真・女神転生オタクくんサマナー外伝 -ロストキリギリス- 作:名無しの骸骨
\カカカッ/
| 夜叉鬼 | キングー | Lv65 | 呪殺反射。地変・バッドステータス無効*1 |
\カカカッ/
| 鬼神族 | スルト | Lv57 | 火炎吸収。呪殺・混乱・神経無効。氷結に弱い*2 |
\カカカッ/
| 魔族 | フラウロス | Lv47 | 呪殺反射。物理・銃撃に強い。猛毒・神経に弱い*3 |
\カカカッ/
| 生物兵器 | リッパーの群れ | Lv35 |
\カカカッ/
| 生物兵器 | スウェインボールの群れ | Lv35 |
| 脳天割り | DDSAT2出典。敵単体に物理属性の大ダメージを与える。 残りHPで威力が変化し、命中率が高い |
| デモンレイヴ | DDSAT2出典。敵複数体にランダムで物理属性の中ダメージを与える。 残りHPで威力変化 |
| 鉄死拳 | DDSAT2出典。敵全体に物理属性の中ダメージと確率で呪い効果を与える。 |
| リッパーの | 敵単体に斬撃属性の中ダメージを与え、中確率で即死効果を与える。 |
| スウェインボールの | 敵単体に突撃属性の中ダメージを与え、中確率で毒状態にする。ノックバックがある |
「邪魔です」
\カカカッ/
| Lv88 | 半羅刹/剣士 | 久遠 由奈 | 耐性:凡そ全てに強く、物理吸収。火炎・氷結・ 破魔・呪殺・精神・神経・魔力・緊縛反射*4 |
\カカカッ/
| Lv74 | ガンスリンガー | 久遠 エリヤ | 耐性:凡そ全てに強く、火炎・氷結・ 破魔・呪殺・精神・神経・魔力・緊縛反射*5 |
| 物理アブソーバ | DDSAT2出典。物理属性の攻撃を吸収する |
| 雲耀の剣 | 200X出典。敵前列に万能相性物理ダメージを与える。消費MP・HPは存在しない |
| レールガン | 200X出典。レールガン付加スキル |
| 敵全体にガン相性の大ダメージを与える。このダメージは防御点で減少できない。弾数を10点消費する。 |
とある別の区画、巨大生物兵器であるトライデントによって分断された上に四神相応によって落下させられた由奈とエリヤ。二人は区画から湧き出る悪魔と生物兵器を掃討しながらも同様に分断されて、恐らく区画としては近い場所に居るフェイを探していた。
「片付いたな……って、おい由奈」
「先を急ぎますよ。あの子の位置なら大体分かります……早く、合流を」
「分かっているが、少し冷静になれ。急ぎ過ぎだ」
襲い掛かる悪魔や生物兵器を斬り捨てて、その
「明確に分断を狙っていたのは貴方とフェイだ。貴方は運良く私が傍に居たが、あの子は単独で落ちていってしまった」
「そもそもあいつには仲魔が居るだろ。単独でやられるような事は早々ない筈だ」
「それで、ラーヴァナに殺されかけたんだあの子は……!」
八つ当たり気味に襲い掛かる悪魔を乱雑に斬り捨てながら、由奈は明らかに怒気の籠めながら言葉を返す。
やはり私の提示した案の通り、引き篭もるべきだった。例えその果てに待つのが明確な衰退と死だとしても
世界の実情を見るのであれば戦い続けている事は決して無駄ではない。世界もこうして薄氷の上にて存続し、閉鎖的な半年と数カ月前に比べれば今の方が明らかにマシだ。でも、それでもフェイに戦ってほしくは、傷ついてほしくなかったと由奈は今でも思っている。
「くそっ……エリヤ、場所の目星は?」
「つかない。方角はあってるがジャミングが酷すぎて、見通す事が出来ない。徐々に近づいては来ていると思う……このままのペースで進むしかなッ……!?」
「どうしま「みぃつけた!」新手…ッ!」
| 銃貫通 | 真4F出典。相手の銃属性の反射、吸収、無効、耐性を無視する。 |
| 蜂の巣ピット | IMAGINE出典。 敵を蜂の巣にするほど、非常に多くの射撃を繰り出すが、射程距離が若干短い特技。1度の詠唱で10発分の装填を行い、敵1体に対して、射撃攻撃力に依存した物理ダメージを与える。 |
突如として頭に奔った痛みに手を当てて俯くエリヤ。その異変に周囲を改めて警戒した由奈が抜刀しようとしたその瞬間に異界の壁を突き破りながら、エリヤに発射された銃弾は10発。
| カバー | 誕生篇出典。割込行動 |
| 集団スポーツで他者カバーに入る臨機応変の能力を示す。他者が失敗した時に何らかのカバーに入る能力である。チェックに成功すれば、他のPCの行動に割り込んで自分の行動を行える。代わりにダメージを受けるのはオーケー。この場合は回避は出来ずに防御は可能。 |
| 吉祥天咒法 | 覚醒篇・マントラ出典。防御行動の際に使用できる。自分に与えられた敵の物理攻撃1回を副次効果も含めて無効化する |
| 引き | 誕生篇出典。割込行動 |
| 相手が防御した時或いは自分が相手の攻撃を防御した時に後方に跳び上がって、間合いを取り、攻撃につなげる技。判定に成功すればペナルティ修正なしで1回、攻撃できる。この攻撃の対象の回避/防御は威力分(剛剣技能値参照。値は60)のペナルティ修正を受ける。 |
| 脳天割り | DDSAT2出典。敵単体に物理属性の大ダメージを与える。 残りHPで威力が変化し、命中率が高い |
瞬時に
「はっ!効かないわよ!」【物理反射】
「物理は反射ですか」【物理アブソーバ】
斬撃は襲撃者によって反射され、その反射された斬撃もまた由奈に吸収された。由奈とエリヤより少し離れた進路にて襲撃者は立ち塞がる。
「今更名乗りは必要かしら」
「察してはいますが一応」
襲撃者が身に纏う黒いローブを投げ捨てる。長い茶髪にアサルトライフルのような銃火器を装備したPMCのような兵装。何より目を引いたのがその顔立ち。
\カカカッ/
| 超能力者 | アンナ | Lv90 | 耐性不明 |
「……アンナ」
「久し振りね、兄さん。今は姉さんって言った方がいい?」
涼やかな顔で銃をエリヤに向けるアンナに対して、エリヤの顔は酷く苦し気で向けた銃も震えている。それらを鑑みながら由奈はアンナに目を向けた。
「品川の時以来ですか。貴方とは」
「ええ、そうね。出来ればあの時あんたをやっておきたかったわ……今もこうして支障が出てる」
「そうですか。まぁ貴方の所属・立場やらはこの際どうでもいいとして、何故エリヤを狙ったんですか。貴方のお兄さんだったのでしょう?」
当然の疑問を由奈はアンナにぶつけた。推定ガイア再生機構所属の彼女があのレイドバトルにて此方を観察していたのは戦力を測るという意味合いで理解できる。だが、唯一の家族とも言えるエリヤを殺そうとするには相応の理由が必要だ
「ああ、そうか。それについては話しておかなきゃ駄目よね……端的に言えば私、兄さん殺さないと死ぬのよ」
「どういう事だ!俺に説明してくれ、アンナ……!」
「私からも具体的な説明を求めます」
エリヤにとって長年探し求めていた家族が敵となって立ち塞がっているという現状。それに対して由奈もまたエリヤの激しい動揺に理解を示していた。自身にとって言えばフェイが敵として立ち塞がってきているという状況であり、そうなれば間違いなく自身は戦意を喪失して今のエリヤよりも酷い有様になるだろう。エリヤが動揺して戦いに参加できなくとも最悪足手纏いにならなければ良いが、最終的にこの要求をエリヤが受け入れてしまえば此方に出来る事は何もない。様々な想定を頭で思い描きながら、その状況下でも対応できるように由奈はアンナに対して警戒を続ける。
「兄さん、エリヤにどういう実験がされてたかは流石に知ってるわよね。あんた達はどういう手段かは分からないけど、肉体改造されて定期的に専用の薬を飲まなければ狂って死ぬような症状の安定化に成功している。妬ましい程だわ……でもね、兄さんが受けた施術はプロトタイプなのよ」
「まさか、貴方にも」
「その通り。私には兄さんといった実験体を積み上げて完成された物が施術された。もっと効果が強く、残酷な物をね」
| 感覚暴走 | オリジナル |
| 人体改造によって常に『経験の香(経験値獲得率+100%)』を得る。鋭敏化しすぎた五感は複数の実験によって完全に喪失させられ、死亡時のレベルペナルティの効果は通常の5倍になる。人体改造に適合した者は超能力に目覚め、それと機械の力を用いて五感を補う。 |
「だから、この目もあんた達を認識してる訳じゃない。身体に埋め込まれた機械と超能力であんた達を察知しているだけ」
「そ、んな……な、なんでお前までガイアは俺と同じ実験を……ッ!」
「一つは超能力の適性が最初から見出されていたから、これがないと感覚喪失した後も何もできないからね。もう一つは私に施された天使化、それによって私はサンダルフォンの天使人となっている。要は超能力の素質があって丁度良かった。実験試してみたら上位天使の天使人で其処も丁度良かった。ああ、後は手荒れに扱っても特に口出しできる奴が居なかったのも丁度良かったかしらね。ウリックも兄さんも
「アン、ナ……お、俺は」
「別にそこに関して兄さんは恨んでないわよ。そっちもそっちで大変だったのは分かってるし、メシアに居た時の扱いも聞いてる。その時の事はごめんなさい、何もできなくて」
「そんなことはもういい…!お前が死ぬってのは何故だ…!」
「簡潔に言っちゃえば実験の後遺症って奴かしらね。当然そこまでの施術を重ねれば寿命は短くなるし、身体はボロボロになる。私のスペック自体は想定内だったらしいけど」
どこまでもあっけらかんと、何事もないかのようにアンナは語る。自身に刻まれた実験は凡そエリヤと同様の感覚鋭敏化と天使化。但し五感は喪失して、アンナがなった天使は
ガイア再生機構の構成員はそういうレベル以上の能力を持った者が多いとは聞くが、由奈の目から見てもアンナの力は能力だけなら100レベルクラスのそれに感じられた。悪魔の転生技術……デビルリユニオンだったか、彼女もまたそれを受けているのだろうか。
「残る稼働年数はメンテナンスを最大限重ねても約半年程度。何かしらの処置をしなければ其処で私は死ぬ。上も今回の周回で私を使い潰そうと思ってたみたいだけど……そこで兄さんを見つけることが出来た」
「エリヤの命を用いて、貴方の延命を行う。そう言いたいと?」
「ま、そう言う事ね。今の私の寿命、限界が来ているのは生体部品……詰まる所、私の元の身体の部位。それに一番合致するのは家族である兄さんしかいない。女になっているなら猶更ね。だから私はずぅっとずぅっと兄さんを探してた。今まで何年も十年以上も、このグルグル回り続ける世界をね」
「生体部品が欲しいのであればエリヤの肉体部位を一部切り離した上で培養。それを利用するという手立ても考えられますが」
「上がそれを考えないとでも思った?無理だったのよ、全部他のは無駄。それに移植っていうのは表現として正しくない……私と兄さんは合体する必要があるのよ。悪魔みたいにね」
「がっ、たい……?」
押し寄せる情報とそれによって齎された痛みと後悔、それに悶えながらエリヤがアンナを見た。
「サンダルフォンの名前は“兄弟”を意味するそうよ。私は確かにサンダルフォンになった、選ばれた。けど魂はそれに合致しても肉体がついてこれなかった。私が持っていたのはサンダルフォンに合致する魂だっただけで肉体は別にあったの」
アンナが冷めた眼つきでエリヤを見る。
「それが貴方なの、兄さん。預言者エリヤが生きながら死に、そして大天使サンダルフォンになるが如くね。
「そうなった場合、エリヤの意識はどうなります?」
「兄さんに求められているのは身体だけ。だから、そうね……兄さんの記憶の一部が私に刻まれて魂は消え去るんじゃないかしら。やってみなきゃ分からない部分はあるけど」
「それでエリヤがその要求を呑むと?」
「さぁ、それは兄さん次第かしら。此方の言うべき事は全部言った。大人しく私と一緒にいって、私の一部になるか……それとも抵抗した末に私に連れ去られるか。選んでよ、兄さん。出来れば大人しくついてきてくれると助かるわ」
「……そんな、嘘だ。俺とお前、どっちかしか生きられないのかよ」
「最初からそう言ってるじゃない。飲み込み悪いわね。ああいや、それは昔からそうか」
「……では私から最後に質問があります」
膝をついて蹲り始めたエリヤを後ろにやって、由奈がアンナと向き合う。
「アンナ、兄の命を犠牲にしてまで生きたい理由とはなんですか?そこまでして
「生きる理由、ね。確かにそれは大事な事よね。そう、兄さんの命を犠牲にするんだから。答えなくちゃ道理が通らないか……私は普通に生きたいのよ。学校に通って、社会に出て、結婚して、子供を産んでって感じのそういうね。貴方にならわかるんじゃないかしら、由奈」
「……酷く共感はします」
「仮に此処で兄さんの命を使ってもそれには届かないけど、猶予だけは生まれる。最早そんな普通は望めないけど、私にはウリックが居る。彼と一緒に何処までも生きるわ。それだけが私の願い……納得してくれた?」
「理解はしました。ですが、取り敢えずこの場は引いてはくれませんか。エリヤも即答は出来ないでしょう」
「その要求が通るってあんたも思ってないでしょ。でも兄さんが即答できないのは本当みたいね。残念だわ、本当」
会話の空気が止まる。アンナは銃を構えながら片手にMAGを迸らせて、由奈は太刀を抜き放ってアンナに向ける。
「ま、まってくれ!俺が死ぬだけでいいんだろう!?ならっ」
「口だけじゃ何とも言えるわよね。私の事だけ考えて生きてきたなら即答できる筈じゃない?でも、できないでしょう?それが貴方の限界なのよ、兄さん」
「ち、が」
「違わない。まぁ人間として健全でいい事じゃないかしら。私を探していたのは事実でも、それだけを考えて生きてきた訳じゃない。この世界に来てからも兄さんはそう。鋭敏化はあるけどそれは中和されて、五体
満足で平和な日々を過ごせて、隣に大切にしてくれる人がいて、ああほんと……」
アンナの顔がエリヤに向いて、口が三日月に歪む。その視線には愛情や親愛、今までの感謝、そしてそれ以上の憎悪と怒りと妬みが含まれていた。
「妬ましいわ。殺してやりたい位にね」
「アン、ナ」
「エリヤ、下がっていてください。今の貴方では足手纏いですから。此処で答えを出せないのであれば戦闘に巻き込まれない事だけ注意しておいてください」
「ゆな、俺は、どうしたら」
「それは貴方自身が決める事です。ですがあちら側につくならその時点で貴方は私の敵となります。その点はご理解を」
呆然とするエリヤを余所にアンナと由奈は互いに殺意をぶつけ合っている。周囲は静寂に満たされ、増援である悪魔や生物兵器が来る気配もない。
「あーあ、本当なら此処まで話をしてから茫然喪失な兄さんを攫うだけでよかったのに。やっぱ消しとくべきだった」
「……もう一人の男は何処にいますか」
「もう察してるかもしれないけど彼なら貴方の
「貴様」
「あはっ、どうしたの?寝取られるとか思った?すました顔が今は般若みたいになってるわよ。こわいこわい」
「……安い挑発ですね。しかし、私に向かってそういう事を口出しするのなら」
最早言葉は不要。エリヤが即答できない時点でお互いにやるべきことは決まっていた。それぞれの目的の障害、眼前に立つ女をこの手で排除する。それしか道はない。
「五体満足で帰れると思うなよ」
「そっちこそ今度こそ息の根止めてあげるから!」
互いに対する殺害予告と共に戦端が開かれる。
| スピードスター | D2出典。自身のバトルスピードへの影響が50%増加する。 |
| 先手 | 誕生篇_剛剣。反射神経を鍛え上げ、反応する。イニシアティブで振れるダイスを1ターンだけ2個増やす |
「先手は貰います」
「ッ速いわね…!」
由奈が動く。その身に宿した
| 摩利支天咒法 | 誕生篇・マントラ出典。割込行動。 |
| 摩利支天の加護を受けて、神速の動きを得る。2倍の行動ができるようになる(ラウンド毎に2回分のアクションが可能に)。移動力や回避値は変わらない。効果ターン数はマントラ技能値-10により、10ターン継続する物とする。前ターンに使用 |
そうして展開した
「成程、一筋縄ではいきそうにないわね」
| アクセラレート | SH2出典。行動回数を増加させる |
| サイコ・ブラスト | 覚醒篇・PK出典。一部強化 |
敵1体に念動力によって威力分のダメージを与える。本来は習得時に一つの属性を指定して、その属性によるサイコ・ブラストしか行えないが、複数の■■移植によってこのサイコ・ブラストは使用時に火炎・氷結・電撃・衝撃・銃撃・物理の中から一つの属性を選択し、その属性相性のスキルとして扱われる。威力はレベル×3を参照し、そのレベルによりメギドラオンの3倍前後の威力を発揮する。電撃相性と衝撃相性を選択 |
それに対してアンナが取った行動は複数回行動からの超能力、
赤黒い雷撃が命中して由奈の身体を焼いて、それで硬直した所に音すらも置き去りにした殺人の烈風が衝突する。
「半減してこれですか。それなしに2回喰らえば確実に落ちていた……」【HPメガブースタ】*6【カラミティスーツ】*7
ざっくり自身に残った
「私にもまともな補助が使えれば良かったんですがね」【宝玉】*8【韋駄天の札】*9
摩利支天の加護を用いた
「あの時と同じ回避からの反撃を狙おうって算段ね。でも、そうはいかないから」
アンナが動く。
「それはどうでしょうか?」
| 孔雀明王咒 | 誕生篇・マントラ出典。 魔法攻撃やシンクロに対して魔法回避をする際に 仏法の守護者、孔雀明王マユリの名を唱える事で発動。 回避が加護(運)で行え、判定値にマントラ技能値分の補正が掛かる。 |
姿勢を低くしながら唱えた
| 援護射撃Ⅲ | 200X出典。即時効果 |
| 銃器を装備中に使用者以外の味方一人が攻撃を受けた時に使用可能。対象は回避・防御・反撃の判定に+40%の修正を得る。この効果は1シナリオに3回まで使用可能。 |
だが、それはこの場に居る
「兄さん…ッ!」
「はぁっ……はぁっ……!」
数発の弾丸が衝撃破そのものを射抜いて、其処で発生した若干の狂いが釣り合った天秤を由奈の方へと傾かせた。
「もう少し復帰には時間が掛かると思っていました。大丈夫なのですか?」
「大丈夫とは言い難い。あいつに銃を向けると、震えが止まらない。だから援護がやっとだと思う」
「十分です。貴方はやはり頼れる人だ」
由奈とエリヤが前衛・後衛に並ぶ。由奈単独であるなら恐らくアンナに届く事はない。どれだけ回避してもジリ貧で相手も人間である以上は此方のアイテムの使用にも追いついてくるし、その総量はあちらの方が上だろう。由奈の耐性が万全故に戦いにこそなっているがじわじわと消耗戦を仕掛けられれば能力値の差によって自ずと此方が不利になっていく。だからこそ、なんとかするにはエリヤの力が必要不可欠だった。
「それ、もうこっちにつく気はないって事よね。私が死んでもいいって意思表示よね?」
「俺はお前に死んでほしいとは露ほども思っていない。生きてほしい、生きていてほしい、その為に今まで戦い続けてきたのは事実だ。だが……それでも俺の命をお前に捧げる事は出来ない」
「なんでよ!?」
「
エリヤの顔色はやはりよくない。立って銃を握っているのが精いっぱいで、喋っている事も把握できてはいないだろう。突きつけられた現実に膝を折り、何も考えたくはなかった。それでもこうして食いしばっているのは自らの思いを伝える為。
「お前がガイアに所属している以上は例え身体が回復しても上から渡される任務から逆らう事は出来ない。俺がガイアに居た時と同様にお前にもそういう縛りが掛けられている。そうだな?」
「ええ、そうよ!だってそれしか生きる方法ないじゃない!選択肢なんてなかった!選択肢があったらあんな奴らに従う筈がない!これ以外私にどうしろって言うのよ!」
「半年なら、少しの間だが猶予がある筈だ。その間に俺達と一緒に探そう。お前の身体を何とかする方法を」
「それだけで間に合う訳ないじゃない!上が何年、これを治すのに時間を費やしたと思っている!?それでも兄さんの命を使わなきゃ、私の身体は治せないって結論が出たの!」
「それは上がお前に刷り込ませた命令かもしれない。その方が都合が良かった、そういう事もあるだろう。お前がさっき言った通り、俺の感覚鋭敏化はある程度緩和されている。そのノウハウと俺の肉体の細胞を用いて生体部品を入れ替える事が出来れば、お前の身体を治せる可能性はある」
「全部仮定の話で確実性がない!そんな方法で私を治そうとしてるの!ふざけてる!?」
「ああ、そうだな。全部かもしれないの話だ。お前の身体を治せる保証はない。それでも俺は……お前に誰かを殺し続けながら生きてほしくはない。アンナ、お前の命を伸ばす為に俺の命を使う事が嫌なんじゃないんだよ俺は。俺の命を最終的に使ってもいい、だからガイアに居るのはやめてくれ……!」
「……話にならないわ。この世界にそんな技術があるとは思えない。兄さんならとも思ったけど、全部無駄だったようね」
話は尽くそうともそれはどこまでも平行線で、必死なエリヤの声と冷めきったアンナの声が反響している。
「これ以上あいつらの言いなりにはなりたくない。こんな事を続けたくもない。兄さんの意見も間違ってはいない」
「なら!」
「だけどね」
正の感情が負の感情に覆い潰され、実験の痕なのか黒いタトゥーのような線がアンナの顔や手足に浮き出ている。
「私はもう、疲れたの。何かを選ぶ事、信じる事、託す事。上の命令に従っていれば少なくとも任務の時以外は平穏に過ごせる。傍に居る人もずっとずぅぅぅぅぅうっっと一緒に居てくれたウリックだけでいい。彼以外全部もういらない。あんたもいらないの、兄さん」
「違う、アンナ!まだ戻れる筈だ、あの頃に!ウリックも一緒に…!」
「兄さん、あんたはずっと変わらなかった。メシアの肉便器にされても、ガイアの実験体にされても、ここに来てからも姿形は変わってもその心だけは変わらなかった。でも私は違うの。変わってしまったの全て。もう
過ぎ去ってしまった互いに手を取り合い、笑い合う日々はとっくのとっくに終わっている。互いに身体を弄られ、ボロボロになって、この世界に辿り着いた兄妹はこうして天使を背負って銃を向け合っている。
「あんたが死んだ所で肉体位なら私が修復できる。此処であんたを殺すわ。確実に」
「アンナッ!!!」
「うるさい!五月蠅い!煩い!結局助けてくれなかったのに今更私に縋るなぁっ!」
「……ッ!」
異変に気付いた由奈がエリヤの腕を引っ張り上げる。後方に退避すると同時に変わっていくアンナの姿。纏っていた装備を拡張させるかのように身に纏わせて、さながら機械天使と言わんばかりの装備を身に纏っていく。黒いタトゥーが淡く蒼い光を放って、その瞳が金色に染まる。
\カカカッ/
| 魔人 | サンダルフォン | Lv99 | 耐性不明 |
| デモニカ:サンダルフォン | オリジナル |
| アンナ用に調整された特殊なデモニカスーツ。リミッターを解除し、搭乗者が耐え得る限界にまでレベルを上昇。ステータスを大幅にアップさせる。さらに搭載されている機械翼やブースターにより亜音速による空中戦闘が可能。但し、搭乗者の肉体・精神負荷は一切考えられていない。【BOSS特性】【ハイアクセラレート】を取得する。 |
Lv99。一種の限界点に到達した
「今すぐそれを纏うのはやめろ!それはお前の命を間違いなく削っている!」
『ぎゃぁぎゃぁ煩いんだよ、本当。やっぱあんたから黙らせてやる』
「……ッ!」
機械翼によって浮遊しながらエリヤを銃口を向けるアンナ。由奈は一時的にフリーとなったが取れる手段は限られている。奴は物理反射を持っており、物理吸収までしか抜けない己の武器では物理属性を当てる事は出来ない。かといって雲耀では打点が足りないだろう。
物理貫通Ⅲからの物理攻撃、そして雲耀による万能物理。己にはこの二種による攻撃しかなかった。マントラは使えるが、それも補助全般であり攻撃に使う事は出来ない。ならば自身はどうするべきかとずっと考えてきた。他に手立てはないものかと。
その手立てを考えて、幾人もの剣士の技やスタイルを研究した。その中で確認したのが
両手剣を用いる剣技であり、同じ技であるのに斬る度にその斬り方を変えて、威力も増していく。そして何よりも
| バイパースマッシュ |
| ペルソナ1出典。 両手剣による特殊な斬撃。100%相性。1回使用する度に威力が上がる(最大8回) 最大まで使用されたバイパースマッシュの威力はメギドラオンを超える特大ダメージとなる。 |
『反射を抜いた!?
| サイコ・シールド | 誕生篇&覚醒篇・PK出典。割込効果 |
| 物理・魔法両面で威力分、防御力を上昇させるバリアを創る。有効時間は1ターンでターン終了時にMPを支払う。継続したい場合はMP4を払うだけで継続できる。威力は本来PK技能値を参照するが、このサイコ・シールドはレベル×3を威力として参照する。 |
「
万物に通じる刃といっても自前の防御力によっては通じない事もあり、あまりに強固な念動力による障壁によって威力の殆どは削がれてしまった。この刃を通すには少なくとも数回以上回数を重ねる必要がある。だが確かに技を物には出来ていると由奈は確信して、剣に込める力を強めた。
見様見真似というには幾多の人間に意見を聞き過ぎていた。本来ならばレッドアイホーク本人に聞くのが早いが、悪魔業界の人間としてそれを教えてもらうのは非常に困難。故に只管参考にできるものを参考にして、己のスタイルに昇華させて、その上で
「エリヤ!」【デカジャの石】*11
「っ!悪い!暫く時間を稼いでくれ!」【金剛の札】*12
| アンナ・サンダルフォン | なし |
| 真澄陣営 | 防御力強化(3ターン)・命中回避強化(2ターン)(双方P5R仕様)・バイパースマッシュ1回 |
| ハイ・アクセラレート | SH2出典。行動回数を2回増やす |
| BOSS特性 | 200X出典 |
| サンダルフォン化に伴い発動。 ・1回の手番で2アクションの行動が可能に ・最大HP5倍・最大MP2倍 ・即死・石化・麻痺・毒・魔封(封技)無効 ・HPを直接減少させる効果を無効化。 ・BSを受ける確率半減(1行目2列目) |
膨大なまでのMAGと能力値はアンナの身体を文字通りその身を削りながら加速させて、血反吐を吐きながらもアンナは由奈とエリヤを見据える。
『消えろォッ!』
| メギドラオン | DSJ出典。敵全体に万能属性の特大ダメージを与える。 |
| メギドラオン | DSJ出典。敵全体に万能属性の特大ダメージを与える。 |
| メギドラオン | DSJ出典。敵全体に万能属性の特大ダメージを与える。 |
| メギドラオン | DSJ出典。敵全体に万能属性の特大ダメージを与える。 |
一切の容赦もなく放たれたのは
「可能な限り回避を!」【孔雀明王咒】
4発放たれたメギドラオンを二人は回避を狙う。よしんば命中したとしても札を使用した
『強化ありでも4連打ならと思ったけど万能は通りが悪いか』
「……強化をここまで積んで、この消耗ですか。厳しいですね。」【宝玉輪】【虚弱性・消毒スプレー】*15
「それでも諦めたくはない……!」
| アナライズ | 200X出典 |
| 術者以下のレベルをベースにした威力ロールを行う。結果以下のレベルの敵悪魔1体のデータを見る。戦闘中の判定は自動成功する。情報判定として使用する際は運を用いる |
| ハイアナライズ | 200X出典 |
| 習得者はBOSSに対してもアナライズを行える。また、アナライズの数値に補正がかかる。 |
エリヤはその瞳を用いて、アンナの状態・能力を見通す。その間、
\カカカッ/
| 魔人 | サンダルフォン | Lv99 |
| 物理・銃撃反射。火炎・氷結・電撃衝撃・破魔・呪殺・精神・魔力に非常に強い*16 |
| メギドラオン、ヘヴィソニックトリガー、至高の魔弾、ダッジ・フェザーetc |
| 銃貫通・物理反射・銃撃反射・大天使の加護・感覚暴走 |
強固な耐性に汎用性の高いスキル群。それよりエリヤの目を引いてしまったのが
「お前、その身体……!」
『ああ、バレちゃったかぁ。これだけは知られたくなかったんだけどなぁ』
アンナの肉体に存在するMAG供給源は複数存在する。彼女の肉体は実験によって穴を開けられ、削られ、その内臓・骨格さえ人間とは異なる。そうして空いた体内スペースに埋め込まれていたのがMAG供給源、
『そっ、私はもう悪魔でも人間でもない。継ぎ接ぎだらけのテセウスの船。兄さんの知ってるアンナとはもう全てが違う』
「違う!お前は間違いなくアンナだ!」
『顔と声とかそれ位でしょ。あんたの知ってる
「……お前は」
『私は魔人サンダルフォン。アンナだった存在の成りの果て。もうあんたと話す事はない。あんたにその気がなくても……あたしが兄さんを殺すわ』
| アンナ・サンダルフォン | 攻撃力低下(3ターン)(P5R仕様) |
| 真澄陣営 | 防御力強化(2ターン)・命中回避強化(1ターン)(双方P5R仕様)・バイパースマッシュ1回 |
『このままじゃ埒が明かないわね。なら、こうしようかしら』【デクンダの石】*17
| 会心の眼力 | 真4F。次に行う物理、銃攻撃が必中&クリティカルになる。 |
アンナが自身に付与したのは魔法ではなく物理や銃撃の必中・クリティカルを引き起こす為の会心の眼力。由奈が居る以上は物理攻撃を通すのは難しいと思われたそれは
| メギドラオン | DSJ出典。敵全体に万能属性の特大ダメージを与える。 |
| メギドラオン | DSJ出典。敵全体に万能属性の特大ダメージを与える。 |
そうして再び放たれたメギドラオン二連射。先程と同様に二人は回避を行おうとして
「なっ!」
「避けられない…!まさか…!」
| 会心の眼力 | 真4F出典。 バグ効果として以下の効果が会心の眼力にはついている。 ・この状態で魔法を使用すると必中となる(表記なし)。 ・さらに会心の効果が1度で消えずに継続する。 |
『どう?驚いた?種が分かってもどうしようもないだろうけどねぇ!』
アナライズで表記される事が必ず正しいとは限らない。
万能に対する耐性と防御力強化は依然としてある為に耐える事は出来るが、回避という選択肢が消えてしまった現状は消耗戦というアンナの狙いにさらに近づいている。そして、それを打開する作戦も浮かばなくこのまま消耗戦に乗るしかない。
「……長い戦いになりそうですね。付き合って貰えますか、エリヤ」
「俺が付き合って貰ってる方だ。文句は言わない」
其処から再開された戦闘は数分以上に渡って繰り広げられた。ルーチンは互いに繰り返されて互いに
「……ふぅっ……」【不屈の闘志消費】【バイパースマッシュN回】
「……きっついなぁ」【幸運全消費】
『頑張った方じゃないかしらね』
勝敗もほぼ決していた。アイテム量も恐らく差ができている。回復手段も左程残されていない。バイパースマッシュをどれだけ叩き込もうとサイコシールドによってその威力は凡そ半減されている。高倍率の強化を積める人間が居れば話は別だったがそれが行える者は今この場に存在せず、仮定の話にしかならない。
「なぁ、アンナ」
『……』
「俺の命を使えば、お前は幸せになれるのか?」
『……分からない。それは、分からない。でもそう思わなきゃ私は何の為にここまで苦しんだの?』
「……」
『もうどれ位か分からない位、私はあいつらに使われてきた。ウリックが居なかったらとっくに人格も保てなかった。ずっとずっと苦しんで生きてきたのに、幸せを望むのは駄目な事なの?ねぇ、兄さん』
「そう願う事は間違いじゃないと、俺は思う。誰しも幸せになりたいと思いながら生きている。それはどんな存在でも変わらない。不幸を望んでいる、というのもそういう幸せを望んでいると同義だしな。だが、その上で他者の幸せを奪う権利は俺達にはないんだよ、アンナ」
『……そっか、そうよね。でも私はそれでも生きるわ。他人の幸福を踏みじっても生きる。それが例え許されない事だとしても』
「アンナ……」
『だから、死んで兄さん。貴方の事は忘れないから』
最早何度放たれたか分からないメギドラオンの光がアンナの手に浮かぶ。これにて戦闘は終わる。自身はエリヤを確保し、その命を捧げる事で生き永らえる。そう確信して放とうとしたそれは
『……っ…ぁ…?』
手から放たれる事はなく、墜落したのは自身の身体。
「……やっとですね。エリヤのアナライズで分かっていた事ですが、その状態も長く続く物ではなく時間制限があった。チキンレースはお互い様だった、そういう事です」
行動不能となったその瞬間に由奈はアイテムを使用して自分達を回復させる。エリヤのアナライズよって見抜いたものはスキルや耐性だけではない。アンナの内部状態も見抜いたのだから、当然
勿論、消耗戦で不利だったのは本当であれ以上サンダルフォンとして戦い続けられていたら負けていたのは此方だっただろう。アンナの一種の慢心を突くことが出来たが故の作戦だ。次は通じない。
「アンナの形態変化の解除及び捕縛に成功。
「ああ、分かって「そいつは困るなぁ」ッ!?」
瞬間、捕縛したアンナの身体を何者かの手によって奪取された。
\カカカッ/
| 剣士/サマナー | ウリック・ヤード | Lv85 | 耐性不明 |
\カカカッ/
| 堕天使 | 流出のゴモリー | Lv83 | 耐性不明 |
\カカカッ/
| 熾天使 | 創造のフラウロス・ハレル | Lv82 | 耐性不明 |
\カカカッ/
| 龍神 | 創造のケツァルコアトル | Lv81 | 耐性不明 |
「よっ、レルムの時以来だな女剣士さん。後はエリヤさんも元気そうで良かった」
「ウリック・ヤード。何故貴様が此処にいる」
「……こういう立場同士じゃなかったら再会を喜びたかったよ、俺も」
アンナの幼馴染にして同様にガイアに所属すると思われる存在、それがウリック・ヤードという男。アンナが言うには彼はフェイと戦っていて、それがここに居るという事はフェイはどうなってしまったのかとエリヤは嫌な想定が頭に浮かんで力が抜けそうになるも何とか臨戦態勢は維持して、由奈は今にも斬りかかってしまいそうな程の殺気をウリックに対して発していた。
「最初に言っておくが御宅の所のフェイは無事だ。接敵したがまぁ一応引き分けって形で申し出させて貰ってね。一種の不可侵条約を結んだのさ。だからお前達に危害を加える事は俺には出来ん」
「ではフェイは今何処にいる。答えろ」
「そう急かさんなって。今そっちの情報端末に彼の現在地のマーカーを送った。それを辿れば合流出来る筈だ」
それと共に由奈とエリヤの情報端末に送られてきたのフェイのマーカー。彼の周囲にはラクシュミ・フレスベルグ・バロンが存在しており、反応からして本物で間違いはなさそうだ。此方の方角に真っ直ぐと彼は向かってきている。
「確かにフェイで間違いなさそうだな。それと……アンナはどうしてもガイアに連れ戻すのか?」
「俺がフェイと結んだ条約には互いの不可侵。これにはアンナの安否も含まれているから、それに関して俺に制限は掛けられていないって訳だ。まぁその代わり俺もあんたらに手出しする事は出来ないが」
「そうじゃない。お前もガイアにアンナを縛り続けるのかと、そう聞いている」
「……その感じじゃ大体の事はアンナが話したか。ま、こいつが言ってる事が大体真実だ。技術的にもアンナの命を伸ばせるのは俺達の組織しかないし、その手段もあんたの命が必要になる。そしてそれ以外の手段を俺もアンナも選ぶつもりはない。あんたが100%成功する延命手段を考え付いていれば話は別だが、そんなもんないだろ?だから俺達はもうその時点で殺し合うしかないんだよ」
「……」
「勘違いして貰っちゃ困るが、俺もアンナも別にあんたの事が嫌いになった訳じゃない。アンナの態度は今までの好意が歪んでしまったものだし、俺もエリヤさんが生きていてほっとはしている。幸せに過ごせている事もな……だが、俺は飽く迄どんな事があってもアンナの生存を優先するってだけだ。それだけは分かってほしい。」
「……わかった。アンナを宜しく頼む」
「ああ、任された。とはいってもまた次会った時に決着がつくかもしれないが……ま、その時はそん時だ。お互い悔いが残らないようにしようぜ。じゃあな」
ウリックはそれだけ告げて、アンナを連れて何処へなりとも去って行った。後を追う事は出来ない。アンナとの戦いでの消耗は大きく、アイテムで回復はしても極度の疲労が残留してしまっている。
「……フェイとの合流を目指します。一刻も、速く」
「分かっている。行こう」
・
・
・
「あ゛ーし゛ん゛と゛い゛」
あれから資料室で凡そ全てのデータを手早くで漁り尽くした僕は由奈とエリヤを探しにバロンに何とかしがみついて歩みを進めていた。色々と気になる研究資料なんかもあったがそれはそれ、今は急がなくてはならず迷っている暇はない。
資料室から出た所で大分異界全体を覆っていたジャミングも晴れてきた。他の者はまだ探知できていないが、由奈とエリヤの位置も大体把握が可能できるようになって今は真っ直ぐ彼女達の所へ向かっている。
そんな僕に猛スピードで近づく反応……というか由奈とエリヤだった。真っ直ぐこっちに来ている。もう視認できる距離まで来て……
「………」【スピードスター】【先手】【踏み込み】*18
あ、爆速疾走ガチギレ由奈だ。ちびりそう。助けてほしい。
後200m位で接触……するかと思ったらもう眼前に居た。能面みたいな無表情で見下ろされてて怖い。美人だから怖さポインツがさらに追加されてもうほんとに怖い。助けてほしい。
肝心のバロンはBS無効の癖に金縛りにあったみたいに動いてくれないし、ラクシュミはゲラゲラと面白そうに見てるし、フレスベルグは全ての現実から逃避して周囲警戒にきょろきょろ首を振ってるし、仲魔も所詮悪魔だったんだなって事を今痛感してる。お前ら今後はもっと雑に扱ってやるからな。
「フェイ、フェイ。い、生きていますか。生きて……何故両足・片腕がない」
「そ、それはね。その戦闘でね、うん」
「誰にやられましたかあのウリックとかいう男ですかそうですかわかりましたこの異界から出た後にあの男を殺しにいきましょう大丈夫ですもうそうする他ないので大丈夫です後何でまた貴方は無茶するんですか毎回毎回毎回毎回毎回毎回毎回毎回毎回言ってますよね無茶するなって言いましたよね私覚えられませんでしたかそうですかではもう戦わせるわけにはいかないので最後に残った片腕を綺麗にきりとって私がたべてその後は貴方を永遠に監禁します大丈夫ですエリヤも真澄もきっと賛同してくれますお世話も全部してあげますから大丈夫大丈夫大丈夫」
「エリヤアアアッ!助けてええええっ!エリヤァアアアアアアアッ!!!!!」
「……じゃ、じゃあ俺帰るから」【恐怖状態】【ESCAPE】
「逃げるなァアアアアアアアアッ!責任から逃げるなァアアアアアアアッ!!!」
「落ち着いた、由奈?」
「正気は取り戻しました」
「俺から見るとまだ瞳孔が全開で怖いんだが本当に正気か?眼光で人殺せるぞ、今のお前」
取り敢えず静かにはなった。今はもうがっちり逃げられないように由奈に片手で拘束されて、胸に埋められている。冷静に考えてみれば僕の現状は全身自分の血で真っ赤で両足・片腕切断済みの端から見なくても死体にしか見えない訳で、此処まで心配されるのはまぁ確かに想定しておくべきだったのかもしれない。色々ありすぎて頭が回らなかった。
「まぁ……状況を理解した今でも其処まで傷ついているお前を見たら、心臓が止まりそうになる。本当に無理はしないでくれ」
「……そうしなかったら勝てなかったからっていうのはあるんだけどね。気を付けておく」
「次やったら俺も流石に監禁賛同せざるを得なくなる」
「え、待って待って待っ「では今後の方針決めましょうか」はい……」
現状、恐らくだが僕達以外に合流できる見込みはない。この区画だけ隔離……とまではいわないが異界内部にさらに重複して結界が何枚も張られている区域でその上でさらに迷路となっている。出れないとまでは行かないが他のメンバーとの合流を目指そうとした場合に発生する時間を考えると現実的ではない。
加えて僕はこの状態で由奈もエリヤも割とボロボロ、この異界の研究情報も拡散できずに抱えているし正直その事を鑑みれば僕達は脱出優先にすべきだ。
「アラハバキの門を構築、それによって異界から脱出は可能でしたか」
「あれは経路を作るもんだから行けるとは思うけど……異界が多いからね此処は。第三→第二→第一まで移動しないといけないと考えた時に門を2個作る必要がある。時間が結構ロスしちゃうんだよね。そこでだ」
バロンをCOMPに戻して召喚したのはセト。
「セトはさ<空間転移>*19も<疾風>*20も持ってる。僕達三人位なら乗せて移動できると思うからこれで第三陣の本部までカッとんでいこう。異論はあるかい?」
「私からはありません。本部に戻り次第、直ぐに治療を受けてください。直ぐにですよ。いいですね」
「俺からもない。フェイもそうだが、俺達もちょっと消耗しすぎているしな」
「オッケー。んじゃまいこっか」
唯一の心配はこの異界に居る他の面子で攻略できるかどうかだが、まぁそこはあれだけの面子なのだから大丈夫だろう。むしろ大丈夫じゃなかったらガチでヤバいって事だからほんとにやめてほしい。その時になったら全力でヤタガラスに救援要請送る手筈にはなっているけど間に合うかどうかは分からない。
ともあれ、彼らなら多少の事なら何とかしてくれる。それを信じて僕達はセトに乗って異界を離脱していった。
・キャラ紹介
<久遠 フェイ>
定期的に監禁の危機に見舞われる男の娘。無茶したくないけど無茶しなきゃ勝てねぇ敵しか居ないんだよ最近!とは本人談。ちなみに関係ないが東堂葵とは性癖的な意味合いで友人関係。ベストフレンドでもブラザーでもなく普通のフレンド。連れてる女も説得力があるし、東堂も最初は嫉妬で発狂しそうになっていたが実際それらの女と会ってみたら気が変わってスンとなった。ケツとタッパだけじゃなくて性格も大事であると、闇に近づくべからずと魂に刻み込んだ。
<久遠 由奈>
闇のママ活勢(旧ファントム所属)(所属中にフェイを性奴隷&食料用で購入)(尚絆された)
今回の事で自作抹殺ノートにウリックの名前が刻まれた。南無三。
アンナとは微妙にシンパシーを感じている(ヤンデレ的な意味合いで)
<久遠 エリヤ>
他のヒロインが闇のママ活勢なので相対的に光になるTS娘。
どうしようもない現実に襲われて心がぽっきり折れそうになった。
何とか今回は戦えたが次アンナと戦えて撃ち合えるかどうかの自信が全くない。
アンナの存在に未練しか抱えてない。
<アンナ>
名字も決めとけばよかったと今になって後悔している。ずっとアンナで通さなくてはいけなくなった。見た目はエリヤがM16A1なのでこっちはM4A1とかその辺りになると思われる(ドルフロ)。あれこれこうなった経緯は大体本編に書いてある通り、何年位エデンに居るとかは作者も分からない。場合によっては百年以上経っている事になるかもしれない。兄であるエリヤに関しては愛憎混ざり合った対応をしている。実際は愛より。ウリックに対する感情は大体由奈がフェイに向けるそれと同質で重さもそれ(ウリック側は気づいてないものとする)
<ウリック・ヤード>
フェイとの戦いで撤退した理由にはアンナが何となく無茶しそうだし、フェイ確保無理そうだから早めに合流しとくかというのもあった。そういう面でも判断力がある男。生まれてこの方大体アンナの為に色々やってきたが、本人的はアンナが最終的に幸せになれればそれでいいのでその過程で自分が死ぬことになっても全然構わないと思っている(そうなったら最終的にアンナも自殺する模様)