アレクサ 様。
評価ありがとうございます。
ドレッド・ルートは僕の指示を待つこともなくハモンに攻撃を仕掛ける。
それはある意味、恥を晒さないようにする慈悲の一種でもあるのだろう。
だがベアトリーチェは切り札が破壊されるのは良しとせず、ユスティナ信徒を攻撃の間に割り込ませる。
ユスティナ信徒が攻撃に耐えきれず粒子化したときドレッド・ルートを縛る稲妻の一部がベアトリーチェを焼く。
神縛りの塚が出た時期はまだ自分にも相手にも効果が及ぶフィールド魔法がほとんどだ。
だからこそ今こうやって逆に利用されることもある。
「ハモン!」
「ドレッド・ルートは自身の効果によってフィールドのすべてのモンスターの攻撃力を半減させる」
ドレッド・ルートの放つ黒いオーラがハモンを縛り付け、ドレッド・ルートが訪れるまで神々しい一方で邪悪なものもあった雰囲気が今では弱って見える。
「墓地にいる黄泉ガエルの効果で自身を蘇生。手札からハットトリッカーを特殊召喚。俊足のカバ バリキテウムを特殊召喚。墓地蘇生はご自由に」
「死者転生を再度発動、サクリファイス・ロータスを捨てハットトリッカーを手札に」
場の黄泉ガエル、ハットトリッカー、バリキテウムをリリースしもう一体の邪神を呼び出す。
邪神アバター。カードに描かれたただの黒い球体は場に出た瞬間グニャグニャと影が形を変えるように自在に変わり、ドレッド・ルートをさらに尖らせたような姿に形を変える。
もちろん変わるまでの間も稲妻はアバターに纏わり着くが堪えた様子はない。
姿の変わったアバターとドレッド・ルートの2体でハモンに攻撃を飛ばす。
相も変わらず馬鹿の一つ覚えのようにユスティナ信徒を盾に使うがその度に雷鳴が轟く。
さらに攻撃力の違いからこちらに攻撃を加えることも出来ず、僕の方に直接攻撃をしようとすればアバターがその影を伸ばしてもう一体のアバターとして攻撃を防ぎつつユスティナ信徒を撃滅させる。
「大きな口を叩いたところで! 貴方はハモンを倒すことも出来ず、怪物の後ろに隠れるだけ!」
「それで何を為そうというのです!」
「恐れ知らずの神敵へ誅伐。あと、ケチの付けようも無い未来へ向かうため」
今まで手札がゴミだったがようやく来た。
墓地の黄泉ガエルとサクリファイスロータスの特殊召喚効果は使わない。
強欲で謙虚な壺を発動。山札の上から3枚を確認。
ろびーなを召喚、ふわんだりぃず×いぐるんをサーチ、そのまま通常召喚。いぐるんの効果でふわんだりぃず×すのーるをサーチ、そのままろびーな・いぐるんでアドバンス召喚。
ふわんだりぃず×とっかんを通常召喚、ろびーなをサルベージ。
うーん。あの地獄の除外ゾーンから帰ってきたのにピンピンしてる。やっぱヤバい鳥たちだな。
ろびーなを召喚、ふわんだりぃず×すとりーを通常召喚。倒れてるユスティナ信徒の一人を除外。そのままとっかん・ろびーな・すとりー3体で邪神イレイザーをアドバンス召喚。
イレイザーの効果が相手の場のカードの数×1000で普通のデュエルであれば最大12000か13000*1だがユスティナ信徒一体一体がカード一枚と数えられているようでとんでもない攻撃力になっている。
すのーるの効果。ネメシス・キーストーンを除外し、相手フィールドの特殊召喚されたモンスターを全て裏守備表示*2にする。
これで、相手はモンスター効果を使うことも出来ず攻撃はすのーるの貫通効果によってすべて貫通し、かつふわんだりぃず上級*3モンスターはレベル10なため、神縛りの塚の効果を利用することも出来る。
「アバターで裏守備のハモンを攻撃。塚の効果」
「ドレッド・ルート、すのーるでユスティナ信徒を攻撃。貫通ダメージと共に塚の効果」
「ここで……終わるわけにはぁ!」
「おい待て! くっ」
ベアトリーチェはその言葉と共にバルバラに手を伸ばし、色彩の力を漏れ出させる。
間に合わなかった……! 色彩を出さずにいられたらもしもの備えを使わずにいられたのに……!
後悔先に立たず。イレイザーで裏守備のユスティナ聖徒会のバルバラを攻撃。貫通ダメージと共に塚の効果を与えてベアトリーチェを仕留めるが、色彩が漏れ出た以上、無名の司祭に観測されてしまう。
最大ダメージを狙わずにさっさとイレイザーで攻撃した方が良かったのか? いや、ダメージの入り方を見るにイレイザーの攻撃すら耐えて神縛りの塚の効果によるダメージの方でトドメになっていた。
しかしそれならばできる限りの速さで攻撃したのだから、いや言い訳だ。これは僕の責任だろう。色彩につながりうることを知っていたのに一気呵成に攻め立てて攻略しきることが出来なかった。
ベアトリーチェを大捕物で縛り上げていると、黒い靄が協会の一部に出来る。
ゲマトリアの誰かか。そこに現れたのは黒いコートを羽織り後ろ向きの肖像を抱えた首なしの男、ゴルコンダ&デカルコマニー。
「まずは謝罪を。マダムの独断専行により、貴方から貸与されていたカードを複製された上にあのような不完全なものとなってしまいました」
「あのようなものになってしまったのは私共としても遺憾極まりなく」
「まあ、そういうこった!」
「……降雷皇ハモンを作り出したのはあんたか?」
ベアトリーチェを縛り上げる手は緩めずに、ゴルコンダに質問を飛ばす。とはいっても大よその予想はついていた。遊戯王はテキストによって成り立つカード。であればテクストを解すゴルコンダが作ったのだろうと考えていたのだが、思っていた反応とは異なる反応が返ってくる。
ゴルコンダは言い辛そうに言葉を濁し、カードのテクストは自身で執筆したがそれだけでモンスターが現れず、マエストロの協力の元成り立つ合作でしかない、とのことだ。
そうか、ゲームをするだけならばイラストはほぼ重要じゃないが、召喚し、呼び出し、戦わせるのであれば依り代となるに姿が必要なのか?
「責めたいんじゃない。むしろ称賛を送りたいんだ。情報がラー以外ほぼ無い状況でハモンを作り出し、単体での制御が敵わないとなれば制御装置を作り出せるその手腕を」
「それは、深い感謝を。マエストロにも必ず伝えましょう」
「そういうこった!」
「で、これを引き取るんだろう? 僕の目的は終了した。好きに持っていくと良いよ」
僕の目的は大まかに分けて二つ。
エデン条約前にベアトリーチェをアリウスから排除することで調印式のテロを未遂に終わらせ、ついでに聖園ミカの罪を無くす事。これは達成したため、後はこれからの始末と
ベアトリーチェが色彩の力にアクセスする前に排除し、色彩にこの世界線を察知される可能性を極力減らす事。これが失敗した。こいつが力に手を伸ばす前に仕留めきる手筈だったが、手札が腐りに腐っていたためゆっくりとしたテンポになてしまい、結果として間に合わなかった。鬼札を使わざるを得なくなって大変に遺憾だ。
そのためゲマトリアにこれを引き取ってもらえるならその方が面倒が少なくてむしろ助かるんだ。
ゴルコンダは慇懃に頭を下げ、アレを引きずりながら来た時と同様に黒い靄の中に消えていく。
さて、先生にアリウスについて話さないとな。