ロボ子のヒーローアカデミア   作:あならなあ

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第八話「かっちゃんとロボッ子、その半歩」

 

 

 

「あ~、オールマイト先生の初授業、変に緊張して変に疲れた~」

「カンペ有りで新米感凄かったけど、話は含蓄があって、流石No.1だったね」

 

 訓練が終わり、更衣室でヒーロースーツから制服に着替えている私達A組女子一同。皆、それぞれ思い思いに今日の訓練について話している。

 

「でもでも、まさか初っ端から壁登りさせられるとは思わなかったよ」

「あれは、私と芦戸の個性だと、二人して正面戦闘は危ないと思ったから。危険な事させてごめん、手大丈夫?」

「平気平気~、この程度ならすぐ治るし、いい経験になったよ」

 

 芦戸が、手をヒラヒラさせてニッと笑う。

 砂藤君はバリバリの肉弾戦派で、口田君も個性が封じられてしまえば近接にならざる終えない。私も、あのシチュでは屋内で銃火器を使う訳にはいかない。

 そんな状況で、芦戸の個性である酸は兼ね合いが悪すぎた。だから、彼女には外壁をちょっと溶かして取っ掛かりを作りながら、核のある部屋まで登攀して貰う事にしたんだ。一応、落下してしまった時様に、ブラックウイングを待機させて。

 後は訓練の結果通り、私が二人を引き付けきった所で、芦戸が外壁から侵入して核を確保といった流れだ。

 

「そういえば、何で昨日のテストの時、体の一部だけしか変身させなかったの?今日みたいに全身だったら、もっと良い記録出せたんじゃない?」

 

 耳郎が、制服のボタンを留めながら聞いてくる。

 

「それは、八百万のスーツに露出が多いのと似た理由かな」

「私の···そういう事ですか」

「どういう事なん?」

「簡単に言えば、服が破けて素っ裸になる」

 

 私の個性は、あくまで私の細胞だけに作用する個性。なので、普通の服を着た状態で今日みたいな変身をすると、下着事引き裂いて、解除した時には何も着ていない産まれたままの姿を晒す事になってしまう。

 私のスーツは、私の細胞を培養して作られた特注の繊維が使われている。だから、スーツにも個性を作用させる事が出来て、安心して今日みたいに全身を変身させる事が出来るのだ。まぁ、緊急事態だったら、何着てようが変身すけど。

 

「因みに、私のスーツもおんなじ技術が使われてるんだよ~」

 

 そう言って、映画で女スパイが着ている様な黒いピッチリスーツを掲げる透。あれも、透の細胞を培養した素材で作られていて、透明になる個性をスーツにも反映させる事が可能になったんだ。手袋と靴は、平常時に居場所を知らせる役目で、透の細胞は使われていない。

 

「私は、もし破けてしまっても、その場で創造してしまえるので良いのですが、兵壮さんはそういう訳にはいきませんものね」

「強い個性にも色々あるんだね。不躾な事聞いてごめんね」

 

 手を合わせて謝る耳郎。確かに、テストで手を抜いた様に見えるからね、仕方ない。まぁ、本当に手抜きだったら相澤先生に除籍処分だっただろうけど。

 

 

「もう暗いよ、耳郎。そうだ、この後反省会しようよ」

「いいねー!!男子も誘ってみんなで反省会しよ!!」

「私はちょっと相澤先生に話があるから、後で合流する。そんなにかからないと思うけど、先に始めてて」

 

 そう言って、皆を更衣室に残して職員室へ向かう。まぁ透は、反省会の前に障子君の対応だろうから、頑張って。

 

 

「という訳で、御相談に来ました」

「何がという訳なのかは知らんが、なんだ?」

 

 自分のデスクで書類仕事を相澤先生が、手を止めて怪訝そうな顔を私に向けてくる。

 

「Oh首席ガール、二日目にして早速呼び出しか?!」

「うるさいぞ、山田」

「違います、マイク先生。放課後、個性の自主訓練をしたいと思っているので、体育館等の使用許可をどう取ればいいのかと、許可取りや使用する時の注意点を、相澤先生に聞きに来ただけです」

 

 給湯室から、コーヒー片手に戻ってきたマイク先生のジョークを鬱陶しげにあしらう相澤先生。私も、問題児と思われてもアレなので、さっさと目的を話す。

 相澤先生がマイク先生に目配せすると、マイク先生がコーヒーを置いて出入口横にあるBOXから、一枚の紙を持って戻ってきた。

 

「HEYリスナー、こいつがお望みの申請書だぜ!!」

「それに、必要事項を書いて前日までに提出しろ。基本は俺だが、居なければ他の先生が許可不許可の判断を下す。許可が降りたなら、当日の放課後に訓練場所の鍵を受け取りに来い」

「暴れすぎて施設壊しまくると、お説教に反省文+一定期間申請禁止になっから気ぃ付けろ、リスナー」

「授業に支障をきたさない程度に励め、いいな」

「はい、ありがとうございました」

 

 そう言って頭を下げ、マイク先生から用紙を受け取り、職員室を出て教室へ戻る道を行く。丁度、生徒玄関前を過ぎた辺りで、見慣れたツンツン悪役面こと爆豪君と出くわした。

 あのプライドの塊で自信に満ち満ちていた顔が、ポッキリ折れて絶望の色に染まっていたのに驚く。

 

「爆豪君は、もう帰り?皆との反省会には参加しないの?」

「···ぁあっ?ロボ女か、しねぇよんなもん」

 

 悪態は変わってないけど、覇気がない。うつむいたまま、私の横を通りすぎるなんて、昨日までの彼から考えられない。

 

「緑谷君に負けたのがそんなにショック?今更、自分より凄い人達と出会って自信喪失?私に入試で負けて、昨日のテストでも四位だったくせに?」

「テメェ、ぶっ殺されてぇんか!!」

 

 あからさまな挑発に、手から小規模の爆発をさせながらの恫喝も、正直ポーズだけみたいで何も感じない。

 

「···私、来週辺りから放課後に自主訓練始めるつもり。その時なら、いつでも相手になる。思う存分かかってきなよ、返り討ちにしてあげるから」

「ッ!!······チッ、その言葉忘れんなよ」

 

 顔を上げ、驚愕の顔で私を睨み付けるも、舌打ちして去っていった。なんというか、漸く彼が私を有象無象ではなく一人の人間だと認識してくれた気がした。明日は、もう少しマシな顔を見せてくれるかな。

 私は、さっきよりも背筋の延びた背中を見送ってから、教室に向かおうとしたら、包帯ぐるぐる巻きの右腕を吊った緑谷君が階段を足早に降りてきた。

 

「へ、兵壮さん!かっちゃん、見なかった?!」

「かっちゃん?···ああ、爆豪君なら今さっき玄関から出ていったよ。まだ、間に合「ありがとう!!」うんじゃ···」

 

 急いで駆けていく緑谷君。二人は知り合いっぽいし、何も起こらないと思うけど、私が関わる事じゃない。

 さぁて、教室で皆と楽しく反省会だ。

 

 

「おかえり~、纒ちゃん。障子君に、明日お昼ご馳走してもらう事で決着しました、長かった~」

「俺としては、その程度で釣り合いが取れてるとは思えないんだが」

「も~、事故なんだから、これ以上引き摺られてもこっちが恥ずかしいの!!」

「しかし···」

「障子君、透って見た目によらず結構大食いだから、覚悟しといた方がいいよ」

「纒ちゃん程じゃないよ!!!」

 

 こうして、色々あった雄英高校二日目も終わった。

 この時の私達は、こんな日常が続いていくんだと欠片も疑問に思っていなかった。災厄の足音は、すぐ側までやって来ていたのに。





家の葉隠は、何故か障子とフラグを立てているのだろうか。別に、尾白君が嫌いな訳じゃないです。

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