奸臣に反逆凌辱されたい内政チート転生姫様vs奸臣のフリをする善良ハゲデブ宰相   作:RKC

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4話 姫様改め女王様

 私が鍛冶屋に無茶振りを続けて数年が経った。農具、ノーフォーク農法や堆肥の有用性に加え、製鉄技術の醸成、銃のプロトタイプの完成、蒸気機関の試験運用など着々と成果を上げている。さらには私が盛り続けた脱硫ヒ素のおかげで両親はしょぼしょぼと弱り続けていた。

 

「ごほっ、ごほっ!」

 

「父様! 母様! 大丈夫ですか!?」

 

 咳き込む両親を心配する(大嘘)。さすがに良い歳になったし“おとーさま、おかーさま”呼びはしていない。

 

「ソフィアか……私はもう駄目かもしれんな」

 

「私もよ、長くは生きられないでしょうね……」

 

 ヒ素を長期間の間に少量ずつ体に取り込み続けると、皮膚組織の変化やガンの発生などの悪影響が現れる。現に王と王妃の皮膚はやや黒ずんでおり、がん患者特有の症状も見られる。

 王は便秘と下痢の繰り返し、血便も出ているようだし腹痛もある。おそらく大腸がん。

 王妃は喉の腫れ、食事の通りにくさ息苦しさ、声の掠れなどの症状。おそらく咽頭がん。

 

 私も前世はがんで死んだからその苦しみ、分かりますよぉ……。それはそうと死ね。

 

「弱気にならないでください! 沢山食べればきっと治りますから!」

 

 そう言いながら致死量のヒ素が入った料理を運ぶ私。両親はかなり弱っているし、今なら致死量のヒ素で毒殺しても、周りは病気で死んだと思ってくれるだろう。

 病気で食事も喉を通らない二人のために野菜と肉を形が無くなるまで煮込んだ栄養たっぷりスープをわざわざ用意してやったんだ。せいぜい最後の晩餐を楽しむと良い。

 

「そうだな、せっかくソフィアが運んできてくれた料理だ。いただこう」

 

「そうね」

 

 二人が料理に口を付ける。

 ダメだ……まだ笑うな……こらえるんだ……。

 

「何か痛みが引いていく気がする。ソフィアが運んできてくれた料理のおかげかもな」

 

 そんなわけないだろ。食前の薬にケシの実から生成される麻薬――いわゆるアヘンをたっぷり混ぜてやったからに決まってる。せめて痛みを知らずに安らかに死ぬが良い……北斗有情阿片拳(ほくとうじょうあへんけん)

 

「あぁ懐かしや。父上、私に会いに来てくれたのですね……」

 

「そうよ、私は美しいの……お茶会の中心になって……」

 

 2人にアヘンの副作用で幻覚作用が出始めた。様子のおかしい二人に王宮医師たちが集まって来る。

 それと同時にヒ素の効果が表れ始める。

 

「うぐ、ゲホッ、ゲホッ! ガハッ!!」

 

 2人共血を吐きながらベッドの上でのたうち回る。しかし、その表情はアヘンのおかげか恍惚としている。医師があたふたとしているが、治療は不可能だろう。

 

 せめて二人の最後ぐらい看取ってやるか。ベッドに駆け寄り父親の手を……いや、なんか肌の色が黒ずんでてキモ、触りたくねぇわ。代わりにシーツを掴む。そして涙を流しながら両親の危篤に動揺しているフリをする。

 

 昔から演技は得意なんだよね。とはいえこうやって定期的に演技をしていないと腕が鈍る。凌辱のために両親亡き後、私の性根とは真反対の高潔なお姫様を演じなければいけない。ここらへんで勘を取り戻す必要があった。

 

 父さん! 母さん! 死ぬな、バカヤローッ!!

 

 迫真の演技の後、両親は完全に息を引き取った。計画通り。これで王家の血を引くのは私だけ。

 これからは私が女王様ね。両親の葬儀をさっさと済ませ、実権にぎにぎ。

 

 我が名はエリュシオン・クロノス・ソフィア。エリュシオン王国の女王だ。イクゾー!

 

 大々的に私が女王となる事を周知させた。

 はい、じゃあここから今までの悪役令嬢ムーブから一気に手のひら返してスーパー善政タイム! 反逆凌辱してもらうために宰相のヘイトを貯めましょうね。

 

 賄賂、癒着、ぜってぇ許さねぇからな~? まずは奸臣を炙りだすための宣言。“私に賄賂持ってきた奴から重用してやんよ”、みたいな事を匂わせる発言をする。ちなみにこの国は貴族と王様の封建主義で、各地の貴族も王宮に集めてその前で発言した。悪徳貴族も一気にお掃除よ~。

 

 私の発言を真に受けて賄賂を送ってきた奴。賄賂はきちんと受け取って私腹を肥やしつつ、顔をしっかり覚えておく。当然、逮捕する方の意味で顔を覚えるんだけどな!

 

 お、宰相もしっかり賄賂を渡しに来たねぇ。越後屋、そちも悪よのぉ……。

 

 はい、じゃああらかた賄賂を渡され終わったので奸臣と悪徳貴族を摘発しま~す! あ、宰相はもちろんそのままね。というか宰相を摘発しちゃうと政治が回らなくなっちゃう。奸臣とはいえ、仕事は出来るからね彼。他にも摘発すると都合の悪い奴らはそのまま残す。

 

 しかし、無能な奸臣、貴族共は追放。全員フヨウだ! 

 

 何? こんな横暴許されると思っているのかだって? 王国法にも書いてあるよ、賄賂を渡す奴は逮捕。例え貴族でもその地位を追放されるって。

 

 え、だったら女王様も賄賂を受け取ったから同罪だって? あっあっ、それは……記憶にございませんなぁ~! 私が賄賂を受け取った証拠ある? 無いよねぇ?

 

 完璧な言い逃れだぁ……。この状況も想定していたとはいえ、やっぱり自分の悪事を指摘されるとちょっとドキッとしちゃうね。

 

 一方でこっちには君の不正の証拠がたっぷりあるよぉ? 調べたら出てくる出てくる。不正するならもっと上手く隠さないと。

 

 ちなみに宰相の身辺も一応調べさせたけど、埃すら出てこなかった。

 やるね~。悪いことやるならそれぐらい徹底しなきゃ。

 

 え? 言いがかりだ、戦争を起こすだって? 別に良いよ? まとめて戦争を起こされても王家の戦力で勝てるぐらいの雑魚貴族と私兵を持たない王宮内の奸臣しか摘発してないし。

 

 他に反論は? ……無いよねぇ。はい雑魚ダウン! 罪に応じて追放or処刑! 処刑した貴族の領地は王家直轄の土地になりまーす! 美味しぃ~!!

 

 ここで肝なのが処刑した奴らの親族は殺さずに追放する事。憎しみの種なんかなんぼバラまいても良いですからね。

 あ、でも反逆されて凌辱されるのが目的だから女は殺して良かったかも。まぁ良いか、私はノンケだけどLGBTにも配慮できる文化的な現代人だからね。

 

 処刑した貴族から奪った領地を、私に賄賂を渡さなかった真面目な臣下たちに治めさせる。追放した王宮内の奸臣たちはいてもいなくても変わらないような給料泥棒なのでほとんど問題無し。

 

 宰相は奸臣仲間を一気に排除されて、内心穏やかではないだろう。そのまま私への憎しみを大事に育み、満足のいく凌辱を行ってほしいものだ。

 

 悪徳貴族、奸臣を一斉に排除し、“これからは善政を敷きますよ”と宣言する。

 

「これからは賄賂、癒着など不正は一切許さん! 重税で私腹を肥やすなどももってのほかだ! 政治とは民のためにある! 国民を苦しめるような政治を行う奴が居たら私が首をたたっ切ってやる!!」

 

 見せしめに奸臣の一人を私自らが公開処刑。本物の剣、初めて持ったけど重いな。ふらふらとよろめきながら奸臣の首めがけて剣を振り下ろす。

 

 しかし、奸臣の首は綺麗に落ちない。骨に阻まれて剣が止まってしまっている。

 

 首を切るのも中々難しいね。即死させるのは無理だったので何度も剣を振り下ろして息の根を止めるしかない。

 

 ガトチュ、ゼロスタイル! ヒテンミツルギスタイル、クズリュウセン!

 

 やべ、全然死なない。私の力が弱すぎるせいで致命傷になっていないのか。というか人間の肉を剣で刺す感触が気持ち悪くてしょうがない。もう面倒臭いので油をぶっかけて火をつけ、焼き殺すことにする。

 

 シークレットソードツー! グレンカイナ!

 

 私に串刺しにされた挙句燃やされる奸臣。焼死は最も苦しいと言われる死に方の一つ。奸臣も苦悶の表情を浮かべてのたうち回っている。

 流石に気の毒に思えて来た。私の力が無いばかりに……ごめんかいな。

 

 あっ、というか肉が燃える煙が目に入って涙がでる。目ぇ痛い痛い。

 しかも剣重い。腕とかぶるっぶるだよこれ。

 

 私のパフォーマンスを見た悪徳貴族や奸臣たちは息を飲んでいた。ちょっと激しすぎたかな。

 代わりに国民たちは大盛り上がり。悪い奴が公開処刑されるという娯楽に加えて、“これからは民のために政治をします”、と私の様な空前絶後、超絶怒涛の美少女女王が宣言したのだからそれもしょうがないだろう。

 

 同じように捕まえた悪徳貴族の処刑をその貴族が治めていた土地で行う。領民からすれば自分達を苦しめていた人間が処刑されるのはさぞかし痛快な事だろう。さらには“高潔で聡明な新しい女王様が良い政治をしますよ~”、と宣伝すればその後の統治も楽になるはず。

 

 さぁ~、ここからは女王のトップダウン政治でジャンジャンバリバリ改革していきますか!

 宰相さん! 財務大臣さん! 細部は任せましたよ!

 

 まずは農業改革。王家が蓄えていた金でモールドボード・プラウ、八反ずり、田打車、千歯扱き、唐箕(とうみ)を量産し、王家直轄地の農民に配る。加えて両親が病気で寝込んでいた隙をついてこっそり量産していた堆肥も配布。

 加えて現在休閑地の所でクローバーなどのマメ科の植物を育てさせ、ノーフォーク農法を布教。

 

 農具は目に見えて効率が良いため受け入れられたが、堆肥や新しい農法に関して農民たちは半信半疑だった。まぁ農民からすれば失敗して不作になる恐れがあるからそれも仕方ないか。

 こういう時はリバースカードオープン! 「王家の強権」! 新しい施策をごり押し! 農民の暮らしにダイレクトアタック!

 

 実験で効果は確かめているし、万が一不作になったら援助してやるから安心しロッテ。

 

 次は工業改革よ~。製鉄技術をお抱えの鍛冶屋以外にも布教。これは案外すんなりいった。お抱えの鍛冶屋が鍛冶の世界では結構な有名人で、その人のお墨付きということで簡単に受け入れられていった。

 

 後は火薬作りのお仕事を作ってと。とはいえ、ひどい悪臭に悩まされる仕事なので税の免除ぐらいの特別扱いをしないと誰もやりたがらない。

 いますぐに沢山の火薬を作る必要はないが、農業改革で作業効率が上がれば暇になる農民が多く出てくる。その受け皿の1つとして一応仕事だけは作っておく。

 

 後は時間が経つのを待つのみ。暇になった農民が発生すれば、その都度仕事を用意してあげて、失職者が出来るだけ出ないように調整する。

 

 私はやらないよ、そんな面倒くさい事。文官たち頑張って~♡ 仕事のアイデアはいくらでも出すからね。新しい文官の雇用もするから。まぁその雇用も文官の仕事だけど。

 

 おや、摘発した貴族の土地に配置した文官たちから連絡がきたぞ。

 なになに? 元いた貴族の政治がクソゴミ過ぎたせいで領地を健全に戻すにはお金が足りない? 

 

 しょうがねぇなぁ、摘発した貴族から受け取っていた賄賂をそっくりそのまま融資してやるよ。文官たち大喜び! 私にいっぱい感謝してる。マッチポンプが気持ち良いねぇ。

 

 まだまだ改革の結果は出ていないが、悪徳貴族や奸臣を処刑したのが印象深いのか、今の所周りの評価は“不正を許さない高潔なお姫様”という感じ。

 

 狙い通りではあるのだが、自分の行いを振り返ると公開処刑とか過激な事やってるし、それで良いのか異世界の民よ。

 

 公開処刑を行った血まみれの女王を“高潔”と評するとは、とんだ倫理観の持ち主じゃのう、異世界人民。時代が時代……それも仕方ねぇか……。中世の民は所詮、今の時代で言う野蛮人じゃけぇ!

 

 私が処分出来なかった奸臣や悪徳大貴族は順調に私を敵視しているようだ。宰相のみならず、反逆凌辱の種をせっせと撒き続けるのが肝ね。

 今の所本命の宰相も甘い汁を吸えなくなって私を敵視している事だろう。こちらからも完全に突き放し、駒としてこき使ってやれば更に敵視してくれるはず。

 

 遠く霞んでいた凌辱の背中がようやく見えてきた。これからもまだまだ頑張るぞい!

 




4話にて主人公が姫様から女王様になってしまい、タイトル詐欺となってしまう事をここに深くお詫び申し上げます。

追記
作中でアヘンを用いる描写がありますが、現実の物と効能、使用方法に差異があります。
(有識者の方から指摘をいただき、気づきました)

皆さんはこの作品に書かれていることが正しいとは思わずに、きちんと裏を取るようにしようね!

作者はニトログリセリンがある時急に世界中で安定化したシンクロニシティとか薬物を克服した状態を指すマックシングとかを高校生ぐらいまで信じていたのでそうはならないようにしようね!
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