奸臣に反逆凌辱されたい内政チート転生姫様vs奸臣のフリをする善良ハゲデブ宰相 作:RKC
~~変態に躍らされたエッセ教の末路~~
「忌々しい……! あのエリュシオンの女狐が……!」
そう呟くのはエッセ教の一番偉い人である教皇。女狐とは当然ソフィアの事だ。
「奴のせいでエッセ教の信者は減るばかり……! しかも、奴は神の存在まで否定している! その言葉になびく馬鹿共も同罪だ!」
自らも信仰する神を否定されてご立腹の様子。
「もう我慢ならん! 各国の信者たちに呼び掛けろ! あの女狐を神敵として滅ぼしてやる! 神の鉄槌を喰らわせるのだ!」
そうして、ついにソフィア討伐軍が編成される事となる。集まったのは、ソフィアの登場で信仰が揺らいでいる中でも神様信仰を崩さなかった選りすぐりの信者たち。
その数は多く、エッセ教軍は大層な集団に。とはいえその中身はハリボテ。碌に戦闘をこなした事の無い民兵がほとんどであり、更には指揮官も到底有能とは言えない者が率いている。
元々、疫病の登場でエッセ教の教えよりソフィアの科学の方が正しい事は明白だった。その状態でまだエッセ教に傾倒するような者はよっぽど信心深いか、よっぽど合理的に物を考えられない人間だろう。
ともかく数だけは大層なエッセ教軍。そのまま進軍を進めるが基本は平民たちの集まりであり、しっかりしたパトロンがいないため、武器や食料が十分でない。そのため同じくエッセ教を信仰する近くの街を訪ねた。
ごめんくださーい、武器やご飯分けて貰えますか?
疫病が収まったばっかりだ、うちも限界でね。同じエッセ教とはいえ、ご飯は分けてあげられないよ。
教皇からお墨付きを得ているウチの軍に支援しない!? 異教徒だ! 殺せ! 奪え!
こうしてエッセ教軍は街を一つ平らげた。そのまま街をつまみ食いしながら、勢いそのままにエリュシオン王国へ侵攻。
エッセ教軍は各地で見られ、その総数は20万を超えるほど。圧倒的な物量でエリュシオン王国を滅ぼすかと思われたが、当然そんなわけもない。
エリュシオンの防衛軍はおおよそ2万。数の上では10分の1だが、兵士の全ては職業兵士でありその練度は民兵たちの比ではない。
そしてソフィアが道路の整備や荷車、馬車の改良を行い故障しにくくしていたため、領土内のみとはいえ、この時代にしては異例の陸上経路の兵站を確保することに成功していた。
※中世では万単位の軍の物資を運ぶには大きな河川を利用する必要があった。そのためお互いの進軍路が予想しやすく遭遇戦が頻発していた。
そのため進軍路を限定されず、奇襲を仕掛ける事が容易だ。加えて、国を再生させただけでなく、疫病から国を救ったという事で民衆のソフィア信仰は極限にまで達していたので街からの物資調達も容易だった。
さらにはソフィアが領土内の単位統一をしたのに合わせて、軍事物資の規格統一も行われている。それによって補給物資が届いたが、槍の長さが異なり
また、エッセ教軍は20万の軍勢と記述したが、それはあくまで総数。実際には北から3万、西から2万と各地で勃発した軍が逐次投入される始末。
そんな統率の取れていない兵などいくら数が多くても正規兵に敵うはずもない。エリュシオン防衛軍はエッセ教軍を蹴散らしに蹴散らした。
そんな時、非常に信心深い王が治めるリンド国の兵がエリュシオン王国に攻め込んできた。リンド国の兵は練度が高く、数も同じく2万程。今までに蹴散らしていた雑魚とは次元が違う。
流石に苦戦するか……と思われたがそんなはずもなく。エリュシオン王国ではライフル銃が既に2000丁量産されており、リンド国との戦いに配備されたのだ。
隊列の外側に銃を持った兵士、内側に槍兵。そして槍兵が銃兵の隙間から槍を突き出すことで接近してきた敵にも対応できる陣形を用いた。
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銃銃銃銃銃銃銃銃銃銃
銃 槍槍槍槍槍槍 銃
銃銃銃銃銃銃銃銃銃銃
銃の殺傷距離は1,000m。それほど遠くだと精度は滅茶苦茶だが、数千人が密集している軍団相手に精度もクソも無い。エリュシオン防衛軍はリンド軍を遠距離から一方的に射殺した。
また、今までは装填時に火薬の量をはかって銃身に詰めていたが、適量の火薬を紙で包むことで計量の手間を省き、装填速度を上げている。
リンド軍からすれば、地獄だっただろう。遠距離から訳も分からず仲間が殺され、どうやらあの変な武器を持った集団のせいだと当たりを付ける間に再射撃される。
銃弾の雨と装填の隙を埋めるように突撃してくる騎馬兵やら軽歩兵やら弓矢やらをかいぐくり、何とか銃兵に近付いても最後に槍の壁が待っているのだ。
結局、この戦いはエリュシオン防衛軍の圧勝だった。そしてこれがエリュシオン防衛軍にとって最後の戦いとなった。20万vs2万の戦いは2万に軍配が上がったのだ。
“1人で10人ぐらい倒せばいけるか……?“の脳筋理論を達成してしまったのである。
エリュシオン王国の人たちがワイワイと喜ぶ一方でエッセ教の方はどうだろうか。
エッセ教軍は這う這うの体で敗走した上に、同じエッセ教の人間から略奪を行ったとの事で、教皇から破門を言い渡された。
一応軍の皆さんは熱心な教徒だったため、この破門は随分と堪えたようだ。堪えすぎて、暴走した。この世で一番怖いのは自暴自棄になった人間だろう。
暴徒と化したエッセ教軍はその気力をエリュシオン討伐に向ければ良いのに、という程の勢いで教皇庁のある聖都へと攻め込んだ。敗走して数が減っているとはいえ、数万の兵に侵攻されて聖都はあっという間に滅んだ。
聖都がペンペン草も生えないほど荒廃する一方、エリュシオンの勝利のために二桁回数は首を絞められ、アイデアを絞り出されたソフィアは笑顔だったという。
エッセ教が勢力を落としたことにより、これまでの神様信仰は息をひそめる事となる。代わりに台頭した、人の知性で困難に立ち向かおうとする科学信仰が大陸では広く信じられるようになった。
そして後年では学者からも助言を求めて首を絞められるようになったソフィアが、パスカルの法則やら電磁気学の基本法則やらを吐き出していたため、エリュシオンは科学信仰の中心となり、また他国の追随を許さなかったという。
ソフィアを対象に宰相やルーカスやクレアとの個別エピソードを書こうかなとも思いましたが、面白いのが思い浮かばなかったためナシとさせていただきます。すまんかった。
次はこのまま数百年後のエリュシオンの様子となります。