GATE〜自衛官 斯くして彼の地にて、ASで駆けり   作:とりマヨつくね

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言い訳はしない。ただ、身体が闘争を求めてしまったんだ……!


存在しないはずのモノ

『ばっかじゃないの〜?』

 

 テレビのスピーカーから、そんなロゥリィの声が聞こえた。

 

「や、やってるな〜」

 

 克人は頰を引き攣らせながら、テレビを見ていた。

 現在、国会での参考人招致の様子がライブ中継されているのだが、もう何から何までおかしかった。

 克人はもう慣れていたが、異世界人と現代の人間の価値観ってここまで違うんだな〜と再認識させられた。

 

『のんびりラジオを聞いているなんていいご身分だな』

「仕方がないだろう。やることないんだから」

 

 先日の横浜での一件の疲れがまだ取れていないのか、時々大きな欠伸をしながら絹田にいう。

 テロリストのアジトは無事制圧され、構成員の大半は捕縛された。

 ただ彼らのリーダー格にあたる人間は発見もされておらず、おまけに米国の介入もあるだろう。 

 全くもって油断の隙を許されない状況である。

 

 

『ほら、お前ら喧嘩はそこまでにしろ。もうすぐ終わるから次のポイントに移動するぞ』

「はいはい、わかってますよーだ」

「了解」

 

 小村の鶴の一声で、二人は返答して伊丹達のルートを先回りをする。 

 そして後に下村克人は語る。

 

 ───────今日のことはできることなら二度と思い出したくない、と。

 

数時間後。

 

「『『ねえ、なんであの人たち地下鉄で移動してるの!?』』」

 

 克人と絹田、そして小村は一斉にツッコミを入れる。 

 元々、マイクロバスでそのままホテルへ向かう筈だったのに、何故か予定とは全然違うルートで移動している。

 一応、柳田から仕事であることを忘れるなと釘をさされているはずだが、それにしてはあまりにも呑気すぎる。

 更に達が悪いのが、妨害を受けたかと言って地味に上手くいっていることだ。

 

『しかもあっちこっち寄り道するもんだから、情報が錯綜してやがる!?』

『お、おお、おおおおおお落ち着けよ。こっちが混乱したら、あちらさんの思う壺だぞ』

「隊長が一番落ち着いてくださいよぉ!」

 

 見ての通り、各方面に様々な問題が発生して身動きが取れない。

 とりあえず分かっているのは、米国のASらしきものの姿が確認されていること。

 流石に街中で暴れるとは思えないが、人気のないところで待ち伏せでもされたらたまったものではない。

 だからと言ってこの場を離れなれない。

 

「とりあえず今夜は待機するしか──────────」

 

 その時だった。

 腹の奥底から冷え切るような感覚が全身を駆け巡った。

 

「離れろ!」

 

 咄嗟に叫びをあげ、<レイヴン>は飛び上がりその場を離れた瞬間、元いた位置に爆発が起きた。

 

『な、なんだぁ!? アラートが鳴ってなかったぞ!?』

「絹田、落ち着け。敵は……上か!」

 

 予測していた通り、視線の先には一体のASが月明かりにその身を晒していた。

 剣のように鋭く尖ったフォルムに、黒いボディ、そして狩人を思わせる頭部が特徴的な機体だった。

 そしてその右手には、グシャグシャに潰されていたM9の頭部が握られていた。

 

「なんだ……あの機体?」

 

 あんな機体、原作でも外伝も見たことがない。

 一見ロシアの第三世代の<シャドウ>のカスタム機に見えるが、それにしては改良を加えられ過ぎている。

 それにたった一機で、一小隊分の前に姿を現したのも不可解だ。

 武装だって腰のククリナイフ型の単分子カッターしか装備されおらず、とてもではないが先ほどの爆発を引き起こす武装はないように思える。

 内蔵火器の可能性もなくはない。それにしたって、あれほどの威力は出せない。

 

「一体、どんなカラクリが……」

『関係ねぇ! 敵性ASを発見。発砲許可を』

『許可する』

 

 小村の合図に、絹田機がライフルを発砲する。

 黒いASは倒れるように落下する。

 すぐにライフル弾が追跡するが、身をよじらせ弾丸が当たることはない。

 

『なんつう、姿勢制御だよ!?』

 

 黒いASは懐に入り、固めた拳を絹田機に向けて放つ。

 速い。だが決して見えないわけではない。

 絹田機は防御の構えを取り、迫ってくる弾撃に備える。

 そして拳と装甲が接触した瞬間、あり得ないことが起きた。

 絹田機の左腕が、ガラス細工を壊すように呆気なくバラバラに砕け散った。

 いくら機動力に重きを置いた第三世代の中でも、<レイヴン>の装甲は厚く、決してパンチ一発程度で壊れるほど脆くない。

 それを、こうもあっさりと……

 

『なんていうパワーなんだ……』

 

 違う。

 決してあれをただのスペックだとか、テクニックだとかで説明していいはずがない。

 あれではまるで───────────

 

『クソッ、よくも絹田を!』

 

 小村機はショットガンを投げ捨て、十式単分子カッターを抜刀する。

 

「ダメだ、隊長ソイツは……!」

 

 克人の制止を待たず、小村機は黒いASに向かって突撃する。

 黒いASはゆっくり振り返り、手をかざす。

 すると『見えない力』が衝撃波となって、小村機に襲いかかる。

 

『グオぉ!?』

「グッ……!?」

 

 <レイヴン>の巨体をあっさり吹き飛ばし、数キロに及んで吹き飛ばされた。

 その威力を見て、疑惑は確信へと昇華される。

 

「ッ! やっぱり……ラムダ・ドライバ!!」

 

 あり得ない、だが決して夢などではない。

 失われたはずの、世界を捻じ曲げた兵器が今そこにあった。

 

 

 

 

  




次回『悪魔と狩人と悪夢は同期する』
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