ギーツエクストラ 仮面ライダーチークヘッズ from:ぼっち・ざ・ろっく   作:きゅー。

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お久しぶりです。よろしくお願いします。

*今日、Youtubeの方で【特撮ヒーロー俳優変身旅in下北沢】という動画が上がりましたね。ギーツ好きな方は必見です。
簡さんと杢代さんのやりとりがイイです。是非。


深緑の中で

「はぁっ、はぁっ……ぅ、うぁ…」

 

どくんどくんと、心臓の動悸がうるさく私の全身にこだまする。

さっきから冷や汗が止まらない。両足がどうしようもなく震えて、すくんでしまう。

 

極度の精神的負荷から歪みそうになる視界が捉えるは、見渡す限りの一面、森、森、森。

今までテレビ番組でしか見たことのないような、鬱蒼と生い茂る草花の陰に隠れて、私はどうにかこの異状事態をやり過ごそうとしていた。

 

『みなさんにはこれからサバイバルゲームに挑戦していただきます!ルールは簡単、敵に見つかる事なく、最後まで勝ち残ったらゲームクリアです!』……と、ゲーム開始前にツムリさんは言っていた。

 

そう、"勝ち残ったら"、の話だ。

負けたら私はどうなってしまうのか。

そもそも私たちは一体何をやらされているんだろう。

 

そのすべてを説明されないまま、私を含めた周囲の人たちはこの森の中へと、気がついたら入り込んでいたのだ。

そして私の身体にも、変化が生じていた。

森に飛ばされた時から、全身が真っ黒なスーツに覆われていたし、顔にも何かヘルメットのような物がくっ付いて外れない。

おまけに何かのゲージみたいな表示がずっと視界に映っている。

これは一体なんなんだろう。全く訳がわかんない。

 

すると突然、真っ黒い影が目の前から飛び出した! 

「うゔぉわっ!?」

本当にあまりにも突然の事だったので、喉から絞り出したような奇声をあげ、私はびょんとジャンプし飛び退く。

 

「あ、あれ…?その声、もしかして…あの時の…?」

その影は、よくよく見てみると…真っ黒いスーツに身を包んでいた。たぶん、私の今着ているのと同じ物だろう。

腰にはこれまた私のと同じベルト状のモノが付いている。

マスクは黒くて、大きな2つの垂れ目がデザインされていて、その側面にはヤギみたいなツノが2本、ピンと真っ直ぐに突き出していた。

 

「も、もももしかして…貴方は…!」

おっかなびっくりしながら、どうにか腰を上げる。

そう、そのヤギマスクの戦士の正体は世武ちゃんだったのだ。

そう思えた1番の証拠は、マスクの下から発せられた声。そして、私と面識があるという事だった。

ともあれ、誰かと一緒になれて、私は少し安心できた気がした。

 

「もしかして、そっちは…ハリネズミのマスクなんですか?」

「ハリっ、ハリネ…え?」

 

当然自分じゃマスクのデザインがどうなっているのか分からない。

なので、世武ちゃんに撮ってみてもらう事にした。

 

私たちに配られたという、銀色をしたスマホ端末型のアイテムを使って、私の容姿をぱしゃりと撮る。

 

その画面に写っていたのは、猫背気味のハリネズミマスク戦士。

頭の上にはヴィジュアル系バンドマンもかくやという程にチクチクした針みたいなモノが並んでいて、少しつり目気味の大きな瞳が、俯き気味に地面を捉えていた。

うーん、デザイン的には…

「……以外とかっこいい、かもしれない」

 

*******

 

《SET》《SET》

《ARMED HAMMER》《ARMED SHIELD》

《READY FIGHT》

 

私と世武ちゃんは、密林の中をそっと、そっと…足音を殺しながら進んでいく。

ちなみにゲーム上のハンドルネームでは、私が『仮面ライダーチークヘッズ』、世武ちゃんは『仮面ライダーゴートン』となっている、らしい。

さらに、今の私の手にはピンク色をしたハンマー型の武器があり、そして世武ちゃんはブルーの盾を身につけている。

これはゲーム攻略の為の武器だそうだ。

確かに丸腰じゃ不安だったから、武器があるだけいいかも知れない。

 

「ここ…どこまで続いてるんですかね」

「わ、わかんないです…!」

 

抜き足、差し足…1歩、1歩……歩みを進めてゆく。

すると、足の指先に、コツン…と、何かが触れた。

ふと気になって、拾い上げてみる。

 

それは私たちがベルトにつけている、レイズバックル…なるモノだった。緑色の弓の意匠があったが、表面の損傷は酷く、煤けていた。

「これ、って……!」

世武ちゃんが息を呑むのがわかった。その手はスーツ越しだったけど、ふるふると震えていた。

 

すると。

 

────────ざざっ、ざざ。

 

突然、藪の中から、私たちに似た戦士が姿を見せた。

手には、羽がすっかり折れ曲がり、ボロボロになったプロペラのような武器を握っている。

その足下はおぼつかず、フラフラとして…その場にドサリと倒れ込んだ。

「あ、ああっ…」

「大丈夫ですか!?」

狼狽え、立ち尽くすしかない私。

世武ちゃんは茶色のオオカミのマスクをした戦士に駆け寄る。

背丈は私たちより少し低い。私たちよりも年下みたいだ。

 

「あ、ぁっ…!…うぅっ…!いやだ、死に、たく、ない…っ」

 

マスクの下から発せられたのは、苦しみ喘ぐ少年の声。

その身体に、突然赤黒いノイズが走りだし……

 

ばちん。

 

まるで弾けるように、その場から掻き消えてしまったのだ。

 

《MISSON FAILED》

腰の端末から、無機質なガイド音声が流れる。

 

手足の力が、再び抜けていくのが分かった。

私はこの期に及んで、ようやく全てが分かってしまったんだ。

『このゲームで最後まで勝ち残れなかったら、死ぬ』という事が。

 

頭が真っ白になる。何も考えられない。

どうして、私はこんな所にいるんだろう。

夢ならはやく、覚めてほしい。

 

ただただ、呆然とするしかない、私と世武ちゃん。

スパイダーフォンは、まるで狂ったかように、淡々と同じ文言を言い放ち続けていた。

 

《MISSON FAILED》《MISSON FAILED》《MISSON FAILED》

《MISSON FAILED》《MISSON FAILED》《MISSON FAILED》

《MISSON FAILED》《MISSON FAILED》《MISSON FAILED》

《MISSON FAILED》《MISSON FAILED》《MISSON FAILED》

《MISSON FAILED》《MISSON FAILED》《MISSON FAILED》

 

 

【挿絵表示】

 

 

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