GATE〜自衛官 斯くして彼の地にて、ASで駆けり   作:とりマヨつくね

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異世界人との交流

 今回の炎龍の襲撃は決して被害を少なく、大勢の死者が出た。

 生き残った者は主に三つのグループに分かれた。

 一つ目は近隣に住まう身内や親戚に頼るグループ、二つ目は誰も知らない土地で新たな生活を送るグループ、そして……身内もいない子供や老人達のグループ。

 このグループはエルフ同様、自衛隊が保護することになった。

 その際、例のゴスロリ少女もついてくることになったのは予想外だったが、伊丹は同伴を許可した。

 そんなわけで現在、克人は村人達の仮住居の建設を手伝っていた。

 だが当の克人と言うと、

 

 

『ぐすっ……お、俺の、俺の96式がぁ……!』

 

 

 PS<ダイダラ>を巧みに操作しながら、盛大な嗚咽を漏らしていた。

 先日の炎龍との戦いで、克人が乗っていた96式は大破してしまい、正式に廃棄が決まってしまったのだ。

 新たなASは配備されるものの、自身の乗機がなくなってしまったことは相当のショックだったようだ。

 

 

「ほら、そこ! 手が止まってるわよ!」

『だ、だって〜!』

「だってもクソもない!」

 

 

 栗林に一喝され、克人は少しだけ作業ペースは上がったが、やはり本調子は出ていないようであった。

 

 

「まったく……これだからオタクは……」

「オタク……? それは一体、どう言う意味だろうか?」

 栗林の呟きが気になったのか、隣にいたローブ姿の少女が話しかけた。

 彼女の名はレレイ・ラ・レレーナ。賢者カトーの元で魔法を学んでいる魔導師、だそうだ。

 頭脳明晰で初めて見る科学技術に興味を持ち、積極的に関わってくれる。

 

 

「え? ええと……」

 

 

 栗林は顎に手を当て、悩む。

 いざこうして考えてみると、栗林自身、オタクというものを理解していなかった。

 そもそも彼女は対して思考せず、脊髄反射で「キモオタ死ね」と言っているため、実際のところ、そんなにオタクのことを毛嫌いしているわけではない。

 散々悩んだ挙句、彼女が出した答えは──────

 

 

「特定のものに執着する人?」

「なるほど」

 

 

 なんとも曖昧な回答に、レレイはひとまず納得したようだ。

 

◇ 

 

 

「ああ〜疲れた」

 

 

 克人は久方ぶりの湯船に浸かり、体をうんと伸ばした。

 愛気を失った悲しみの中で仮住居の建設は辛かったが、おかげで村人達とも友好的な関係を築くことができた。

 特にレレイとは仲良くさせてもらっている。

 表情こそ乏しいが話してみると、いい子だし、物わかりいいし、真面目で可愛いし……あれ? この娘、完璧ではないか?

  

「今度、訓練機に乗せてやってもいいかもな」

「お前、ああいう子がタイプか?」

 

 

 克人の呟きに返す言葉があった。

 

「うおぉ!? 伊丹隊長、いるんだったら言ってくださいよ!」

「悪い悪い、驚かせるつもりはなかったんだ。で、実際どうなんだ?」

「え? まあ、好みちゃ好みですけど……あの子16歳ですよ。ロリコンですよ」

「だよなぁ……」

 

 

 いくらオタクといえど、大人としての弁えは持っている。

 そこで会話は途切れ、場の雰囲気が変わった。

 ここからが本題であるというのが、伊丹の真剣な表情から克人は理解した。

  

「これまだ他の隊員に言ってないんだけどさ、実はうちの行動範囲が増えるみたいなんだよね」

「別に妥当じゃないですか。まともに異世界の住民と関わったのは、俺たち第3偵察部隊だけなんですから」

「そうなんだけどね〜……」

 

 

 何かが引っかかるようで、伊丹は天井を仰ぐ。

 

「どうやら今回はASが使えないみたいなんだよ」

「え?」

 

 

 克人は思わず声を漏らしてしまった。

 てっきり今回の炎龍の被害を考えるなら、第三世代型のASの使用許可も取れると思っていた。

 それなのに何故、今更……

 克人が色々と考えを巡らせていると、伊丹がため息交じりに言葉を続ける。

 

 

「どうやら今回の炎龍の件が、野党側に批判的に捕らえちゃったみたいで。だからASは使えないみたいなんだよ」

「そうですか……でもそうなると、俺たちはどうなるんですか? 待機ですか?」

「ああ……多分、そうなるんじゃないかな」

「マジかぁ」

 

 

 お留守番を宣告され、克人は湯煎に全身を沈めた。 

 

 




次回『嵐の前の静けさ』
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