『んじゃ、次の英文のうち間違っているのは?おらエヴィバディハンズアップ、盛り上がれーー!!!!』
雄英ヒーロー科と言っても、国英数社理等の一般的な授業は当然ある。午前中は、そういった科目に割り当てられていて、そこだけ切り取れば普通の高校と何ら変わりない。まぁ、偏差値の高さと相まって授業内容は高度だけど、正直普通という感想しか出てこない。中学の友人達に話した所で、信じられないんだろうな~。
「ん~、何食べようかな~。纏ちゃんはどうする?」
「親子丼と唐揚げにチキンサラダかな。午後から、ヒーロー基礎学だし少しでも蓄えとかないと」
お昼は、《クックヒーロー》ランチラッシュが料理長を務める大食堂で、和洋中華古今東西の絶品料理を学生料金でリーズナブルに頂く。因みに、透はラーメンセット(ラーメン+ごはん+冷ややっこ+浅漬け)を注文していた。
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「わーたーしーがー!!普通にドアから来た!!!」
体に染み渡る力強い声と共に、銀時代のコスチュームに身を包んだオールマイトが教室にやってきた。相変わらず、一人だけ画風が違う。映像で見るのと生で見るのとでは迫力が全然違う。皆も、小さい子供の様に瞳を輝かせて、教卓に向かうオールマイトを見ている。
「早速だが、今日はコレ!!戦闘訓練!!!」
「戦闘・・・・・・」「訓練…!」
大袈裟な身振りで、BATTLEと書かれたプレートを掲げる先生。
前に座る爆豪君が喜色ばんだ声で腰を浮かす。オールマイト先生が見えなくなるので座っててほしい。しかし、初回から戦闘訓練。初日の個性把握テストと言い、一般授業以外の事は普通じゃないって事か。それだけ、一人前のヒーローになるには3年と言う時間は短いという事なんだろう。
「それに伴って、皆には入学前に送ってもらった"個性届"と"要望"に沿ってあつらえた…戦闘服!!!そいつに着替えて、グラウンドβに集まるんだ!!」
そう言って端末を操作すると、壁が動いて番号の書かれたアタッシュケースが現れた。一人ずつ、自分の番号のアタッシュケースを受け取り、教室を出て更衣室へ。あの要望から、どういったコスチュームになったのか楽しみ。
「纏ちゃんのコスチューム!!カッコイイ!!」
「ありがと、透。ただ、へそ出しはちょっと恥ずかしいかな」
コスチュームに着替えてグラウンドに来ると、私に気づいた宙に浮く手袋が近づいてきた。
私のコスチューム、上はへそ出しタンクトップにミリタリージャケット(フード付き)、下は脛辺りからスリットの入ったカーゴパンツ。両腰に特注アイテムを入れたウェストポーチ。大部分は要望通りで満足なんだけど、へそ出しだけは製作者に文句を言いたい。
まぁ、袖無しレオタードかつ胸元からおへそにかけてぱっくりと開いたコスチュームに身を包む、八百万さんに比べたらまだマシだけども。
「始めようか有精卵共!!!戦闘訓練のお時間だ!!!」
緑谷君が来て全員揃った所で、オールマイトの声が響く。
「今日行うのは、屋内での対人戦闘訓練さ!!君らにはこれから、敵組とヒーロー組に分かれて2対2の屋内戦を行ってもらう!!」
「基礎訓練もなしに?」
「その基礎を知る為の実践さ!状況設定は、敵がアジトに核兵器を隠していて、ヒーローはそれを処理しようとしている!ヒーロー側は敵を捕縛するか核兵器の回収。逆に、敵側はヒーローを捕縛か核兵器を守り切る。これを、制限時間10分以内に達成したチームの勝利だ!!」
随分とアメリカンな設定を、堂々とカンペを見ながら話す平和の象徴の姿は、とてもシュールだけどとても可愛かった。コンビと対戦相手の組み合わせはクジで決めるらしく、用意された箱から順々に引いていく。
ヒーロー側 ヴィラン側
一回戦 A緑谷&麗日 vs D爆豪&飯田
二回戦 B轟&障子 vs I尾白&葉隠
三回戦 H蛙吹&常闇 vs J切島&瀬呂
四回戦 G上鳴&耳郎 vs C八百万&峰田
五回戦 E兵壮&芦戸 vs F砂藤&口田
「それでは、敵チームは先に入ってセッティングを!五分後にヒーローチームが潜入でスタートする。他の皆はモニターで観察するぞ」
こうして始まった対人戦闘訓練。大方の予想通り、一回戦から大荒れだった。
爆豪君が緑谷君を強襲した事から始まり、建物の損壊を気にしない爆豪君の広範囲爆発攻撃と右腕を犠牲に一階から屋上まで貫いた緑谷君のパンチ。核を背にした飯田君に向かって、緑谷君が破壊した床の破片を柱で打つ麗日さん。
最後は、麗日さんが目標に触れてヒーロー側の勝利になったけど、これは訓練だからこその勝利で、実践だったらどこかで核が爆発してても可笑しくない。医務室に運ばれた緑谷君以外の三人が戻って来てからの講評で、八百万さんがより詳しく解説してくれた。
「じゃあ、行ってくるね!!」
「うん、頑張って。大けがしないようにね、透」
拳をコツンと合わせて、尾白君と一緒に指定された建物に向かう透を見送る。相手は、特徴的な髪型をした複数の腕を持つ障子君と体の左半分を氷に覆わせた轟君。正直、見た目だけならヒーローとヴィランが逆な気もする。勝ってほしいけど、一回戦が大荒れだったから無事に帰って来て欲しい。
「尾白くん、私ちょっと本気出すわ。手袋もブーツも脱ぐわ」
「うん・・・(葉隠さん…透明人間としては正しい選択だけど、女の子としてはヤバいぞ、倫理的に…)」
「大丈夫、ちゃんと服着てるから!!」
「…そうなんだ」
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