真・女神転生オタクくんサマナー外伝 -ロストキリギリス- 作:名無しの骸骨
神城一族と呼ばれる退魔の一族がかつて存在した。五畿の大和国、現在の奈良県を中心に存在した彼らは土佐国より伝来したいざなぎ流による符術と一族伝来の骨法術、祭神である
衰退した理由は時勢に寄る物もあるが、一番は技術の継承が出来なかった事が上げられる。一子相伝であった符術も骨法も凡そ扱うには才能が必要であり、それを悪魔戦闘に用いるレベルにまで引き上げられる者自体が少なかった。
符術はまず符の製作が出来なければ意味がないし、骨法は例え動きは真似できてもそれが悪魔や異能者に通じないのであればそれを用いる必要がない。祭神の力も時代の移り変わりで弱まっていき、現代に至るまでにそれ等ほぼほぼは消え去った。
そんな時代に神城 久作と呼ばれた男は一族の長となってしまった。この一族の長となった時或いはなるまでの間は久作もこの苦難を乗り越えられると信じていた。一族の中で動作をなぞるだけだが骨法の全てを振う事ができ、符術に関しては扱えなくても祭神の結界術を多少なりとも使う事が出来た。後は悪魔を倒していけば
| Lv16 | 格闘家/神主 | 神城 久作 | レベル限界 |
だが、あまりに呆気なく自らの限界は訪れた。格上の悪魔を一族の総出で倒しても上がらぬ
さらなる格上を倒せば可能性はと意気込んでも、強大な悪魔との戦いに臆して逃げて、弟や兄を失った。その悪魔も呆気なく、裏京都を守る鬼殺組に討ち取られて久作は深い絶望に包まれたまま目指す事を諦めた。
一族に残ったのは残りカスのような祭神の力に、自らよりも数段劣る男共に雑用位にしか使えない女共。格上を殺せず、物資だけを無駄に消費した以上は再起の見込みもなく、一族の滅亡は凡そ決定したに等しい状況だった。
久作も一族の男達もその破滅を理解してはいたが、その身に抱えた虚栄心がそれを阻んでしまった。其処から始まる無為で意味もない鍛錬に、奴隷として性的にも肉体的にも自らの妻や子供を酷使させる日々。久作も本来なら飲まずにいた酒を呷り、破滅から全て目を逸らしたままに悪戯に時が経つのを微睡んだ思考のままに見ていた。
| Lv35 | 巫女 | 神城 真澄 |
其処に現れた、現れてしまったのが自らの娘である神城 真澄だった。幼少期に自分達の鍛錬姿を見ただけの模倣で得た骨法に資料を多少読み込んで取得しただけの符術と結界術。
そんな物で久作の重ねた全ての力は凌駕され、彼女が育ったその時に心も身体もぐちゃぐちゃに殴り潰された。他の男達も同様に潰され、されども命は奪わずに真澄は京都ヤタガラスと取引をした上でこの牢獄より飛び出していった。
京都ヤタガラスとの取引により一族の地位は保たれたが、久作も男達も或いは女達もその全ての心が死んでいた。一族全て以上の力を単身で保持した上に、誇りであった技術もあの女が奪い去っていった。自らの人生はあれの一瞬にも満たないと、そう宣言されたかのような絶望を誰しもが抱えていた。
だからなのか、久作の気が狂っても誰も何も言わなかった。京都ヤタガラスが潰れた後に三業会に縋って、取引しても。或いは力を求めて、天魔衆の軍門に下った事も咎める事はなかった。
全ての者の瞳は霧に覆われたかのようにくすんで、女は呪物を取り込んだ神に捧げられてシャドウとなり、男はその身を羅刹へと堕とした。真実から目を逸らして、その心に抱いたのは真澄という存在に対する身勝手なまでの怒りと怨念。
剥き出しの本音だけを振りかざす彼らは皮肉にも彼らの限界を遥かに超えた力を持った。最早、そんな存在はこの世に存在してはならないというのに
\カカカッ/
| Lv86 | ウィッチ(♂) | 久遠 フェイ | 全てに強く破魔吸収。技・火炎・氷結・呪殺反射。BS無効*1 |
「間一髪って所かな。間に合って良かった。本当に」
由奈ではなく最奥に居るであろう真澄とエリヤとの合流に動いたのは正解だった。最奥に向かう最中に届けられた無事を示す由奈からのメッセージ。由奈の生存にほっとしつつもフレスベルグの<虚空の視界>*2にて捉えた状況は非常に切迫した物だった。
パレスの主と思われる幹部級の羅刹とシャドウ及び羅刹との交戦。二人ともそれら相手にただでやられるような玉ではないが、戦力比は2倍以上に開いている。足止めとして置かれていたであろうシャドウの群れをセトの<空間転移>*3にて無視して、時折襲い掛かる羅刹はカルティケーヤの矢嵐で薙ぎ払った。
そんな速度で辿り着いたのにも関わらず二人とも瀕死で、真澄の状態は特に宜しくない。命に別状はないが血を流し過ぎている。顔に生気がなく、蘇生魔法を以てしても意識を取り戻すには幾ばくか時間を要するだろう。直ぐに来れなかった事に罪悪感を抱えながら、真澄の身体を床に置く。
「随分、好きにやってくれたみたいだな」
『チッ……!』
この惨状を齎した
状況を整理する。真澄は倒れ、エリヤは回復はしたものの真澄の護衛及び羅刹の再奇襲の為に能動的には動けない。僕自身もチェルノボグとの戦闘で相応に消耗している。5体召喚はハッキリ言って厳しいだろう。
とはいえ敵も消耗していない訳ではない。真澄から与えられた打撃によって消耗しているアクシャに姿を現す事を強いられたアメノサギリ。羅刹に至ってはこの認知世界内部に居る殆どは狩り尽くされ、潜んでいたとしても精々数体が関の山だろう。
| Lv90 | 喰奴 | アクシャ | 打撃・斬撃反射。銃・破魔・呪殺無効。 |
| Lv80 | シャドウ | アメノサギリ | 光(破魔)・闇(呪殺)無効 |
その上で僕が最奥に向かってきていると察知したエリヤより送られてきた戦闘データ。これでアクシャ、アメノサギリの耐性や戦い方も把握できた。其処から推察される奴らの弱点や突破口も大まかに分かっている。
『邪魔をするなら貴様から殺すぞ、魔女』
「ラーヴァナでも殺せなかった僕をお前が殺す?よく言うよ」
『見逃されただけの分際で……!』
「そういうお前は羅刹の血と骨法のイマージュがなければ木偶の坊でしょ。借り物で粋がるなって」
『貴様ァ!』
僕の挑発に反応して、アクシャが動く。戦闘の流れは
「
\カカカッ/
| Lv79 | 国津神 | アラハバキ | 神経・精神無効。破魔・呪殺・魔力反射*4 |
\カカカッ/
| Lv80 | 神獣 | バロン | 物理耐性・破魔・呪殺無効。全ステータス異常無効(BS無効)*5 |
\カカカッ/
| Lv76 | 邪神 | マダ | 火炎吸収、破魔・呪殺無効。精神・神経・魔力耐性*6 |
\カカカッ/
| Lv80 | 女神 | ラクシュミ | 破魔反射・衝撃無効・バッドステータス無効*7 |
召喚に要する時間によりアクシャとアメノサギリには先手を取られるだろう。よって重視すべきは後の先。手数が確保できている以上は優勢を取り続ける事こそが必要で
「マダ!」
『オチロォ!』【威圧の構え】*8→ アクシャ
その戦術に合わせて展開した四体の仲魔。そのうちの1体であるマダの先手を封じる威圧をアクシャに向けた。
『ぬぅっ!』【バイオレンス(不発)】*9
急加速からの急失速。不意に向けられた圧力によって機先を奪われたアクシャは振う拳を空振らせながら後退る。
| マハスクンダ | P4G出典。3ターンの間、敵全体の命中・低下させる |
| クエイク | P4G出典。敵全体に万能属性の大ダメージを与え、一定確率でダウン状態にする |
続け様にアメノサギリが
「そんなもんか。色々生贄にしてきた割にはしょっぼい力だね」
『黙れ』
「黙れって言って黙る人居ないでしょ。ちゃんとほら、その無駄にでかい腕で僕の口封じなきゃ」
『言われなくとも……!』
「まぁでもマダの威圧で動けなくなる奴には無理か。ほら、分かる?顔の此処を狙うんだよ?」
『殺す』
「脅しがワンパターンだよ、お前。頭も悪いか」
今後の布石の為に
| フェイ陣営 | 物理攻撃・防御2倍(3ターン) |
| アクシャ陣営 | 攻撃低下+2(SH1式)・他全て能力低下+1(DDSAT1) |
| 前列 | アラハバキ | フェイ | バロン | マダ |
| 後列 | ラクシュミ |
| 前列 | アクシャ |
| 後列 | アメノサギリ |
ただ只管に回復と補助を積んでいく。銃を装備した僕とラクシュミ以外の仲魔が前線へ、ラクシュミは後方に。アクシャは前線にて僕に睨みを付けて、アメノサギリはアクシャの後ろでギロりと僕達を見ながら佇んでいる。
「一つ聞きたいんだけど、なんで真澄をそんな憎むのさ」
『そんな分かり切った事を今更問うか!奴が一族を再興できる程の力を持ちながら、我が一族を裏切り!失踪した!それこそが罪だろう!』
「別にクソみたいな実家だったから飛び出しただけだし、やる気のあるお前が弱かったのが一番悪いでしょそれ。お前もそれは分かってる癖に」
真澄が神城一族から出ていった一番の理由はそもそもとして環境自体が極めて最悪だったからに他ならない。外部との連絡が封じられた閉鎖的な空間に男尊女卑による女性に対する差別。その差別や環境は凡そ現代社会においても違法とされるべき物も多くあった。
「真澄だけじゃない。他の女性や或いは男ですら逃げれるならとっくに逃げ出したい環境だっただろうね。意味も力もなく存在する、形だけの退魔一族。それを無理に存続させたのはお前だ、神城 久作」
『我らは滅びるべきだったとでもいうのか!』
「いちいち主語がでかいんだよ。一族を存続させたかったのはお前だけだ」
一族が抱えていた土地や遺産を手放す事で少なくともそれなりの金銭を得る事は出来ただろう。例え現代社会に馴染めなかったとしても東京ヤタガラスなりの援助があれば、有用な者はその構成員として吸収される道もあった。
「それに一族を存続させる道は存在した。お前が自力で強くなる事を諦めず、手を伸ばし続ければ微かながら可能性はあったんだ」
『お前に、才がない者の何が分かると言うんだ!』
「僕には分からない。だが僕は限界に達しようとそれを踏み越え、強くなっていった人々を多く知っている。今ある世界がそれを証明している」
「挫折する事、戦えない事、それ自体を僕は咎めない。僕が戦っているのも才能があるからというそれだけの理由で、多くの人々を救うという大義を掲げている訳でもない。だがお前は真実から目を背けて、プライドを守る為だけに多くの物を捧げてしまった」
久作が力を得る過程で犠牲となったのは何も一族の者だけではない。三業会との取引で三業会の力を増幅させた事。なにより天魔衆として活動した事で人肉を貪り、世の平穏を乱した事は決して許される事ではない。
「今ある現実と折り合いを付けれない我儘な餓鬼がお前だ。その虚栄心が齎した惨状、何より真澄を苦しみ続けた今までの全てを此処で清算して貰う」
『俺は、間違ってないィッ!』
「なら死んだ後もそうしてるんだね」
これ以上の問答に意味はない。
『死ね!黙して、骸を晒せぇっ!』【舞踏】*15【手合い】*16【バイオレンス】*17
半狂乱になりながらアクシャが駆ける。平静を失い、荒々しく僕に肉薄しようとしているがその身に与えられたイマージュによってその動きの正確性は一切損なっていない。
『オオオオオオオオッ!』【徹し】*18【羅刹モード】*19【獣の反応】*20【涅哩底王】*21【豪傑の転心】*22
僕の懐にまで瞬時に潜り込んだ上で振るわれたその一撃を回避する事は難しい。骨法と羅刹の力の組み合わせは実際強力無比であり、直撃さえしてしまえば大抵の者はそれで沈むだけの威力は誇っている。
「けど、ちょっとそれは舐めてるね」
| 羅刹モード(与ダメ200%)×豪傑の転心(200%)×攻撃低下+2(60%)×万能耐性(50%) | 約120% |
頭を貫こうとするアクシャの掌打を腕で庇って、後退しながらそれを受け切る。高確率で発生する
周囲に浸透されるダメージに関してもその威力は僕に与えられた衝撃が基準となる為に大したダメージは与えられていない。
『ならばァッ!』【徹し】
アクシャの攻撃が続く。再び放たれようとした<徹し>は先程と同様の物であり、狙いは僕から変わっていない。あれだけ煽ったのも主因なのだろうが拡散ダメージで前衛の壊滅を目論んでいるのもあるだろう。
「アラハバキ!」
『潰す!』【徹し】
『何故その悪魔がそれを!?』
「なんか覚えてた」*26
アクシャの拳とアラハバキの拳が衝突する。
「じゃ、返すよ」【レールガン】*27【炎帝の弾丸】*28【焔のSOUL】*29
吹き飛ばされたアクシャとアメノサギリに向けて連射モードのレールガンを構えて、トリガーを引く。共に火炎属性に耐性がない事は確認済みであり、これは何より火炎属性の物理攻撃で、羅刹の脆弱性を貫くことができる。
『アメノサギリィ!』
「ラクシュミ!」
『あの力の昂りは流石に危険ですね』
| コンセントレイト | P4G出典。次の魔法攻撃のダメージを2倍以上にする。 |
| ネブラオクルス | P4G出典。敵全体に万能属性の特大ダメージを与える。 |
| 天上の舞 | NINE出典。3ターンの間、味方全員の魔法攻撃力と魔法防御力を2倍にする |
アメノサギリが蠢き、その力を高めるその直前にラクシュミが動く。舞の加護による魔法に対する強力な耐性と増強、やや遅れてアメノサギリがその虚ろな瞳全てに光を灯してレーザーとしてそれを投射する。
「間一髪だな」【魔法耐性】*30
ラクシュミの加護に
『羅刹共ォ!』
「上か」
\カカカッ/
| Lv44 | 喰奴 | 羅刹天 | 打撃・斬撃反射・呪殺無効・破魔耐性 |
\カカカッ/
| Lv48 | 喰奴 | 羅刹天 | 打撃・斬撃反射・呪殺無効・破魔耐性 |
\カカカッ/
| Lv51 | 喰奴 | 羅刹天 | 打撃・斬撃反射・呪殺無効・破魔耐性 |
\カカカッ/
| Lv39 | 喰奴 | 羅刹天 | 打撃・斬撃反射・呪殺無効・破魔耐性 |
天井のある筈の上側より降り掛かる羅刹の群れ。ぱっと見で確認できるそれらのレベルは低く、本来は戦いに繰り出せるレベルではないのは明らかだ。とはいえ残りの仲魔では羅刹に対して有効的なスキルはなく、全てを薙ぎ払うというのは難しい。
「ごめん。対応お願い」
\カカカッ/
| Lv74(-1) | ガンスリンガー | 久遠 エリヤ | 耐性:凡そ全てに強く、火炎・氷結・ 破魔・呪殺・精神・神経・魔力・緊縛反射*31 |
「任された!」【レールガン】*32
緊急的に真澄を守るエリヤを動かす。その場から動かずにレールガンによる対空射撃。レベル差もあり、空中に居る羅刹達は回避する事すらできずに撃ち抜かれていき、奇襲は失敗に終わる。
「ありがとう。助かったよ」
「真澄の状態も随分回復してきたからな。戦線復帰してももう問題ないと思うが」
「いや、いいよ。万が一があると怖いしね」
バロンに<地返しの玉>*33を真澄に対して使用させた後にマダが<メディアラハン>*34にて回復を行う。傷も治り、意識自体は取り戻しているが戦闘復帰にはまだ少し時間が掛かりそうだ。
『何故だ!何故だ、何故!お前達はそうも易々と凌げる!』
それを余所にアクシャはのっぺらぼうの顔のまま、僕の事を睨みつけていた。顔のパーツさえあれば明確な焦燥と困惑が浮かんでいただろう。
『羅刹の力に骨法だぞ!アメノサギリや羅刹達も居る!だというのに何故!?』
「普通はこんな簡単には上手く行かないさ。相殺だって本来は早々起こり得ない。けどさ、お前分かり易いんだよ」
神城 久作と呼ばれた人間は羅刹となるまで最前線は愚か、悪魔との戦闘も大して行ってこなかった。それは限界を超えようとして逃げて、兄弟を殺された過去のトラウマによるものだが、それ故に対人戦闘・悪魔戦闘の双方の経験が欠如している。
「僕の挑発に易々と引っ掛かるのも、かなりの
『っ!羅刹の力があれば突破できると!』
「でも突破出来てない。それが事実で、後もう一つ言うなら……“お前”が一番要らないんだよ」
アクシャは神城久作の肉体と魂、それに羅刹の血、骨法のイマージュを注ぎ込んだ存在だ。羅刹の肉体という白兵と速度に特化した肉体に骨法の練達者であるイマージュが戦闘プログラムが刻み込まれ、神城 久作がそれを統括し、指示を出している。
真澄との殴り合いにおいても久作はその攻防のやり取りをイマージュに一任していた。だからこそ本来なら骨法という分野で決して敵わない存在である真澄に食い下がり、搦め手を使ったとはいえ突破する事が出来た。
この戦い方に穴があるとすれば、イマージュの挙動に久作の思考が関係してしまうという事にある。イマージュが最も適切な対象を自動的に攻撃しようとしても久作が止めれば、其処で終わってしまう。例え久作に止める気がなくとも敵意や憎悪を埋め込まれて、それに反応して対象を誘導されてしまう危険性があった。
加えて、思考ノイズがある或いは久作自身が指示出しする時は攻撃する際もワンテンポの遅れがある。1秒にも満たない遅れだが、超人・悪魔同士の戦いにおいては致命的なまでの隙であり、それを以て相殺のタイミングを合わせる事が出来る。
「羅刹の力は強いし、お前に宿ったイマージュも強力だ。でもお前自身は愚かで弱い。言ったでしょ、借り物の力で粋がるなって」
『き、きききさま』
「自覚はできた?ならそろそろ終わらせよう」
壊れた機械のように途切れ途切れに言葉を発するアクシャを余所に
| フェイ陣営 | 物理攻撃・防御2倍(1ターン) 魔法攻撃・防御2倍(2ターン) |
| アクシャ陣営 | 攻撃低下+2(SH1式)・他全て能力低下+1(DDSAT1) |
「(アクシャは動かないか、なら)」【行動待機】
機を待つかのように動かないアクシャを見て、此方も行動方針を変更する。ラクシュミが<テトラカーン>を僕に付与し、残りの仲魔もまた待機させた上でアメノサギリが動き始める。
| デカジャ | P4G出典。敵全体の能力上昇効果を解除する。 |
| デクンダ | P4G出典。味方全体の能力下降効果を解除する。 |
此方が積み重ねていた補助の全解除、それを成したと共にアクシャが急加速しながら距離を詰める。声は発さず、純粋な殺意のみを向けながら奴は拳を握り締めた。
| 徹し | 誕生篇(骨法)出典。 肉体の螺旋運動を拳に集めて撃つ骨法最大の奥義。一切の防御点は無視される。剣相性。 ダメージを受けた対象は耐久力チェックを行い、失敗したらそのまま瀕死状態に。 成功しても大成功でない限りは転倒し、ショック状態で次のターンは一切動けない。 この技はエーテル・アストラル体でも無効となる事はない。 威力は骨法技能値×3で特大ダメージとなっている |
僕に向けて振るわれるその拳はその破壊力を全て一点に収束させた剣相性の<徹し>。アラハバキはこのタイプの<徹し>は習得しておらず相殺は狙えない。そして、致命を防ぐ<観音神符>もそう数がある物ではなく実はさっきの一撃で消耗しつくしてしまっていた。
『シね!』【羅刹モード】【バイオレンス】【獣の反応】【手合い】【舞踏】
「頼んだ、マダ!」
『カバウゼ~!』【カバー(行動放棄)】【三分の活泉】*35【強靭の権化】*36
拳が当たる直前、バックステップで退いた僕とアクシャの間にマダが割り込む。高い生命力と
『砕キ、殺ス!』【徹し】【舞踏】【豪傑の転心】【羅刹モード】
邪魔者は排除したと言わんばかりにさらに踏み込んで、僕の懐に再度飛び込ぶアクシャ。マダはカバー済みでアラハバキ・バロンも間に合わない。バフも解除されて、此処まで接近されている以上は回避も出来ないだろう。
攻撃は確実に命中する。アクシャの拳が僕の胴体に触れて、ようやく葬れるという確信と共にアクシャは口無しに嗤った。僕もまたそれを受け入れて
「良かった。そっちを選ぶなら、僕の勝ちだ」
胴体に張られた
『な、っにィ゛ッ!』
衝撃は反射され、臓腑を撒き散らして吹き飛ぶアクシャ。万能は万能であるが故にその名がつけられている。あらゆる者に対して通じる、最も安牌な選択。それは悪魔業界における共通の認識であったが、この1年の中でその認識は大いに変わっていった。
| テトラカーン | 偽典出典。物理攻撃を撥ね返す結界を一人に作る。 反射する属性は剣・無属性であり、その中には万能属性も含まれている。 属性が付与されているのであれば反射できない |
多様化と高レベル化の果てに万能属性もまた対策が練られるようになってきた。全対応防具から万能耐性、ヨコハマに現れたアバドンの万能吸収。他にも様々な方法で万能属性は防がれており、普遍的に通じはするものの絶対的に通じる属性ではないというのが今の常識であった。
このテトラカーンもその一種であり、その効能は即ち万能反射。対象が単体でそもそもとして使える悪魔が少ないという制限はあるものの万能物理を用いる上に物理攻撃に対して脆弱性を抱えるアクシャに対してはこの反射はとても有効に働いた。
アクシャの攻撃の選択がもう一つの剣相性の<徹し>だった場合は<電気ショック>*37の使用を強いられる所だったが、単体潰しよりも拡散による前線壊滅を奴は優先してしまった。
「でもって、これで終わり」【レールガン】【炎帝の弾丸】【焔のSOUL】
自身の一撃を反射された事によって瀕死となったアクシャに再度レールガンによる炎弾を浴びさせる。その直前にバロンの<勇奮の舞>をばら撒き、射撃と同時にアラハバキの<徹し>が無防備なアクシャの肉体へと突き刺さった。
過剰なまでのダメージを立て続けに受け、アクシャの肉体は崩壊していく。
「筈……なんだけど、しぶとすぎでしょ」
| 我が名はレギオン | 200X(神威)出典 |
| 自身に掛けられた全ての強化系・低下系の効果を解除する。使用者はシーンまたは戦闘終了まで最大HP・MP・基本格闘威力・物理防御点・魔法防御点を2倍にすると共に回避判定は行えなくなる。その後、使用者のHPとMPが全快する。使用者はシネマティック・バトルにおけるコスト増加の影響を受けない |
崩壊して、黒いタール状に溶けていく身体にアメノサギリが集い、吸収されていく。
\カカカッ/
| Lv95 | シャドウ | マガツアクシャ | 斬撃・打撃反射。銃・破魔・呪殺無効 |
| アメノサギリを吸収したことで行動回数が3回となっている。 |
「どうにも最後にこういう敵と相対する運命なのかね、僕は」
アメノサギリと
無理矢理に発動した神威は本来アクシャが使える物ではなく、その結果としてあれには最早アクシャの意識は存在していない。あるのはアクシャとアメノサギリに存在していた悪意のみであり、それのみが原動力。世界すらも取り込んで広がり続けるそれは規模こそ違う物のかつてヨコハマにて対峙したアバドンと同様であり、それ故に認知世界も奴自身も長くは保たない
「だからもう最悪逃げても良いんだけど」
\カカカッ/
| Lv84(-1) | 巫女 | 神城 真澄 | 耐性:凡そ全てに強く、火炎・氷結・ 破魔・呪殺・精神・神経・魔力・緊縛反射*38 |
「あれから逃げるのはお勧めできないわね。あれは龍脈からもMAGを吸ってるから自滅まで放置し続ければ、それが滅茶苦茶になる」
回復が完了し、意識を何とか取り戻した真澄が言葉を返す。彼女の護衛をしていたエリヤもまた戦線へと復帰しつつ<宝玉輪>にて僕達の回復を施した。
「なら倒すしかないか。真澄、いける?」
「貴方が隣に居るのにやれないって言う訳にもいかないわ。それに」
「それに?」
「これは、私が決着をつけないといけない
「じゃ、もうひと頑張りだ」
| フェイ陣営 | 物理攻撃・防御2倍(2ターン) |
| アクシャ陣営 | なし |
| 前列 | アラハバキ | 真澄 | バロン | マダ |
| 後列 | ラクシュミ | フェイ | エリヤ |
エリヤと僕は後ろへ、真澄はアラハバキ達と共に前に立つ。そして、
歪な嗤い肥えと共にアクシャより放たれた四つの剛腕。最早人間の手の形状をしていないそれは強引な形で掌を広げ、それを振う。
「私が最初は合わせる!」【徹し】【震脚Ⅱ】*39【舞踏】【格闘威力強化(体)Ⅲ】*40【アドバイス】*41
真澄が飛び出し、アクシャの初撃に合わせるように<徹し>を放つ。質量とMAGが増強された事により剛力そのものは強化されているものの、イマージュによる骨法の
「アラハバキ!その次、また真澄!」【ワンスモア】*42 → 真澄
『言われずとも!』【徹し】
「オッケー!」【徹し】
続け様に放たれた2撃目、3撃目をそれぞれアラハバキ、真澄が迎え撃つ。先程と同様に殴り壊されるアクシャの巨腕は膨張した肉体を無理矢理消耗させる事で複製している。羅刹の物理に対する脆弱性が残っている以上は少なからずダメージは与えているがやはり生命力がずば抜けている。
「これは、私が受け留める!」【掌握】*43
アクシャの最後の一撃を真澄が三度真っ向から迎え撃った。巨腕が真澄を捉え、鬱憤を晴らすか如く真澄の両腕を打ち砕く。
「ぐ、ぬぅッ!」【CRITICAL!】
符を使い切った真澄に
「立て真澄!」【マガオン】*44
「っ、えぇ!」【徹し】*45
その笑みを打ち破るようにエリヤは弾丸にてそれを貫き、真澄が残った片腕でアクシャに掌打による重い一撃を喰らわせる。
『全くヒヤヒヤしますね』【天上の舞】
『回復スルゾ』【メディアラハン】
『ランダァマイザ!』【ランダマイザ】
残った仲魔達が回復と補助を積んでいく。また
| 200X出典(神威)。屍鬼または幽鬼から成る軍団を編成する |
\カカカッ/
| Lv80 | 屍鬼/軍勢 | ラセツの群れ | 打撃・斬撃反射・呪殺無効。破魔に弱い |
\カカカッ/
| Lv80 | 屍鬼/軍勢 | ラセツの群れ | 打撃・斬撃反射・呪殺無効。破魔に弱い |
\カカカッ/
| Lv80 | 屍鬼/軍勢 | ラセツの群れ | 打撃・斬撃反射・呪殺無効。破魔に弱い |
\カカカッ/
| Lv80 | 屍鬼/軍勢 | ラセツの群れ | 打撃・斬撃反射・呪殺無効。破魔に弱い |
アクシャの叫びに呼応して死んだ筈の羅刹が動き出す。肉片と化した者或いは本来この戦場に居ない、別の場で倒した羅刹さえも屍鬼と化して、夥しい数の羅刹だった者達が場を満たしている。
「アメノサギリを取り込んだ影響ね。まさか羅刹にヨモツイクサを宿らせてくるなんて思わなかったけど」
「大丈夫、召喚の為にエネルギーは大分消耗はしてる。焦らず一歩ずつ削ろう」
そうして放たれた3発のアクシャの一撃は先程の繰り返しのようにしてアラハバキと真澄の手によって迎撃される。貫通して相殺されたそれらは<徹し>の震動によってラセツ達の肉体を抉るがそれでは足りない。
「羅刹ならこっちの方が速いか!」【レールガン】
『消し飛びなさい』【メギドラオン】
接近するラセツ達の迎撃にエリヤとラクシュミが動く。レールガンの掃射と万魔の光による二回の全体攻撃は補助の効果もあり、ラセツの大半を消し去るに至るが逆を言えば幾つかのラセツの取りこぼしが発生してしまっていた。
「悪い、撃ち損じた!」
屍鬼と化した事で単体としての性能は大きく劣化しているが、その攻撃性は変わらず鎧袖一触の一撃。対策もなしに触れれば即死に至るそれは手に持つ獲物大きく振りかぶり
「ふんっ!」【雲耀の剣】*46
僕達の後方より乱入してきた黒い影、それと交差するようにしてラセツ達が両断される。
\カカカッ/
| Lv90 | 半羅刹/剣士 | 久遠 由奈 | 耐性:凡そ全てに強く、物理吸収。火炎・氷結・ 破魔・呪殺・精神・神経・魔力・緊縛反射*47 |
「由奈!」
「何とか間に合いましたね。色々話したい事は多いですが、決着をつけましょう」
太刀に付着したラセツの黒い血を振り払い、由奈はそのまま前列へと移動。残った仲魔であるバロンが自身に対して<バルーンシード>*48を使用し、マダが<タルンダ>にてアクシャの動きをさらに縛っていく。
| フェイ陣営 | 物理攻撃・防御2倍(1ターン) 魔法攻撃・防御2倍(2ターン) バルーンシード(1回攻撃無効。バロン対象) |
| アクシャ陣営 | 攻撃低下+2(SH1式)・他全て能力低下+1(DDSAT1) |
| 前列 | アラハバキ | 真澄 | バロン | マダ | 由奈 |
| 後列 | ラクシュミ | フェイ | エリヤ |
アクシャの狂笑が響き渡る。無理なまでの
| ギガバイオレンス | DDSAT出典。点滅状態のアイコンを4つ増やす (他のバトルにおいては1回の行動で4回の行動権を取得する物として扱う) |
それでもアクシャは此方に対しての攻撃を止めず、その自壊を加速させながらさらに無理を重ねる。屍兵となった羅刹の肉片すらも吸収して、腕ですらない触手を以て骨法による六連撃を加えようとしてくる。アクシャの自我はアメノサギリとも他の羅刹とも混ざり合い、最早神城一族という存在の
「その全てを受け止めて、私は前に進むわ。最後に神城を名乗る者として!」【徹し】
一撃目。真澄の<徹し>と衝突し、補助の差でアクシャの肉体を撃ち抜ける。
『これだけ打てば合わせるのにも慣れる!』【徹し】
二撃目。アラハバキの<徹し>がアクシャの粘ついた腕を殴り抜けて、肉片を撒き散らす。
『準備ハシテアル!』
『タエルゥ!』
同時に放たれた三撃目、四撃目。バロンは
「これで5回目です!」【吉祥天咒法】*49【引き】*50【バイパースマッシュ】*51
五撃目。由奈のマントラによって受け流されたアクシャの腕が胴体ごと切り捨てられる。
「
「ありがとう。行ってくるわ」
六撃目。反撃を喰らい、上半身の一部と腕を残したアクシャの一撃を真澄は打ち砕く。肉片代わりにはじけ飛ぶ黒い粘液を浸透する衝撃で弾き、その一撃はついにアクシャの芯を捉えた。
肉が溶け落ちて、骨だけが残った真っ黒な骸骨はその手に大きな瞳を抱えていた。
あの日或いはあの時、真澄が自身の存在を拒絶された母の瞳。紅に染まったそれは今も憎み、妬み、怒り、何より羨んでいる。翼を折られた母鳥が飛んでいく若鳥を見上げるが如く、その瞳の持ち主は真澄になりたかったのかもしれない。
「もう全部遅いけど、それでも貴女の代わりに生きるから」
瞳に淀みはなく、変わらない。それはもう死人で語らず、母の残滓でしかない。それを理解して、真澄は父の骨と母の瞳を同時に破壊した。
「じゃあね、母さん」
消えていく黒い影に確かな後悔と罪悪を抱えて、真澄はそれを振り払う。主であったアクシャの討伐に伴い、
・戦闘リザルト
久遠 フェイ:Lv86→Lv88(死んでないから順当に伸びる)
久遠 エリヤ:Lv75→Lv74→Lv80(経験値補正があるので伸びやすい)
神城 真澄:Lv85→Lv84→Lv89(母殺し、父殺しの末に過去を振り切った)
久遠 由奈:Lv90(一回切っただけなので変動なし)
アラハバキ:Lv79→83(ソウルリンクⅢによる経験値取得。死ぬほど徹し撃った。もう今後撃たない気がする)
マダ:Lv76→Lv81(タルンダとディフェンスに命を懸けてる)
ラクシュミ:Lv80→Lv83(最初から出て、久し振りに死んでない気がする)
<久遠 フェイ>
怒り半分、実利半分で挑発をしていた。
多分あんまり挑発しながら戦う事に慣れてないので意味あるのかこれ?と思いながらも相手が相手なので通用した様子。
<久遠 エリヤ>
前回の戦闘であまり喋っていなかったが最奥に近づいてきたフェイに情報伝達をしていた。
地味なMVP。
<神城 真澄>
意識半分にフェイの挑発聞いてたら色々気にするの馬鹿らしくなってた。
母に対しては心残りはまだあるが死に別れとはそういう物であると割り切った。
<久遠 由奈>
無明の闇で姿を消しながら踏み込みで爆速で異界を駆け抜けてた人。
性能上、多分単騎でアクシャに勝てる。
<アクシャ>
被害者面してる10割黒幕野郎。
羅刹の技も本来使えたが骨法のイマージュによって骨法スキルしか使用できなくなり、本人もそれで良いと納得していたので気にしてなかった。ぶっちゃけアクシャのHPとポテンシャルで羅刹の全体物理ぶっぱした方が相殺されないので強かった(命中不安はある)。其処らへんも含めていまいち噛み合っていなかった。
<他のDBチーム>
描写してると切りがなかったので今回一切描写なしでした。ヨコハマ事変でやり過ぎたから許してほしい!面子はヨコハマの面子だったり他のDBだったりが紛れ込んでる。大体が野良の猛者。
すり足の迅速な移動とコンパクトな方向回転によって、直後の格闘攻撃のダメージに+威力(骨法技能値参照)する。
軽く曲げた両手が互いに触れ合うような骨法独特の間合い。
この効果を発動した場合、術者は<手合い>の距離に踏み込み、
相手の攻撃を封じ、骨法の力を最大限発揮する。
<手合い>の距離内に居る敵は命中・回避値を-威力(骨法技能値参照)。
<手合い>の距離から脱出するには<速さ>による競争チェックに勝つ必要がある。
この攻撃は拡散して、敵前列の他の対象には相性・防御点無視は同様に
ダメージ事態は半減した物を与える。威力は骨法の技能値×4を参照。
アクシャは60以上の技能値を持っている為に威力は240程度(特大ダメージ)となる
・物理貫通(D2式)を取得し、魔法を一切使えなくなる(物理スキル・アイテムは使用可能)
・物理攻撃時に通常の2倍のダメージを与える。但し、敵から物理攻撃を受けると通常の2.3倍のダメージを受ける。
・クリティカル率が大幅に上昇する(+90%)が、敵からの攻撃のクリティカル率も大幅に上昇する(+60%)
・回避率が大きく上昇するが、命中率が大きく下がる。
リベリオン※D2:自身を会心状態にし、次の攻撃をクリティカルにする。
このターン、使用者が次に行う素手に格闘攻撃1回の威力に【力能力値×2】を、素手以外の場合なら【力能力値】を加える。ランクⅢの効果によりこのターンにおける全ての格闘攻撃に効果が及び、格闘攻撃の判定値の1/5でクリティカルが発生する。この効果においてクリティカルが発生した場合、200Xにおけるルールを参照してクリティカルは2倍として扱う。