羂索とイチャラブしてたら世界が平和になった話 作:フロッグマン
ひとまずこれで終わりです。
読んでくれてありがとうございます。
「はあ〜」
羂索は大きくため息を付く。
「宿儺の器の親になる予定の彼が、ここまで好き物だとはね…」
そう呟きもう一度大きくため息を吐いた。
羂索の計画の1つ、それは宿儺の器足り得る存在を意図して生み出し、それに宿儺を受肉させる。
その計画のため、羂索は何年もかけ、強力な個体が生まれるよう婚姻関係を操作し、結果生まれたのが最高傑作である虎杖仁である。
天与呪縛や、呪力による身体強化など、を除けば、最強の強度を持った人間といえる。
そんな最強の男を種としつつ、自身が母体となり最終調整を行い宿儺の器を産み落とす。
それが羂索の計画した宿儺復活のプランだった。
ただ、肝心の虎杖仁がろくなやつでは無かった。
仁が生まれた地域は仙台と言いながらも人口の少ない、俗にいう村社会。
結婚相手にこちらが調整した女性を押し込むのは造作ないはずだった。
ただどういったわけか、虎杖仁は好き勝手行動を開始、最終的にはあまり勉強をしている様子は無かったが、余裕で東京の大学に進学。
東京へ移動し、青春というには爛れた学生生活を送っている。
結果、仁は完全に羂索の想定を外れた動きをしてしまっていた。
羂索が相手として用意、調整してきた女性とのお見合いをねじ込むことはできたものの、顔すら合わせずお断り。
一時期は女を取っ替え引っ替えしていたので、特定の女とくっついたタイミングで、その体を乗っ取るでも良いかと考えていた。
結局特定の女性とくっつくことはなく、最近は女性との付き合いも控えめになっている。
「さすがに、もう時間がないな」
そう言ってもう一度大きくため息を吐く。
想定では此方が用意した女性と既に仁が結婚しており、乗っ取り子供を作る予定の時期だ。
残念ながらここから数年はシビアにスケジュールが詰まっている。
これ以上、計画を遅らせることはできない。
羂索は自身の体を確認するように姿見に目を移す。
そこには黒髪で、クールな女性が写っていた。
女性にしては高身長な体、芯の強さを感じる顔に短く切られた髪型、ふくよかな胸部と臀部、全てが美しく均衡が保たれていた。
ただ、その美しい容姿に一本、額の部分には目立つ裂傷が走っていた。
本来なら著しく容姿を損なうきっかけになりそうなその傷だが、彼女の場合、その優れた容姿と絶妙にマッチし、ミステリアスな美しさを引き立てていた。
「ああ、面倒くさいが、まあやるしか無いね。
容姿はまあ良し、服装はこれで大丈夫だよね。最近の若者のファッションは分からなくてなあ。」
鏡の中の新しい自分の容姿をそう評し、面倒くさそうに、はあともう一度大きく息を吐いた。
この素体は一度仁にお見合いで振られた存在だ。
ただ、持っている術式も強力で素体としての価値も高い、早々に代わりは用意できない。
結果羂索が選んだのは大幅なイメチェン。
長かった髪はバッサリと切り、胸部や臀部も男好みにできる範囲で改造した。
事前の調査で、仁は髪が短めの女性が好きという傾向も確認できている。
勝率は高くないがやらないよりはマシだ。
これで無理だった場合、仁に催眠をかけるなどして手に入れる必要が出てくる。
ただ、手間がかかるし、周りからは怪しまれる。
諸々の手回し、根回しは面倒だし、今後大きく動くことが増えるため、今の時期余り目立つことはしたくないのが正直な感想だ。
自身の制御下を離れたとはいえ、仁は羂索にとって大切な素体だ、ある程度行動を補足し、観察は続けている。
仁のスケジュールだと毎週のこの時間はバーで酒を飲んでいるはず、そして此方で調節し、今日は仁が一人で行動するはずだ。
「はあ、面倒だ。さっさと子供を作って計画を進めないくては」
そう一人つぶやき、薄手のシャツを羽織った。
虎杖仁に取り入るという目標は驚くほどすんなりとうまく行った。
最近は言いよる女性をあまり相手にしていない仁にしては珍しく、此方の誘いに乗ってきた。
それどころか、積極的に口説いて来たくらいだ。
恋愛に関しては良く言えば保守的な、悪く言えば古臭い考え方をしている羂索としては今回は顔合わせ、連絡先の交換をし、次のデートの約束ができれば御の字、と考えていたが…。
結果としては現在、お目当ての男は横で眠っている。
昨日の夜のことを思い出すと、ゾクリとした感覚が体、特に下腹部一体に広がる。
昨晩は随分と愛されてしまった。
羂索は男として、女を孕ませたことも、女として子供を孕んだこともある。
しかし、あくまで目的は子供を作ることであり、性交は目的を達成するための手段でしか無い。
基本的に此方が主導権を握っているため、それは義務的な、必要最低限のものが常だった。
しかし、昨日の夜は違う。
仁との性行為はあくまで手段でしか無いが、せっかく取り入ることができたのにへそを曲げられても困る。
特に男は些細な心境の変化で、立つものが立たなくなる面倒くさい生き物だからな。
羂索自身は体を色々と弄ってはいるものの、所詮は人間の体。
痛みや快楽はどうしても感じてしまう。
特に痛みに関しては戦闘の多かった羂索としては慣れきっており、いくらでも耐えることができる。
しかし、快楽に関しては慣れておらず、耐えようと思って耐えられるものでもない。
更に相手の虎杖仁はかなり女性経験が多く、そういった行為に精通している。
あまり逆らわず、流れに身を任せていた結果、仁に随分と可愛がられてしまった。
羂索自身そういった方面の知識が不足しており、与えられる快楽に終始混乱し、後半は恥ずかしいことにかなり感じてしまっていた。
「まあ、良い。間違っていないはずだ」
脳裏に浮かぶ、昨日の淫靡な光景を振り払い、少し頬を赤らめさせながら言い聞かせるようにそうつぶやく。
生物の常であるが、強力な生き物ほど生殖能力が弱くなる。
羂索によって何代にもわたり婚姻関係を操作し生み出された仁にもその影響は出ており、避妊率はかなり高くなると予想できる。
それは、仁の何代か前から発生していた現象であり、現に仁も一人っ子である。
仁の子供を孕もうとするなら、それだけ多く体を重ねる必要がある。
初回からこれだけ体を重ねてもらえたなら上々だろう。
羂索はのんびりと腰掛け、眼下の景色、特級呪霊の生得領域を眺める。
「はあ、新人の3人を特級案件に派遣とは、私がいなくなってしばらく立つというのに、相変わらず呪術界は腐っているな」
そうつぶやくと、もう一度、一際大きなため息を吐く。
暫くの間、具体的には今後100年ほど、呪術界から手を引く、そう決めてから10年以上立つ。
訳あって、最近再び関わるようになったが、相変わらず腐っていて居心地が良い。
子供を預ける環境としては最悪ではあるが…。
今ではすっぱりと、諦め、天元の同化を防ぐのは次の500年と決めている羂索だが、数年前までは結論が出せずにいた。
特に2005年くらいだろうか、その頃が本来の計画に戻るデットラインだった。
だから仁に相談した、というか、向こうから聞いてきた。
あいつ、普段は間抜けそうな面をしている癖に、なんだかんだ色々と考えている。
やつの事業が好調なのはもちろん、やつが投資した企業やら何やらは軒並み成長しているのがその証拠だろう。
仁の詳しい分野では、長い人生経験がある私でも足元にも及ばない。
そんなあいつが一番よく見て、観察しているのが、私のことだ。
私がなにか隠していることなどお見通しなのだろう。
だからぼかしつつ、正直に話した。
昔からずっと、目指していたことがある。
このまま仁といてはその目的が達成できないこと。
ただ、仁や悠二、香凜のことを愛しているから悩んでいると。
思い返せば仁に明確に愛していると伝えたのはあれが初めてだった。
今思い返すと滅茶苦茶恥ずかしい。
「そうか、諦めたくないことか…。たしかにね、俺はたまたま2回目のチャンスをもらえたけど、誰でも次があるわけじゃないからね。
わかった、目指したらいいと思う。そこまで大切な目標があるなら、それを諦めたらきっと後悔すると思う。ただ、偶にでいいから顔を出してほしい。悠二も、香凜も後俺も、香織のこと大好きだから。」
そう言って悲しそうに下を向く仁を見て天元の同化を阻止するのは次にしようと決心した。
私は何度でも人生のやり直しが聞く、そんな私の事情で彼をや子どもたちを悲しませるのは今の私には無理だと気がついた。
ほんと、らしくないことをしているな。
その日の晩は大いに盛り上がった、多分悠介ができたのもその頃だからあの日だろう。
それから色々とあった、
あいつが喧嘩したとかで血まみれになって帰ってきた日もあった。
友達とか言って術師を紹介してきて、此方が術師とバレないように必死になったこともあった。
悠仁、香凜、悠介、詩織、4人の子供に恵まれ、幸せだった。
色々なことがあったがあいつと一緒にいることを後悔したことも、退屈したこともない。
いい年だというのに、未だに毎晩かわいがってもらっているし…。
「随分と恥ずかしい記憶を思い出してしまったな。ああ、恥ずかしい。
お、領域が閉じたな。」
恥ずかしそうに頬を赤らめた羂索の眼下で、展開されていた生得領域が閉じる。
そこから現れた息子が、伏黒とかいう同級生のもとに動く。
早すぎるその動き、羂索の目にはその移動の軌跡が写っていたがとても今の息子ができるものではなかった。
つまり、羂索の想定していた最低が発生してしまったということだ。
「小僧を人質にする」
そう言って心臓をくり抜いた息子を見て、はあ、と大きくため息を吐く。
せっかく丈夫に産んで上げたのに手間を賭けさせる。
まあ、私の想定通りの強度で生まれてきたことに、いささか鼻が高いが…。
ただ、自身の意図しないところで利用されては不愉快だ。
身構え、移動を開始する。
バレたら後が面倒だ、顔を隠すようにお面をつけ、その上からフードをかぶる。
「なんだ、もう仲間が来たのか。」
そう言って、息子の体を奪った宿儺が振り返る。
「っつ、民間人の避難は済んでいたはずじゃ無いのか、逃げてください。」
伏黒の態度を見て、術師では無いと判断した宿儺は興味を失ったのか再び伏黒に向き直る。
長年術師としての気配を殺して、一般人として生きてきた羂索の擬態能力を見破るには、指3本では足りなかった。
「ふん、何だ、愚図か。」
そう言った宿儺から放たれたのは不可視の斬撃。
それは羂索の体を切り裂く直前、突如発生した重力で引き寄せられ、たち消える。
ふう、なんとかいなせたな。
久々の呪力を使った戦闘、思わず冷や汗が出る。
しかし、そんな様子は全く外に出さず、目の前の呪いの王に啖呵を切る。
「呪いの王、存分にやろう。
心臓なしで勝てるかな。」
自身の術式が打ち消されたことに驚愕し、宿儺が振り返る。
さあ、相手は3本分。
まあ、勝てるだろう。
早く勝って、帰ってやらないとあいつが不安がる。
原作中では刑務所での特級案件は羂索の暗躍でしたが本作では特に関係なく発生しています。おそらく、1年ズが送られたのも羂索の策だと思いますが、今作では原作以上に上層部と仲が悪いので彼ら仕事を押し付けられたイメージです。
羂索が仁と香織を意図してくっつけようとしたあたりは完全に想像ですが、たまたま仁が反重力の術式を持った香織とくっついたとも考えにくい。羂索はかなり緻密に計画を練って実行しているので、全ては計画通りなのかなと考えています。
ただ、この世界の主人公はさんざん女遊びして飽き始めていたので慌てて自身で皮を被って自らくっつきに行きました。
結果なんだかんだHが上手な主人公にほだされ、愛を囁かれて。
予備だと自分に言い訳して2人めを産んだ直後、主人公の解答を聞いてもう500年我慢することに決めました。
羂索ちゃんかわいい。
一応書きたかったことは終わりです。
ありがとうございました。
後は羂索と主人公のイチャイチャを書こうと思っていますが、時系列がこれ以上先に進むことはありません。
ご想像にお任せします。