ロボ子のヒーローアカデミア   作:あならなあ

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第十三話「目覚め」

 

 

 

「今病院から連絡があったのさ。入院していた兵壮纒君が今朝、目を覚ましたよ。目立った後遺症もなく、元気にご飯を食べているとの事なのさ」

 

 その一報が届いたのは、敵襲撃事件から一夜明けた頃だった。

 徹夜で行われた、事件の後始末や今後の対応を決める会議も一段落し、皆一様に暗い表情を浮かべる中、校長から告げられた言葉に、病院へ駆け出そうとする相澤君を止めたり、安堵の涙を浮かべながら崩れ落ちる13号君を介抱したりと、多少なりとも明るい空気が職員室内に流れる。

 

「色々検査もあるから、面会は九時からとの事なのさ。なので、相澤君はそれまで仮眠を取る事。その顔じゃ、逆に心配されてしまうのさ、香山君」

「はーい、と言うわけでおねんねしましょうね、相澤先生」

 

 ミッドナイトの個性で強制的に眠らされた相澤君。リカバリーガールの治療で体力が削られてるのに、休む事なく会議に出ていたから、青白い顔に隈まで浮かべているのだからさもありなんである。

 

「まだまだ問題はあるけど、とりあえず、生徒の無事をみんなで喜ぶのさ」

 

 私も、椅子に体を預けて脱力する。

 あの時、個性の解けた彼女の体は、文字通り四肢の無い達磨状態だった。極度のダメージを受けた場合、そうなる事は資料で把握はしていたが、実際に目の当たりにしたショックは計り知れなかった。

 私が、活動時間を減らす事なく事件を乗り越えられたのは、一重に彼女が矢面に立って相澤君を守ったから。あの脳無とかいう怪人は、ショック吸収と回復の複数個性持ちだと後から聞いた。そんな相手に、活動限界ギリギリでまともに相手をしていたらどうなっていた事か。負けなくとも、活動限界を大いに磨り減らす事になっていたのは間違いないだろう。

 

「改めて、性根を入れなければ。平和の象徴として、教師として」

 

 

 

   ▼▼▼

 

 

 

「あいああえんえー(ゴクン)···相澤先生、おはようございます」

「···おはよう、兵壮。調子は···大丈夫そうだな」

 

 病室に入って最初に目にしたのは、大量の鶏だった。厳密には、フライドチキンだが。それを、UFOキャッチャーのアームの様にした右腕で、たまに差し出される煮干しや入子といった小魚と共に牛乳で流し込む兵壮。

 

「あ、私のお婆ちゃんです」

「初めまして、纒の祖母で鉄子と申します」

「担任の相澤です、この度は我々が至らぬばかりに、お嬢さんにこの様な大怪我を負わせてしまった。本当に申し訳ありませんでした」

 

 ベッドサイドで小魚等を差し出していた壮齢の女性、兵壮の祖母である鉄子さんに対して頭を下げる。怪我の治療で、謝罪と説明に向かった校長とオールマイトに同行出来なかったので、このタイミングになってしまった。

 

「顔を上げてください、先生。昨日起こった事は、校長先生や纒から聞きました。先生も大怪我をされたと。纒がこうしていられるのも、先生方のお陰です。大事な孫娘を守って頂き、ありがとうございました。この子は、食べれば治ると昔から無茶をする子です、今後とも、どうぞよろしくお願いいたします」

「···はい、必ず立派なヒーローに育て上げて見せます」

「少し席を外しますので、纏の事をお願いします」

 

 鉄子さんがそう言って病室から出ていかれる。兵壮の方に顔を向けると、変わらずフライドチキンを口に運んでいた。

 

「・・・どの位で、元に戻りそうなんだ?」

「恐らく、これ全部でいける思います。まあ、消化や吸収の工程は踏む必要があるので、生やすのは今日の夜位ですかね」

 

 そこから馴らしがあるんですけどねとぼやいて、よしっと気合いを入れ直して新たな箱を取って開ける様は年相応で、あんな凶悪ヴィランと対峙出来ても、まだまだ子供なんだと改めて自覚する。

 

「次は、あんな奴に負けない位鍛えないと。毎回毎回達磨にされるのは御免ですから」

「···兵壮、すまなかったな、恐かったよな」

 

 兵壮の手が止まる。俺は、右手を兵壮の頭にポンっと置いて優しく撫でる。ゆっくりと此方を伺う彼女の顔は、涙を滲ませ、隠していた恐怖に歪んでいた。

 

「···一人でやっつけてやるって調子に乗って、でも、手も足もでなくて······敵わないのなんて初めてで、本当は逃げたくて、でも先生やられちゃうし、わたしがいかなきゃって、まもらなきゃって···あいつとたたかうのこわくて、でもせんせいがしんだらどうしようって······」

 

 静かな部屋に、兵壮のすすり泣く声が響き渡る。たった一人の身内に心配かけたくなくて、起きてからずっと、何でもない風を装っていたんだろう。鉄子さんも、それが分かっているから席を外したんだと思う。自分が居たら、彼女はいつまでも我慢してしまうから。

 泣き声が止むと、泣き疲れたのか寝息をたて始める兵壮。ゆっくりと横にしてやり、口元やアームを拭いたり、フライドチキンの箱を片付けたりしていると、鉄子さんが見計らったように戻ってきた。

 

「申し訳ありません、先生。私がいたら、この子はずっと平気なフリをしていたでしょうから」

「いえ、私の方こそ、生徒にこんな思いをさせてしまって、本当に情けないばかりです」

 

 場所を譲り、涙に濡れた頬に優しく手を添える鉄子さんの背中を見ながら、改めて気合いを入れ直す。教師として、ヒーローとして、守るべき者を守れるように。




はっきり言います。行き詰まって行き詰まってどうしようもねぇ。
エタらない様頑張りますので、感想と評価よろしくお願いします。
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