GATE〜自衛官 斯くして彼の地にて、ASで駆けり   作:とりマヨつくね

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ただいま、東京

 

  

 イタリカの戦いが終結し、異世界の生活にようやくひと段落がついた頃。

 帰ってきて早々に、第一小隊の面々が集められていた。

 

「君たちには伊丹達の護衛をしてもらいたい」

 

 柳田二尉が最初にそう語った。

 無論それだけで理解できるはずもなく、絹田が恐る恐る手を上げる。

 

「えっと……具体的にはどうしろと?」

「うむ、実は先日伊丹に国会から参考人招致がかかったんだ。それに合わせて、お前達には先手を打ってもらいたい」

「先手とは、つまり密航者(ネズミ)を狩ってこいってことでいいんだよな」

「そういうことだ」

 

 小村が柳田が考えていることを理解し、その内容を代わりに代弁した。

 それを聞いて、克人と絹田はゴクリと喉を鳴らした。

 密航者。どの国にでも必ず存在し、様々な理由で表向きには国を渡れない人間達。

 二十一世紀になった今尚、社会的な問題であるがただの密航者程度なら警察の仕事のはずだ。

 そのはずなのにわざわざ自衛隊が出動するということは、それが『ただの密航者』ではないということだ。

 すなわちテロリストだ。

 元の世界では分からないが、この世界の日本では原作二巻で起きた巨大AS<べへモス>事件以降、テロへの取り締まり及びそれへの対応が大きく変化した。

 そのうちの一つにあるのが、

 

「お前達にはテロ組織拠点への奇襲を行ってもらう」

 

 

横浜沿岸部

 

 

「なあ……寒すぎやしないか? なんで俺たちこんなところで待機しなきゃいけないんだよ?」

「文句を言うなよ。アルノルトの旦那には、ここに潜伏するように言われてるんだから。もし命令違反でもしてみろ、タマァ取られちまうぞ」

「ひぃ、怖い怖い」

 と、掛け合いをしているのはアルノルトが率いるロシアの特殊部隊の構成員だった。

 彼らに共通している点は、アルノルトを除く全員が犯罪者であることだ。

 傷害罪は当たり前のことで殺人、放火、爆発物所持など犯罪のバーゲンセールとでも言わんばかりの経歴である。

 本来なら死刑になるはずだが、皆『とある研究』への適性が高かったため、それらを実験をするため試験的に創立されたのが彼らの部隊だ。

 

「まあ、いいじゃねぇか。次の日の夜には、女の温もりと一緒に眠れているだろうさ」

「お、いいな! うまい酒でも飲みながらな!」

「おいおい、お前らとんだ変態だな」 

 

 そんな呑気に話していると、突如爆発が起きた。

 

「なんだ!?」

「馬鹿か、敵襲に決まっているだろ! クソッ、日本は平和な坊ちゃん嬢ちゃんが住む腑抜けた国じゃなかったのかよ!」

 

 流石は現役の軍人だと言うべきか、すぐに冷静になり、起きたイレギュラーに対処しようと持ってきた〈サベージ〉に乗り込む。

 倉庫の扉がX状に切り裂かれ、それは姿を現した。

 それはASだった。両肩に見たことがない装甲が装備し、右手に十字槍が握られていた。

 腰には十式単分子カッターを二本帯刀しその出立ちは、極東に古くから伝わるサムライ

 独特のオリーブ色の機体カラーと、肩部にある三つの足を持ったカラスのエンブレムを見て、男たちはそのASがどこの所属かをすぐに理解する。

 

「ジエイタイ!? それに〈レイヴン〉!? なんでだよ、なんであっち側が攻撃してくるんだよ!?」

 

 そんな男の一人の叫びが聞こえたのか、自衛隊のASは外部スピーカー越しから青年の声が答える。

 

『テロリスト全員に告げる。ただちに武装を解除し、投降せよ。さもなくば実力行使で制圧を行う。もう一度、告げる。ただちに武装解除し───────』

 

 無論、そんな要求を男たちを聞き入れる筈がなく、〈サベージ〉達は一斉に制圧射撃を行う。

 先手は取られたものの、臆さず接近して中央にいた〈サベージ〉の頭を十字槍で貫く。

 勢いのあまり倒れる〈サベージ〉を足場に、〈レイヴン〉は更なる跳躍をする。

 

『馬鹿が! 自分から飛びやがったな!』

『俺たちの技術を舐めるんじゃねぇ』

『死にやがれぇ!!』

 

 そう言って〈レイヴン〉に銃口を向け、指をかけていた引き金を引いた。

 指向性を帯びた暴力の雨が、〈レイヴン〉を囲んだ。

 確かに本来なら、このまま為すすべなく蜂の巣になっていることだろう。

 だが彼らは知らない。

 〈レイヴン〉がなぜその名を冠していることを。

 両肩の装甲、いやその中に眠るアジャイルスラスタが火を吹き、踊りを踊るかのような華麗な動きで弾丸を躱しきった。

 

『なっ!?』

 

 これには驚きせざる得るしかなく、一瞬弾幕を張る手を止めてしまう。

 その隙を見逃さず、〈レイヴン〉は加速したまま〈サベージ〉の懐に入る。

 腰に下げる鞘から銀の一閃が放たれ、ライフルを構えていた両腕が肩から外れる。

 即座に反転と同時に身を低くさせ、もう片方の刃を抜いてその先にいる〈サベージ〉の両足を切り裂く。

 この間、僅か三秒。

 一体何が起こったか理解できないまま、二機も戦闘不能になった。

 ゆっくりと〈レイヴン〉は立ち上がり、最後に残った〈サベージ〉と相対する。

 

『一体……お前は、お前は何者なんだあああああああ!?』

 

 最後に残った〈サベージ〉のパイロットは錯乱し、唯一の格闘武装であるヒートハンマーを取り出して向かっていく。

 〈レイヴン〉は動こうとしない。

 それを慢心と捉えたパイロットは、ヒートハンマーを様々な思いを乗せて振り下ろす。

 しかしそれは決して届くことなく軽くいなされると、横一文字切りで胴体が真っ二つに引き裂かれ機能を停止した。

 

 

 

 

 

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