フッカツウケイレテモラエテ、カンシャ、カンシャ…
ちょっと落ち着いた雰囲気の2話目です
――囂々と燃え滾る熱の奔流に晒されて、視界の全てが炎に塗れている。
イグァーチ・ジャガンナートの信仰心はとっくに廃れていたが、『こういうモノ』が相手となるならば教会らは悪魔とどうしたって対峙しようとは選択しないだろう。
歴史の積み重ねから襲い掛かってくる、悪意と礼賛の末路が悪魔であり魔王である。
大罪の一角、倦怠と憂鬱と堕落を内包する【怠惰】を冠する【魔王・ベリアル】。
それは、燃え盛る火炎の蠆竜に跨った、金糸の髪を持つ美しいふたりの少女としての姿を象っていた。
『『変わらないね、姉さま』』
『『変わらないわ、兄さま』』
『『面白いね、兄さま』』
『『面白いわね、姉さま』』
んぉん?
互いに重なる声音が響く様を見つつ、彼は普通に疑問符を浮かべた。
どちらも少女にしか見えないのですが、どちらかが男子でありましやがりますか???
心の声が聴こえたのか、少女らは互いに肩を並べて、頭の横をコツンと触れ合いながら哂って言った。
『『疑問に応えてあげるよ人間』』
『『応えてあげるわ、仔羊』』
『『『『世の中にはおしまいになっちゃったトランスセクシャルというジャンルがある』』』』
やめて聴きたくない!!!
■
「事件に巻き込まれた少年が瀕死を負って復活、反動で未知の能力に目覚めファンタジー学園戦記が始まる。
――そんな
「でもそうはならなかった。ならなかったんだよイッセー」
「ロアナプラ構文ヤメロ」
イヤな記憶を思い出したので雷は
思い起こせば例の双子とは似ても似つかなかったのだが、魔王さまはその辺りも狙って口遊んでいた節もある。
なので未だに駄々を捏ねるイッセーへプレゼントふぉーゆー。
現実は思った以上に何も起こらない、ってことをなぁ!
「その言い分の流れだと流れ弾で街中で死体晒してそうじゃん」
「なってりゃまだdramaticだろ。レヴィさんも来日してガキども相手に言っていただろうが。銃で死ぬときゃ盛り上がりもねぇってな」
「畳みかける様に苦い漫画を思い出させないでぇ…」
泣き言を漏らすそんな彼の手元には『転生したらモツを抜かれた~返せよ、たったひとつの腎臓なんだ…!~』。
恐らくは錬金術の漫画だろう、副題構文からして。
夢のある話だネ!
「…なんで貴方まで居るのかしら、此処に」
「そうだぞ、もともと誘われてたのは俺なんだから、入室許可くらい取れよな。まあ俺はリアス先パイ直々のスカウトで恋人でもありますしぃぃぃ!!!」
「貴方に言ってるのよ兵藤くん」
「あれぇ!? 距離! 距離感遠いです先パイ! あの熱烈でぷるるんな歓迎会は幻想ですか!?」
「魔女会でイケニエ筆頭に成り欠けてた仔羊がなんか言ってら」
「あと貴方に『せんぱい』と呼ばれる度に貞操の危機を感じるのよね」
それは向くたびにイッセーの視線がリアスのたわわな果実に釘付けだからである。
何もおかしな部分は無かった。
生徒会長よりの沙汰であるが、いつの間にかびふぉーあふたーが済んでしまった旧校舎の一室に、リアスを早急に禁足とする旨が告げられていた。
現代語では何故か禁足=立ち入り禁止みたいな誤訳が蔓延っているが、本来の意味合いは退出禁止。
その辺りは国会なんかでも未だに通じていると、ある記者は謂う。
要するに、神社なんかで祀られてる神様は『其処から動くな』とされているモノなのだ。
話が逸れたが、色々と飾り付けて劇的リフォームやっちまった旧校舎を直すか使い直すかはしろ、という沙汰である。
とはいえ中々に染みついたペイントを剥がすのも手間であり、ちょっと一朝一夕では終わりそうも無し。
そこまで見越した倭文会長は、研究会と称して彼女を軟禁する場所を作ったのである。
またゾロ余計な真似を引き起こす前に秘匿したかった。
そんな意味合いがドチャクソ伺える。
ともあれ。
折角なので『オカルト研究会』として、お部屋の有様が納得できるカテゴリをラベリング。
彼女は堂々と居座れる環境を得たのであった。お花畑な脳ミソである。
ちなみに雷がこの場に居るのは普通に監視役である。
生徒会長の権力の前に頭を下げ、彼は無事排出された。
らいじゃないわ、いかづちよ!(男子)
「まあ研究会の会長はリアス先輩だし、許可を出すのもそちらということで」
「アナタが監視役なんだから私より上の立場でしょう? しっかりと躾けてくれなくちゃダメよ、ご主人様♡」
「
「なんてこというのアナタ!?」
リアスのモーションは空振りに終わっていた。
何故か好感度の高い友人に愕然としつつ、イッセーは取りも直さず必死で頭を下げ直した。
酷く価値の軽い土下座が其処に在った。
「お願いします先パぁイ!!! 俺にもリアス先パイといちゃいちゃうふふな部活をヤらせてくださぁぁぁぁぁい!!!」
「禁足(誤訳)」
「にべもない!!!」
誰も幸せになれないはちみつクローバーがなんか出来上がっている。
もうひとりかふたり登場人物増やしてからやれよお前ら。
■
「さて。折角部室も貰えたことだし、何か活動を示さなくちゃいけないわよね。…河童の生態でも研究しようかしら?」
「掃除しろよ先輩。片付くまでが拘留期間だからな?」
イッセーを追い出し、二人きりとなった部室でとんちきなことを口遊むリアス。
対する雷は何処までもリベラルに現実を突き付けていた。喰らえ!
「…ねぇ、わたしそんなに魅力ないかしら? それとも馴れ馴れしいのがイヤ?」
部屋に備え付けられていた二人掛けのソファに並んで、リアスは雷の胸元に身を寄せる。
制服で納めきれない大質量が、むぃぃぃと男子に毒な感触を伝えてくる。
コレで拒むならば特殊性癖かホモだ! とリアスは雌としての直感で思っていた。
「それとも、男の子をとっかえひっかえしてるような、そんな女の子だと思われちゃってるのかしら。こう見えて、身持ちはカタい方なんだけど…」
「それはまあ見ればわかるよ。アンタ、
実質、イッセーが捌かれる前に間に合ったのは、リアスが最後の一線をどうしたって躊躇していた為でもある。
胸を曝け出し、香油を焚き、薄暗い中で獣のように交わることが魔女会としての前提だ。
先日、この場では、彼女は誘うことまではしていたが、少年に跨ることだけは幾度と踏みとどまってしまっていた。
尚、正式に
其処には貞操も含まれているわけで、それを体験することこそが通過儀礼と呼ばれて、そんな血統が魔術師となる。
その血筋を理解されているからこそ、リアスは彼を評価している。
それを理解しているからこそ、雷はリアスを未熟と断じているわけだ。
「今の現代社会で古臭い儀礼を嫌な奴が挑まなくたって笑いはしないけどな。あの場で適当な相手に自分が大事にしているモノをゴミみたいに捨てるよりかは好感ある方では?」
「うーん言い分」
明け透けな物言いにマイルドなツッコミを入れつつも、リアスは雷への好感もまた上り詰めであった。
なんだかんだまあまあ良い評価を貰えてることに喜色を交えつつ、しかしてリアスは疑問に思う。
それでどういう風に扱っても良い立場まで得ている年頃の男子なのに、自分にエッチな目も向けないのは何故なの。と。
答えは直ぐに出た。
「そうした体感いくつか並べた上で、アンタが俺に好感持ってる理屈が見通せなくてな。何が欲しくて甘える必要があるよ? 他家の魔術師に守って貰いたい、事情とやらがあるんだろう?」
「み、見透かされてる…」
そう、リアスには早急に『力』を得ておかなければならない理由があった。
それは、
『――すいません、オカルト研究会は此処ですか?』
コンコン、とトイレノックでそんな声が外から聴こえた。
がらすこー、と次いで開いた引き戸から、白髪で幼げな少女の姿が現れる。
「1年のトウジョウシロネです、オカルトの相談を取り扱ってくれる、ってチラシにあったんですけど…お邪魔でしたか?」
扉へ向いていたふたりの視線が重なる。
片方はあっけな。
もう片方はやべぇやっちまったこれ。
どちらがどちらかは、推して知るべし。
「勝手にチラシ刷ってんじゃねーよォ!!!」
「ごめんなひゃぁああああああ!?!?!?」
ブチ切れた少年に勢いでだっぽだっぽとお乳を揉まれて情けない悲鳴を上げる
扱いそれぞれ辛辣ですが…ま、まだ好感度低いだけだから…!(上がるとは確約できない