見ていてくれよ…俺、負けねぇから…ッ
文学作品みたいな導入の3話目
倭文 忽那は激怒した。
必ず、あの邪知暴虐の爆乳レッド小娘を、地獄の断頭台へ処してやると決意した。
誰の事とは詳細は伏せるが、暗黙の了解になっている魔術の秘匿を堂々と
どうでもいいけど爆乳レッドと表わすと戦隊モノみたいだよね。
憤怒と憤懣と漆黒の殺意に囚われた生徒会長の足並みは留まらない。
ズンズンと肩で風を切り、すれ違った一般女生徒はその様に恐れ戦き失禁。男子は即座に伏せて恐れ奉った。はわわ~。
「リアスは何処!? 校内掲示板にオカルト相談承りますとかトンチキな文面晒した馬鹿娘は此処に居るの!?」
「とっととプリント剥がして来い! 駆け足!!!」
タッチの差でこち亀endに陥る寸で、しょぼくれた電撃鼠みたいになった赤髪娘が、年下の少年に素面で躾けられている場面に出喰わした。
どうにもフツーに怒られた直後の様子で、トボ…トボ…と旧校舎から力無く歩み往く。
振り降ろす寸前だった怒りの矛先は行方を失ったが、其処は切り替えの出来る生徒会長。真顔のまま立ち行く小娘を見送り、キチンと監督責任を勤めてくれた少年には慈母に溢れた微笑で向き直った。美味しい酒が飲めそうで程よい感じではある。飲める歳では無いが。
「おっと、オーナー。出迎えも出来ずに失礼、事態は今把握したところでして」
「いえ…。いいえ、大丈夫よ。私だって、むやみやたらと暴力を振るうのは趣味でもないもの」
素知らぬ顔で、落ち着いたお姉さんの仮面を被り取り繕う生徒会長。
地獄の断頭台を画策していたとは思えない科白を宣う忽那である。ほんとぉ?
「で。問題なのは、彼女なんですよねぇ…」
過ぎ去っていった
■
一方その頃、所属するはずだった部活(※本人視点)から追い出された兵藤一誠はチクショーなんだかとってもチクショーなどとぼやきながら校外を闊歩していた。
なお『ぼやく』とは不平不満を口にする様を表した言葉であり、中部・近畿・四国地方の方言であるらしい。知らんかったわー(誰。
彼も救いようのない悪党というわけでもなく、相応年頃の高校生である。
命の危機に晒された自覚が無いのは致命的ではあるが、ハブにされた手前で恥も外聞も無くまーぜてっ☆と無邪気に為れるほど幼くはないし幼くはなれない。そもそも性を知った男子が幼さ主張するのは、その、アレだ、キモイ(無慈悲。
まあ恥も外聞も無い
年頃男子高校生のマストといえば、件の覗き仲間なんかと連れ立って愚痴を晒すのが適切なのであろうが、そこはそれ。
つい先日、己に恋人が出来たとマウント取った手前、即座に袖にされているとは明かし難いようでもある。
情けねぇなぁ男子のプライドぉ!
「でぇいっ、ウルセーよッ!」
地の文に鬼の首を獲られたことに腹を立てた、わけではなく。
彼は道なりに声を張っていた『何者か』に苛つきをぶつけていた。
その相手は、
「ひぇっ? ご、ごめんなさい、騒がしくしてしまって…」
如何にもお嬢様然とした黒髪の、乳袋の目立つ制服を着た女子高生。
彼女は何を騒がしくしていたというわけでもないのだが、怒鳴られた拍子で反射のように謝罪してしまっていた。
…じゃあ兵藤が耳にしたのは、何?
「ォ…平気さ! 俺はなんにも気にしてないからね!!」
「え、で、でも、いま…?」
「なんでもなかったんだゴメンねっ☆ そんなことよりもお茶でもしないかい? 驚かせちゃったお詫びさっ☆」
半ば強引に、兵藤は少女の手を引いて往く。
その視線は、リアス並みに膨らんでいる制服の乳袋に注がれていた。
そういうところやぞ。
■
魔術師の仕事はといえば、研究と研鑽。
しかし、それは飽く迄魔術師という生き方を顕す特徴であって、某型月作品の様に常日頃から倫理を無視した実験に勤しむほど常識外の者共というわけではない。
彼らは全員が全員魔術第一主義ということもなく、どちらかと言えば片手間で技術を抱えている程度の、なんちゃって魔術師の方がずっと多数派だ。
なので電気技師の悪魔崇拝者や、漁業組合に所属する魔術師だって珍しくも無い。
つまり今の時代で云えば倭文やグレモリーは逆に珍しい方で、血統で繋いでいるからこそ魔術師を生きている、由緒正しい信奉者であり奉仕者となる。
其処には家を繋ぐからこその責任と云うモノも生じており、その中には社会の安寧を維持するという、悪魔崇拝者としては逆に可笑しい責任も並んでいたりもする。
しかしそれは、別段変な話でもない。
社会で生きる以上は、人間は幸福になることが義務とされる。
逆に言えば他人の不幸を願う者は非社会的であり、コミュニティからは排斥される傾向にある。
現代に於いて根本的な部分では信仰とは自由であり、教義の束縛に幸福を見出せない者を解き放つことは信仰に反しているわけでもない。筈だ。
要するに、好んで悪に準じるカルトでも無い魔術師ならば、自らが所属する社会を生き易い形に維持しようとすることは、魔術師以前に人間として正常なことなのである。
其処には善悪という二元論が働く以前の、生存と生活に準拠した『普通の人間』としての在り方なのだ。
長く説明した上にややグダった感もあるが、忽那が倭文家として準じる責任には、自分らの所属する社会内で生じるオカルトに関しては対処を必要とする義務が生じている。
それは彼らが奉じる【シトリー】が『大公』の爵位を備えており、且つ駒王学園の周辺は古くから彼女の家が維持しているコミュニティである事実、つまりは魔術師として土地の
リアスがオカルト案件に首を挟み始めた事態にも、おそらくだが理解できる。
彼女は遠巻きながらに、この地を拠点とするために、こまめに生じるであろう魔術的な歪み、即ちオカルトを解決しつつ、可能ならば関わってくるであろう事件の原因や存在なんかに自分を売り込みたいのだ。
雷に関しては…なんだろう、気づいたら駒王に居た。
特に何か害を為そうとしてるわけでもないし、ひと昔前の領主でもないからアイサツへ来る義務も無いことは事実だ。
事件が起こった場面に連れ出されて、リアスが目立っていたから処していただけだが、よくよく考えてみれば不自然も無く事態に干渉していたあの子はいったいなんなのだろうか…。
コレと言った目的も無さそうなので、役立ってくれるならば、と監視を示唆して見れば普通に働いてくれるくらいには都合の良い存在。
リアスからしても明確な敵というわけでも無いので、この先上手く渡れば味方として引き込むことも、彼女なら不可能でも無いだろう。あの乳使えば。男の子なんてイチコロだ。
問題点はと言えば、オカルト案件が思った以上に早々に表立って現れた事実だろうか…。
恐らくは、誰にとっても。
「相談というか、コレ、どういう状態なのかわかりますか…?」
頭からネコミミを生やした少女、東城 白音を前にして、忽那はしみじみと事態を呑み込んでいた。
出てくるの早すぎない…? なんとなくダブルミーニングだ。
「んー…、①未知の病気の可能性。
②未知のご先祖の趣味的な隔世遺伝。
③神の悪戯。どれがいい?」
「どれがいい、という話でもないのでは…???」
しかも答えになっていそうでなっていない。
雷の提示する選択肢は解決策でもなんでもなかった。
さては相談に乗る気も無いなコイツ。
「あとソレが生えてる間は口調に気を付けろ」
「…? なにか、理由があるんですか…?」
「具体的には猫っぽく喋れ。ナ行はニャ行に換えるんだ。でないと爆発する」
「なん…にゃんですかソレは!?」
至極真面目な顔付きで宣われたのでマジだと擦り込められたらしい。
即座に猫語に換えている白音は、驚きつつも疑問は払しょくし切れていないらしく、その視線は忽那へと向いていた。
まったくこの後輩らときたら…。
「そうね。そうして喋るべきだわ」
したり顔でド大嘘を肯定する生徒会長が其処に居た。
後に彼女は「前世がそうしろと言っていた」と言い訳している。
意味がわからなかった。
なんだか怖い話みたいになってきたなぁ~
黒髪の爆乳乳袋少女…いったいダレなんだ…