真・女神転生オタクくんサマナー外伝 -ロストキリギリス-   作:名無しの骸骨

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天魔衆撃滅戦 その4


 

 由奈を仕留める事に成功したラーヴァナはこのままそれを捕食し、この拠点より離脱する事を考えていた。由奈との戦いで体力を消耗しすぎていたし、羅刹の多くを率いていたチェルノボグの気配も消えた。アクシャはこのパレスの主であるし、あれを囮にこの場に居る羅刹と共に離脱するのが最も被害が少ない。そう、考えていた。

 

『貴様、何者だ。何処から現れた』

 

「君にはまだそれに喰われて貰っては困る。フェイの為にも、僕の為にもね」

 

 叫ぶラーヴァナに見向きもせずに現れたオベロン=ティターニアは由奈に回復魔法を使い、その血を止めて四肢を繋ぎ止める。ラーヴァナがそれを止めようと襲い掛かろうとしても周囲に居るオベロンの仲魔が居た。

 

「さて、えーっと、俺が……誰かだっけ」

 

『その圧、貴様合一神(ナホビノ)か?新しき神話(テオゴニア)が一体何の用だ』

 

「……ほんとに覚えてないんだなぁ。ま、加害者なんてそんなもんかもしれないがね」

 

 何処か失望と呆れ、怒りと憎悪を入り混じった視線をオベロンはラーヴァナに向けて、気だるそうに言葉を返した。

 

「フェイの仇を取りに来た、とでもいえば君には伝わるかな。羅刹王(ラーヴァナ)

 

『貴様……まさか妖精王(オベロン)か!だが、その姿は妖精女王(ティターニア)の!』

 

「君がぐちゃぐちゃに引き裂いてくれたお陰でこんな姿になっちゃった訳だ。いやはや、ほんと羅刹ってのは粗暴で血生臭くて下劣で嫌になる」

 

 羅刹とシャドウを連れた羅刹王と妖精とダヌーに連なる者達を束ねた妖精王が向かい合う。ラーヴァナはオベロンが何故ここに居るのかを知らず、オベロンもまた細かい状況は分かっていない。

 

「ま、そういう訳でさ。此処で死んでくれない?」

 

『死に損ないがほざくな。貴様の屍をフェイの元に送り届けてやろう』

 

 互いに分かるのは不俱戴天の敵が向かい合っているという事だけ。羅刹は唸り、妖精は嘲笑い、敵意と殺意がぶつかり合う。戦いが始まるその直前の不気味な静寂が場を支配して

 

\カカカッ/

Lv99喰奴ラーヴァナ耐性:物理・銃撃に強く、

電撃・氷結・破魔・呪殺・BS無効

\カカカッ/

Lv85軍勢羅刹天の軍勢打撃。斬撃反射。呪殺無効。破魔耐性*1

\カカカッ/

Lv85軍勢羅刹天の軍勢打撃。斬撃反射。呪殺無効。破魔耐性

\カカカッ/

Lv77刑死者魔のヘカトンケイル物理弱点。氷結・電撃反射。疾風無効*2

\カカカッ/

Lv69法王狂信の塔火炎耐性。氷結・疾風吸収。電撃耐性*3

\カカカッ/

Lv69女帝ピスティルマザー火炎・氷結反射。破魔無効。呪殺弱点*4

 

\カカカッ/

Lv100合一神オベロン=ティターニア不明

\カカカッ/

Lv91妖精クーフーリン物理吸収。銃撃・火炎・氷結・電撃耐性。

衝撃・破魔・呪殺反射。猛毒・神経弱点*5

\カカカッ/

Lv86妖鳥モリーアン衝撃吸収。突撃・神経・精神無効。

破魔無効(低確率)。斬撃・打撃・氷結・破魔・呪殺・魔力耐性*6

\カカカッ/

Lv82魔獣ケットシー破魔無効。呪殺にちょっと強い*7

\カカカッ/

Lv77妖精ピクシー物理と大半の魔法に強く、破魔・呪殺無効*8

\カカカッ/

Lv74妖精ホブゴブリン破魔が効きにくい*9

 

・配置

羅刹羅刹王羅刹

刑死者法王女帝

 

クーフーリン妖精王ケットシー

モリーアンピクシーゴブリン

 

『喰い散らせ』

 

「死に絶えろ」

 

 両者の王の叫びと共に戦端は開かれた。互いの数の多さにより圧し勝つ戦い方(プレスターンバトル)は行えず、必然的に隊列を整えた上での乱戦(スピードバトル)へと突入する。

 

スクカオートD2出典。1ターン目開始時、スクカジャが発動する。ケットシーが習得

リベリオートD2出典。1ターン目開始時に自身をリベリオン状態(会心状態)にする。

ケットシーが習得

機先真5(神意)出典。

マップ上で敵に気付かれずに攻撃して戦闘を開始した場合、大幅にマガツヒゲージが上昇する。

オベロンが不意打ちでダメージを既に与えている。

常在戦場真5(神意)出典。戦闘開始時、マガツヒゲージが少し上昇するようになる

畏怖真5(神意)出典。

バトル開始時、敵全体に対しランダムに1種類の能力低下効果がかかるようになる。

スクンダが敵全体に付与された。

 

『初手ブーストは基本にゃぁ~!』【スクカジャ】*10

『ではこれを』【物反鏡】*11【道具の知恵】*12

 

 <スピードスター>*13によって速度に特化した羅刹もラヴァーナも()()()先手を取ることが出来ずに戦闘は始まった。オベロンの神意とケットシーの加護が発動し、そのままケットシーが<スクカジャ>をモリーアンが<物反鏡(テトラカーン)>を張る。

 

『(最悪のパターンも考慮すべきか)』

 

 ラヴァーナは敵の動きと自分達の置かれた状況を鑑みて、その動きを止める。敵は、あの妖精王(オベロン)は過去に自分が羅刹を率いて襲撃し、その果てに殺し切れなかった相手だ。

 

 羅刹の性質も知っている筈の奴は仲魔に物理貫通にて突破される物理反射(テトラカーン)の展開をさせた。その上でどうにも自身と羅刹の動きに違和感を感じる。何かが抑制されている。既に自身達が“詰み”に入っているかのような、そんな感触すら抱いて

 

血祭りDDSAT1出典。敵全体に物理属性の中ダメージを与える。クリティカル率が高い

血祭りDDSAT1出典。敵全体に物理属性の中ダメージを与える。クリティカル率が高い

 

 斬撃反射を持つ羅刹達に攻撃指示を出した。*14

 

-<Reflection>-

  <反攻準備・無効>*15

 

 無情にも或いは想定通りに()()()()()()()()()()()()()()()()()()。反射されたダメージこそ斬撃反射にて無効化したが、ラーヴァナの最悪がそこにはあった。

 

トリニティNINE出典。

敵・味方とも戦闘中の自動効果(戦闘アビリティスキル)の効果が発生しない。

通常悪魔ではモリーアンのみがトリニティを習得している

真夏の夜の夢NINE出典。

双方に有効な戦闘スキル効果を自分のパーティに対して無効にする。

オベロンとティターニアが揃った時にのみ発動する事が出来る。

 

妖精王(オベロン)、貴様……!』

 

「そう唸るなよ羅刹王(ラーヴァナ)。一度負けたんだ。対策してメタを張るのは当然と言えるんじゃないかい?」

 

 ラーヴァナが感じた違和感の正体はモリーアンが持つとされる秘術、加護・権能殺し(常時効果無効化)がこの場に展開されている事だった。敵味方区別なく封殺する筈のそれはオベロンとティターニアの両方の力を持つ妖精王によってラーヴァナと羅刹達のみに適用されている。

 

 その力の大半を加護(常時効果)に依存している羅刹は荒々しい力も速度も隠密性も発揮できていない。さらに言えば自らが羅刹である証明(羅刹モード)さえも抑制されてしまい、物理属性による攻撃しか概ね行えない羅刹は反射(テトラカーン)を張るだけで機能不全に陥ってしまう。

 

 その現実に妖精王(オベロン)は嘲笑って、羅刹王(ラーヴァナ)は歯が砕ける程に苛立ちながらもその身を加速させる。

 

『あの妖鳥を殺せ!奴さえ落とせば!』【バイオレンス】*16【デカジャ】*17【テトラハンマー】*18【終わる世界】*19

 

 アイテムによる物理反射解除(テトラコワース)からの歪んだ巨腕による押し潰しが襲い掛かる。自分達の持ち味とも言える羅刹化による物理強襲(2~8倍物理貫通攻撃)が死んだことは認めよう。だがそれを殺すという事は物理に対する脆弱性が消えたという事でもあり、防御面で言えばメリットの方が大きい。

 

 自分達(羅刹陣営)彼方側(妖精側)を比較するなら単純な数や戦力は此方が上回る。羅刹は今ここに居るのが限度だが、シャドウについては時間が経てば補充が出来る。持久戦で言うのであれば勝機はあるとラーヴァナは認識している。

 

 それに妖精王(オベロン)が率いる悪魔は妖精だ。レベルこそ鍛えているようだが、耐性の弱さや地力の低さで付け入る隙は幾らでもある。万能属性ならば反射も気にせずに奴らを纏めて嬲り殺せる。

 

『羽虫や小鬼すら潰せないか!』

 

 ピクシーやホブゴブリンは潰せると考えて放った一撃は確かなダメージこそ与えてはいる物のその命を奪いには至らない。モリーアンに至っては回避すらされた上で

 

デスカウンターD2出典。敵の打撃型攻撃を受けたとき、

50%の確率で物理属性の特大ダメージを反撃で与える。

クランの猛犬D2出典。物理・衝撃貫通を得る。クリティカル率が50%増加。

自身が生存中、味方全体は次の効果を発揮。

「物理・衝撃属性で与えるダメージが10%増加し、

全体およびランダム攻撃で与えるダメージが10%増加。」

以下、秘匿。

クーフーリン_思念融合1物理命中率が50%増加。クリティカル率が50%増加。

格闘武器200X出典。格闘武器を1つ装備する。魔槍ゲイボルグを装備している。

魔槍ゲイボルグNINE出典。

攻撃力200・命中100の斬撃武器。力+6・速さ+6・体力+4する。

攻撃時に確率で瀕死を与える。

さらに神族・鬼神族・魔族・悪霊・外道・ボスには種族特攻が入る。

 

『グ、ぎっ!』

 

『師匠の仇だ。容赦はしない』【一気呵成】*20

 

 反撃に動いたクーフーリンの槍が腕を抉り、無視できない痛手を喰らったラーヴァナは即座に後退った。あまりに鋭く致命(クリティカル)すら容易に発生させたその技量と力は研ぎ澄まされており、オベロンと同等かそれ以上の危険度を誇っているとラーヴァナは判断する。敵に対する警戒度をさらに上昇させた上でラーヴァナは他の敵を見据えた。

 

魔法の輪覚醒篇(ウィッカ)出典。

覚醒段階に等しい数の光の輪を生み出し、輪1つにつき一人の味方を守る。

輪の中に居るキャラクターは

物理・魔法防御点が威力点(ウィッカ技能値参照)上昇する。

同時にその強度以下のレベルのアンデッドは

この輪の中にいるキャラクターに対しては攻撃を行えない。

1度かけるとかけたターンも含めて威力×1ターンの間、魔法の輪は維持される。

この魔法の輪は重複しない。オベロンは戦闘開始前に使用。

オベロンはウィッカを習得しており、

レベルの全てをウィッカに注ぎ込んでいる(ウィッカ技能値100)

衝撃アボイドD2出典。衝撃属性で与えるダメージが15%増加し、

回避率が15%増加する。モリーアンが習得

迅速の権化D2出典。悪魔のバトルスピードへの影響が25%増加し、

物理回避率が10%増加する。モリーアンが習得

 

 モリーアンは自らの持つ加護(パッシブ)にて回避力を上昇させ、他の対象の多くはオベロンの護り(魔法の輪)にて防御が上昇している。自分達は封じられた加護を有効活用しながらオベロンは優位を取っている。ラーヴァナにとっては酷くやり辛い。

 

「流石に一筋縄ではいかないな」【物反鏡】【常世の祈り】*21

 

 オベロンが動く。反射結界を張り直した上での加速(2回行動)。メシアの光にも似た祈りによる回復は瞬く間に妖精達の肉体を癒し尽くす。

 

 再び張られた反射結界によって羅刹達は動く事が出来ずに(待機して)、シャドウ達が動く。

 

マハタルカジャP4G出典。3ターンの間、味方全体の攻撃力が上昇する。狂信の塔が習得

マハガルダインP4G出典。敵全体に疾風属性の大ダメージを与える。

ピスティルマザーが習得。

メギドラP4G出典。敵全体に万能属性の大ダメージを与える。魔のヘカケントイルが習得

 

 三体の高位シャドウは全体攻撃強化(マハタルカジャ)の後に疾風と万能の二種による全体魔法をオベロン達にぶつける。その二種は悪魔であるのなら早々耐性をつけられる物ではなく、無効も減衰もされない。しかし、魔法の輪の影響と鍛え上げられたその霊格(レベル)によって致命傷を与えるまでには至らない。

 

『じゃあ、これ~♪』【メディアラマ】*22【回復ブースタ】*23

『補助ヲ積ミ直ス』【タルカジャ】*24

 

 ピクシーが回復を、ホブゴブリンが攻撃強化(タルカジャ)を積み直し、状況はほぼリセット。

 

「我が槍、その身で味わえ」

 

 そして、最後に行動を遅らせていた(待機していた)クーフーリンが動く。

 

裂棘の魔槍D2出典。

敵全体に3回、防壁貫通を得た衝撃属性の小ダメージを与える。

攻撃成功時、連動効果が発動。

「ランダムな敵に2回、防壁貫通を得た衝撃属性の小ダメージを与える。」

このスキルは反撃効果の発動を無視する。

このスキルを使用するたび強化段階が増加する。

【強化段階:1】連動効果の攻撃回数が3回に変化

【強化段階:2】連動効果の攻撃回数が4回に変化

【強化段階:3】連動効果の攻撃回数が5回に変化

衝撃プレロマ真5出典。衝撃属性で与えるダメージを上昇させる

 

 ラーヴァナ達に放たれたのは魔槍による刺突乱打。風を纏う事でそれを矢のように飛ばしながら、同時にラーヴァナですら視認できない正確無比の一撃が針地獄のように並べられて羅刹やシャドウすら貫いていく。

 

 特に集団として統制された羅刹達はその数故にこの攻撃は大いに効いてしまっている*25。積まれた攻撃強化とクーフーリン自体の加護(常時効果)*26もあり、無視できない数の羅刹がその攻撃で息絶えた。とはいえ、これで羅刹の力まであればその脆弱性によって自滅まで追い込まれていただろう事を考えればまだ許容できる被害だった。

 

オベロン陣営攻撃強化+1(SH1式)・防御強化-1(DDSAT2式。モリーアンを除く)

魔法の輪(防御+100。数十ターン継続)・会心状態(ケットシー)

ラーヴァナ陣営攻撃強化+1(P4G式)・速度低下-1(真5式)

常時効果無効化中(トリニティ)

 

『チぃ、ッ』

 

 徐々に悪化していく状況にラーヴァナは悪態をつきながらも思考を回す。羅刹の力ありきで戦ってきた事のしっぺ返しが今になって来ていた。とはいえ、それは致し方のない話でもあった。羅刹の力は取り外しできるような物でもなく、羅刹と成り果てた者が生まれつき持つ物でそれによる制限の為に戦い方もそれに沿った物に自動的になってしまう。

 

 魔法が使えないというのが特に大きいだろうが、この地でラーヴァナが下僕として量産した羅刹達には属性物理にまで手を広げる余裕がなかった。よって反射結界(テトラカーン)がある限り、役立たずとなるのは今もこの先も変わらない。かといってシャドウを軸に戦略を立てようとしてもそれらでは単純に力が足りない。

 

 せめて場所が良ければこのパレス(認知世界)の神の力を使う事も出来たのだろうが、それも出来ない。ラーヴァナの力だけでは現状は変わらず、打開の為にはこの場所にシャドウを結集させるしかない。

 

『(その為に時間を!)』

 

「悩んでいるようだね。まぁ、それもすぐに終わる」

 

クランの猛犬D2出典。追加効果。

自ターン終了時、つぎの連動効果が発動。「自身をチャージ状態にする。」

クーフーリン_思念融合2「クランの猛犬」発動時、連動効果が発動。

「自身を会心状態にする。

さらに2ターンの間、味方全体の攻撃力を20%増加させる」

妖精の祝福NINE出典。

1カウント毎にパーティ全員のMPを1/20(5%)回復する。ピクシーが習得

鼓舞真5(神意)出典。ターン経過時のマガツヒゲージ上昇量が増加する

 

「決着はそう、遠くはない」

 

『……!』

 

 10秒(ターン)が経過し、クーフーリンの力が激しく増幅(チャージ会心)する。オベロンの瞳が赤く輝き(マガツヒ100%)、ラーヴァナは自らの死を幻視して歯を食いしばった。手番(ターン)が回る。

 

『オオオオオオオオッ!』【バイオレンス】【終わる世界】【終わる世界】【終わる世界】

 

「初手で潰しに来る事位の想定はしてるさ!」【妖精王の宴】*27【ランダマイザ】*28【ランダマイザ】

 

 羅刹王(ラーヴァナ)妖精王(オベロン)がほぼ同時に動く。乱雑に振われた両腕が世界を抉り怖し、それが三度振われる。それより一瞬速く動いたオベロンはその身に満ちたマガツヒを開放し、全能力強化の補助を掛けながらラーヴァナの抑えの為に全能力低下(ランダマイザ)の呪いを二度放つ。

 

オベロン陣営攻撃・速度強化+2(真5式)・防御低下-2(DDSAT1式。モリーアンは1回)

魔法の輪(防御+100。数十ターン継続)・会心状態(ケットシー)

ラーヴァナ陣営全能力低下-2(攻撃強化だけ-1。DDSAT1式)

常時効果無効化中(トリニティ)

 

 呪いによってその力を下降させたラーヴァナの三撃は妖精達を討ち取るには至らなかった。速度強化(スクカジャ)速度低下(スクンダ)が重なった以上は全ての攻撃を当てる事はラーヴァナであっても敵わず、防御上昇(ラクカジャ)攻撃低下(タルンダ)の効果により二度の直撃では火力が足りず、クーフーリンの<デスカウンター>による反撃を喰らっては後退る。

 

『追撃しろ!』

 

「君が私より先手取れれば話は別だったと思うけどね。もう終わりだよ」

 

 ラーヴァナの叫びと共に羅刹達は動くが、モリーアンによって再度展開された物理反射結界(テトラカーン)によってその爪牙は届かない。自らの力の大半を奪われた事もそうだが、あって当たり前だった物を喪失した事による自身の力の性質変化にラーヴァナも羅刹達もまだ慣れてはいなかった。

 

 大まかな動きや力は変わらずとも細かな動きや挙動に肉体と精神が追い付かず、発生したワンテンポの遅れをオベロン達は容赦なくついていた。

 

『ニャーッ!』【タルカジャ】*29

『じゃあ、これ~♪』【メディアラマ】【回復ブースタ】

『コレデ最大』【タルカジャ】

 

 完全に形勢が傾いた戦況の中で積まれる補助と回復。妖精達の傷は癒され、その剛力(物理攻撃)激しく増幅(倍率450%)している。

 

『これで、蹴散らす!』【裂棘の魔槍】【衝撃プレロマ】【クランの猛犬】【魔槍ゲイボルグ】

 

SH1式タルカジャ(450%)×チャージ(225%)×会心(150%)

×衝撃プレロマ(120%)×敵防御低下(2段階・25%)

×クランの猛犬(衝撃110%×全体・ランダム110%)

約2700%

 

 先程と同様の(スキル)。しかしその身に込められた力は比較にならない程に膨れ上がり、風を超えて嵐と化したクーフーリンは豪雨のように刺突と斬撃を繰り返し、ラーヴァナを羅刹とシャドウ諸共に突き切り飛ばしていく。

 

『……!?ラーヴァナの姿がない!透明化*30だ!』

 

 朽ち消えていくシャドウと肉片となって打ち捨てられる羅刹の中にラーヴァナの姿はない。それらを犠牲にした透明化と戦線離脱、それこそが勝ち目がないと判断したラーヴァナの選択だった。

 

「心配は無用だ。()()が居る」

 

 オベロンはそう呟き、その隣を影が駆け抜けて行く。

 

\カカカッ/

Lv87(-1)半羅刹/剣士久遠 由奈耐性:凡そ全てに強く、物理吸収。火炎・氷結・

破魔・呪殺・精神・神経・魔力・緊縛反射*31

 

「仕留めます」

 

 ラーヴァナは隠形していた自らの位置を凡そ正確に探知していた。ならば自分でも可能であると判断し、その気配を辿る。

 

 空中に漂い始めた霧の中、その壁を飛び回りながら逃げるラーヴァナの気配を捉えた由奈は大地を蹴り壊しながら、一直線にラーヴァナに向けて跳んでいく。

 

踏み込み誕生篇(剛剣)出典。

一瞬の踏み込みにより威力値×1m踏み込み、

移動のペナルティを受けずに攻撃できる。

敵は直後の攻撃に対して回避や防御の判定値が威力分、低下する。

威力は剛剣技能値を参照する。

大地震動Ⅲ200X出典。補助効果。

このターン、使用者が次に行う攻撃1回の威力に使用者の<レベル×2>を加え、

クリティカル時の効果を「ダメージ2倍」から「ダメージ3倍」に変更する。

1シナリオ3回まで使用可能だが、1回の戦闘では1回しか使用できない。

チャージ真4出典。次に行う物理・銃撃攻撃力が2.5倍になる。

豪傑の転心ライドウ出典。約50%の確率で物理攻撃の威力を100%上昇させる

物理貫通ⅢSH2出典。武器COMP改造。

物理属性で攻撃時、耐性・無効・吸収を無視してダメージを与えられる

一の太刀誕生篇(剛剣)出典。

連続攻撃には使用できないが、剣の威力が倍になる必殺技。剣相性。

 

「獲ったぞ、ラーヴァナ!」

 

『き、さまァ……!』

 

 数十m以上の超跳躍から一直線状に振るわれた由奈の太刀は視認できないラーヴァナと思わしき何かを両断する。確かに聞こえたラーヴァナの断末魔と自身の姿すら隠す程に漂う霧の中で由奈は地面へと落下していった。

 


 

「奴と同様の質問をするようで癪ですが……貴方は何者なんですか?」

 

 戦闘が終わり、静寂を取り戻したその空間は再び一触即発の雰囲気を漂わせていた。

 

「一応、()は君の命の恩人な訳なんだけど」

 

「助けて貰った事に関しては感謝しています。ですが貴方はあまりに危険で、何も分からなすぎる」

 

 オベロンと名乗る目の前の存在がラーヴァナに比類する力を持っている事は先の通り。その上で合一神と呼ばれる存在である事とラーヴァナが新しき神話(テオゴニア)である事を問うていた事、フェイに似た容姿等、由奈にとってあまりに気になる事柄が多かった。

 

「そうさな。道すがら一個ずつ手短に説明していくか。最奥から随分此処は遠い。構わんか?」

 

「……良いでしょう」

 

 オベロンにも何か狙いがあるのは間違いない。とはいえ警戒して断り、敵対したとしても自分一人で勝てる通りはなく、何より自分を殺すチャンスは此処に至るまでで何度でもあった事も踏まえて由奈はオベロンの言葉に乗る事にした。

 

「まずは()が君を助けた理由だが、これは単純にラーヴァナに君を吸収させない為だ。君クラスの同位体が吸収されるとなると、奴はさらに手が付けられなくなっていただろうからね。後はそもそもラーヴァナを殺す目的もあったし、フェイの事もあった」

 

「フェイから、貴女のような知人が居たとは聞いた事がない」

 

「こっちが一方的に知っているだけさ。この世界じゃそれなりにある事だろう?」

 

「……」

 

 オベロンに対して警戒をはらいながら由奈は先へと急ぐ。道中に居る筈の羅刹やシャドウの姿はなく、先の見えない霧と共に入り組んだ迷路のような廊下が唯々広がっている。

 

「此方からも質問を。貴女とその妖精達を見た事で確信した事ではありますが、私達がかつて居たヨコハマ裏中華街。アバドンとの戦いで手を貸したのは貴女ですね」

 

 オベロンの肩で鼻歌を鳴らしながら漂うピクシーに由奈は目を向ける。由奈はあの場所において最後の最後に<ワンスモア>の支援を受けた。一部の高位のピクシーしか覚えないと呼ばれるそれはオベロンの仲魔であるピクシーも持ち得る物であり、それを神威で送り込めるとなるとそれこそオベロン位しか候補がいない。

 

「ついでに言うなら今回の匿名メールを送ったのも()だ。だから君達を此処に差し向けた、とも言えるな」

 

「……何が目的なのですか」

 

 オベロンの動きは何処か歪だった。自分達に対して敵対的な行動は起こしておらず、間接的な形で支援すらしている。その上で直接的な支援は行わずに、その身を隠し続けていた。過去周回におけるフェイの関係者の漂流者(ドリフター)である事はほぼ確定で、持ち得るその力から新しき神話(テオゴニア)に属している可能性すらオベロンにはあった。敵対の意志は感じられないが、それが何より危険だった。

 

「最終目的は言えないが君達と戦う気は此方にはない。現状は、そうだな。あの子に、フェイに聞きたい事がある位か。或いは君なら知っている事かもしれないが()は直接フェイに聞きたい」

 

「フェイに会わせろと?」

 

「無理強いはしない。だが信用に足る程度の支援は行ったと思っている。場所も日時も其方が指定して良い。連絡先だけ渡しておこう」

 

「これは……」

 

「妖精文字、という奴だ。あの子なら解読できる」

 

 オベロンから由奈に手渡されたのは特殊な加工がされた羊毛紙。其処には日本語でも英語でも、既存の外国語でもない文字が並べられている。魔術的な(呪い)は由奈の目から見て施されているようには見えない。

 

「そして、これが一番伝達しなければいけない事だ。ラーヴァナはあれで死んでいない可能性がある」

 

「何?」

 

 先に向かおうとした由奈の足が止まる。ラーヴァナは確かに討ち取った。霧に包まれ、姿も見えないが肉体を両断し、命を奪った感触は由奈の手の中に存在していた。

 

「あれは不完全だがアムリタを飲んでいるらしい。本当かどうかは確証を得られてないがね」

 

「奴は不死だと?」

 

「君は羅刹だが、同時に半分人間だ。あれが完全なる不死性を獲得してるならもっと堂々としているだろうし、不死性はあったとしても不完全な物として判断していい」

 

 神話上のラーヴァナはかつてブラフマーよりアムリタを授けられ、それによって神々に対する不死性を得たとされている。それを羅刹であるラーヴァナが飲んだともあれば同様の加護を得ていたとしてもおかしくはない。そうなれば純粋な人間以外では殺すのは難しくなる。

 

「問題は……この認知世界に漂う霧も真実を見えなくする、或いは誤認かな?そういう性質を持っている。それを利用して死を有耶無耶にして、生き延びようと奴はしていた。口ではかなり煽っていたが、最初から逃げの算段を立てていた訳だ」

 

「殺せるチャンスはあの瞬間しかなかった。今から追っても或いはあの時、気づいて追おうとしても奴を捉える事は出来ない」

 

「君の後に続いて攻撃しようとはしたけれど、気配が消えていたからね。死んだか、死を誤認して逃げ伸びたかの2択でその確率が凡そ半々程度に収まるなら生きていると判断して動いた方が良いだろう」

 

「……厄介ですね、奴は」

 

「あれは暴力だけの存在じゃない。奴は狩る側の立場に居続ける為に強さと生き残る事以外の全てを投げ売っている。僕も今回ばかりは殺せると思ったが、結果はこの通りだ」

 

「ですが一度殺せはしました。次に奴が現れたら、もっとうまくやるだけです」

 

「生きていたとしてもあれだけダメージ与えた以上は暫くの間、奴が出てくる事はないだろう。それまでの間に準備は済ませておきたまえ。()はもう警戒され過ぎて打倒は難しいだろうからな」

 

 そうして話を続けている内に霧は晴れ、迷路も抜けた。COMPのレーダーもある程度使えるようになり、最奥を目指すフェイと最奥に居る真澄とエリヤの姿を見つけ出す。他のDBチームは羅刹やシャドウと依然として戦闘中であり、最奥に到達するまでに幾ばくかの時間が必要に見えた。

 

「此処から先は()は行く事が出来ない。それにこれ以上の質問も受け付けない」

 

「フェイに伝言があれば聞いておきますが」

 

「あの子が思い出しているのなら必要ないさ。では、後は宜しく頼むよ」

 

 その言葉を残した後にオベロンは何らかの転移の術を使い、その場から消え去った。由奈は装備を整え、向かうべき道を確認した後に歩みを再開した。

 

「……色々と因縁が多すぎるな、私達は」

 

 自身(由奈)の前世とも言えるラーヴァナと過去周回のフェイに何らかの繋がりを持っていたと思われるフェイ。自身の妹であるアンナと殺し合わなければならないエリヤに故郷が天魔衆に乗っ取られてしまった真澄。過去がまるで追い縋るようにしてそれぞれの因縁が交差して、ぶつかりあって今に至っている。

 

 あのオベロンもフェイを慈しんでいるような様子だったが、その目には確かな狂気があった。どのような結果になろうと一筋縄ではいかないと由奈は考えている。

 

 それでも由奈の行動は変わらない。フェイとの今を、日常を守る。例えそれが血に塗れて、果てに多くの戦いが待っていようとも由奈が人間であり続けるにはそれが必要だった。

 

 ならば心に迷いはなく、振うべき刃に揺らぎはない。由奈はそう決心して、最奥に向けて一直線に駆けて行った。

 


・戦闘リザルト

久遠 由奈:Lv88→Lv87(不屈)→Lv90(ラーヴァナ一度殺したので)


 

・後書き

やっとボス連中のデータが出揃ったので良かったです(こなみかん)

今回はオベロンvsラーヴァナというボスバトルで、オベロンが奇襲側という事でこんな感じの結果になりました。ちなみにボス連中のイメージは基本的にこんな感じです

 

・高能力値&総合力のアンナ&ウリック

(バランスが取れていて穴という穴がないので多分何だかんだ一番強い。ワンパン火力を即座に出せるラーヴァナに対しては不利がつく)

・封殺メタ&瞬発力のオベロン(仲魔込み)

(トリニティ&真夏の夜の夢でショックルーラー(モンスター宣言)みたいな封殺をした上で何故かD2で滅茶苦茶強化された異世界クーフーリンに神意等で補助積んで殴り込んでくる。配下の妖精のレベルは頑張って上げてるが大分パワー不足なので其処が弱点。パッシブ封じても総合力で上を行かれるアンナ&ウリックには不利がつく)

・速度&火力のラーヴァナ(天魔衆込み)

(高速度&高火力&高タフネスでぶん殴ってくる。配下の羅刹も火力倍率は変わらないので奇襲に限れば最強クラス。但し羅刹モードと羅刹王の脆弱性があるので其処を突かれると一番弱い。パッシブに性能全振りしている関係で今回の話同様にオベロン&モリーアンにはほぼ勝てない)

 

単体のボス性能としてはラーヴァナ≧アンナ>>オベロンみたいな感じになると思います。

 

<久遠 由奈>

色々衝撃的な情報が多すぎたので情報だけ纏めて思考停止した上で最奥を目指している。

 

<ラーヴァナ>

由奈に殺されかけてびびって、その後現れたオベロンに対してはほぼ勝てないだろうなと最初から逃走狙いだったボス。霧を拠点内に展開しているのもいざという時に死んでも逃げれるようにする為。アムリタ(不完全)は多分某ブラフマンの同位体辺りから奪ったか貰ったかしてると思われる(逸話的に考えて)

 

<オベロン>

本人の性能はほぼオベロン&ティターニア+ナホビノパワー(神意)+ウィッカ。

ナホビノとしての性能はやや尖っており、率いられる仲魔も妖精かダヌー神族のみとなっている。

その分、ウィッカをぶん回せたり、仲魔にバフが掛かったりしている。

ちなみにエルフやリャナンシー(ダヌー神族だという記述があった)も採用を考えていたが、性能的に中々採用が難しかった。

*1
SH1の防御相性。破魔ストロンガで破魔弱点が消えている

*2
P4G耐性

*3
P4G耐性

*4
P4G耐性

*5
DDSAT2耐性

*6
IMAGINE耐性

*7
真if耐性

*8
DDSAT1の耐性

*9
真1耐性

*10
デビチル出典。味方全体にラック(運)をアップする。※デビチルにおいてラックは命中や回避に影響する。

*11
SH1出典。敵の物理攻撃を1ターンの間、反射する。

*12
真5(神意)出典。仲間がバトル中にアイテムを使えるようになる

*13
D2出典。悪魔のバトルスピードへの影響が50%増加する

*14
軍勢なので2回行動。その代わり、HPがその合計値となって非常に高くなっている

*15
真5(神意)。味方が敵からの攻撃を無効・吸収・反射した際、マガツヒゲージが上昇するようになる。この効果は2回発動している。オベロンが習得している。

*16
DDSAT出典。点滅状態のプレスアイコンを二つ増やす。それ以外の戦闘方式では行動回数を2回増やす物として扱う。(バイオレンスで手番を使うので実質1回増加)

*17
DDSAT1出典。敵のカジャ効果を解除する

*18
P5R出典(アイテム)。敵の物理反射効果を打ち消す

*19
DDSAT2出典。敵全体に万能物理属性の大ダメージを与え、防御力を低下させる。マ■トラで習得。

*20
真5(神意)出典。敵への攻撃がWEAKもしくはCRITICALであった場合、マガツヒゲージが僅かに上昇するようになる。オベロンが習得している。

*21
真3出典。味方全体のHPとバッドステータスを全回復する。ティターニアが習得する

*22
IMAGINE出典。対象の身体に作用し、より多くの生命力を回復する魔法。使用者の周囲にいる味方に対して、補助効果量に依存したHP回復を行う

*23
D2出典。回復スキルの回復量が15%増加する。

*24
SH1出典。味方全体の攻撃力を上昇させる。倍率は150%→250%→350%→450%まで変化する。

*25
真4系列の軍勢種族は全体攻撃が複数回ヒットする仕様

*26
クランの猛犬で全体攻撃で+10%。衝撃属性で+10%されている。さらにクリティカル率100%なので耐性持ち以外は確定クリティカルで一気呵成が発動

*27
真5(マガツヒスキル)出典。3ターンの間、味方全体の全能力を最大まで上昇させる(真5だと2段階まで)。マガツヒスキルは原則として行動権を消費しない

*28
DDSAT1出典。敵全体の全能力を1段階下げる

*29
真if出典。味方全体の攻撃力をアップする

*30
DDSAT1出典(オリジナル要素あり)。自身を<透明状態>にする。<透明状態>の際は自身のパーティ認識lvを-3(透化※NINE出典と同様の効果)して、さらに全体攻撃、ランダム攻撃を全て回避する。<透明状態>であるが故に姿も見えないが、ラーヴァナに単体攻撃を命中させると<透明状態>は解除される。また<透明状態>のラーヴァナは一部のスキルの発動が制限される

*31
双鬼冠・カラミティスーツ・ガネーシャリング・ミラージュブーツを装備。物理吸収はパッシブスキルで上書き

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