真・女神転生オタクくんサマナー外伝 -ロストキリギリス- 作:名無しの骸骨
まだまだ僕の知らない事は一杯あるんだなぁと最近痛感させられた。
あれから無事に退院した僕は由奈の面倒見たり、真澄の機嫌取ったりしていたのだがその最中に行われたのがラスキン老からの紹介によって行われた<漫画好き>さん及び封剣士の生き残りである衛藤可奈美さん一行との会合である。此方の面子は退院こそしたがまだ本調子ではない由奈を除くフルメンバー、そして悪対から劉鳳さんが参加。
劉鳳さんに関しては衛藤さんと知り合いだったようだが、彼女の
それはともかく、衛藤さんより三業会及び封剣士の説明を受けた訳だが厄ネタの極み過ぎて何度か宇宙猫になって放心してしまった。封剣士に関しても世界の秩序を守る為にあれこれしている中国発祥の秘密結社、位しか考えていなかった訳だがそれが世界をショッカーのように牛耳っていただとか、天尊流星とかいう魔剣で人類洗脳してただとか、まぁまぁ聞きたくない情報ばかりが出てくる始末で非常に混乱した。
まぁ秘密結社で世界牛耳るのに最終的にマンパワーが足りなくなったり、天尊流星がもうこいつら無理!!!ってなって現実的なプランで何とか人類統治しようとしたりでぐだぐだしてる所は中国っぽくてちょっとだけ安心した。大嘘、気休めにもなってない。
という感じで情報を受け取り、なんかヤクザの皆さんの襲撃とかありつつも会合は終了した。あんまりにもヤバい情報だったので宝石は気持ち多めに謝礼として送っておいた。封剣士にはまぁー……滅んでるし、いいかともなるが問題は三業会の方である。
三業会の最終目的が現状も一定数を下回った人類の支配と仮定した場合、石亜南が行っていた悪魔化ウィルスの開発はややミスマッチに感じた。衛藤さんが言うには悪魔混じりや悪魔人間はペルソナ使い等ではないが抵抗力は持っている。それなのに人間を悪魔にする何かを求めていたという事は何かしらそれを行うメリットがなければ有り得ない話だ。
天尊流星は実は悪魔も支配できるーだとかそういう進化を遂げている或いは悪魔そのものを兵器として運用できる何かしらの別の手段があるのか。色々憶測は浮かぶもののやはり決定的な物はない。持ち帰った情報は悪対等で精査されているだろうが石亜南も其処らへんの情報を残している筈もなく、やはり今後も三業会を追い続けて情報を調べ続けるしかないだろう。
方針としては三業会系の依頼や情報を見かけたら率先して対処し、場合によっては情報共有を行う位だろう。ともあれ、三業会の事もあって戦う理由も増えてしまった。頑張らないと(使命感)
そんな感じで方針も決まった所で僕達も活動を再開した訳である。世間では聖華学園にて多数のデビルバスター達と何かレクリエーション?をやっているようだが、現在僕とエリヤはある場所を訪れていた。
「ようこそ、邪教の館へ」
邪教の館。悪魔を合体する為に各地に設置された施設であり、僕のようなデビルサマナーにとってはなくてはならない場所である。その主である全身を包む黒衣を纏った如何にも黒魔導士ですといった風貌の男が僕達を出迎えた。
\カカカッ/
| 悪魔合体士 | ブラックカオス |
「お前が来るのも久し振りだな、フェイ……そっちは最近お前が連れるようになったという新顔か」
「色々ヨコハマであったからね。で、こっちが」
「久遠 エリヤだ、宜しく頼む。邪教の館ってこんな禍々しいのか?」
エリヤが部屋の周囲を見ては、若干顔を青くしていた。合体装置こそはあるものの部屋の証明は非常に暗く、至る所に魔術的な文様が見受けられるその場所は黒いMAGが瘴気のように漂っている。悪魔こそ徘徊してはいないもののグロテスクな使い魔やらホムンクルス、ゴーレムが行き来もするその場所はお化け屋敷通り越してアンデッドが徘徊する異界にも近しい。
「ブラックカオスの所はちょっと特殊だからね。彼は黒魔術……石亜南が使っていた物と同質のカルトマジックを主軸に合体やるから、色々と下準備が必要なんだよ」
「そ、そうか。なら仕方ないな」
「まぁ半分位は趣味らしいんだけどね」
「おい」
声を荒げるエリヤに対して怪しげな笑いをブラックカオスは返す。
「さて、事前に用件は聞いている。調整を行う悪魔は此方で預かろう」
「宜しくね。テスカトリポカにも了解は取ってあるから、やり方は概ねこっちの注文通りで良いと思う。それと造魔に関してだけど」
「……進捗度合いは30%といった所だな。注文が注文だ。時間が掛かる」
「早めにと言いたいとこだけど……付け焼刃じゃ流石に意味ないね。進捗度合い見てまた来るよ」
「他に用件は?」
「仲魔に関してはちょっと現状が限界。テスカトリポカの調整に集中してほしいかな」
「承知した。では掛けて待っていてくれ。何かあれば使い魔が呼ぶ」
COMPより送り出したテスカトリポカを専用の装置に格納したブラックカオスはそのまま会話を終えて、真っ暗に包まれた奥の部屋へと入っていきその扉を閉じる。エリヤはと言えば訳の分からない表情で僕達の会話を見ていた。
「なぁ、さっきの……」
「まぁまだ知る必要はないよ。ただ、今後の為の布石といった所かな」
「俺のあの装備もその為、って事か。随分金を掛けていたようだが」
「明確に来ることが分かってる敵に対して対策講じない訳にはいかないのさ。死んだらどの道終わりなんだからね」
ヨコハマレルムの一件でエリヤの身柄を狙うウリックとアンナの二人と僕達は相対した。あの二人は戦闘は避けられず、その上非常に手強い。彼らを撃退できたのは本当に運が良かっただけで、僕達が全滅或いは欠けていてもおかしくない敵だった。次はさらに強くなっている事を考えると、ラーヴァナも含めて対抗策を用意しておくのは急務と言えた。
対ラーヴァナを想定したある造魔の作成。そして、エリヤ用の装備の購入とそれの改造。前者はブラックカオスに依頼し、後者はエルネスティさんに改造と調整を頼んである。時間はかかる為、現在は使う事は出来ないが完成すれば勝率は五分程度に上がるだろう。まぁ暫く完成しないと思うから、襲撃あったらまた全力で撃退するか隙見て倒すしかない。もっと地力が欲しいもんである。
「テスカトリポカのあれこれもその一環な訳だけど、終わるのに時間も掛かる。ちょっと話をしておこうか。此処の事とか気になるでしょ?」
「他の邪教の館とは勝手が違うというのは何となく察してるが確かに気になると言えば気になるな」
館に存在するソファーに互いに腰掛けて、時間つぶし用にブラックカオスが用意していた端末に手を伸ばす。
「まず僕の仲魔の大半……というか現状はほぼ全部かな。此処で合体して出来た悪魔なんだよね」
ラクシュミ、バロン、フレスベルグetc。最近作ったカルティケーヤやテスカトリポカもこの邪教の館にて合体されて作られた存在であり、此処でしか作れない悪魔達でもあった。
「此処で行える合体は二身合体に三身合体。御魂合体とかもできなくて、単純にできるのはその二種のみだ」
「剣合体やらは出来ないという事か。他の邪教の館は合体法則にバージョン*1があったり、使用者に応じて合体法則が変わる*2なんて事は掲示板で前見たぞ」
「そう、その個性って奴がここの最大の特色だね。それにリソース全振りしてるって言っても良い」
悪魔の多様性は凄まじく、それはこの終末のような1年間の戦いによってさらに拡張されたと言っても良い。それは単純にGPの上昇によって今まで未確認だった高レベルの悪魔達が確認されたというのもあるだろうし、魔界や地上の変化に応じて変わっていった部分もあるのだろう。
悪魔召喚師達は悪魔の進化に応じて、自らも最適化させていき、多くの者は自らの個性と呼べるべき物を見つけてはそれに特化した構成にしている。その上で別方向の特化した悪魔を増やしていく事で敵への対応札を増やしていく。特化と汎用性を織り交ぜて、自分だけのスタイルを確立させるのが悪魔召喚師と言えるだろう。
邪教の館も悪魔召喚師達のそれに準ずるように、その多くが自らの特色を見定めて変わっていった。ある所は合体事故が起きやすく、またある所は剣合体にのみ特化している場所もある。そして、この場所における特色と呼べるのが
「ここの合体はさ、合体におけるスキルの継承が発生しないんだよ。出来ないと言っても良い」
「は?それ、悪魔合体のメリット大分潰してないか」
「うん、潰してる。御魂合体が出来ないっていうのもそういう事。その代わり、此処では本来そのレベルで覚えない筈のスキルを合体先の悪魔が覚えている事が多いんだ」
同じ名を持つ悪魔でも場所や状況によってレベル・スキル・耐性が変動するのは有名な話だ。基本的な悪魔の格と呼べるものから多くの悪魔は一定のレベルから極端に逸脱した存在自体は少ないが、そのスキル内容は大きく変わる。
ラクシュミで言うのであればその美しい女神としての逸話から回復や魅了系を持っている事が多い。だがそれ以外の要素はかなり変動する。衝撃に弱い者も居れば、通常耐性の物もいる。氷結を吸収してブフ系を放つ者も居れば、破魔を反射してハマ系を放つ者もいる。
環境が変われば人が変わる様に、悪魔もまた情報生命体として変質する。それら単独の悪魔が持つ可能性に着目したブラックカオスは合体方式を研究し、敢えて合体前の悪魔の情報を全てリソースとして還元する事で合体先の悪魔の可能性を大きく広げる技法を作り出す事に成功していた。
この方法自体は既に多くの邪教の館において拡散済みであり、場所によっては同様の合体も行えるだろう。ただ、その本家でありそれのみに特化しているこの場所はその合体をするには間違いなく一番最適な場所だった。
「合体した悪魔も御魂合体だったりができなくなる訳じゃないから、後付けしたいスキルがあればまた別の邪教の館でやればいいしね。此処は合体方式をそれに特化させる事で効果も上げる事ができるからそうしてるし、客もブラックカオスが選んでる」
「成程な。その上で会員制だから、実質貸し切りみたいになってる訳か」
ブラックカオスは悪魔合体士ではあるが、同時に黒魔術の研究者としての側面も大きい人物だった。経歴なんかは知らないけど悪魔合体も研究の為にやっているらしく、あまり多人数の相手はしたくないとの事だった。会員になるのも紹介が必要だし、ブラックカオスに会って認められる必要もある。その分、色々と悪魔合体以外にも黒魔術で色々してくれる事はあるから一概にそれが良いだとか悪いだとかは言えないけど。今回のテスカトリポカのあれこれもヨコハマレルムにおける石亜南に関する情報共有が条件だったしね。
「でもって、その上で僕の仲魔を確認していこうか。此処で作った悪魔として例示としてね」
| 女神 | ラクシュミ | Lv80 | 破魔反射・衝撃無効・バッドステータス無効*3 |
| 【習得スキル】 ラスタキャンディ*4・招来の舞踏*5・蓮華の舞*6・メギドラオン*7 天上の舞*8・テトラカーン*9・物理耐性*10・衝撃無効*11 【捜査用・思い出スキル】 【思念融合】 1.状態異常にする確率が20%増加。最大HPが20%増加。*15 |
| 凶鳥 | フレスベルグ | Lv79 | 火炎無効。氷結吸収。破魔・呪殺・緊縛・一部の物理に強い。*16 |
| 【習得スキル】 色即是空*17・マハブフダイン*18・ガルダイン*19・道具の知恵・癒*20 北端の凍てつく風*21・準氷結貫通*22・火炎無効*23・氷結高揚*24 【捜査用・思い出スキル】 虚空の眼界*25 |
| 神獣 | バロン | Lv78 | 物理耐性・破魔・呪殺無効。全ステータス異常無効(BS無効)*26 |
| 【習得スキル】 ジオダイン*27・ふういんのうた*28・虚空爪激*29・テトラカーン*30 メディアラハン*31・勇奮の舞*32・食いしばり*33・道具の知恵・癒*34 【捜査用・思い出スキル】 |
「まず基本の3体ね。バロンもラクシュミもBSは効かないし、奇襲はフレスベルグで大体防げるからね。僕も含めて攻め手が魔法に偏ってるのが弱点だけど由奈とか真澄とか居れば問題ないし」
「この3体の特技の多くはお前の説明した通り、それぞれの悪魔が覚えている筈のスキルなんだな……なんかラクシュミのスキル変わってないか?蓮華の華とか見たことないんだが」
「合体する際にブラックカオスと相談して幾らか固定。後はランダムにして、駄目な部分はまた御魂合体で調整するって形だね。ラクシュミに関しては……なんかあのレイドバトルでラクシュミ殺し続けたらなんか色々増えた。じゃあ、次」
| 国津神 | アラハバキ | Lv79 | 神経・精神無効。破魔・呪殺・魔力反射*39 |
| 【習得スキル】 メギドラオン*40・徹し*41・マカラカーン*42・ランダマイザ*43 サマリカーム*44・大活脈*45・物理耐性*46・精神無効*47 【捜査用・思い出スキル】 |
| 鬼女 | ランダ | Lv74 | 物理・銃・火炎反射。地変・電撃・即死無効。バットステータスに強い*51 |
| 【習得スキル】 いかく*52・ブフダイン*53・ひっかき*54・ディアジャマ*55 デカジャ*56・ランダマイザ*57・食いしばり*58・電撃無効*59 【捜査用・思い出スキル】 |
| 邪神 | マダ | Lv76 | 火炎吸収、破魔・呪殺無効。精神・神経・魔力耐性*63 |
| 【習得スキル】 |
「この3体が所謂耐久寄りの面子かな。ランダは耐性と食いしばりで、マダとアラハバキは素の耐久って所だね」
「堅いのもあるが全員ランダマイザ持ちだな。それだけ補助・妨害が重要という事でもあるが」
「全員覚えてるのは偶然だけどやっぱ全能力上昇・減少はこのレベル帯だとほぼ必須って感じするね。じゃあ次」
| 邪龍 | セト | Lv81 | 銃・投具・氷結・電撃に強く、破魔・呪殺・精神・神経・魔力無効*72 |
| 【習得スキル】 ウアス*73・ヤブサメショット*74・石化ブレス*75・雄叫び*76 外法のいざない*77・龍の反応*78・魔力無効*79・道具の知恵・癒*80 【捜査用・思い出スキル】 |
| 破壊神 | カルティケーヤ | Lv78 | 銃反射。物理・破魔無効。呪殺耐性*83 |
| 【習得スキル】 千列突き*84・天扇弓*85・ラスタキャンディ*86・ランダマイザ*87 韋駄天*88・天覇の将*89・スピードスター*90・銃反射*91 【捜査用・思い出スキル】 獰猛*92 |
| 天使 | ケルプ | Lv80 | 魔法に特に強い。物理無効・銃撃耐性*93 |
| 【習得スキル】 |
「でもってこっちが機動……というか飛行系だね。フレスベルグなんかもそうだけど結構速いよ。ケルプは速度あんまりだけどさ」
「こいつらは素で強いからいいと思うんだが、飛行系に特化させるのってそんな需要あるのか?」
「僕も<飛翔>で飛べるから何かと動き合わせられるんだよね。何だかんだ空に逃げれるっていうのは強いよ。高レベルになるほど通用しなくなってくる所もあるけど何かと便利。でもって後はー」
「残りが確かテスカトリポカとスレイプニルだったな」
「スレイプニルの方はぶっちゃけ探索魔法一通り揃えてるだけで*102戦闘向きじゃないし、テスカトリポカは……あ、丁度来たみたい」
そんなこんなで話している途中にブラックカオスが奥の部屋から帰ってきた。その傍らにテスカトリポカを格納している専用のCOMPが存在していた。
「結構早かったね。もっと時間掛かると思ってたのに」
「此方からすべき事も左程多くはなかったからな……間が悪かったか?」
「いや、いいよ。確認するね」
「ああ」
ブラックカオスよりテスカトリポカ(入りのCOMP)を受け取り、その状態を確認する。概ね此方の要望通りの状態になっており、安定もしている。
「問題なさそうだから、これで受け取り完了って事で」
「承知した。それとくれぐれもだが……」
「分かってる。間違って召喚しないようにロックは掛けておく」
「ならば良い。それは最早
「りょーかい。エリヤ、いこっか」
「ああ」
ブラックカオス曰く次の客がもう待っているとの事だったので用事を済ませた僕達はそのまま邪教の館を後にした。他にこの近辺で行う事もなく、消耗品に関しても此処に来る前に補充は済ませてある。その補充に使った金銭については頭が痛いものの、僕達はそのまま帰路につこうとして
「エリヤ」
「なん、って……おい、急に手を引っ張るな」
誰も居ないこじんまりした公園のベンチに座って、エリヤもまた座らせるように手を引っ張る。急に引っ張ったせいかわたわたとベンチに尻餅をついて、むっとして怪訝そうな表情をするエリヤを後目に夕暮れで赤く染まった空を眺めていた。
「もうそのまま今日は帰るんじゃなかったのか?」
「そのつもりだったんだけど……一つ聞いておきたい事があってね。アンナとウリックの事」
「……」
「厳密に言えば彼女達に対する君の心境って所かな?」
僕のその質問に対してエリヤは口を閉ざした。ヨコハマレルムにおける戦いから今に至るまでエリヤからアンナとウリックの事を自主的に口に出す事はなかった。沈黙を続けたと言ってもいい。
アンナと衝突した後もエリヤはヨコハマにて冷静に戦い続けた。それは彼女の心が強かった事も指し示すが同時に戦いに集中しなければその事を思い出してしまうから、何も言えなかったのだろう。此方があの二人について言及をしだせば応答はするものの、その声に微かな迷いと恐怖が存在していた。
「……俺とお前の契約内容、覚えてるか?」
「アンナを組織から取り戻したい、だったね」
「ああ……俺はさ、あの子の為なら死んでもいいってそう思ってたんだ」
項垂れながらエリヤは答えた。その声には失意と悲嘆と微かな絶望が込められている。
「でも、あの子はもう手遅れだと、俺ではもうどうしようもできないと言った。例え俺の命を使おうと、あの子とウリックの未来は
「現代の医療ではどうしようもないというのは正しいだろうね」
現代の医療の発展はあまりに早い。かつて不治の病と言われた幾多の病も幾多の研究者・医者の手によって治療可能とされ、それは間違いなく多くの人々の命を救っている。だがそれも全てではなく、アンナに施された改造とその状態を鑑みるに……現代の医療技術ではその命を伸ばす事も難しいというのは僕でも理解できたし、知り合いに聞いても不可能だと断言された。
アンナだけならいざ知らず、ウリックでさえエリヤの命を捧げなければ処置は出来ないと言っていた。エデンの技術力でもそれしかないのか、或いはエデンがそういう風にアンナを改造したのかその是非は分からないが手段が一つに限られている可能性は極めて高い。
「フェイ、お願いだ。教えてくれ……俺はどうしたらいい?」
「その答えを僕には出せない事は君自身も分かってると思うけど」
「それでも、頼む」
縋る様に祈る様に、エリヤは僕の身体にしがみついた。自分の命を使う事でしか大切な人を救えない。だけど、その人を自らの命を捧げて救ったとしても組織の構成員として動き続けるのは変わらない。
それが少しでもマシになる可能性はある。エデンもまたウリックとアンナという人材を使い潰していくような組織には見えない。ただ彼らの生きる先に確かな幸福があるかもまた、分からない。
「エリヤはさ、生きたくないの?アンナの為とかそういうの云々の前にさ」
「それは……」
「僕は君に生きていてほしいよ。これまで一緒に過ごして、戦ってきた仲間として」
僕にエリヤの心情を推し量る事は出来ない。彼女の過去もその辛さも聞いただけで、ウリックとアンナとどういう風に過ごして生きてきたか、彼女達に向けるその感情がどれ程の重さなのかは分からない。
分かるのはエリヤが此処に来てから過ごしてきた事だけ。エリヤが元は男で、カッコいい銃器やロボットとか所謂男の浪漫が好きだったり、意外と服や化粧にも興味がある事だったりだとか、強がってるけど寂しがり屋な所だったりとか仲間として戦友として共に過ごしてきた微かな時間、だけど僕にとってはかけがえのない時間だ。
ぎゅっとエリヤの手を両手で包んで、僕は彼女の瞳と向かい合う様に顔を向けた。
「彼女達と一緒に過ごしてきた時間に比べれば、ほんのちょっぴりかもしれないけど君と僕は一緒に戦って、生きてきた。君の気持ちは分からないけど、僕にとっては君は由奈と真澄と同じように大切な人だ。少なくとも、死んでほしくはない。生きていてほしいって願ってる」
「……俺だって、生きたいさ。お前達と過ごした日々は確かに楽しかったし、幸せだったから」
「よかった。てっきり其処に不満があったのかと思ったから」
「此処まであれこれしてもらって、そう思う程に俺は恩知らずじゃない。お前には感謝してるし、大切に思ってるよ」
「……えへへっ」
少し気恥ずかしくなって頬を掻いた。エリヤの顔色も少しだけ明るくなっていた。
「なら僕からの意見はこうだ。先程の僕の言葉は前提として、それ以外でも君を戦力として失うのは惜しいし、彼らに君を捧げるという事は同時に彼らの
「な、ら……俺はあの、二人を……」
「
「……」
ヨコハマにおけるアンナとエリヤとの衝突とその中で得た情報を以って、道は二つしか用意されていない。死ぬか、殺すかというどうしようもない二択。それをエリヤは選ばなければならない。僕がそれを誘導したり、選ばせたりしてはいけないんだ。
「俺は……あの子達にも生きてほしい。だけど、あそこに居てほしくはない。俺も生きたいけど、
エリヤが選んだのは黒でも白でもない灰色。確実に必要な自分の命を人質に取って、エデンからアンナとウリックを離脱させるという選択肢だった。離脱させるまでは説得次第だが上手くいくだろう。問題はその後だ。
現代の医療技術ではアンナの治療は不可能であり、此方の伝手や魔界医師の力を用いたとしても可能性が生じるか生じないかの段階だろう。エリヤの命を犠牲にすればそれから得られたデータと肉体部位によってアンナの延命に成功する可能性は微かにある。
だがそれはエデンに居れば確実に成功するであろう延命を、現代の医療による確率の低い博打にて行うという事でもあり、エリヤもアンナも死んでしまう可能性は非常に高い。故に説得にすらまともに応じない可能性もある。
「それはあの二人にとって自殺にも等しい答えだというのは分かっているね?」
「……ああ。それでもあの子達がこれ以上誰かを傷つけて、自分も傷ついて生きていくのは俺はもう耐えられない。決裂して殺し合う事になったら、戦うさ。」
「うん……分かった。生きているなら何とかしてやりたい、取り戻したいと言ったのは君自身だ。僕と君に交わされた契約に伴い、君の選択を僕は尊重するよ。アンナが此方側につくと言った場合、肉体を延命する手段は全力で探す。例え、その果てに君が死ぬとしても」
「すまない、ほんとうに」
「そこはありがとうで良いよ。それと……」
エリヤの手を取って、その手首に通すようにしてバングルを通す。魔法を通して防具並みに強化された銀で出来たそれの中央に明るい青緑のターコイズが複数付けられている。
「はい。<ターコイズ>*103のバングルだよ。御守り代わりにつけておいてね。一応自作で防具並みに硬いと思うから壊れる事は早々ないと思う」
「……いいのか?本来なら俺なんかじゃなくて、他の二人にやるべきもんだろ。これは」
「他の二人も宝石自体は幾つか9個持ってるし、君には一番必要でしょ。まじないも掛けておいたからいざという時に君の事を助けてくれる筈だよ」
「……そうか。ありがとう」
「うん、どういたしまして」
色々と急に話過ぎて疲れてしまったのか、頬を赤くしたエリヤがぼとりと僕の太腿に倒れ込んだ。
「エリヤ?」
「もし全部終わって、その時俺が生きてたら……俺の全部、お前にやるよ」
「それはまた全部終わった時に言ってよ。君には君の人生があるんだから」
「じゃあ、取り敢えず今はそういう事にしておいて、くれ……俺はちょっと疲れた……」
それだけ言い残して彼女は眠ってしまった。他にも聞きたい事はあったのだが、致し方ないだろう。縋りつくように眠るエリヤの頭や頬を撫でながら、会話の間にCOMPに送信されてきたメールの確認を行う。
「真澄から……いや、そうか。ついに見つかったんだ」
その中の暗号化されたメールの一つを確認すると、ある一文に僕の目が奪われた。
―――天魔衆の本拠地が見つかった。
・キャラ紹介
<ブラックカオス>
ごじゃまぜ世界のインフレに対応する為に悪魔合体自体の多様性を模索して、悪魔の強化の幅を増やすのではなく、悪魔単体の多様性を重視して単体の潜在能力を引き出すという形で悪魔合体士兼魔道師。見た目は邪教の館の主ぽかったら何でも良かったが丁度遊戯王が目に入ったのでマジシャン・オブ・ブラックカオス と大体似たような見た目となって、名前もそれに準じた。
<久遠 エリヤ>
アンナを救いたい。だけど死にたくはないし、エデンにも居てほしくないという諸々がごちゃまぜになって精神的に不安定な状態にあったが今回のフェイとの会話である程度吹っ切れる事が出来た。代わりにフェイへの重力も増幅した。多分大体堕ちてる。
<久遠 フェイ>
親しくなった人間には大体ああいう動きをするタイプのウィッチ(♂)。
根っからの奉仕体質なので気に入った人間にはとことん尽くすし、それが進むと歪な共依存関係となってしまう。というか由奈とはそうなっている。
今回流れでフェイの仲魔データを公開したので下の方にフェイのデータも公開しておきます。機会があれば好きに使ってあげてください。
lv84 半妖精/サマナー<久遠 フェイ> 【Light/Neutral】
シリーズポジション:セクター12における実験体(デスピリア)
・武器
剣:アセイミイ・ナイフ型武器COMP
・防具
ヘルメット:双鬼冠※デビサマ:(62/12。魔性防具。知+1・運+2)
アーマー:スプリガンベスト※デビサマ(60/2。技反射。耐+2・速+2)
グローブ:Aマックスアーム※デビサマ(24/10。全対応。魔+2)
ブーツ:ミラージュブーツ※ソルハカⅠ(26/40。ノーマル耐性。速+2)
・アクセサリー
鋼靭の闘魂※真4F(MP上昇。最大HP+30%<三分の活泉>)
(場合によっては自由選択。)
技能振り:ウィッカ60以上・魔法操作3etc
・耐性
剣攻・投具・万能・電撃・衝撃・念動・精神・神経(50)
槍攻・ガン・火炎・氷結・突撃・技・剣技反射(50)。破魔吸収
呪殺反射(100)。魔力・緊縛(10)
【アセイミイ・ナイフ】 ※誕生篇&改定
ウィッカに属する者達が月光の魔力を集めて作った魔法のナイフ。この武器の攻撃力は魔力を参照する。また、この武器によるダメージは物理耐性・無効・吸収・反射を貫通する(準物理貫通※D2と同様の効果とする。)。本来は女性しか装備できない筈の物だが…?
【アセイミイ・ナイフ型武器COMP】
アセイミイ・ナイフを基本構造に置いた武器COMP。
このCOMPは飽く迄呼び用のCOMPであり、悪魔召喚及び補助はアームターミナル式COMPとして腕に装着されている。まだ武器COMPとして改造を施している段階なのでまだその真価は発揮されていない。
<発動スキル>
戦闘時は以下の中から8つを指定して発動している。
【ワイルドハント】 ※覚醒篇_ウィッカ
敵全体に相性:-(万能相性処理)のダメージを与える。
威力は加護(運)×2となり、ステ振りが運魔特化の為にメギドラオン以上の特大ダメージを与える。
【魔法の輪】 ※覚醒篇_ウィッカ
覚醒段階に等しい数(4つ)の光の輪を生み出し、輪1つにつき一人の味方を守る。
輪の中に居るキャラクターは魔法防御点・物理防御点が威力点(ウィッチ技能値参照)上昇する。
同時にその強度以下のレベルのアンデッドはこの輪の中にいるキャラクターに対しては攻撃を行えない。
1度かけるとかけたターンも含めて威力×1ターンの間、魔法の輪は維持される。この魔法の輪は重複しない。
【魔法の輪】 ※誕生篇_ウィッカ
威力の分だけの強度を持つ結界を描く。
強度以下のレベルの悪魔やキャラクターはこの中にいる人物に対しては攻撃したり、魔法をかける事が出来なくなる。但し、維持するのに1ターンごとに術者がMP4点を消費する。
【妖精の輪】 ※誕生篇_ウィッカ
妖精の輪と呼ばれる門を開き、あらかじめ用意していおいた避難所にテレポートする。
避難所を用意してない場合でも妖精を呼んでいれば妖精の導きで1キロ以内の空き地にテレポートする。
【大地の力の加護】 ※覚醒篇_ウィッカ
レイ・ラインのパワーをアセイミイ・ナイフに集めて、相手に打ち込む。敵単体に剣相性のダメージを与える。威力はウィッカ技能値×3参照で火力自体なら最大規模。
【諸惑星の加護】 ※覚醒篇_ウィッカ
敵単体にダメージを与える。このカルトマジックは相性無し(万能・100%・相性無視と判断)や相性:禁(緊縛相性)以外の相性を自由に選択する事が出来る。威力はウィッカの技能値参照により中~大ダメージ程度。本来は覚醒篇内の物しか選択できない筈だが、この世界における属性は拡張しており、術者は既知の属性をこの魔法の相性として選択できる。
【サバトマ】 ※真1
マッカを使用せずに仲魔を1体召喚できる
【ワンスモア】 ※魔神2
味方一人を未行動状態にする。
本来はピクシーが持つ筈のスキル。
【アクマのウィンク】 ※魔神2
距離1の敵全てにPALYZ(80%)を与える。
本来はピクシーが持つ筈のスキル。
【デトラ】 ※覚醒篇
敵味方の結界魔法を全て解除する。
※エストマ・テトラ・マカラ・テトラカ・マカラカ・テトラカーン・マカラカーン・ステラカーン等が該当。
【デイル】 ※覚醒篇
周囲一帯(範囲:地域)の幻術や幻影を解除する。
【悪魔召喚】 ※200X
補助スキル。契約している悪魔を召喚する。本来は命運を支払って発動するスキルであり、その代わりに1戦闘中1回まで使用できる物とする
【精霊召喚】 ※ペルソナ2罪
┣敵全体に万能の中ダメージと幻影の追加効果を与える。
妖精召喚を応用しての使用。
【電気ショックⅢ】 ※200X
即時効果。味方一人が即死またはDEADになるのを防ぐ。
但しHPが0以下になる場合は1とする。ランクⅢの為に1シナリオ3回まで使用可能。
【高速詠唱Ⅲ】 ※200X&不完全
補助スキル。手番中、使用者は追加で1アクション分の魔法攻撃か支援魔法を行う事が出来る。
但し、HPを回復する効果のあるスキルは使用できない。1シナリオ(一連のダンジョンクリアやボス撃破等を指標にする)に3回まで使用可能。使用する度にコストとして現在HPの半分を消費する。このスキルは本来1つの手番に複数回使用できるが、不完全な習得である為にそれは封じられている。
他、ウィッカ系スキルを習得している。
<自動スキル>
【■■の光】 ※D2&破損
全ての状態異常にかからなくなる。
一部の特殊なピクシーが持つスキルだが、何かが欠けているのか本来の性能を発揮していない。
【妖精の祝福】 ※NINE
1カウント毎にパーティ全員のMPを1/20(5%)回復する。
ピクシーが持つスキル
【ソウルリンクⅢ】 ※200X&強化
戦闘終了時に3体(ランク参照、Ⅲなので3体)までの戦闘参加した契約する悪魔を選び、
契約者と同じだけの経験点を与える。これによって悪魔をレベルアップさせる事が出来る。
本来はレベルアップに置いて追加スキルは獲得できず、レベルアップイベントは発生しないが、
契約者の霊格上昇によって、それも撤廃されている。
【魔法耐性】 ※200X
魔法防御点に魔能力値を加える。
【同時召喚制限:フェイ】 ※オリジナル(厳密にはスキルではない)
許容範囲外の悪魔を召喚する際の制限。この制限はフェイ個人のものである為に他者がどのような物かの定義は行わない。通常、フェイが召喚する事が出来る悪魔の数は3体までだがそれを4体、5体と拡張させる。召喚数が増加する程に召喚者にはマグネタイトの使用に大幅に制限が掛かり、マグネタイトの消費量も増加する。4体召喚の場合はフェイのスキルによる攻撃のダメージは半分になり、4体召喚中のターン終了時に最大MPの10%のMPを失う。5体召喚の場合はフェイは一切のスキルを使用できなくなり、5体召喚中のターン終了時に最大MPの15%のMPを失う。MPが0になった時、4体・5体召喚は出来なくなる。
<捜索用スキル>
【コンピュータ操作】 ※200X
コンピュータを使いこなし、簡単なプログラムを使用できる。
情報技能として使用する場合、インターネット・サーフィンだけではなく軽度の侵入によって情報を得る。
判定は運で行われる。
【妖精の輪】 ※200X
情報を一つ得る。1シナリオ1回まで
【大地の声】 ※200X
精霊、地霊、妖精と会話し、情報一つか出現値Aのアイテム1つ入手する。
etc。
また、同フロアのトラップエリアをすべて認識。
「物理命中率が15%増加し、クリティカル率が20%増加する。」