【本編完結】もしもさりなちゃんがゴローと結婚するとしたら   作:ぶり大根(元・孤高の牛)

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実は芽依って小説『視点B』見てるとアイより4歳も年上なんですよね(芽依加入時18歳、当時アイ14歳)
現状アイとさりなが17歳なので芽依は21歳、暫定ビジュアル見ると妹系にも見えるけどかなりの年長者だったり
特に初期メンはアイと同年代の集まりなのでその辺よりは確実に年上になります
カナンの年齢どうしようかって思ったけど芽依と仲良かったんで近い年齢設定の20歳としておきますかね…


もしもゴローが旧B小町のライブを結婚後に見に行ったら

「え!?今度のライブ観に来てくれるの!?」

 

「ああ、何とか休みが取れそうだからね。大好きなB小町……もそうだけど、最愛の奥さんのライブはちゃんと生で観れる機会を作りたかったから」

 

「んふふ~嬉しい!ありがとっ!」

 

 りーなの記事が出回ってから暫く。

 誰が夫であるかの詮索が始まったものの尽く候補地の宮崎に出向いたパパラッチは何故か成果をあまり得られずに帰ってくるのが殆どであり中々割り出せずにいた。

 そんな訳で吾郎は平和にB小町のファン活動を行う事が出来ていた。

 

「それにしても最近はファンも増えてきたみたいで嬉しいよ。さりなの頑張りが着実に身を結んでるのが目に見えて分かって誇らしい」

 

「あの記事が出ちゃったから……って言うのもあると思うけどね。でもみんな応援してくれるのはやっぱり気合い入っちゃう。アイドルってすっごく楽しい」

 

「楽しくて良かった。まあでも大変な事もあると思う、そういう時は出来る限り僕が受け止めてあげるからね。大丈夫だとは思うけどね」

 

「そーいう時は躊躇無く甘えるからだいじょーぶ!」

 

 そしてさりなが安定して活動を行えていたのは吾郎のメンタルケアが大きかった。

 最近でこそユウキときゅんぱん以外は好意的な接し方をしてくれるから良いものの加入初期に関してはアウェー感が強く、B小町内部のピリピリした雰囲気に気圧される事もあった。

 そんな時癒しになったのはやはり吾郎のセラピーだった。

 産婦人科医はある程度カウンセラーとしての分野も重要視される。

 妊婦はナイーブな精神性を持ち合わせてしまう、そんな時にカウンセリングを行うのも仕事の内の為さりなのカウンセリングは自然と行えていたのだ。

 

「楽しみだな〜ゴローくんのオタ芸!」

 

「はは、サイリウム全色持っていって全力応援するから任せておけ!」

 

「気合い入れ過ぎだよ〜、でもそんなとこも大好きっ」

 

 ただの東京への妻へのオタ活ライブ……と、この時の吾郎は思っていた。

 だがこの後二つの出会いがある事をこの時の吾郎は知らないでいたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「うおー!!りーなー!!」

 

 ライブ当日、彼は宣言通り全力の応援装備だった。

 腰にはB小町全員分のイメージカラーのサイリウムを装備し、ハチマキには『りーなLove』を入れ巻き、団扇もりーな応援用の物を持ってきていた。

 相当なイケメンがこれをやっているので最初は中々に周りから浮いていた……が、そこは歴戦のB小町オタク、現地応援も何度か行っていた経験から曲が始まった後には全く問題無く馴染んでいた。

 

「……♡」

 

 りーなはそんな吾郎にこっそりラブオーラを出しながらパフォーマンスをこなしていた。

 勿論バレない程度の一瞬目線を合わせるくらいだが、吾郎にはそれくらいでも通じていた。

 夫婦だから通じるアイコンタクトである。

 

 だがそれに誰も気付かなかったかと言えば、それは違った。

 

 例えば後期加入組の二人は既に面識があったからか見つけた時には大体さりなが何をしているか察していた。

 

 アイは負けじとアイドルとして最大級のアピールをしていた。

 

 ……そしてユウキ。

 

 彼女は必死に雨宮さりなという人間をプロファイリングしていた。

 彼女の話す『雨宮吾郎』という人間がどういう人間か、話す時の動作や仕草は、表情は、どうだったか。

 そういった事を必死に行い、ギリギリで気付く事に成功した。

 この人に近付けば私はもっと輝ける可能性がある……彼女の決意は改めて固まった。

 

 この人が要求する事なら何でも飲み込んででも輝く為のヒントを得るんだと。

 

 

 

「お疲れ、今日も良いステージだったぞ。栄養補給とストレッチは忘れるんじゃないぞ」

 

 ステージ終了後、会心の出来栄えだったときゃいきゃい言い合う芽依カナンや、どことなくいつもより表情の良いめいめいを尻目にユウキはこっそりとりーなを別室に呼び出していた。

 

「ユウキ先輩、急にどうしたんですか?」

 

「折り入って頼みがあるんだ」

 

「頼みですか?」

 

「うん。一度……キミの旦那さんと話をしてみたい。ああ疚しい意味は無いよ、ただキミの人気の秘訣は彼にあるんじゃないかと思って興味が湧いたんだ。……ダメ……だろうか」

 

「いーですよー。それでユウキ先輩の為になるのであれば!りーな協力します!」

 

「本当かい?ありがとう」

 

 りーなは精神的に恐ろしい程の余裕を抱えていた。

 世界一信頼出来る男性が夫であるのに加え、芽依、カナンとの節度ある接し方を見て更に信頼度を上げていたのだ。

 万が一にも彼女達が勘違いをしないレベルの接し方、それを見ればメンバーには益しか発生しないと見たりーなはB小町の更なる発展に少しでも繋がればと快諾していた。

 

 

 

 

 

 

 

「という訳で事務所にゴローくん呼んでみました」

 

「良いのか僕なんかが入って……」

 

「寧ろそうでもしないと会わせられないですよ。ったくアイツらは勝手に決めやがって……あ、先生お茶とコーヒーどちらにします?」

 

「ではお茶で」

 

 斉藤壱護は吾郎に甘いところがある。

 アイのメンタルケアを入念にしてくれた恩人であるところが非常に大きいらしい。

 

「分かりました。んじゃお前ら、この事は絶対外で喋るんじゃないぞ、良いな?」

 

「はーい」

 

「分かりました」

 

 そうして壱護が退室し残ったのは当事者3人。

 1ファンでしか無い自分が果たしてこの場にいて良いのかと冷や汗をかく吾郎を知ってか知らずか、ユウキが切り出した。

 

「今日呼んだのは私のワガママになります。ご迷惑でしたらごめんなさい」

 

「あ、い、いやっ!逆に僕なんかみんなの迷惑にならないかとヒヤヒヤしているばかりで」

 

「そんな事はありませんよ。……単刀直入に本題を言っても?」

 

「……うん。構わないよ」

 

 しかしユウキの真剣な眼差しを受けてか、戦々恐々としていた鳴りは潜め、真面目な大人モードに切り替わる。

 こういった場合、ビジネスパートナー外での大人でしか解決出来ない何かが存在すると直感したからだ。

 

「……りーなの輝きは、貴方の影響が大きいと思っています。どうやったら私はりーなの様に輝けますか?」

 

「え?私の?」

 

 りーなは不意を突かれた様な声を上げる。

 完全に予想外だったのだろう。

 

「……この子の特殊な輝きはね。長く生きられないと言われた難病から生還して産まれたものなんだ。だからキミには持たせられない」

 

 反して吾郎は冷静だった。

 そして冷静だったからこそ、誤魔化す事無く現実をストレートにぶつけに行った。

 

「無理……そうですか。ほんの少しでも何か、自分が変われるきっかけがあればと思いましたが……お時間取らせて申し訳ありませんでした。りーなも悪かったね」

 

「え、いやいやそんな!」

 

 彼女は執念深いが往生際が悪い訳では無い。

 無理と言う現実を突き付けられれば熱が冷める様に一瞬で諦める。

 

 だが、話を聞いていた彼もまた、そんな彼女を放っておける人間ではなかった。

 

「……人には人の輝き方がある。僕みたいな素人が偉そうに何をと言われるかも知れないけれど」

 

「そう……だと、良かったんですけどね」

 

「『サキ』ちゃん。僕はずっとキミの事を見てきたよ」

 

「……!」

 

 その名前は、彼女にとって大切なものだった。

 彼女の旧愛称……最初の呼び名だったのだ。

 ハッと吾郎の顔を見上げる、その愛称を使ってくれた彼から目が離せなくなる。

 

「何一つ不満を言わずに必死に努力してきたじゃないか。キミはステージで言っていたよね、臆病な自分を変える為に愛称を変えたって。臆病ながらどこまでもひたむきに自分の想いを貫いて逃げ出さずにアイドル活動に向き合ってここまで来た。楽な選択をせずに向き合ってきたんじゃないのかい?それを輝いていないと言うなら、それは今まで頑張ってきたキミ自身に失礼だよ」

 

「でも……一つだけ、何かアドバイスめいたものを僕が言えるのだとすれば……もっと肩の力を抜いて活動しても良いんじゃないかなって思うんだ」

 

「……肩の力を?」

 

「そう、確かに真面目に活動するのはとても大切だけれど、やっぱりこういう芸能活動ってまずは自分が楽しめればもっとキラキラすると思ってるんだ」

 

「自分が、楽しむ……」

 

 そして連続でユウキはハッとさせられた。

 確かにアイドル活動を真剣にやってきたが、いつしか自分が楽しむ事を忘れていたのだと思い出したのだ。

 

「まあ、さりなを見てての自論だけどね」

 

「――すっかり忘れていたなあ、自分が楽しむなんて」

 

 ポツリと呟く。

 

「ふふっ、答えはこんな近くにあったかも知れないなんて、不思議なものだよ。二人ともありがとう……何だか涙が出てきてしまうね……」

 

 ここまで真摯に褒められ、向き合ってくれた人は初めてだった。

 ビジネス上仕方ないところも大きいが、それ以外の部外者でも誰もそうは言ってくれなかったと憑き物が落ちたような顔で笑う。

 

「うん。もう少しだけ……頑張ってみるよ」

 

 そして涙を流しながらも笑顔になるユウキに、久々にこんな笑顔を見たなと懐かしみながら二人もまた笑い返すのだった。




今回は少し長くなってしまった

ユウキ「ふふ……まったく。彼に惚れてしまったよ」
さりな「え!? 」
ユウキ「ああ、心配は要らないよ。人として……という意味合いだから」
さりな「び、びっくりした……」
ユウキ「でも彼、男性としても凄く魅力的だよね。ふふ、彼氏を作る時のハードルだけは上がってしまった気がしたよ……」
さりな(あ、またゴローくんがメンバーの男性観破壊してる……タラシだなあ。でもそれだけカッコイイって事だよね♡さすが私のゴローくん♡)


ユウキ
元の愛称は『サキ』
クールに見えてかなり臆病な性格、但し表にはほぼ出てこなかったせいで都市伝説化している
この後憑き物が落ちたのか割とちゃんと性格が表に出始める事になる(寝起きドッキリ等)
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