奸臣に反逆凌辱されたい内政チート転生姫様vs奸臣のフリをする善良ハゲデブ宰相   作:RKC

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前の話でルビがきちんとふられていませんでした。
申し訳ありません。現在は修正済みです。


2話 宰相→姫様

 エリュシオン王国。この国は完全に腐りきっている。宰相の私が言うのだから間違いはない。賄賂、癒着……その他政治における悪と呼べるものが一通り横行している。

 

 王様と王妃様は国民から搾り取る事しか考えていない。

 

「今年は豊作だな。であれば今年に限り少し税を上げても問題無いのではないか?」

 

 (たま)の豊作となればすぐこれだ。

 

「お待ちください。昨年は不作であり、愚民共は疲弊しております。ここで税を上げるとなると農民たちに多数の死者が出るでしょう。そうなれば来年以降の搾取が難しくなる……。

 愚民共からは長く多く搾り取るのが常道でございます」

 

「ふふふ、そうであったな。であればここは我慢するが得策か」

 

「その通りでございます。賢明な判断かと」

 

「貴様の助言あってこそよ。常々私は良い宰相を持ったものだ。いや、悪い宰相かな」

 

「グッフフフ、上手い言葉遊びですな」

 

 今の私にできるのは王様に逆らわず、かといって一線を越えさせない事だけ。口答えをすれば明日にも宰相の地位を追われる事になるだろう。

 

 それとバレない程度に王様の施策を調整し、被害を少なくする事ぐらいか。私が王様に反意をもって施策を変更していることがバレてしまえば、私の首が町中で晒される結果になるのは想像に難くない。

 

 王様は絞りとった財で軍備を強化しており、万が一のクーデターにも備えている。武力で国家転覆される可能性はまずない。

 兵士が裏切ればその限りではないだろうが、王様は兵士に街の警備を任せており、警備時の特権で様々な強権を振るえるとあれば、兵士がわざわざ王家を裏切るメリットも無い。

 

「おい、そこの女ァ!」

 

「ひっ……わ、私でしょうか?」

 

「そうだ、こっちに来い!」

 

 巡回中の兵士が女を呼び止める姿。街を歩けばよく見る光景だ。 

 

「昨夜の雨の中、一人の兵士が雷に打たれて死んだのは知っているか?」

 

「い、いえそんな事は知らない……」

 

「嘘をつくな! 貴様がやったんだろう? 怪しげな術を使い、国に反旗を翻すこの魔女め! これから取り調べを行う。こっちへ来い!」

 

 この国で横行している兵士による魔女狩り。ああして適当な女に無実の罪をおっかぶせ、財産を奪い、姦淫を行うのだ。

 

 見ていられなくなった私は間に割って入る。

 

「おやおや、この女が魔女ですとな?」

 

「こ、これは宰相様!」

 

 どうやらこの兵士は私の素性を知っているらしい。話が早くて助かる。

 

「昼から魔女の取り調べとは熱心ですな。しかし、兵士殿には巡回の仕事もある事でしょう。そこでどうでしょう? この魔女の取り調べを私に譲るというのは」

 

 そう言いつつ兵士に袖の下を渡す。

 

「さ、宰相殿のお手を煩わせるのは大変恐縮ですが、街の警備も立派な仕事。後はお願いいたします」

 

「グッフフフ……よろしい。たっぷりと取り調べをしてやるからな、そこの女」

 

「ヒッ……!」

 

 そうして女を連れて行き、人気のないところで適当な理由を付けて解放する。最後まで女は私の事を嫌悪の目で見ていた。神聖な髪も生えていないハゲ、それに加えて節制の真逆に位置するデブの私を見ればそうもなるだろう。

 

 髪は政治の折衝のストレスが祟って無くなり、仕事のストレスとハゲのストレスの二重苦で食事量が増えた。その結果のデブ。鏡を見るたびに自分の姿に嫌気が差す。

 

 嫌な思いをしながらの善行も大局的に見れば何の意味も無い。あの兵士も新しい建前が出来れば他の女を取り調べする事だろう。私がやったことは、ただ目の前で可哀そうな女を助けただけ。ただの自己満足。宰相という本来なら国を左右できる立場にも関わらず何と情けない事か。

 

 こんな国だが、私には一筋の希望があった。それは姫様の存在だ。あの王様と王妃様から何かの奇跡で傑物の子供が生まれてくれないものか。いや、傑物などとは望むまい。善良であれば多少の暗愚でも構わない。

 ただ、為政者としての責務を果たしてくれる人であれば……。

 

「そこの使用人。この藁の上で排便しろ」

 

「そっちの使用人。藁と排泄物をかき混ぜろ」

 

 ――駄目だ。姫様は嫌がる使用人に排便を促し、別の使用人にそれをかき混ぜさせるような変態だった。少なくとも善良と呼べる人間でない事は確かだ。

 

 他にも錬金術師の元に入り浸ったり、鍛冶屋に変な依頼をしたりとやりたい放題。怪しいものを作るにも国民の血税が使われているというのに。やはり蛙の子は蛙という事か。

 

 最後の望みも断たれ、私にできる事は地獄の現状維持だけ。食事の量がまた増えた。

 

 

 

             ♢

 

 

 

 農具のプロトタイプが出来るのは1週間後。堆肥が出来るのは2~3か月先。畑の結果が出るのはもっと先。現状出来る事が両親に高純度のヒ素を盛り続けることしかない。と思っていたのか?

 

 農具の改良、堆肥やノーフォークの農法の普及に伴う問題の解決策を準備する必要がある。その問題とは、人手が足りすぎる事だ。

 

 現状、国民の9割が農民。それが農業改革によって最終的に2割だけが農民で大丈夫ですよ~、となる予定だ。じゃあ残りの7割は? 当然失業。おまんま喰えなくなっちゃう……。

 

 それを、"知らんよ勝手にのたれ死ね。農業革命の尊い犠牲となるZOY ドゥワハハハハ!"というのは善良な為政者として失格だろう。最高の凌辱を迎える為に私は高潔なお姫様であらねばならない。対策を考えるのは必須に決まっている。

 

 対策としてはとにかく仕事を増やしてあげる事だ。7割の国民が仕事にありつけるような一世一代の大公共事業を行い、食い扶持を確保してやる必要がある。

 

 まぁ適当に治水と道の整備でもやるか。良く氾濫する川の整備と領地の交通網を発達させて物流の改善しときゃ間違いないっしょ。そのための費用は両親がたっぷりため込んであります。

 

 足りない分は不正で私腹を肥やしている奸臣や兵士から罰金みたいな形で徴収すればOK。え、そんなことすれば不満を抱いた奴らが反逆するって? それはそれで別に良いよ、私は。凌辱されるのが目的だし。何の問題ですか? 何の問題も無いね(天下無双)

 

 他には工業製品を充実させようか。この時代、電気も無ければ蒸気機関も無い。基本的に工業は手工業。そのため人手が工業製品の生産量に直結する。そっちの働き口も増やしてみよう。

 

 あとは不毛の土地の開発、山の斜面の農地開発。あ、そうだ植林もやらせよう。この国考え無しに森林伐採してるからね。現代人の私としてはSDGsに行きたいわけですよ。実際問題土砂崩れとか起きてるらしいし。

 

 他にも火薬を量産させたいね。中世ヨーロッパで使われる火薬といえば黒色火薬。

 その原料は“硫黄”“炭”“硝酸カリウム”の三つだ。

 

 この国には火山地帯があるので硫黄はそこで採れる。炭は簡単、適当に木を燃やせば手に入る。問題は硝酸カリウムだ。火薬の原料の内60〜70%を占める癖に入手が易しくない。

 

 というのも、自然界に硝酸カリウムは珍しくないのだが水に溶けやすく、雨で地中深くに潜ってしまう事が多い。さらに植物に栄養として吸収されてしまったりで入手が難しいのだ。

 

 我が国での硝石の獲得方法は家屋の下の土から生成するのが基本。他にも洞窟の土などは雨を凌ぎつつ、コウモリの糞尿を原料に硝酸カリウムが生成されているので絶好のスポットなのだが、この国に洞窟はそれほど存在しないらしい。

 採取が難しいならどうするか? 作れば良いじゃない。

 

 という事で国のプロジェクトとして硝酸カリウム作りを頑張りましょうね~。え、作り方? 今までの説明で勘の良い人なら多少見当がつくんじゃない? 

 コウモリの糞尿。あっ、ふーん……

 

  ハイハイハイ! 使用人の! ちょっと良い便見てみたいー♪ はいイッキ! イッキ! イッキ!

 

 堆肥の時といい、何かウンコ扱ってばっかだな。

 

 みずがめ座の私には、糞尿との出会いにセンチメンタリズムを感じられずにはいられない。

 異世界チート道とは、糞尿と見つけたり!

 

 Ms.フンニョーと化した私は使用人に命じて硝酸カリウムを作らせる。

 

 まずは硝酸基を多く含む麻を用意させる。続いて硝化菌を多く含む麻畑の土を用意させる。それらを雨に濡れないように小屋の中に入れ、ションベンをぶっかけ、混ぜて山にする。山は奥まで空気が通るように時々混ぜる。その時追加の糞尿を忘れずに。

 数年もすれば硝酸カリウム作成のための土硝法に使用する土が出来る。

 

 数年……長いんだよ! なろう主人公がガキの頃から活動を始めるのも納得だねこりゃ。成人してから活動してるとあっという間に現役終わっちゃう。

 

 火薬は基本的に戦争に使われるもの。火薬を使った兵器として有名なのはやはり鉄砲だろう。火器の歴史としてはまず城壁などを壊すための大砲が発達し、それを小型化した鉄砲が登場したという流れだ。

 

 しかしこの国では火薬の性能が悪すぎて大砲すら完成していない。火薬は火をつけると大きな音を立てる薬程度の扱いだ。じゃけん私が火薬の配合を確立して爆発力を高めましょうね~。

 

 硫黄18%、炭12%、硝石70%。硝石の比率が高いほど爆発力が増す。この黒色火薬なら大砲や鉄砲に使用できる。

 

 更に工夫を一つまみ……www。火薬を作る最終工程で水とアルコールを加えてペースト状にする。それを裏ごししてチネリ米を作る要領で顆粒を作れば、顆粒黒色(コーンド)火薬の完成だ。

 

 こいつは粉末黒色(サーペンタイン)火薬よりも爆発力が高く、粒なので湿気(しけ)りにくく管理も楽。黒色火薬の中で最高の一品と言えるだろう。

 

 とはいえ、そもそもの話として黒色火薬には欠点も多い。

 ①湿気に弱い。

 ②燃焼時の煙が凄くて、遠距離武器なのに煙で前が見えなくなる。

 

 以上の欠点を克服した無煙火薬もおいおい作りたい所だ。

 

 とはいえ火薬の爆発力は基準値を満たしたので、今度は大砲や鉄砲の本体を作る。鍛冶屋さん、お~ねがい! ライフリングも付けてね! 

 え、銃身の内側に溝を掘るのは難しいって? ……頑張れ♡ 頑張れ♡

 

 完成は1か月先らしい。また待機時間が出来てしまった。話の流れ的に鉄砲の話をしたい……というわけで1か月先になりました。

 

 完成品の鉄砲にはきちんとライフリングが刻まれており、鍛冶師の苦労が(うかが)い知れる。

 

 弾丸も作ってもらった。円錐状で底の方に溝を刻んでライフリングとの嚙み合いを良くした、いわゆるミニエー弾と言う奴だ。戦国時代の弾丸は球状だったらしいけど……空気抵抗をご存じない!? 弾丸は円錐状が一番なんだよねぇ……。

 

 じゃ、そこの兵士さん。発射お願いしま~す。

 

 結果から言うと銃が爆発した。コーンド火薬の爆発に銃が耐えられなかったらしい。

 ……は? こんなんじゃ兵器になんないよ。この世界の冶金技術低すぎィ!

 

 なので製鉄技術を先に進歩させます。何か遠回りしちゃったな。ちゃんと義務教育で異世界転生した場合は製鉄から始めなさい、って教えてくれないとダメだよ? 文部科学省の怠慢だねこりゃ。

 

 製鉄で出来る鉄は技術によって様々だ。

 

 銑鉄(せんてつ):炭素含有量4%以上:硬くて脆い、使いにくい

 鋳鉄(ちゅうてつ):炭素含有量2~2.5%:銑鉄(せんてつ)より溶けやすく鋳造(ちゅうぞう)しやすい

 鋼鉄(こうてつ):炭素含有量0.1~1.7%:鋳鉄(ちゅうてつ)より頑丈、炭素含有量が少ない程柔らかくなる

 

 この国で使われているのは恐らく銑鉄(せんてつ)。一番カスい奴。そりゃ銃も爆発するわ。

 

 という訳で鋳鉄(ちゅうてつ)鋼鉄(こうてつ)作りま~す。鍛冶屋さん、現代でも製鉄に使われている転炉を作ってちょんまげ♡

 

 とはいえ温度が高すぎて鉄を作るたびに炉の素材のレンガが削れていくため、炉自体が使い捨てという燃費の悪さが欠点か。

 

 鋼鉄(こうてつ)を作るためには銑鉄(せんてつ)を材料にする必要がある。というわけで鉄鉱石から銑鉄(せんてつ)を作る技術も底上げしま~す。とりあえず、今はどんなふうに鉄をつくっているのかな~っと。工房見学。

 

~~~~~~~~~~

 

 こちらが王宮お抱え鍛冶屋の製鉄炉、(ふいご)トッピングです!

 うっひょ~~~!!

 見学時、炉に空気を送り込む(ふいご)を人力で踏んで動かしているのを見て、水車動力を使わないあまりの非効率さに大声を上げたら、鍛冶屋さんの誠意で水車の作成をサービスしてもらいました~!

 私の評価次第でこの鍛冶屋潰すことだって出来るんだぞって事で。

 

 更に見学させていただきま~~す! まずは製鉄炉から……ってコラ~~~!!

 

 これでもかってくらい低温の炉の中には不純物の多い銑鉄(せんてつ)が入っており、怒りのあまりアンビル上のヤットコ(ばさみ)を全部倒してしまいました~~!

 

 すっかり鍛冶屋側も立場を弁え、誠意の用水路作成 (水車動力用)を約束してもらったところで、お次に圧倒的存在感の炉用燃料を見る~!! 殺すぞ~~!!

 

 赤々とした炉の中には、炭自体に硫黄分など不純物が多く、完成した銑鉄(せんてつ)に硫黄分などが不純物として含まれてしまう黒炭が燃料として入っており、流石の私も純度が高く燃焼持続力も高い、備長炭が代表として挙げられる白炭を作りに森の中に入って行ってしまいました~~!

 

 ちなみに鍛冶屋さんが蒸気機関用のボイラーを作れと私に無茶振りされている様子は、ぜひサブチャンネルをご覧ください!

 

~~~~~~

 

 あ~、鉄砲を作るのが愉しみですわ。密集した歩兵と騎兵がわちゃわちゃ馬鹿やってる時代に大量の鉄砲で一方的に射殺してやりたいですわ。

 最近は諸説ありすぎて本当に鉄砲が使われていたのか怪しいとされている長篠の戦いを現実のものにしてやりたいですわ。

 中世の野蛮人共を現代人の叡智(えいち)で蹂躙する絵を想像するだけで気持ち良すぎですわ!

 

 鍛冶屋にクソ無茶振りをかまし、試作品の農具を使って王宮の庭で畑仕事と堆肥づくりをしている使用人を眺めながら私は優雅に紅茶を一口。これが異世界転生お姫様のセレブな一日。

 

「これはこれは姫様、ご機嫌麗しゅう」

 

 私が紅茶をグビグビ飲んでいる最中、ハゲデブ宰相が話しかけてきた。そういえば宰相と二人っきりになるのはこれが初めてだ。

 

 丁度良い。この機会に宰相のヘイトを稼いでおこう。

 ざ~こ、ざ~こ♡ 腹ぶよぶよ♡ 頭頂部スカスカ♡ デブ♡ ハゲ♡ などと言っておけば、いざ私を排除するという段階になってそれはもう私怨たっぷりの凌辱を行ってくれることだろう。

 

 更には今の段階では悪役姫様を演じておき、私が実権を握った時に手のひら返し。高潔姫様ムーブをかましてやれば、そのギャップに大層落胆し、凌辱の手が激しくなる事間違いなしだ。

 

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