奸臣に反逆凌辱されたい内政チート転生姫様vs奸臣のフリをする善良ハゲデブ宰相   作:RKC

6 / 28
なんか、昨日から今日にかけてとんでもない閲覧数の伸び方をしていてびっくりしました。

みなさんのおかげで日間ランキング3位に入る事が出来て大変恐縮です。
また、誤字報告してくださっている方、大変ありがとうございます。

悩みとしては、面白そうな感想に返信している間に新着感想が届いて無限感想返信編が始まる事ですかね。(贅沢)

読者が増えると私を知識量で理解らせてくれる人も多くなるはずなので期待しています。
作者を感想欄で理解らせられるのはこの作品だけ! みんなも奮ってコメントしよう!


6話 宰相→ちょっと女王様

 女王陛下が悪徳貴族や奸臣を検挙した後。陛下は奸臣の公開処刑を自ら行うと宣言し、今日実行しようとしていた。

 

 町中に処刑台が立てられ、その上には陛下と拘束された奸臣がいる。処刑台の周りには公開処刑があると聞きつけた市井(しせい)の者が集まっていた。私や他の文官・武官・都合の付いた貴族たちは処刑台のすぐ近く、10mも離れていない所に座らされ、処刑の様子を見学させられている。

 

 処刑を実行する時刻ちょうど、陛下が処刑台の上で声をあげた。

 

「私はこの国の女王、エリュシオン・クロノス・ソフィア! 今、私の目の前で縛られているこの者は罪人だ!」

 

 陛下の透き通るような声が辺りに響き渡る。それと同時に野次馬達が私語を止める。

 

「あろうことかこのクズは私が治める土地で賄賂・横領、その他諸々の不正を行い、民の信頼を裏切った! よって王国法に従い処刑を行う!」

 

 処刑。貴族や文官・武官など身分の高い者は、通常ギロチンを用いて処刑される。しかし、今処刑台の上にギロチンはない。人を殺せそうな道具は姫様が手にしている剣のみ。

 

「よく見ておけ! これが不正をしたものの末路だ!」

 

 陛下は大きく剣を振りかぶり、罪人の首目掛けて振り下ろす。少女の力とはいえ、重力の力を借りて刃が罪人のうなじに食い込んだ。

 飛び散る血液、罪人の叫び。普段は見れない刺激的な光景に野次馬達は大いに盛り上がる。

 

 しかし、処刑の一撃は罪人の首を落とすほど力強く無い。陛下は骨で止まった剣をもう一度振り上げ、首に振り下ろす。

 

「罪人が!」

 

 やはり、二撃目も罪人の命を奪うには勢いが足りない。女王様は剣の持ち方を変えて、罪人の背中に剣を突き刺した。

 

「お前が! お前のような奴が!」

 

 陛下は罪人の背中に何度も何度も剣を突き立てる。しかし、背中の骨に阻まれて致命傷には至っていない。

 血が飛び散るたびに野次馬は声を上げて活気づくが、反対に陛下の表情が強張っていく。よく見れば腕も震えていた。

 

 このままでは殺せないと思ったのか、女王陛下は処刑台に用意していた油壷を手に取り、罪人に油をかける。そして処刑台を彩る松明を掴んで、罪人の方へ放り投げた。

 

 拘束台ごと燃え上がる罪人。火の手が立ち上るのと比例する様に野次馬のボルテージがあがる。

 そのうち、拘束縄が焼き切れたのか罪人が処刑台の上でのたうち回る。まるで松明に飛び込んだ蛾が燃えながら辺りを飛び回っているかのようだ。

 

 赤く燃ゆる罪人とは対照的に、陛下の顔は青く染まっている。陛下も覚悟しておられたとは思うが、やはり人が死にゆく瞬間というのは少女の目にはあまりに酷だ。

 

 少しして、罪人が動かなくなった。公開処刑という娯楽の余韻に浸る民衆の前で、女王陛下が剣を(かか)げる。

 

 ただ、剣を(かか)げる手は気の毒なぐらいに震えていた。加えて目から涙も滲んでいる。野次馬からは見えないだろうが、近くにいる私にはハッキリと見えた。

 それでも声を震わせること無く陛下は宣言する。

 

「これからは賄賂、横領など不正は一切許さん! 重税で私腹を肥やすなどもってのほかだ! 政治とは民のためにある! 国民を苦しめるような政治を行う奴が居たら私がこうしてたたっ切ってやる!!」

 

 女王陛下の宣言に野次馬達は沸き立った。今まで自分達を苦しめていた悪者が殺され、新たな女王陛下は自分たちのための政治を行うと宣言したのだから。

 

 一方で公開処刑を見せつけられていた私達や他の文官・武官の反応は二種類に分かれる。

 不正をしていたが証拠が無かったり、政治の維持に必要だからと言う理由で検挙されていない者は、陛下の残酷な処刑を目の当たりにして身震いをしていた。下手をすれば明日は我が身と言う事になりかねないのだから。

 

 一方で腐り切った王宮の中でも不正に手を染めなかった一部の真面目な者は、期待に胸を膨らませていた。これから陛下の様な高潔白眉な人の元で働けるのだから。

 

 陛下はこの公開処刑で残る奸臣への牽制、加えて真面目な者と民衆の好感度を稼いだ。陛下らしく効率的な施策。

 

 女王陛下の中で、この公開処刑はやるべきことだったのだろう。だから自らの手で罪人を殺した。腕を震わせ、その瞳に涙を浮かべながらも。

 

 国のために自らを殺し、逃げ出したいような状況でも心を(ふる)わせてその勤めを全うしたソフィア様は正しく女王だ。

 

 しかし、そのお心はいかがなものだろう。よく考えれば陛下は矛盾の多いお方だ。

 

 殺したくないのに殺した。

 誰よりも不正を嫌っているのに賄賂を受け取らざるを得なかった。

 憎むべき奸臣に警戒されないため、実権を握るまでは自らも暴君であるかのように擬態した。

 

 ……ここまでくればあの事件の真相は明らか。きっと、陛下は自らの両親をその手で毒殺したのだろう。

 ただ、陛下は両親の事を愛していた。私の前では高圧的に振舞っていたが、両親の前では幼く振舞っていたのも甘えていたからなのだろう。

 

 しかし、何の因果か両親は国を(むしば)暴君(きせいちゅう)。国の事を思うならば、一刻も早く殺されねばならない。陛下はそのための手段も持っていた。

 

 結局、ソフィア様は親を愛する娘ではなく、国を愛する女王陛下になった。その手を汚し、心を痛めながら。

 

 罪人の側に立つ女王様を見れば、血がしたたる剣を持ったまま呆然としている。剣を持つ手は未だに震えており、瞳に浮かんだ涙を反対の手で必死に拭いていた。

 

 きっと、あれが陛下の真意なのだろう。高潔で聡明、演技も上手いが、本質は感情的で素直。罪人とはいえ、殺してしまった事に深く心を痛めておられる。

 

 その(ひずみ)は女王陛下の非合理的な行動からも痛いほど伝わって来る。罪人の親族は禍根を残さないため全員処刑にすることが通例だが、女王陛下は追放にとどめられた。親族には責が無いと分かっておられたからこそ、その命を奪う事を躊躇われたのだろう。

 

 自らの親を殺しておきながら、他人の家族の心配はする。滅茶苦茶だ。もう陛下は壊れる寸前にいるのかもしれない。

 

 その震える手を取り、陛下を慰める事が出来ればどれほど良かったか。今の私にそれは出来ない。奸臣と認識されている私が陛下の元に寄れば、その心をかき乱すだけ。

 

「大丈夫でしょうか、女王陛下」

 

 血が出るほど下唇を噛みしめていると、陛下に駆け寄る者が1人。出で立ちから推測するに、恐らく文官だが名前は分からない。私が覚えていないという事は、新人の文官だろうか。

 

 本来なら位の低い新人が女王陛下に声をかけるなど許されない事だが、他の者は女王陛下の処刑を前に驚くばかりでそれを注意する者は誰もいなかった。陛下自身も何も言わない。

 

「よろしければこちらをお使いください」

 

「……助かる」

 

 その文官はハンカチを陛下に渡し、代わりに陛下が握っている剣を受け取った。その際、陛下の手に触れる。これも下級の役人には許されない行為だが、やはり(とが)める者はいない。

 

「こんなに震えておられる。罪人とはいえ高貴な手を血に染める行為……さぞかし怖かったことでしょう」

 

 文官は言葉だけならず、陛下の手を包み込んで慰める。すると先ほどまで震えていた陛下の手が文官の手を支えにして震えが止まる。

 

 文官の容姿は優れている。切れ長の瞳、高い鼻、ふさふさで艶のある髪。女王陛下ほど端正とは言い難いが、美男が(ひざま)づいて美少女の手を取る姿は絵になった。

 

「離せ」

 

 陛下は手を振って文官の手を払う。すると文官は大きく頭を下げる。

 

「申し訳ありません。女王様の手を勝手に取るという不敬。どのような罰でも受ける所存でございます。

 女王陛下のように天上の女神よりも美しく、エリュシオンの頭脳と呼ばれていたゲッセよりも聡明で、あのエッセ教の聖女エンリカよりも高潔な方のお役に立てて処罰されるというのであれば私としても本望でございます」

 

 その言葉を聞いた陛下はふっと笑い、口を開く。

 

「別にこの程度の事で不敬罪にはならない。国を舐めた事をしない限りはな」

 

「肝に銘じておきます」

 

 そのまま陛下は馬車に乗りこみ、去ってしまった。陛下の去り際の表情はとても柔らかく、笑ってさえいた。

 女王陛下を慰めるのは私のようなハゲデブでなくとも良い。容姿にも優れた次代の者に託せば良いのだ。

 

 とはいえ一抹の悲しさを覚えながら、先ほど陛下を慰めていた者の調査を行おうと決める。

 皆が処刑に心を奪われる中、真っ先に陛下の元に駆け寄ったのは純粋に陛下の心配をしていたからなのか、それとも弱った者に憑りつく悪魔だからなのか。

 

 

 

           ♢

 

 

 

 調査の結果、姫様を慰めた文官――ルーカスはクロだった。奴は出自を辿れば西方の悪徳大貴族クラウディン家の身内らしい。表向きは(めかけ)との子供という事で、卑しい出自を理由に勘当された事になっている。

 

 しかし、ルーカスは未だにクラウディン家と連絡を取り合っている。恐らく女王陛下が戴冠なされた際に、内側から取り入るため送られた刺客なのだろう。

 

 女性受けする甘いマスクといい、歯の浮くような台詞を平気で吐ける性格といい逆ハニートラップをしかけるのは適切な人材だ。顔はともかく、陛下は誉め言葉に弱い。事実、処刑台で慰められて以降、陛下はルーカスを重宝していた。

 

 陛下は処刑を行ってからは主に農業改革に邁進。内容は農具の生産・配布や堆肥の配布と作り方の布教、新しい農法の布教など様々。人口が国力として最も大事な事を分かっておられるのだろう。やはり聡明なお方だ。

 

 農具や堆肥、新しい農法、いずれも王宮の庭の実験畑ですでに結果を出している。あの狭い畑でも生産効率・生産量1.5~2倍を叩き出していた。これが国中全土に広まればいったいどれほど国力が増えるのだろうか。

 

 農民の割合を今の半分にするという幼い陛下の発言はハッタリでもホラでも無かった。末恐ろしいまでの先見と才能。あのようなお方に忠実な臣下としてお仕えできない事が心の底から悔やまれる。

 

 そんな農業改革の中、ルーカスは新人にも関わらずある程度の実務を任されていた。女王陛下に重用されている証だ。とはいっても、まずは小さい事から任されているようでルーカスもそれを着々とこなしている。

 

 今は女王様の信用を得ようというのだろう。処刑直後で不正に対して気が立っているだろうし、はした金を横領しても旨みが少ないためだ。

 

 私も宰相として陛下に監視を付けられ、こき使われた。私の人脈やノウハウが無いとこれだけ大きな農業改革は行えないため、本当に仕方なくだろう。一度陛下から勅命を賜ったが、その時の陛下が私を見る顔は憎しみに染まっていた。

 

 それでも陛下の改革の一端をお手伝いできるのは望外の喜びだ。憎まれていても良い、嫌われていても良い。ただ、純粋に国を良くする手伝いができる。長い間悪事に手を染めざるを得なかった私にとって、それが何より嬉しかった。

 

 それゆえに陛下の事が心配だ。私の様な枯れかけた老人でさえ自分の心と矛盾する行為には苦痛を伴うのに、多感な時期の陛下にとってはいったいどれほどの……。

 

 だからこそ私はルーカスを許せなかった。そんな陛下の弱さに取り入り、利用しようとする奴が。ただ、私がルーカスを排除するべきだと言っても陛下は聞く耳を持たないだろう。

 今や、奴と私の信用差は立場の差と真逆。天と地ほどに広がっている。やはり、私が首を切られるまで裏から陛下を守る他ない。

 

 

 

            ♢

 

 

 

 最近、ルー……なんだっけ。ルーファスだっけ? そのイケメンで善良な文官がグイグイくる。イケメンってのは均整の取れた顔立ちという事。しかし裏を返せば特徴が無く、覚えづらいという事で。名前と顔がなんか一致しないんだよね。

 

 とにかくそのルーファスとのファーストコンタクトは処刑の後だった。剣が重すぎて手を震わせながら、人が燃えた煙で涙を流す私にルーファスは駆け寄ってきて、歯の浮くような言葉を投げかけてくる。

 

 思わず笑っちゃったね。流石にあからさますぎるでしょ、と。

 

 けど面白いし、善良なので重用している。やはり高潔な女王様の隣に居るのはイケメンで善良な奴に限るよね。加えて適当な仕事を任せてみたが政治もある程度出来るようだ。機を見て出世させてやっても良いかもしれない。

 

 おっ、そうだ。宰相と並び立つ地位、丞相(じょうしょう)とかを作ってそれにしてやろう。流石に新人に宰相と同じ実権を与えるわけには行かないから肩書だけだが。

 

 これで宰相は私に対してさらにヘイトを高めるだろうな。ぽっと出の新人が肩書だけは自分と同じになる、面白く思うはずもない。凌辱の種に水やりを忘れないのが大事だ。

 

 加えて新人の好待遇に怒りを覚えて他の役人が私に反意を持つ可能性もある。役人たち、その時は宰相を頼るんだぞ。彼に従っておけばちゃんと私を凌辱できるから。まぁ、使用済みになるのは我慢してもらうしかないけど。

 

 などと考えていると、例のルーファスとやらが私に陳述しに来た。ついでに定期報告で宰相も来た。面白そうなので一緒に入れさせる。ハゲデブ宰相はイケメンのルーファス君と自分を比べて自己嫌悪に陥り、そのやりきれない怒りを私に向けて欲しい。

 

「御機嫌麗しゅう、女王陛下。日に日にお美しくなられているようで何よりです」

 

 でた、この歯の浮くような台詞。宰相みたいに媚びが見え透いていると耐えられるが、ルーファスは本当にそう思ってそうな善良さがある。その真面目さが何か面白いんだよね。

 

 口元を緩めながらルーファスの陳述を聞く。どうやらスラムの民に食糧援助をしようという事らしい。

 善良だねぇ。高潔な女王様としては吞んでやっても良い提案。しかし、甘いぞルーファス! 

 

 食糧事情を改善し、経済が豊かになればスラムは自然と減少する。小手先の援助で助かるのは一部の者だけ。改革に力を入れる方が結果的にスラムの住民を助ける事に繋がる。善良さだけで人は救えんのだ。

 腹を空かせている子供には魚を与えるのではなく魚の釣り方をおしえなさい、という言葉があるようにな。

 

 この理屈分かる? 大丈夫? 理解できる?

 

「承りました。今の改革に力を入れたいと思います」

 

 私が諭すとルーファスは分かってくれた。一安心、一安心。

 それにしても素直だねぇ。私が凌辱された暁には盛大に脳を破壊されそうだなこの人。私みたいなゴミに関わったのが不幸だったね。

 

 一方で宰相には人間の糞尿の流通を任せる。人糞は現在価値が無いとされているが、堆肥の作成や火薬の生成を私が発明したため、これからは価値が付く。新たな産業を任せようというのだ、宰相はその利権にあやかりたいはず。

 

 でもざんね~ん! 監視をしっかりつけまーす! 目の前に美味しい利権があるのに吸えないってどんな気持ち? ねぇどんな気持ち?

 

 宰相のヘイトを高める事に余念のない私。そこにルーファスが意見してきた。

 

「宰相殿の監視、私に任せていただけないでしょうか」

 

 ルーファスは真面目で不正を許すタイプじゃないし、適任なんじゃない? 頑張ってね。

 

「はっ! このルーカス、必ずや!」

 

 ……君、ルーファスじゃなくてルーカスなんだ。

 あぶねー、間違って覚えてた。“お前”って呼んでて正解だったわ。

 

「うむ、期待しているぞルーカス」

 

 間違っていた事を悟られないように、何となく名前を呼んでおく。

 あー、ハゲデブで特徴的な宰相の顔と名前は簡単に一致するんだけどな。宰相の名前はノッパラ。頭頂部ノッパラでとても覚えやすい。

 

「はっ! お任せください!」

 

 うん、やる気十分だね。ルーカス君頑張ってちょーだい。

 ついでにルーカス君を丞相の立場にすることをこの場で宣言。ノッパラ宰相大慌てで腹筋にて(そうろう)。この調子で凌辱に向けて今日も一日頑張るぞい!

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。