクリーンに投影できる機能が備わっていた。
見ると、会場を埋め尽くさんばかりの、VIP会員のオーディエンスアイたちが浮遊しながら、口々に会話を楽しんでいる。
『今日も刺激的なヤツを頼むぜゲームマスター!俺たちはあんたのゲームが目当てでVIPになったんだからさ!』
『超激ムズハードモードのルールで誰が生き残るんだろー!楽しみー♪』
『こういうのは何回戦もダラダラしないでスパッと決まるからいいよなー』
VIPたちに多大な信頼を寄せられているゲームマスター・フセルは今、モニターの側に立ち、オーディエンスに語りかけ始めた。
「さて、今宵のデザ神ちゃんは誰になるかしら…オーディエンスの皆さま、お待たせしました!」
「これより、私フセル主催のデザイアグランプリ・ハードモード…ジャマーサバイバルゲームを開催します♪」