奸臣に反逆凌辱されたい内政チート転生姫様vs奸臣のフリをする善良ハゲデブ宰相   作:RKC

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3文で分かる前話のあらすじ

凌辱されそうになってウキウキの陛下。
あと一歩のところで宰相乱入。
凌辱のために10年以上頑張って来たのに、ちゃぶ台ひっくり返されて陛下ギャン泣き。


15話 傷心宰相

 嵐の様な陛下の癇癪が終わった。今はシーツに籠ってたまに体を震わせるだけ。

 信頼していたルーカスに裏切られ、あわや無理やり襲われそうになっていたのだ、この反応も当然だろう。

 

 しかし、陛下の意志を無視して運ぶには好都合。ここは敵地。今は一刻も早くここを離れなくては。

 

 陛下をシーツごと抱えて外に運ぶ。その間に考える事はさっきの陛下の姿。

 

 いつも毅然と采配を振るっていた陛下が子供の様に泣きじゃくる姿が頭に焼き付いて離れない。

 

 公開処刑の時やルーカスの不正の証拠を突き付けられた時など、弱い部分を見る事はあったが、あれほど取り乱した姿は初めて。

 

 少しだけ首に痣があるのが見えた。私が切り捨てたクズに付けられたのだろう。陛下の様にまだ成人もしていない女性が成人男性に急所を攻撃される恐怖はいったいどれほどのものなのか。

 それはさっきの陛下の姿が物語っている。

 

 私は何か間違えてしまったのだろうか。私がもっと優秀であれば、このような事態も防げたのだろうか。

 

 取り返しのつかない事をしてしまったような焦燥感と罪悪感に駆られながら、忌まわしい屋敷の外に出る。そこには兵士の死体と今回の事態を引き起こした張本人が。ルーカスは顔に影を差したまま、幽鬼のように立ち尽くしている。

 

「……私に裏切られた陛下もこのような気持ちなのでしょうね」

 

 私がここに駆けつけた時、ルーカスは兵士に首を切られそうになっていた。父に見捨てられ、殺される所だったのだろう。

 

「申し訳ありませんでした、陛下、宰相殿」

 

 ルーカスは頭を地にこすり付ける。

 

「今回の騒動を収束させるために私の首が必要でしょう。どうぞ」

 

 そして少しだけ顔を上げて、首を差し出してきた。彼の言う通り、我が軍の兵士達は突然姿を消した陛下を血眼で探している事だろう。その騒動を収めるには犯人を差し出すしかない。

 

 私は鞘から剣を抜き、振りかぶる。そこで私の腕が震え始めた。陛下を裏切り、害そうと企んだ者を討ち取るのに、なんの躊躇(ためら)いがあるものか。

 

 ……分かり切っている。

 

 慕う人に認められない辛さを分かち合った。

 同じ立場で政治について話した。

 彼が撒いた種とはいえ、命の危機を救ってもらった。

 

 陛下を拉致した犯人として処刑するには、しがらみが多すぎた。なにより今は精神的に疲れている。これ以上何もしたくない。

 

 私は今日までいかなる時でも国の事を思って物事を判断してきたつもりがある。ただ、今だけは出来そうにない。

 

 私はルーカスの代わりにそこら辺の兵士の首を落とす。そして屋敷の周りに掲げられている松明を借りて、首を落とした兵士の顔を焼いた。

 

「何を……」

 

 困惑するルーカス。彼の持ち物から丞相の印を奪った。

 

「今回の騒動の元凶、ルーカス丞相はその場で処刑されました。私は陛下と罪人の首を運ぶ必要があります」

 

 私はそう言い、敵兵士が移動に使った馬を借りた。私が乗って来た馬は飛ばし過ぎたせいで、ここに来るまでに疲弊しきっている。

 陛下を近くに有った籠に入れ、背中に背負う。

 

 一方でルーカスは私の言葉を聞いて、ただでさえ暗い面持ちを青くさせていた。

 

「……宰相殿は私にどう生きろと言うのですか! 陛下と宰相を裏切った責任をとらせてください!」

 

 その身勝手な言葉に思わず声を荒げる。

 

「そうやって死ぬ事が責任を取る事なのか!? 少なくとも私を裏切った分についてはまったくの見当違いだ! ……私に殺させるな」

 

 私は言い捨て、馬を走らせる。

 

「う“ぅ”……ッ!」

 

 背後から嗚咽が少しだけ聞こえた。

 

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