奸臣に反逆凌辱されたい内政チート転生姫様vs奸臣のフリをする善良ハゲデブ宰相 作:RKC
隣国のエリュシオン王国からソフィア女王が来訪してきた。ただでさえエリュシオン王国は国内がバタバタしていると聞いているのに。それを差し置いて、一体何の用でこのような弱小国に来訪してきたのか……。
「白身魚釣れた! 毒はあるか? 無いなら捌いて食うが」
「生はちょっと……? しょうがないから火を通してやる」
「火打石が無い!? 持ち物の確認は遠足の基本だバカタレが! しょうがないからゴーグルに水を入れてそれをレンズ代わりに火を起こそう。……完全防水じゃないから水が漏れる!」
……遊びに来ただけらしい。一国の指導者とは思えないほど感情をむき出しにしながら、全力で楽しんでいた。こうしていると噂に聞く名君ではなく、はしゃいでいる町娘に見える。
我儘な妹がいたらこんな感じなのだろうか。いつの間にかソフィアの調子に釣られ、接待であることも忘れて私も楽しんでしまった。久しぶりに楽しいと思った気がする。
いつの間にか太陽が地平線に沈みかけている。時間を忘れて何かに没頭したのは、自省以外では久しぶりだ。
流石のソフィアも大分くたびれた様子。パラソルの下でボーっとしている。このまま今日は解散の流れになってしまうのだろう。
それを思うと胸が重くなった。頼れる者も無く、徐々に衰退していく国家を前に自分の無能さを嘆くだけの暗くて寂しい灰色の日に戻ってしまう。
今日の様な楽しさを知らなければこれからも耐えられたのだろう。だが、蜜の味を知ってしまった人間は塩辛いスープでは満足できない。
「ソフィア殿は、どうしてそのように明るく振舞えるのですか?」
少しでも長くソフィアと話していたかった。何とか話題を絞り出し、彼女の隣に座る。
聞くところによると、彼女も私と同じで肉親がいないらしい。どうして今までのように明るく振舞えるのだろうか。
「明るく? 意識した事は無いが……そんなに明るいか? クレア殿が暗すぎるだけでは?」
私が暗すぎるというのはその通りだ。
「私は……家族が亡くなり頼れる者もいなく、己の無能さで国を衰弱させるだけ。そんな毎日に気力を削がれ、気づけば“これ”ですから」
ソフィアに笑ってみせる。しかし眉はハの字に曲がり、どこか疲れて困ったような表情になっている事だろう。
「クレア殿は何かやりたいことは無いのか?」
「やりたい事……強いて言うなら、国民を豊かにしてあげたいです」
「じゃあそれに向かって励めば良いではないか。何も気力を削がれる必要はない」
「し、しかし! 私が何かして、もし失敗したら国民が路頭に迷う事に……」
「それは民を舐めすぎだ。あいつらにも一応は自前の脳がある。路頭に迷う前に自分で何とかするさ。それこそお前が失敗すれば、この国を見限ってどこか遠くに行くだろう。国境さえ解放しておけば良い。土地に縛られた農奴とかは……まぁしょうがない」
そういう風に考えたことは無かった。確かにその通りかもしれないが、現実問題逃げる事の出来ない民もいる。それに……。
「仮に国が侵略されたとして、私がそれを防ぎきれず、民が酷い目に遭ったりしたら……」
「その時は相手の王様のちんこでもしゃぶって“民だけはお許しを~”っていえば何とかなるだろう。私ほどではないが、お前も美人なんだから」
そういうものだろうか。そういうものなのかも……ん? 今なんか変な言葉が……
「相手が女王の場合は相手の嗜好にもよるな。靴を舐めるとか、むぐゥ!」
護衛が急いでソフィアの口を塞いでいた。……さっきの言葉はきっと気のせいだ。うん、そうに違いない。
「――まぁ、とにかく気楽にやった方が良いぞ。クレア殿の国は弱小国。今から立て直すのは難しいのだからダメで元々。無茶苦茶やってみても良いのではないか?
失敗した時がどうしても心配というのなら、その時は私が国を引き取ってやる」
(というか、弱小国の優しいけど幸薄の女王とか、凌辱の観点からすれば最高の女優では? 過去の私だったら垂涎物。素質あるよ、君)
もし失敗してもソフィアが引き取ってくれる。そう思うと、不思議なほど安心できた。責任の所在を他人に移せるというセーフティネットがこれほどありがたいとは。
「その時はよろしくお願いしますね」
今だけは自分が思い描く笑顔を浮かべられた気がする。
ソフィアと別れてから私は彼女宛てに書簡をしたためた。内容は真珠の養殖と農業改革の方法について。
真珠の養殖において、私の国の湾の一部と真珠採取に長けるものをエリュシオン王国に貸し出し、共同研究をしたい。真珠の養殖が成功した場合は貸していた湾の一部のみならず、湾の大半をエリュシオン王国に差し出す。その代わりに農業改革の方法を教えてほしい。
そういう取引を持ち掛けた。正直、これでも向こうに不利な条件だと思っている。図々しいお願いだが、ダメで元々。図太くやってみよう。
すると、ソフィアから返事が返って来る。
“そちらが1つ追加で条件を飲めば、取引を承諾しても構わない”
追加の条件……?
“この手紙と一緒に送った本を読み、感想文を書いて送ってくれ。初心者向けの著書だから恐らく大丈夫だ。クレア殿には素質がある。期待しているぞ”
本を読んで感想文を……私の適性を測ろうとしているのか? 凡人の私に何を期待するというのか。
とにかくダメで元々。私は同封されていた本を手に取った。
題名「縛って犯して ――暴かれる私の本性――」
???
言葉は理解できるのに、意味が理解できない。初めての経験だった。
それでも何とか理解するに、恐らく官能小説のタイトルに思える。
これを読んで感想文を……? 送る本を間違えたのだろうか。訳が分からないが、とりあえず読まない事には始まらない。私はページを捲った。
作:エリュシオン・クロノス・ソフィア
???
これをソフィアが書いた? 官能小説を? しかも書かれている執筆日時を見ると、今から3年前にこの小説は書かれている。それほど子供の頃からこの小説を?
いや、タイトルだけで本の内容を判断してはいけない。あのソフィアが手掛けた作品なのだ。私は気を引き締めてページを捲った。
普通にそういう作品だった。エッチな奴だった。ただ、不思議とページをめくる手が止まらなかった。
物語の内容としては、両想いの恋人が初夜を迎えるが、男性の方が嗜虐的な本能を露わにし、女性を無理やり襲うもの。
女性は初めこそ戸惑っていたものの、支配的だが愛のある男の行為に体を蕩けさせていく。
口を塞がれ、腕を縛られ、組み伏せられる。徐々に抵抗の手段を奪われる事に恐怖を覚えるが、耳元で愛を囁かれるたびに恐怖は薄れてしまう。
そのまま抵抗しようという意志すら削がれ、男に従属する安心感に溺れていくという内容だった。
私は物語の女性を羨ましいと思った。私も王族という命令しなければいけない責任ある立場から逃れ、誰かの指示に従うだけで良い
従属の安息。それと引き換えに、主の命には従わなければいけない。ただ、命に従えば私に安息を与えてくれている主が喜んでくれる。
なにより、自分は大したことのない人間だと落ち着ける。女王などという過分で大層な人間ではなく、誰かの命令に従うだけの無能だと、立場と自己認識が一致する。不協和に悩まされることも無い。
“お前はずっと俺が飼ってやるからな”
私も……。
気づけば私は5000字に及ぶ感想文を一息に書き上げ、ソフィアへと送っていた。
♢
バカンスでリフレッシュしてから数週間が経った。ほとんど無断で休んだけど、宰相にも“確かに今の陛下には休養が必要ですな”、と見逃して貰えた。
というか宰相、私への接し方が少しぎこちない気がする。勃起しなかったからってそんな引きずるなよな。
あ、それとクレアから小説の感想文が届いたんだよね。彼女は優しいけど弱小国の幸薄女王。凌辱適正マシマシだし、失敗するのが怖いと悩んでいたから、自作の官能M小説を送ってあげた。この世界に転生してから少しずつ書き溜めていたものの一つだ。
本をきっかけにM性癖に目覚め、それを凌辱性癖に昇華させれば失敗して滅茶苦茶にされた時の恐怖も少しは薄れるだろう、という私の配慮。しかも初心者がとっつきやすいようにイチャラブSM物を送ってやった。
私の性癖はハードな凌辱だったけど、創作する分にはイチャラブSMも純愛も行けますよ。作るのと実際にされるのはちょっと違うんだよね。
さて感想文の内容は……うん、長文。なんかすごい肯定的なこと書いてる。自分の執筆した作品にこれほどハマってくれて、正直嬉しい。
前世でも凌辱物の創作はしていたが、人に見せたことは無かった。つまりクレアがソフィア先生の初めてのファン。
しょうがないから別の作品も送ってあげた。今度は少しハードな奴。少しずつ凌辱性癖開発しようね♡
そして約束通り、クレアの国と共同で真珠の養殖研究を行い、更に農業改革の方法を教えてあげる。一応他国に盗まれないよう機密保持はしてね。
他国に情報を流すなよ! 流すなよ! 絶対だぞ! 絶対!
(凌辱されたいなら流せよ!)
という事でファン兼、性癖仲間が出来た事でウキウキの私。意気揚々と城の中を練り歩いていると、なんか変な仮面野郎を見つけた。
あの仮面野郎は誰? 初めて見るんだけど。月の戦士のお助けキャラ? それともマザコン少佐? あかん、めっちゃ気になる。
とりあえず話しかけてみると、何かすごい気まずそうにモジモジしていた。ただのシャイか?
そう思っていると、偶然通りかかった宰相が色々と説明してくれた。私がバカンスに行ってる間に、軍部に迎え入れた人らしい。
名前はスカール。この国では珍しい名前だね。
何でも、悪徳貴族連合の3トップ、クラウディン家、ザラミス家、レントール家の内、ザラミスとレントールの当主二人の首を持って仕官しに来たとか。
クラウディン家の当主は私を凌辱しようとして宰相に殺されているため、これで3トップの当主3人は全滅。
悪徳貴族連合は大きな指導者を欠き、ほとんど死に体になっている状態。なんなら絶体絶命の状態にもかかわらず、連合のリーダーを決めようと内輪もめをしている始末。
とにかく敵の上層部二人を仕留めた功績を認められ、異例の出世で重宝されているらしい。武官にも関わらず、政治にも理解が深いとの事で宰相もお気に入りの様子。
なるへそ……仮面は? 外して貰うと、顔中が火傷まみれだった。傷痕を隠してたってわけね。私としては特徴的で顔と名前を一致しやすいから助かる。
喉も熱でやられているのか、しゃがれたガサガサ声。
……こいつのしゃがれた声、何か脳に来るな。ちょっと耳元来て囁いてみて。
「こ、こうでしょうか……」
おっほ♡ こいつの声の周波数ヤバ……♡ 脳みそ揺らされる♡
耳が孕むってのはこの事を言うんだろうね。声優推しの人の気持ちが今理解できた。
こいつに喪失させられた上で言葉責めされてぇ~。
君どっち? 腹に一物抱えてて、私を裏切って王都滅亡させてくれるタイプ?
それとも宰相みたいに忠臣で、私がこれから考える王都滅亡計画を阻止してくれるタイプ?
どっちでも喪失できるから良いけど、タイプを把握しておかないと彼のポテンシャルを最大限に引き出せないからね。
私は仮面男の腰から剣を奪い、抜き身の刃を仮面男の喉に突き付ける。
「へ、陛下! 一体何を……!」
騒ぐ宰相を無視して、私は仮面男の喉を少しだけ裂く。血が一筋流れた。
「どうする?」
私が仮面男に問うと、彼は身じろぎ一つせず答えた。
「……陛下のお心のままに」
なるほど、忠臣タイプね。それにしても私に殺されても良いとは相当の筋金入りだ。やはり空前絶後、超絶怒涛の美少女才媛陛下ともなると、これぐらいの過激ファンが出来るものかもしれない。
彼のタイプを量り終えた私は剣を彼の腰に戻す。
「仕事に励め。それがお前の責任の取り方だ」
じゃあ君は私が年単位で頑張った計画を台無しにする事に励むように。私の耳を孕ませた責任はしっかりとるんだぞ!
新たな喪失相手の登場! 宰相も急いで勃起しないと追い越されちゃうぞ? あれからちゃんとちんちん勃ったか?
ほら、おっぱい寄せて大きく見せたらどうだ? 勃つ?
……ごめんて。そんな泣かなくても良いじゃん。
やはり、据え膳を前に勃起不全というのは辛い経験らしい。男の心も繊細だなぁ。
私達のやり取りを見て唖然とするスカール君。あ、そういえば言ってなかったっけ。
私は凌辱されるという長年の願いを宰相に邪魔された時ですね……。酷い喪失感に初めて襲われた時……なんていうか、その……下品なんですが……フフ、“自慰”……しちゃいましてね。
喪失フェチって……わかる? 大切なものを台無しにされると心ががらんどうになるだろ? あれに興奮する!
以上! 皆に言いふらせよ!
もう一度喪失したくて王国滅ぼすつもりだから、ちゃんと頑張って阻止する様に。あっ、やっぱり引いてるッ!
まぁ、いきなり言われてもビックリしちゃうよね。時間をかけて理解してくれれば良いから。
さて、バカンスでリフレッシュしたし、本格的に王国滅亡のために諸外国に喧嘩吹っ掛けていきますか!
突如として現れた謎の仮面男。彼はスカールと名乗りソフィアに殺されても良いとまで言う。彼の思惑とは、そして正体やいかに……。
次回予告
オッス、オラソフィア! いやぁ~驚ぇたぞ! お前の正体がルーカスだったなんて!
今の名前はスカール。裏切りの責任を取るために来ました。一生をかけて罪滅ぼしをしたい……その一心で。
次回! 陛下vs宰相Z! 僕の正体はルーカスです。謎の青年の独白!
そっかぁ、それで陛下と気まずそうにしてたんだぁ。