真・女神転生オタクくんサマナー外伝 -ロストキリギリス- 作:名無しの骸骨
例によって事の顛末について話していこうと思う。まず僕がマザー=アバドンの核に雷撃ぶち込んだ後、マザー=アバドン本体が崩壊。アグ=アバドン達も自壊していってあのクソみたいな耐久戦は何とか終わったらしい。らしいというのは核をぶち抜いた後にMAG的にも精神的にも肉体的にも限界だった僕は即座にその場で死亡寸前で気絶。由奈やエリヤ達に回収された後に病院に即搬送。起きた時は事件が全部終わった後だったとそういう訳である。
諸々聞いた話によればマザー=アバドンの出現によって残存していた中華系マフィアもほぼ全滅。建物や龍脈なんかも滅茶苦茶になり、暫くは復興の為にヤタガラス等の組織が手を加え続ける事になっている。一部中華系マフィアの上層部は悪対預かりとなって、他の住民や攫われた漂流者に関しては政府預かりであれこれ進めていく筈だ。ちゃんとした生活に戻れるかどうかは彼ら自身にも掛かっているがその未来に関しては良い物であってほしい。
そしてこの戦いにおいてそれらより重要となっているのは悪魔化ウィルス・生物兵器に関する情報についてとなる。此方側に関しては悪対・ヤタガラスで基本的に預かる事となって、その協力者にシロエさん等の知識や伝手が多い面子が関わっていく予定だ。まぁこれは結構な長丁場にはなると思われる。その理由はマザーに関しては藤堂奈津子が独自で秘匿しながら作っていたという事もあって情報が少なく、作り方に関してはほぼほぼブラックボックスであるからだ。
解析にも時間は掛かるし、同様の物が作れると発覚したなら何らかの対抗策が講じなければならない。そのまま知識ごと封印して秘匿し続けるのも手だが、そもそも他の組織に情報拡散してるし、なら先んじて対抗策を考えた方がその場の対応が楽になるだろう。とはいえ、僕の手からは最早離れているので何かあった時に動けるように備えておくしか僕には出来ないが
そして、それらの方針を決める会議の中で生物兵器・悪魔化ウィルスに関する情報の外部への流出に関する議題も上げられた。石亜南は三業会の所属であるから三業会には当然情報は流出しているだろうし、ガイア再生機構の二人が居たのならばその情報もそれぞれ彼らの上とやらに渡されている事だろう。
情報が確実に渡っているのは上記の二組織。
結論から言えば何者かによって悪魔化ウィルス・生物兵器の情報がコピー。さらに一部の情報が削除及び隠蔽工作されていた。削除された情報はその場にあった資料から消去法で考えれば父……鴻上博士の物で間違いない。鴻上博士についてはまぁ、恨み持ってる人が多すぎるので正直其処から何処の誰が或いは組織が情報を奪取したのかとかは分からない。
強いて言うのであれば僕が感じた違和感の正体……あれは一種の懐かしさ、郷愁の念に近かった。鴻上博士とはそれなりに一緒に居たがそういう気持ちは0だし、じゃあ他の誰かというには僕は由奈と共に生き過ぎている。検討はつかないが酷く懐かしい気配を感じたのは違いなく、シロエさんや劉鳳さんといったメンバーには情報の火事場泥棒があった事と含めて既に報告済みだ。
この後のヨコハマレルムがどうなっていくか、其処に居て今回生き残った住民達と漂流者がどうしていくのか、悪魔化ウィルス・生物兵器の情報をヤタガラスや悪対がどのように扱うのかとか諸々の事後の事は基本丸投げでまた何かこっちに頼みたい事があれば介入する事にはなるだろうが僕が請け負った仕事に関してはこれにて一件落着。
入院してた面子以外のキリギリスのメンバーで打ち上げがあったり、悪対の面子が打ち上げに参加できずに過酷な事後処理に行かされたりもしたが色々ありつつも何とかなってほんとによかったと思う。
「こうして僕も手足が戻った事だしね」
ウリックとの戦闘による両足・片腕の切断と許容範囲外の召喚による肉体負荷。其処からマザー=アバドンと戦う為に再び召喚を維持しながらのバフ撒きと其処からの突入戦で僕の身体は概ねボロボロになっていた。其処から病衣にて<ヒールスポット>*1によって両足・片腕を培養&再接着し、肉体・臓器の消耗に関してもこれによって感知。僕が高レベルという事や悪魔混じりという事で自然治癒能力が高い事もあって肉体的には万全と言える状態にはなった。
MAGに関しても<妖精の祝福>*2で僕のMAGの自然回復量は通常のそれより格段に高く、起きてから数日後の今ではほぼほぼ問題ない範囲にまで回復している。
後数日間、検査やリハビリを熟した後に何事もなければ退院する事は決まっており、今は病院にある庭園のベンチで本を読みながら寛いでる。実質的に退院するまでが僕の休暇といってもいいだろうし、こうしてゆっくり過ごすのも久し振りで心地よかった。
でもって退院してからまずやるべき事は三業会という組織の情報を入手する事。今回のヨコハマレルムにおける主犯である石亜南、あれは生物兵器ではなく悪魔化ウィルスの実験と開発にのみ着目していた。マザーには興味があったが故にあんなことをしでかした訳だがあれも亜南にとってはイレギュラーな事態であり、本意ではなかったのだろう。そういう訳で何を目的として石亜南、三業会が悪魔化ウィルスを求めているのかそれを知りたかったのだ。
とはいえ三業会は根本的に秘密結社である為に其処まで情報が出回っておらず、伝手の情報屋に頼んでも空振り続き。ならそれと敵対しているという<封剣士>を頼ればいいのではないかと思い、知り合いを辿って聞いてみた所、ラスキン老が心当たりがあるとの事で紹介状を書いてくれるようだ。凄い助かる。
「最近需要増えてきたし、謝礼代わりに菓子折りの代わりに宝石折りみたいな感じで用意だけしておくか。どんな人でも絶対必要だしね。後は面子は僕とエリヤと真澄、三業会に色々因縁があるっていう劉鳳さんにも声掛けしておこっかな。後は……」
「わっ!」
「わぁっ!?……ってなんだ、晴香さんか。わざわざ隠密しながら脅かしてきたの……?」
「うん、病院でも結構周囲の警戒してたみたいだからちょっと気づかれないか試してみたくてね。後、前やられた時の仕返しかな。よいしょっと」
僕の隣に座ってきた彼女は今回の事件における依頼人でもあった藤堂晴香。彼女もまたスザク、マザーと藤堂奈津子、マザー=アバドンとの連戦によって消耗して僕よりもマシな状態ではあったが入院していた。
「……」
「じっと僕の顔見てどうしたの晴香さん」
「いや、こうしてまじまじ見るとお人形さんみたいだなって。それに背も小っちゃいし……フェイさ……フェイちゃんって本当に男の子なの?」
「ついに素でちゃん付けで呼び出したよこの人。男に決まってるじゃん」
「ふーん、じゃあ要素上げてみて」
出会い頭に何を無礼な事を言っているんだこの女は。僕の男要素なんて沢山あるに決まってるだろ。
「じゃあ容姿!」
「金髪ロング美少女のお人形さんみたいで可愛いね。ショタって言うかもうロリって感じ。150cmあるっていうのも嘘だよね、靴底で底上げしてるの分かってるから」
何で知ってるんだこの女……!
「こ、声……!ほら、こんなに低いよ!」
「声帯が女の子なんだよ。声低くして喋ってるつもりなんだろうけどそれでやっと中性的な声っていうのがもう駄目だよね」*3
「服装ーっ!」
「それこそ冗談で言ってるのかな?今は患者衣だけど大体いつも丈の短いスカートタイプの魔女っ娘じゃん。女として見ても華奢で可憐だから凄い似合ってるのにそれでよく自分が男だって主張する気になってるよね。段々腹が立ってきた」
「た、頼りがいがある?」
「まぁ……それは確かにあるかも。そこだけなんか見た目とのギャップが凄いから、納得しがたいけど」
「よ、よし……辛うじて僕が男であると証明できた!」
「強い女性も沢山いるから何も証明できてないね。私の勝ちって事でいいかな、フェイちゃん?」
「あーあー、聞こえないーっ!」
「んふふっ……ほんと、そういう所は見た目相応だね、貴方は」
その言葉を耳を塞いでやり過ごす。聞こえないったら聞こえない。そんな僕の様子を見て彼女は聞き分けのない妹のように呆れ気味に、何処かおかしそうに笑っていた。
「でも、良かったよ」
「何が?」
「大分肩の荷が下りたって顔してるからさ、晴香さん。決着もつけられたみたいだしね」
「……うん。理想的とは言えなかったけど、それでもあの人と戦ってケリはつけてきた」
<組織>の残党として中華系マフィアに流れていった藤堂奈津子を含む研究者達はその全員が死亡した。元より藤堂奈津子以外の研究者は彼女の傀儡といっても良い様子だったそうで悪魔化ウィルスの完成によって石亜南と藤堂奈津子の手によって排除させられていたらしい。そして藤堂奈津子自身がマザーと共に討たれた事によってこれで名実ともに<組織>は消滅と相成った。
「辛くはない?」
「正直言えば、ちょっと思う所はある。けど、それでも私には大輔や冴子ちゃん、弘司……他にも沢山の人達と一緒に今も生きてる。だからもう振り返る事はしない」
「そっか」
事件の後、少しだけ不安だったのが彼女の事だった。義理とは言え母親を討って何か抱え込んではないかだとか、<組織>を滅ぼして燃え尽き症候群になっていないかだとかその辺りの心配をしていた訳だがその様子を見る限り杞憂だったみたいでほっとしている。
「これからどうしていくつもりなの?」
「<組織>が滅んでも私が<組織>に所属していたという過去は消えないから引き続き冴子や弘司と一緒に大輔の下で悪対の協力者を続けるかな。勿論、大学も卒業して……全部が全部片付いたら警察官にでもなろうと思ってる」
「それも罪滅ぼし?」
「かもしれない。だけど……好きな人も其処に居るからその人を支えたいなって思ったの。フェイちゃんは将来の夢とかある?」
「将来の夢、かぁ」
正直あんまり考えたことはなかった。生まれてから此処に至るまで恐らくまだ10年経ったか経ってないか位で、その間の大半は由奈と過ごしている。由奈との生活は詰まる所、デビルバスターとしての活動の日々でもあり、基本的な戦闘の振る舞いは由奈から、カルトマジックのウィッカに関しては強くなるうちに自然と使えるようになって出力も増していった。
サマナーとしての才能もあったから悪魔やコンピューターに関する知識も覚えていって今では少なくとも一人前のサマナー或いはウォーロックにはなれているとは思う。だが逆を言えばそれ以外の何かを僕は持ち得ていなかった。
「強いて言うなら、お医者さんかな。ウィッチドクターの方々みたいに僕もウォーロックとして薬草術や電気信号流し込んでの除細動なんかは出来るからね。平時ならその方が色々役に立てるし、生計も安定しそうだしね」
「ウィッチじゃなくて?」
「周りの人達とアナライズが勝手にそう言ってるだけで僕はウォーロックなんだが???」
「ふーん(自分だけしかそう言ってないって事じゃん)」
「なんだが???」
「はいはい……じゃ、私はそろそろ行こうかな。今日退院なのよ」
晴香がベンチから立ち上がる。
「じゃあまた会う日までお別れかな……ああ、そうだ」
「今度は何よ」
「最後に聞きたい事あるんだけどいい?」
「手短になら良いわ」
そういえば、とあの事件以来晴香にもっとも聞きたい質問を投げかける
「東堂葵って君の兄「違う」凄い食い気味で否定するじゃん」
「あれは!あの転移ゴリラが勝手に言ってるだけだから!!!私は全面的に拒否してるから!!!」
「でも同じ“とうどう”だし「漢字が違います!生き別れの妹は居るけど兄は存在しません!」凄い食い気味で反論してくるじゃん」
「と!に!か!く!シスターでもブラザーでもない!」
「マイベストフレンドって事?」
「あ゛!?」
おもしろ。東堂が好みそうな見た目じゃないから単純に性根とか諸々気に入ったんだろうなんだと思うがまさか二人がそんな関係になるとは思っていなかった。晴香さんも多分背の高い男性とか好きそうだから性癖の一致とかもあるのかな?(偏見)。まぁでも多分この場合、ブラザーもフレンドも戦友的な意味合いが大きいんだろうけど。
「ま、それが聞きたかっただけだよ。またね、晴香。どうかお元気で」
「はぁ……うん、そっちも元気でね。今回は本当に有難う。何か困った事があったら助けに行くわ」
晴香はその場から立ち去り、庭園の外に居た彼女の仲間達の元へ向かっていった。彼女もまた過去を乗り越え、未来へと歩きだしている。その行く末がどうなるか僕には分からないが彼女達が進む道の先にどうか多くの幸福がある事を願っている。
そうして僕もまた庭園から立ち去り、ある病室を目指していた。病院を歩き、担当の医師の方に許可を取りながら病室の扉を指で叩く。
「どうぞ」
声に従い、部屋に入る。其処に居たのは僕と同様に患者衣を纏ってベッドに横たわる由奈の姿だった。
「まさか、心労が祟って無理した挙句入院する羽目になるなんてね」
「誰のせいでこうなったと思ってるんですか……もう……」
不満気にむっとしてる由奈に近寄り、椅子を持ってきてベッドの傍で座る。実の所、僕達の中で一番疲労が溜まっていたのは由奈だったのだ。道中におけるアンナとの戦闘もそうだが、一番はマザー=アバドンに到達するまでのアグ=アバドンを反撃で無理矢理抑え付けていたのが由奈の身体に酷く疲労を蓄積させるに至っていた。
幾ら理論上無限に反撃が重ねられるとは言え、それを熟すのは飽く迄有限の体力しか持ち得ない人間で
そんな状態でもなんとかマザー=アバドンとの戦闘は熟していた由奈だが戦闘後に僕が倒れ、全く目を覚まさない様子から寝れない夜が続いたらしい。入院はしていたようだが覚醒状態が持続して、僕の様子をずっと見ていたと聞いている。
エリヤや真澄が寝る様に言ってもまるで意にも返さず僕が覚醒するまでずっと祈る様に傍に居た彼女は僕が覚醒すると共に気絶。僕と立場を入れ替わる様にして数日間寝込んで今日やっと由奈は起きた。
「……貴方が起きた時は私、傍に居たんですけど」
「うん」
「私が起きた時は、貴方は傍に居てくれませんでしたね」
「いやその、丁度検査の時間で……それに起きるって分からなかったし」
「……」
「ご、ごめんね。埋め合わせもこうしてするし、ね……?あ、リンゴ食べる?」
「……食べます」
まだ不満気な由奈の機嫌を取りながら、持ってきた林檎を剥いてウサギカットにする。それを皿に並べて、爪楊枝でリンゴを刺して由奈の口へと運んだ。
「はい、あ~ん」
「……あーん」
「おいしい?」
「おいしい」
なんかすごい取り敢えず言ったみたいなおいしいが聞こえた。スニッカーズ食べさせても機嫌治らなそうなそんな感じの機嫌の悪さだ。まぁ切ったには切ったからそのまま雛鳥に餌を与えるが如く林檎をあげていって、そのままパクっと全部由奈は食べきってしまった。
「ご馳走様です……ねぇ、フェイ」
「何?」
「心配したんですからね、ほんとに」
「うん」
由奈が身を乗り出して、僕を抱き締める。返す様に抱擁しながらも微笑んで僕も言葉を返した。
「無理、しないでください。私、気が気じゃなくて」
「エリヤや由奈にも同じことは言われた。僕も進んでそういう事してる訳じゃないし、情勢が悪すぎるってのもやっぱあるからしないとは約束できない。今回もお互い死に掛けたのは事実だ」
「それはそうですが……なら最前線には行かないという手も、あるでしょう」
「最前線に出なくても僕はラーヴァナに、エリヤはウリックとアンナに狙われている。逃げれば、僕達はその分だけ弱くなるだろう。自衛の為にも僕達は戦い続けなければならない。少なくとも情勢が落ち着くまではね。君が僕達から離脱するという手もあるけど……君はそれを選べないでしょ?」
「出来る訳がない。それで、貴方を置いていくのなら私は死を選ぶ」
由奈の抱擁が獲物を鷲掴むような物へと変わる。明確に力を込めたそれは僕の身体を強く圧迫して、骨は軋んで由奈の爪は患者衣や肌を突き破って、流血さえ発生させた。でもそれは由奈の僕に対する依存、不安の現れであって僕を何か害そうとする為のものじゃない。
根本的に
「ならこれからも一緒に戦い続けよう。隣で常に戦えるとは限らないけど……それでも手は離さないように。リスクを背負うなら……傷つくなら一緒にだ」
少しだけ僕を険しく見上げていた瞳が和らぐ。その中にあったあまりに強い執着と依存、不安も薄くなって、その抱擁も縋りつくようなものへと変わった。
「……置いていかないでくださいね」
「君が僕を置いていかない限り、大丈夫さ」
由奈の額に自分の額を押し付けて、そう呟いた。
「身体、傷つけちゃってすみません。手、放しますね」
「ああいや、そのまま掴んでて……んしょっと」
靴を脱いで、その後に抱擁したまま軽やかに浮き上がった僕の身体はそのまま由奈の身体に収まる様にしてベッドに横たわる。
「え゛っ、な、なにを……!?」
「だから埋め合わせだって。僕は今日から数日間、君と大体常に一緒に居る訳ですよ。まぁ検査とかリハビリの時は無理かもだけど」
「そ、その担当医の方に許可は……?」
「何とか無理言って取って貰った。功労者を無碍にはできないって具合にね、後は僕がいざという時治療も出来るってのも大きいかな。それに僕の身体ちっちゃいから、一人用のベッドでも君の身体にすっぽり収まって寝れるさ」
「で、でも……!」
「それともベッドから出た方が「そうはいってないです!」いてぇいてぇ息もできねぇ」
推定180cm後半に全力でぎゅっと抑え込まれる推定150cm(実際は140cm半ばかそれ未満)。圧迫はされてないが全身ががっちり抱き着かれてるので身動きが取れない。
「ちょ、ちょっと息が」
「あっごめんなさい…!いや、その……ちゃんとそういう事するなら事前に言ってください。嬉しいですけど、びっくりしますから」
「こんどからそうする」
「……」
「由奈?」
「凄く嬉しいですけど……数日間密着して、理性保てる自信、私はないですよ?」
「それは何とか保ってもらわなきゃ困るなぁ。一応個室だけどお医者さんもいるし、追い出されるような事は出来ない」
僕の身体に触れて由奈の身体が時折震える。頬の赤みが何を意味するかはまぁ僕も考えないようにしながら由奈の胸の中から上目遣いで由奈を見る。
「じ、じゃあっ……肌を重ねる位ならオッケーですよね?」
「まぁ今も抱き着いてる訳だし実質重ねてはいるけど……ああ、そう言う事ね」
僕の身体を下に、由奈の身体がその上に覆い被さる。えっちな事は飽く迄しないが、多分唇が偶然?重なり合う?事は同じベッドで寝てれば有り得なくもなくもなくもないので問題はない筈。
そうして偶然にもこのような体勢になってしまった僕達は手でその様子を隠しながら密着しようとし「待て真澄!今は入るな!」
ようとした所で廊下より響き渡ったのは静止を呼びかけるエリヤの叫び声。それと同時にノックもなしに扉は開け放たれた。
「お見舞いにきてやったわよ、久遠 由奈!でもあんたが寝てる間にフェイは回復して退院するでしょう!その間、フェイは私が独り占めしてやるわ!ざまぁ……み……ろ……?」
「「あ゛っ」」
僕と由奈の姿を見て、真澄の口が止まりその身体が震動を始める。
「ふぇい、そのたいせぃ、きふしようとして……ごがががががっ」
【絶望状態】【WEEK】【TECHNICAL】【CRITICAL】
「衛生兵ーッ!」
再び響き渡ったエリヤの叫び声。この後、
・キャラ紹介
<藤堂 晴香>
ヨコハマ事変(ヨコハマレルム)における実質的な主人公。
フェイとの最後の会話を経た後に退院。悪対の協力者兼キリギリスのデビルバスターとして今後も活動する予定。大学卒業したら警察に入って悪対に入ろうと考えてる。でもその職場絶対君が考えてるより地獄だよ。ちなみに作者は晴香×大輔推しです(そもそも寄生ジョーカーに恋愛描写はないだろ)
<久遠 フェイ>
やっと両足・片腕を取り戻せたロスキリ本編の主人公。エグゾディアになったりはしない。
フェイ本人は女装させられてる事は特に嫌に感じていない。由奈やら真澄やらから服選んで貰えるし、着せて貰えるし、女装すると二人が喜んでくれるからフェイ的にも嬉しいと思っている。それはそれとして、男として接してほしいという無理難題な願いを持っている。その容姿は完全に魔女っ娘ロリであった。由奈とは大体昔からあんな感じでアライメントの差によって衝突が起きたりしている。大体は由奈が折れてるがお互いに譲歩しあって支え合って或いは依存しあっている関係。退院後に真澄とエリヤ、そして確定された脳破壊を背負った劉鳳さんと共に漫画好きさんへと会いに行ったとさ。
<久遠 由奈>
実は一番疲労という意味合いでは蓄積してた人。漫画好きさんもクイッカ反撃連打してた時の肉体の疲労度ヤバそう(でも他で無茶しまくってるからあんまり目立たなそう)。フェイに対する感情は仮にフェイが死んだら即座に後を追う程度(生きる意味を消失したので仇討ちする気も起きない)の重さ。その為、人一倍執着や依存も強いが、他にフェイに対する罪悪感なんかも抱えてるので感情が常に複雑骨折している。ちなみに真澄が倒れた時は介抱を手伝わずほくそ笑んでいた。病人だからね仕方ないね。
<神城 真澄>
フェイの事をどうにか引き込もうとしているがフェイの「由奈がいるんで」で全部断られて度々脳破壊もされてる人。他にも色々事情があって今はフェイの傍に居る。昔は殺し合う位には由奈と仲が悪かったが、フェイが身体を張ってライバル関係位にはなっている。余談だがくぅんさん然り東郷さん然りたきな然り、ヤタガラスに所属或いは近いメンバーは何かと脳破壊されてる気がする。
<久遠 エリヤ>
幻視で重なり合う二人が見えたので止めようとしたが間に合わなかった人。アンナの事で依然悩み中。後は最近フェイを見てドギマギする事が多くなってきた。何者かに性癖を侵略されてるぞ。