奸臣に反逆凌辱されたい内政チート転生姫様vs奸臣のフリをする善良ハゲデブ宰相   作:RKC

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18話 バカンス陛下とダウナー陛下

 宰相に性癖カミングアウトをしたが、返事は芳しくなかった。そっかぁ、宰相君グラマラスなのが好きかぁ。ハゲデブの9割はロリコンって相場が決まってるんだけどな(エロ漫画調べ)。

 ケツはデカいんだけど胸が引っ掛からなかったみたい。勃たないんじゃ仕方ないね。

 

 まぁしばらくすればもう少し背も伸びるだろうし、豊胸マッサージでもして気長に待つか。宰相以外にも私を喪失させてくれる人材が現れる事だろうし、未来は明るい!

 

 ルーカス君は残念だったね。とりあえず火葬して、骨は王宮の端っこに埋めてやった。

 良い働きをしてくれたし、頭蓋骨を(さかずき)代わりに使ってやっても良いかなと思ったが、冷静に考えると骨の容器って普通にキモイから止めた。

 

 とりあえず宰相だけでなく城中に私がド変態であることを広める。

 善人の役人はこんな変態に仕えていたのかと怒りを覚えて、革命をしてくれるかもしれない。

 切れ者の役人はこんな変態に国を滅茶苦茶にされてはいけないと、私の王国喪失計画を邪魔してくれる事だろう。

 

 革命が成功しても気持ち良い。邪魔されたら計画の喪失で気持ち良い。全部失敗しても諸外国に喧嘩吹っ掛けて、そっちの侵略が成功しても気持ち良い。

 

 この作戦、十重二十重にも練られ、至高の領域……。私の宣伝の甲斐あって、みんな私がド変態という事を理解してくれたようだ。

 

 宰相は私の宣伝活動に酷く慌てていた。あ、やっぱり私の処女貰いたい? 超絶怒涛、空前絶後、国士無双美少女の処女貰いたい? でもこの世は早い者勝ち。

 BSO(僕が先に犯したかったのに)は通用しないから。処女貫通したいなら貧乳でも勃つように訓練して来てね。

 

 そしたら翌日に宰相が結婚しましょうと言ってきた。

 (※ここまで大っぴらに口外されると思っていなかった宰相の“変な相手に引っ掛かるぐらいなら自分が……”という苦渋の決断によるもの)

 

 うーん、結婚しちゃうと他の人と簡単にできなくなっちゃうけど……今出来るならヨシ!

 こちとら10年以上待ちぼうけ喰らっとるんじゃ! 私を負かして喪失させた相手とできるチャンスを我慢できるほど人間ができとらんわ!

 

 あ、でもその前に本当に勃つかチェックさせてね。結婚してやっぱり勃ちませんでしたじゃ話にならないから。

 

 はい全裸。……勃たないじゃん。

 (※気がふれてこんないかがわしい事をしている陛下のあまりにおいたわしい姿に勃たなかった)

 

 逆に全裸がダメか? スケスケのネグリジェ、夜会用のドレス、一周回っていつもの服。

 

 ……ダメじゃん。そんなんじゃ行為できないよ。処女欲しいからって性癖に嘘つくのは点数低いよ? 拗らせた処女厨ってわけでもなさそうだし……。

 

 ワ、ワァ……! あ、宰相が泣いちゃった……!

 (※気がふれているとはいえ、尊敬する陛下にここまでさせて勃たなかった不甲斐なさに涙をこぼした)

 

 確かにやるっていき込んだのに勃たないのは相手に申し訳ないだろうし、泣いちゃう気持ちも分からないでもない。

 私も口でする時に、相手にそう言う趣味がないにも関わらず、ゲロ吐いちゃったりしたら申し訳なく思うだろうし。まぁ元気出せって。

 

 なんで勃たないか、明日まで考えといてください。そしたら何かが見えてくるはずです。

 

 そういった宰相とのやり取りの後、数人が私にコンタクトを取って来た。

 

 お前を犯す。 デデン!

 

 キター! 私が変態だと宣伝した甲斐があって、私と行為をすることに積極的になってくれた人がこんなにも!

 

 じゃあ、私が後で王国滅亡計画を練るから文官の君はそれを頑張って阻止してね。

 お、君は武官か。じゃあ他国に寝返ってそっちで将軍にまで成り上がった後に王都を陥落させてほしいな。

 私を喪失させたら晴れて行為に移れまーす!

 

 早く私を犯しにいらっしゃーい!

 

 ……みんな苦笑いしながら逃げて行っちゃった。何で? 私が喪失大好きのド変態って知って来たんじゃないの? あ、もしかして凌辱の方が主に広まっちゃってる?

 今も凌辱は好きだけど、喪失の方が好きだからちゃんと訂正しとかないと。

 

 何か、宰相が来て私を犯そうとした人を教えろってさ。やっぱりライバルの動向気になる? ええよ、教えたる。

 ……なんか教えた人、みんな退職するか、閑職に追いやられちゃった。ちょっと過激すぎない宰相? 喪失のチャンス減らされても困るし、今後は教えないようにしよっと。

 

 とにかく。しばらくは待ちの時間かな。とりあえず国内の騒動を収めて、体制を整えてから王国滅亡計画を考えよう。

 喪失は気持ち良いけど、喪失直後は燃え尽きてやる気が低下するのも確かだ。今はあんまり長期的な計画を考えたくない。

 

 というわけで騒動を収めるのは部下に任せて、一方で私はチル。泳ぎにでも行くかぁ。ここから一番海……といっても湾になっちゃうか。

 まぁ良い、護衛を連れて仲の良い隣国――レア王国の湾にレッツゴー!

 

 

 

 

 

             ♢

 

 

 

 

 

 私の名前はクレア。レア王国の女王。名前の一部に国名が入っているのは、両親が国名にあやかって私の名前を付けたかららしい。

 

 “らしい“、と伝聞形なのは私が物心つく前に両親が流行り病で死んでしまったからだ。私は両親の顔も覚えていない。両親が死んでからは年の離れた兄が王になり国を治めていた。

 

 しかし頼れる兄も、真珠が採取できる湾の領地をめぐった隣国との争いの際に死んでしまった。兄が前線で指揮をとってくれたため、何とか湾の領地を守る事ができたが、失ったものは大きい。

 

 ※現代では真珠の養殖がおこなわれているが、中世では天然物の真珠しか存在しなかった。真珠貝を1万個採取して1個真珠が取れるか取れないかという希少さだったため、現在よりも2~3桁価値が高かった。 

 

 

 

 唯一残った王族の私が今は王座についている。だが、私は兄とは違い凡人だ。兄のように人を率いるカリスマも、軍を指揮する力も、エリュシオン王国の新たな女王のように国を豊かにする知識も無い。

 

 凡人の私は周辺国との折衝に対応しきれず現状維持すら出来ない。緩やかに国を衰退させるだけ。その事実に毎夜胃を痛める。周りの人間が私の事をどう思っているか気になってしょうがない。

 

“あの無能陛下はどうしようもない”

“兄に比べて出来の悪い妹だ”

“所詮は兄の出涸らしか”

 

 言われても無い言葉が幻聴として今にも聞こえてきそうだ。しかし、不安を紛らわそうにも肉親は死に、今の私には心から信頼できる人物がいない。誰にも相談する事が出来なかった。

 

 いっその事、兄のように死んでしまえばこの孤独と煩わしさから解放されるのか……。

 

 自暴自棄になりながら日々を過ごしている時、エリュシオン王国の女王がこの国を訪れるという。何でも真珠の取れる湾に行きたいとの事らしい。

 

 私の国とエリュシオン王国では今や天と地ほどの国力差がある。元々領地の大きさが違うのに加えて、私の国は緩やかに衰退する一方、エリュシオン王国は新たなソフィアという女王が改革を成功させて富んでいる。

 

 今は内乱で少しバタバタとしているが、それが収束すれば私の国など一瞬で飲み込まれてしまう事だろう。今回の訪問で宣戦布告にでも来たのだろうか。

 

 そんな自暴自棄な事を考えながらも、友好国のトップが訪問してくるので一応は歓迎しなければいけない。さっさと湾に行ってしまったらしいソフィアを追いかけるように私も湾に向かう。

 

 女王といえど他国で勝手に動くのは許されない事だが、そんなものは建前。最近、私の国では不作が起こり、エリュシオン王国から食料を輸入している。

 国の生命線、食料を握っている相手に文句をつけることなど出来なかった。

 

 湾に到着する。そういえばソフィアとの面識はこれが初めてだ。国内の悪徳貴族・役人を処刑したりと、苛烈でいてたぐいまれなる美貌の持ち主とは噂に聞いているが、いったいどんな人物なのか。

 

 そんな考えの私の目に真っ先に入って来たのは、何故か湾の中で変な泳ぎ方*1をしている少女と慌てている護衛の兵士。

 

 正直意味が分からない。恐らく泳いでいるのがソフィアだろうが、一国の女王がどうして泳ぐ必要があるのか。それも別の国の湾で。というか水練が上手いな……。

 

 私が呆然としているとこちらに気づいたのか、水から上がったソフィアが近付いてくる。近くで見ると分かるが、陛下はまるで下着の様な衣装に身を包んでおり、目には……メガネ、だろうか? とにかく変なもので目を覆っていた。

 

「ゴーグル作らせてみたけど、めっちゃ水入って来る……。やっぱ中世の技術じゃ完全防水は難しいか……」

 

 レア王国とエリュシオン王国では同じ言語を公用語としているため、言葉はお互いに通じる。

 

 とはいえ、よくわからない事を呟きながらメガネに入った水を捨てるソフィア。たったそれだけの仕草でも絵になる美貌を彼女は持っている。噂以上の美しさかもしれない。

 

 

 

 そんな絶世の美少女がほとんど下着姿で肌を晒しているというのだから、あちらの護衛もこちらの護衛も目のやり場に困っていた。

 

「湾とはいえ塩でベタベタ……そこのお前、近くの川から淡水汲んで来い。ほらバケツ」

 

 ソフィアは護衛の一人に水を汲みに行かせ、他の護衛から受け取った布で体の水分を拭きとる。

 

「失礼、お待たせした。私はエリュシオン王国女王、エリュシオン・クロノス・ソフィア。そちらのお嬢さんは?」

 

 お嬢さん……確かに私は童顔で身長は小さいが、一応成人している。未だに成人していないらしいソフィアよりかはお姉さんなのだが。

 

「お初にお目にかかります。レア王国女王、ランケスタ・クレアと申します」

 

 私がそう言うと、ソフィアは目を丸くして驚く。

 

「貴殿がレア王国の女王だったか。お嬢さんは失礼だったな。それに国の主を差し置いて先に泳いでしまった」

 

「い、いえ、別に私は入るつもりも無かったので……。それよりソフィア殿、その……服を着られてはいかがでしょうか?」

 

 ソフィアのどこかズレた発言に面食らいながらも、とりあえず着衣を促す。これほど可愛い美少女にこう肌を晒されると……同性の私でも目のやり場に困る。そっちの気はないはずだが。

 

「確かに、日焼け止めもない時代だ。あんまり日光に肌を晒すのは良くない」

 

 謎の理論を捏ねながら、ソフィアはつばの広い麦わら帽子と長袖を上に羽織ってくれた。目のやり場に困らなくなった。

 

「それで、泳ぎに来たのでなければクレア殿は何の用でここに?」

 

 いけしゃあしゃあとよく言う。無理に押し掛けてきておいてその言い草とは。苛烈で直球という噂も本当らしい。

 しかし、私には真っ当に文句を言う度胸も立場も無い。

 

「ソフィア殿が来られたというので、顔を見せておかなければいけないと思いまして」

 

「なるほど、弱小国のトップというのは大変だな。自分より大きい国にゴマすりをしなければいけないとは」

 

 ソフィアの侮辱的な発言に、私の護衛が少し殺気立つ。バカ、怒ってどうなる? 無駄に不興を買うだけだ。

 

 私はジェスチャーで兵士を落ち着かせた。それにソフィアの言葉は侮辱的だが事実だ。私としては嫌な気持ちにすらなれなかった

 

「ははは……それでは私はどのようにゴマをすりましょう?」

 

 私が諦めたように言うと、陛下は護衛から受け取った二本の竿の内、一本を私の方へ突き出す。

 

「ゴマをするより、釣りをしろ。付き合え」

 

 ……この人の思考回路が全然分からない。とはいえ断われる立場でもないので、私は竿を受け取った。

 

 

 

 

 

 大きなパラソルの下で、ソフィアと私が湾に向かって糸を垂らしている。餌はソフィアが石の下の変な虫を捕まえて針に刺していた。本当に女王なのだろうかこの人は。

 私は普通に虫が無理なので付けて貰った。ソフィアが変に優しくて助かった。

 

 20分ぐらい竿がしなる様子もなく、ずっと無言の時間が続いている。流石に気まずくて、私の方から話題を振った。

 

「ソフィア殿は何の用で私の国に来たのですか?」

 

「バカンス」

 

「……その、泳いだり、釣りしたり、遊びに来たということですか?」

 

「あぁ」

 

 この人は本当にソフィアなのだろうか。農業改革を成功させ農業従事者の割合を9割から4割にまで減らしたとか、国内に多くの新たな産業を生み出し、経済網を厚くしたとか、そういう才気あふれる噂ばかり聞くのだが。

 

「ソフィア殿の領にもそういった場所があるはずでは?」

 

「少し遠い。ここが一番近かった」

 

 しかし、今の頭の悪いやり取りからはそのような偉人のオーラが一切感じられない。偽物かと疑いたくなるのも仕方ないだろう。

 

「そういえばここでは真珠が取れるんだったな」

 

「はい。そのおかげで私の国は真珠の輸出で潤っている次第です」

 

 潤っていると言う程では無い。というよりも真珠の輸出に頼り切っている状態だ。しかし、友好国とはいえ国の内情までベラベラと話す必要はない。

 

「養殖はしないのか? そっちの方が効率が良いだろうに」

 

「よう、しょく……ですか?」

 

「人間はそこらへんに生えている野草を食べて生きているわけではない。小麦や稲を自らの手で育てて食料を賄っている。

 ならば、真珠を作る貝を自ら育てて真珠を人工的に採取するのが人間の道理だろう」

 

 ……盲点だった。現場では試みられているのかもしれないが、少なくとも私は思いつかなかった。

 目の付け所といい、引き込まれる様な語り口調といい……分かる、この人は本物だ。掛け値なしの本物。

 

 奇行は目立つかもしれないが、それを補って余りあるカリスマと閃き。私の様な凡才とはものが違う。

 

「私の領にも小規模だが真珠の取れる湾があったはず。そこで養殖を試させてみるか」

 

 もしそれが成功して天然物以上の品質、数が出来れば、真珠の生産国は大打撃を受ける事だろう。私の国も例外ではない。まず間違いなく路頭に迷う人が続出する。

 

 ……いや、もし成功すればと言うのは甘い考えか。ソフィア程の指導者ならまず間違いなく成功させるだろう。そうなった時、私の国は地図から消えるかもしれない。何か手を打たなくては。

 

 真珠の養殖が成功してしまうと仮定すれば、私の国は真珠の輸出による外需ではなく、他の外需か、国内の内需を拡大することによって豊かにならねばならない。

 

 他の外需には心当たりがない。という事は内需拡大をする必要があるわけだが……何をすれば良いのか、凡人の私には分からない。それこそ、ソフィアが考えた農業改革の方法を借りられれば良いのだが。

 

 しかし、いくら友好国とはいえ国を丸ごと変えてしまうような改革の方法を教えてくれるわけはない。その情報と釣り合う代価も私の国は持ち合わせていない。

 それにバタバタと教えを乞うような真似をすれば、想像以上に私の国が困窮していると、足元を見られる可能性も。

 

 ……昔からこうだ。色々と考える癖に悪い事ばかり思い浮かんで、結局行動に移せない。行動に移さないのは何もしていないのと同じ。私は無能だ。

 

「悪いな仕事の話をして。遊びに来ているというのに、まったく悪い癖だ」

(なんか陛下口調も抜けないし、長年の習慣って怖いな)

 

 私が苦い顔をしているのに気づいたのか、話を変えるソフィア。悪い人では無いのかもしれない。ただ、正直で素直というだけで。

 

 そう考えると、わざわざ真珠の生産国にまできて養殖の話をしてくれたのは、国が路頭に迷わないように備えておけという忠告なのかもしれない。

 

「おっ? キタキタキタ! こいつはデカい! ほらクレア殿もボーっとしてないでそっちの網で魚掬う準備!」

 

 ……まぁ、遊びに来たついでかもしれないが。

 

*1
バタフライ

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