ロボ子のヒーローアカデミア   作:あならなあ

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第十二話「USJ襲撃事件 その3」

 

 

 

「みんな、無事で居てくれ!!」

 

 私は、今日ほど自身の愚かさに怒りを覚えた日は無い。出勤前に、活動時間ギリギリまでヒーロー活動していなければ、自分ご予定通り授業に参加していれば、生徒を危険な目に合わす事などなかった。みすみす、兵壮君を奪われる様な事態にはしなかった。

 相澤君達を信用していない訳ではないし、生徒達も並みのヴィラン相手に遅れは取らない優秀な子達ばかりだ。しかし、奴らは明確に私をターゲットに乗り込んで来たのだ。何かしらの秘策があるのは確実だ。

 全盛期なら、一足飛びで駆け抜けていた距離が遠い、過ぎ行く景色が遅い、USJの姿が大きくならない。自身の衰えを改めて感じ、焦燥と怒りが体の中を渦巻いている。

 

「先生!!敵は中央噴水広場!!纒ちゃん相澤先生共に危険!!!」

「了解した!!葉隠少女!!!」

 

 入り口扉前で待機するよう指示していた葉隠少女が、私に気付いて状況を簡潔に叫んでくれた。切り替えろ、反省も後悔も生徒達を救いヴィランを倒してから幾らでも出来る。葉隠少女が開けてくれた扉から中へ突入し跳ぶ、体に渦巻く全ての思いを込めて、腹の底から声を出す。

 何千何万何億何兆と言ってきた言葉を、

 

 

 

 

 相澤先生が救援に来てくれた当初は、先生が巧みに個性を使って優位に進めていたけど、手だらけ男の個性で先生が右肘をやられ、拘束から脱した脳無が参戦してきてから形勢があちらに傾いた。

 オーバーヒートの影響から脱し切れていない状態で無理矢理個性を使い、押し倒され右腕を握り潰された先生から脳無を引き剥がして何とかタイマンには持ち込んだけど、ミサイルもロケットパンチもブレストファイヤーも何も使えない。

 脳無のパンチがただのテレフォンパンチな事、相澤先生の個性が効いていれば耐久性はそこまでな事から、兎に角頑丈にして相手の拳に此方の拳を合わせ続けて時間を稼ぐ。相澤先生の個性が途切れたら、すぐに回復されるけど、それでも只防御に徹して耐えるよりはマシ。

 

「グッ!!」

「兵壮!!」

「ヅアアッ!···ッ!」

 

 迎撃が間に合わず、顔に拳が突き刺さって右半分が潰れる。何とか拳を払って修復を試みたが、戻った視界に髪の毛が映った。変身を維持出来ていない。本当の限界が近い。

 

「まだいける!!まだやれる!!そうでしょ、兵壮纒!!!」

 

 恐怖に負けそうになる心を叱咤して、気力で拳を振るい続ける。一発受ける度に、間接が軋む、衝撃が内臓に響く、視界が真っ白になる。かすっただけで皮膚が裂け血が噴き出す。

 

「もういい!!下がれ、兵壮!!」

 

 相澤先生が何か叫んでる。ノイズが酷くて聞き取れない。血で視界が悪い。内臓から何かが込み上げてくる。頭が痛い。右手が潰れる、修復。左腕が曲がった、修復。頭痛ぎ酷い。脇腹にちょっと当たった、多分肋骨が折れた。頭が割れそう。

 

「あ···」

「兵壮!!!!」

 

 視点がストンと脳無の腰位まで落ちた。頭上を拳が通りすぎる。膝が砕け、脳無の肉片と私の血で汚れた地面に尻餅をついた様だ。指が動かない、腕が上がらない。

 先生が、此方に来ようとしている。多分間に合わない。

 

「わたし、がんばったよね、おじいちゃん」

 

 

「ああ、よく頑張った。もう大丈夫だ」

 

 

 何も聞こえなかった鼓膜が、その言葉に震える。なんども聞いた言葉。何度も見た大きな背中。誰もが憧れた逞しい体。沢山の人に希望を与えた笑顔。

 

「何故って、私が来た!!!」

 

 オールマイトが、その手で脳無の拳を受け止め悠然と立っていた。

 

「オール···マイト······」

「······遅いんですよ、No.1」

「やっと来たか、平和の象徴」

「とりあえず、ちょっと離れてて貰おうか。DETROIT SMASH!!」

「はっ!?はああああ!!!?!」

 

 振りかぶった右ストレートが脳無の胴体に突き刺さり、殴り飛ばされた脳無が、手だらけ男を巻き込んで向かいのエリアまで飛んでいく。相澤先生が、しっかりと攻撃に合わせてくれた様で、オールマイトの攻撃はちゃんと効いたみたい。

 

「あ···ぶべっ!」

「兵壮!!」「兵壮少女!」

 

 力が抜けて、顔面から地面に倒れ伏してしまった。我ながら間抜けな声が出た。慌てて、オールマイトと相澤先生が抱き起こしてくれた。

 

「オールマイト、上着を」

「ああ」

 

 変身が解けて全裸状態な私に、オールマイトが背広を脱いで掛けてくれて、相澤先生が捕縛布で包んでくれた。

 

「流石、天下の雄英高校生ですね。まさか、脳無相手にここまで時間を稼がれるとは思ってもいませんでした。救援も呼ばれてしまった様ですし、死柄木もやられてしまった。今回は、ここまでとさせて頂きます」

 

 手だらけ男を横抱きにした黒煙が、脳無と共に私達の前に転移してきた。本当かどうかは定かじゃないけど、撤退するつもりの様だ。

 

「はいそうですかと、逃がす訳にはいかないな。君達には聞きたい事が山程あるし、何より私は怒っているんだよ」

 

 ネクタイを外しながら、オールマイトが奴らと対峙する。

 

「次こそは、貴方の命を頂きます。では、ごきげんよう」

「待て!!」

 

 オールマイトが駆け出すが、黒煙はさっと自身と脳無を煙に包んで消えてしまった。相澤先生の個性が切れるのを待ってたんだ。オールマイトも、脳無が横に居る以上下手に動けないし。周囲に取り残された有象無象は、主犯格が居なくなって戸惑っている内に、オールマイトによって瞬く間に制圧された。

 私が覚えているのはここまで。緊張の糸が切れたのと、オールマイトが来てくれた安心感、極度の消耗によって気を失ってしまったから。

 こうして、私のUSJ事件は終わりを迎えたのだった。

 

 

 

 

 

「16…17…18…重症の彼女を除いて全員無事か」

 

 入り口で待機と言われた僕達は、駆けつけた警察の人達がヴィラン達を連行しているのを眺めていた。

 

「何も出来なかったな、俺達」

 

 切島君の言葉に、みんなが俯く。

 相澤先生と一緒に救急車に乗せられた兵壮さん。目の前で連れ去られた時、あの兵壮さんなら大丈夫だと心の何処かで思ってた。あんなに強いんだから、いつもの涼しい顔で戻ってくるんじゃって無責任に。

 どんなに強くても、絶対無事なんて事は無いって分かってたのに。あのオールマイトでさえ、ヴィランと戦って大怪我を負ってるって僕は知ってた筈なのに。

 

「···オイラ、13号先生が動くなって言ってくれて安心しちまった。兵壮をボコボコにする様な奴らと戦わなくていいんだって安心しちまった」

「俺もだ、峰田。兵壮より弱い俺達が行っても、足手まといが増えるだけだなんて言い訳してよぉ」

「ウチ、悔しい···」

 

 みんなの口から出るのは、悔しさを滲ませた後悔の言葉。あのかっちゃんでさえ、自分の不甲斐なさにイラついている位だ。

 そんな中、葉隠さんが前に出て振り返る。

 

 

「なら、強くなろうよ。みんな無事で、私達には次があるんだもん。鍛えて鍛えて、今度は、あんなのが来ても立ち向かえるように、ね」

 

 

「···そうだな、葉隠君の言う通りだ」

「···ああ、この悔しさを糧に精進あるのみだ」

「ええ、そうですわ。私達は、立ち止まってなんかいられませんわ」

「うん、もっともっと強くならな「緑谷ちゃんは、まず体を壊さない個性の使い方を考えるべきだと思うわ」うっ、はい」




USJ難しい。その場のノリだけの行き当たりばったりは限界ですわ。体育祭、どないしよ~。

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