真・女神転生オタクくんサマナー外伝 -ロストキリギリス-   作:名無しの骸骨

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【サマナーの】ナカマ達の雑談所 その184【人間離れ】

 

 

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Pi>【サマナーの】ナカマ達の雑談所 その184【人間離れ】

  【無限ゾンビアタック】ついていくサマナーには気を付けましょう!【その後、相方即合体】

  【世はまさに】なんか最近めっちゃ宝石持ってる奴が狩られてる【大宝石時代】

  【ペルソナ】サマナーの傍から何か変なヴィジョンが現れたんだけど【という訳ではない】

 


 

【サマナーの】ナカマ達の雑談所 その184【人間離れ】

 

385:名無しの悪魔@コンゴトモよろしく

最近マジで人間どもつえーから

それに比例して俺達も強くなっていかなくちゃならんのだよな

いやほんとLv60台で80超え相手はきついっす。合体はよ

 

386:名無しの悪魔@コンゴトモよろしく

なんかもう普通にGPが魔界級になっちゃってるからな。そりゃ俺達悪魔もそれに応じてつえーのが出てくる訳だけど、それら狩り取ってる人間共はさらに強くなっていく訳で

 

387:名無しの悪魔@コンゴトモよろしく

このインフレいつまで続くんだろうねーこっち側としてもついていくのがやっとなんだけど

 

388:名無しの悪魔@コンゴトモよろしく

合体して強くなっていきたいって契約時には言ったけども!言ったけども!

8回連続で合体された挙句に状態異常型から物理極型に変えられるのは聞いてないんだわ!

 

389:名無しの悪魔@コンゴトモよろしく

まぁまだ合体して重宝してくれるなら良い方なんじゃないでしょうか

 

390:名無しの悪魔@コンゴトモよろしく

50以上じゃないとまず戦えないし、超えてても敵が70超えとかもうザラだしでね。

なんだね、ここは。世紀末かね?

 

391:名無しの悪魔@コンゴトモよろしく

世紀末つーか世界の終わり間際って感じ

むしろこのGPでよく文明保ってんな。

 

392:名無しの悪魔@コンゴトモよろしく

海外はほぼオわってるって聞くからねぇ

ま、その影響が直接来ない限りは今はどうでもいいでしょ

大事なのは自分の周りだけだしね

 

393:名無しの悪魔@コンゴトモよろしく

しかし、それがよしんばオタク文化に影響を齎したら?

 

394:名無しの悪魔@コンゴトモよろしく

ヒロアカが完結するまで世界は私が守る!!!プルスウルトラ!!!

 

395:名無しの悪魔@コンゴトモよろしく

CHAOSっぽい口振りでヒロアカ好きなのやめろ

 

396:名無しの悪魔@コンゴトモよろしく

GPもそうだけど、オイラ達も変わったよなぁ。こういう所

 

397:名無しの悪魔@コンゴトモよろしく

野良に居る奴らは変わらねぇけどな

 

398:名無しの悪魔@コンゴトモよろしく

悪魔のオタク染まりの話?

 

399:名無しの悪魔@コンゴトモよろしく

いや、厳密に言えばサマナーの影響をより受けやすくなっている気がする。体感だけどな

 

400:名無しの悪魔@コンゴトモよろしく

具体的に何か理由があってそうなってる訳ではないと思いますが、そうですね

今のGPで戦い続ければ必然的にサマナーもその仲魔も死線を超える経験、一つや二つあるでしょうからその影響で距離が縮まった或いは互いの性質が近寄る等はあるかと

 

401:名無しの悪魔@コンゴトモよろしく

昔に比べて人間も悪魔も遥かに強くなったが、その過程で犠牲にしなければならない物がある。

捨て去る物は小さなものから徐々に大きいものへと至り、結果として属性(アライメント)の固定化が生じる

 

402:名無しの悪魔@コンゴトモよろしく

強くなっていけば行くほど人も悪魔も中庸(Neutral)ではいられないからねぇ

そのまんまで強くなって行ける奴は多少ぶっとんでたり、狂ってたり、達観してたりだから

 

403:名無しの悪魔@コンゴトモよろしく

多少ぶっとぶ(ソシャゲにウン百万溶かしたり、クラファンに全財産の半分投資したり)

 

404:名無しの悪魔@コンゴトモよろしく

オタクは新たな属性だった……?

 

405:名無しの悪魔@コンゴトモよろしく

まぁそいつらは除外して、色々極端な奴が増えてるって話

カジュアルでもないのに悪魔を完全に道具扱いで自爆特攻連打したり

死んだら容赦なく消失(LOST)させたり

そういう事する奴らがかなり増えた

 

406:名無しの悪魔@コンゴトモよろしく

逆に悪魔や人間に肩入れしすぎるサマナーも多いよね。

片方が片方に貢いだりしてたり、共依存になっちゃったり

自分が死ぬのは構わないけど愛した存在が死ぬのが嫌だからって戦わなくなっちゃった奴もいたかな

 

407:名無しの悪魔@コンゴトモよろしく

どちらも定義上、悪魔召喚師である事に変わりはない。

が、就職(仲魔)希望の野良悪魔にとってはちょっと困る。

既に主を持つ拙者が何か出来る訳でもないんだが

 

408:名無しの悪魔@コンゴトモよろしく

オレら、契約時はほんと合体目的だったりMAG目的だったりの利益しか求めてないもんな。

偶に一目惚れとか言い出す奴は居るけど

 

409:名無しの悪魔@コンゴトモよろしく

脅されて強制的にというケースも多いが、其処から悪魔は仲魔になる

其処から共に戦い、死線を超えて、信頼や忠誠が生まれて

その果てに仲魔は真の仲間になるとオイラは思っている

 

410:名無しの悪魔@コンゴトモよろしく

貴方ほどロマンチックな表現は出来ませんが、それが一番ニュートラルな在り方だとは思いますよ

かく言う私もそういうサマナーに仕えていますから

 

411:名無しの悪魔@コンゴトモよろしく

別に恋愛するなとは言ってないんだけど、同僚仲魔にサマナーが入れ込んで

あたし達の合体だったりほっぽりだされて冷遇されるともにょるよね

 

412:名無しの悪魔@コンゴトモよろしく

人間も悪魔も互いの存在を軽視してる訳じゃないんだよなぁもう。

悪魔舐めた人間はこの環境じゃそう月日も経たずに喰われるし

人間舐めた悪魔は呆気なく殺されるしで

というかじゃないとこのGPで生き残れん

 

413:名無しの悪魔@コンゴトモよろしく

その前提がある上で道具にしてくる奴らは容赦なく使ってくるからな

首輪もつけて、油断もせずに淡々とモノみたいに消費してきやがる

 

414:名無しの悪魔@コンゴトモよろしく

あれも悪魔に人生滅茶苦茶にされたーとか単純に戦いで心が摩耗したとかが大体だからな

オレらと付き合う上での一種の最適化であり、それに入れ込み過ぎた結果じゃねーの

 

415:名無しの悪魔@コンゴトモよろしく

難しいもんだな。色々と

 

416:名無しの悪魔@コンゴトモよろしく

この高GP環境における闘争はそれまでの悪魔と人との関わり合いと比較してあまりに常軌を逸しています。良し悪しの話ではなく、人も悪魔も自分を守る為に適応してそれが歪みとなってしまう

 

417:名無しの悪魔@コンゴトモよろしく

けど悪い事ばかりじゃないだろ?合体を繰り返して強くなる事やソウルリンクを利用して強くなる事だってオイラ達は出来ている。サマナーのソウルもより強く、輝いているのは間違いない

 

418:名無しの悪魔@コンゴトモよろしく

ええ、悪い事ばかりではありません。人も悪魔も強くなり、その結果としてこの世界を滅びに導きかねない危険組織の掃討に成功しています。その弊害が多少なりあるだけで

 

419:名無しの悪魔@コンゴトモよろしく

そいつらも結局目の前で問題起こさなきゃ対処できねぇし、気に留めておく位が一番だな。オイラ達もあんまり気にする余裕ないし

 

420:名無しの悪魔@コンゴトモよろしく

結局の所、悪魔はサマナーの意向に意見は出来ても逆らう事は出来ないしねー。最近そういう契約が緩いデジタルサマナーも減っちゃったし、主はしっかり選ばないと

 

421:名無しの悪魔@コンゴトモよろしく

じゃあ自分のサマナーの良い所でもあげるか。暗い話題ばっかだし

 

422:名無しの悪魔@コンゴトモよろしく

一杯アイス買ってきてくれるほー!!!!

 

423:名無しの悪魔@コンゴトモよろしく

酒ヲ樽デ買ッテキテクレル

 

424:名無しの悪魔@コンゴトモよろしく

純真塩らあめん*1を定期的に喰わせてくれる。喰ったらすぐに悪魔狩り始めるけど

 

425:名無しの悪魔@コンゴトモよろしく

食い物禁止な。此処から

 

426:名無しの悪魔@コンゴトモよろしく

えっと……ネトフリ見せてくれたり、漫画貸してくれたり?

 

427:名無しの悪魔@コンゴトモよろしく

基本給与と各種手当があります。匙加減はサマナー次第ですけど

 

428:名無しの悪魔@コンゴトモよろしく

カイシャみてぇな事言い出した奴いるぞ。というか給与はマッカや円だとしてもいつ使うんだ?

後、手当って?

 

429:名無しの悪魔@コンゴトモよろしく

サマナー経由で買ってもらう形ですね。その辺りの契約は厳密な方なので反故には致しません

手当は最近かなり高レベルな悪魔と戦う機会が増えて、その際に死ぬ事も多くなってきたので追加された物です。後はその他の働き具合に応じて諸々プラスといった所でしょうか

 

430:名無しの悪魔@コンゴトモよろしく

そういうのもある、というかありなんだなぁ。色々考えるとサマナーとその仲魔との間に相応の信頼関係が結ばれてるの前提だが

 

431:名無しの悪魔@コンゴトモよろしく

契約における金銭関係は人と悪魔の間でもトラブルになりがちですからね。だから交渉では専ら奪ったり奪われたりが多いのでしょうが私としては現状で満足しておりますし、他の仲魔も異存はなさそうなので問題ありませんよ。

 

432:名無しの悪魔@コンゴトモよろしく

合体で強くなるのにもこの環境じゃ限界があるし、強さ以外で何かしらのモチベーションは必要か

 

433:名無しの悪魔@コンゴトモよろしく

この世界は大きく変わりました。熾烈なまでのインフレによって人も悪魔も進化を強いられ、全ての戦いもまた尋常ではない物になりつつありますから。悪魔もまたこの現状についていけていない者が多い

 

434:名無しの悪魔@コンゴトモよろしく

それでも何故悪魔達が自らの(サマナー)に付き従うのか。契約による縛りも大きいでしょうが、其処に信頼や愛、畏怖やカリスマ或いは狂気。サマナーが持つ個性に惹かれ、我々もまた形を変える

 

435:名無しの悪魔@コンゴトモよろしく

その在り方は各々あって宜しいでしょう。重要なのは我々が主に応えられる仲魔である事と主が我々に報いられる悪魔召喚師(デビルサマナー)である事なのですから

 


 

「ふぅ、キーボードの操作にもやっと慣れてきましたね」

 

 ぐっと、慣れない機械操作の疲れを払うかのようにパソコンの前で女は背伸びをした。褐色の肌に白い髪。纏う衣は軍服に近いデザインになっているが何処となく神々しさを放っており、それは彼女が高位の女神(ラクシュミ)である証明になっている。

 

「んにゃ、ラクシュミ。終わった?」

 

 オーバーサイズのTシャツを纏いながらサマナーであるフェイはスマホ片手にソファーに寝っ転がりながらラクシュミに声を掛けた。

 

「ええ。しかし本当に、便利になったものですね。こうして使ってみるとよく分かる」

 

「自分用のPC買いたいなんて言った時は驚いたけどね。うちにあるのお古の奴使っても良かったのに」

 

「まぁこういうのは自分で買いたかったので」

 

 カチカチと手に持つマウスで操作をしながらラクシュミは答えた。サマナーであるフェイは自身の仲魔にそれぞれ給料を払っている。実際にはマッカや円を直接渡すのではなく、給料分だけの金銭をその時々によ応じてフェイを通して使用が可能という物だが一種の自由をラクシュミ達仲魔が得た事には変わりなかった。

 

 ある邪神(マダ)は酒系スキル*2もない癖に酒をたらふく買っていたり、ある神獣(バロン)バリの伝統舞踊(バロンダンス)の継承の為に全額バリ民族に寄付していたりと使い道は様々だがその現状に仲魔達は満足している。

 

「我々悪魔は情報生命体であるが故に、こういう電子機器そのものを操作する機会がありませんから」

 

「ふーん、ネトゲもその一環なんだ?」

 

 ピシりとラクシュミの動きが止まる。手に持つゲーミングノートPCを隠す様に脂汗を垂らしながら、フェイの顔色を窺うように其方を向いた。ラクシュミの脳裏に浮かんだのはパソコンを買い与えられてからの日々とその後の堕落。

 

「その……あのゲームは広告を誤クリックしてしまったからで」

 

 本来の電子機器に慣れるという目的は電子の海を漂っていた彼女は誤ってとあるゲーム広告をクリックした。それ自体はよくある事だったが、娯楽にも飢えていたからか飽きればすぐに止めればいいと楽観的に考えて、片手間にゲームを始めた。

 

「その後すぐに嵌ったよねぇ。時間も結構使って、今じゃランカーだし」

 

 暇つぶし目的に始めた典型的なファンタジー物のMMOに気付けばラクシュミはドハマりしていた。流れるようにストーリーをクリアして、あれよあれよという間に対人戦やレイドバトルにも参加。それに伴い膨れ上がる課金額と時間の消耗はついにフェイに観測される領域にまで至った。至ってしまった。

 

「悪魔もMMOに嵌る時代なんだねぇ。まぁそれ自体は別に全然いいよ。でも課金額がちょっと、ね?」

 

 その顔に怒りはなく、まるでお小遣いを荒く使う子供を困り顔で見つめる母親のようだった。課金額はラクシュミの給与範囲内であるが故に問題はないのだが、ゲームへの嵌り方が非常に宜しくない。ここ最近の情勢の悪化によって嵌ってるゲーム自体がサ終を迎えそうなのも含めてフェイにはラクシュミの現状に一言言う必要があった。

 

「ガチャに嵌るよりマシでは……!?」

 

「ウン十万は結構な課金なんだよね。そろそろ百万行きそうだから、やめろとは言わないけど気を付けな?」

 

 吉祥の女神、ネトゲ嵌りを咎められる。屈辱的な現実に打ちひしがれてはいるが、それはラクシュミ自体が齎してしまった物である。普通に自業自得だった。

 

「……実家(COMP)に帰らせて頂きます」

 

「インドじゃないんだ。後、MMOのレスバって生産性欠片もないから止めといた方がいいよ」

 

「帰らせて頂きますぅ!!!」

 

 赤面涙目の女神が逃げ帰るようにしてCOMPに戻っていく。いや、別にやるのはいいんだけどね?とCOMP内のラクシュミに伝えても、居留守を使われて返答は帰ってこない。これが女神の姿か?

 

「まぁ、それはいいや。今はそれよりも」

 

 部屋に備え付けられた複数のモニターにフェイは目を向けた。国会議事堂が存在する東京都千代田区の幾つかの監視カメラの映像が映るそれらには歩行者に混じって疎らに歩くヤクザの姿が見受けられる。

 

「阿修羅会ね。新世塾のあれこれの次にこれか」

 

 フェイ達が天魔衆の本拠地で決戦をしている頃に起こったとされる闇の政治勢力、新世塾との戦い。詳細は知らないがその影響によって新世塾の戦力は大幅に削れ、その勢力も減退したかに思われた。しかしそんな新世塾にも暴力装置である同盟相手が存在しており、それこそが阿修羅会だった。

 

「資料に寄ればー……神話復権思想、ネバーランド、介錯人、ヘルメット団、百鬼夜行、無明の血盟。後は花鳥風月か。よくもまぁ屑ばかり集めたもんだね。ヤクザというかほぼほぼ雑多なアウトサイダーの集まりじゃん」

 

 悪魔に手を出した事により本来であればヤタガラス並びに忍者に討滅される宿命にあった阿修羅会はこの混乱状態にある世界にて生き延びて、雑多な勢力を吸収し続けて戦力を増強。麻薬の流通によって組織を拡大させて、弱点とも言えた政治力を新世塾が補っている。

 

 今に至るまで放置せざるを得なかった悪辣で残酷な犯罪者共はこの日本に覇を唱えられる程に力を増していたのだ。

 

「白河さんとかの悪対は当然動いてるし、ヤタガラスと忍者は言わずもがな。僕も事を把握してから信頼できる伝手に情報は拡散した。だけれど、政治にまでは手を出せない」

 

 もう間もなく国会議事堂にて行われるであろう民事義勇軍<ペンタグランマ>の承認審議。それはヤクザ(阿修羅会)を国軍として取り扱うという暴挙とも狂気とも言える法案だった。現状の新世塾の影響力は不明だがそれらが手を回す以上、可決される可能性は高いだろう。

 

 そしてそれらに対して手出しできるのも政治家やそれに介入できる組織のみで、フェイ達に出来る事と言えばそれらを警戒しつつ何が起こってもいいように現場で待機する事しか出来ない。

 

「それでも行かなくちゃね。ヤクザに守られるってのは恰好つかないし、そもそも守ってくれないだろうしね」

 

 やる事は変わらない。臨機応変に行き当たりばったりに、その場に応じた適切な対応を。そして何より自分達の生活と平和を守る為に、魔女とその仲間達はヤクザの群がる千代田区へと向かっていった。

 

 


 

 

 同時刻、薄暗い何処とも定義が出来ない小さな異界の中で三つの影が存在していた。

 

\カカカッ/

Lv92魔王/合一神■■■■■

 

「蟲のようにゾロゾロと這って集っておるな、彼奴等」

 

 胡散臭い嗤いを浮かべた快活な老人が吐き捨てるようにして、式神越しに千代田区に集まりつつあるヤクザ達を視認した。法衣を纏い、錫杖を手に持つその姿は修験道に連なる者である事を意味している。さらにその背に広がる大きな黒翼と赤く染まった顔。高慢にも長く伸びる鼻はこの魔王の正体を明確に表していた。

 

\カカカッ/

Lv__羅刹/喰奴■■■■

 

「阿修羅会はこの地に集い、新世塾は暗躍を続けている。」

 

 魔王にそう言葉を返したのは天魔を名乗る鬼面を被った大柄な男。その背丈は2mにも及び、赤黒い肌を隠すようにしてその身体に仮面と鎧を装着していた。片手に数珠を持ち、背には大きな太刀を携えながら何処までも冷淡にこの現状を見ている。

 

「まぁそれが上手く行くかは儂も知らんがな。貴様はどう思う、天魔の」

 

「……法案が可決されれば話は速いが、何らかの形で通らなければ破綻は見えている」

 

「何故だ?儂らも彼奴等も戦力は相応に整えた。不測の事態に対する準備もしてきた。負け筋はあれど勝ち筋もそれなりにあるだろう」

 

 鼻を揺らしながら魔王は天魔に問いかけた。

 

「戦力の話ではない。気概の話だ。力が拮抗していようとも、精神に差があるのだ」

 

 ヤクザとは結局の所、弱者を嬲り続けて力を吸い上げていった者達である。一部の例外は存在すれども総体としてそうあるのは変わらず、それと相対するであろうヤタガラスやキリギリスはこの世界の脅威に真っ向から立ち向かっていた。

 

「強者とは真っ向から強者を屠り続けてきたからこその強者であり、阿修羅会も新世塾もそれらに該当はしない。力の有無は関係なく、奴らは弱者だ」

 

「だから負けると?」

 

「それもあるが、ヤクザ共の勢力とそれに相対する公権力とこの世界の守護者達。さらにそれぞれの目的で介入するであろう第三勢力の事を踏まえれば阿修羅会・新世塾の一人勝ちは有り得ない。貴様もお前の主もそれは承知しているだろう」

 

 鬼面越しに天魔と言われたその男は魔王を見定めるようにして目を向けた。魔王の表情は変わらずに胡散臭い笑みを浮かべたまま変わっていない。

 

「カカカッ!それは知らんなぁ。ともあれ、あの方は阿修羅会に与する事を選んだ。全国に秘神と魔丞をばら撒いてまでな。儂としてはそれだけで死力を尽くすに十分な理由じゃ」

 

 胡散臭さの中に魔王が浮かべているのは主に対する忠誠だった。この世界に来るより遥か前、凡俗の修験者でしかなかった自分を神へと至らしめた事に対する恩は魔王にとって決して忘れ去る事は出来ない。故の絶対的な服従と心酔。どのような結果になろうと或いは自身を捨て駒として扱おうと魔王は揺るがない。

 

「理解できんな。まぁ私にも選択肢はないのだが」

 

「そうだろう、そうだろう。この世界にやってきたお主を拾ってやったのは儂じゃからな。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「……感謝はしている。此処で刀を抜かんのがその証拠だ。それ以上、言及すれば分からんがな」

 

「おっと、そういう事になっているのだったな。老人の戯言だ。許せ許せ」

 

 不愉快そうに殺気を放つ天魔を宥めながら、魔王は錫杖を揺らす。

 

「だが此度の戦に勝てば我らの支援の元で天魔衆を再興する事も可能な筈だ。お主は王に傅くより、王になりたい口だろう?羅刹王(ラーヴァナ)も生死不明であるし」

 

「そういうのは今回のこれを乗り切ってからほざけ。俺も貴様もこの世界では明確な強者ではないのだからな」

 

「なぁに、我らだけで戦うのではないぞ。こやつも居る」

 

\カカカッ/

Lv89秘神/??■■■

 

『…………』

 

 魔王が見上げた先に映るのは5mを優に超える化物。緑色の体表面に猿のように大量に毛を生やし、顔に鎮座する大きな一つ目は虚ろで其処に何も映しておらず、黄色い嘴からはぎっしりと揃った剃刀のような歯と赤く長い舌が垂れ下がっている。下半身には百足のような大量の足が存在し、上半身から触手のように自在に動く数えきれない腕があった。

 

 あまりに形容しがたいその姿は目視する度に変化して、それはこの秘神の不安定さを何より示していた。そんな悍ましい何かにも関わらず、この存在から発せられる気は透き通った神々しさすら放っており、何処までも歪で矛盾していた。 

 

(羅刹)が言うのもなんだが、貴様らは本当に外道だな」

 

「そうは言うではない。儂や主にとってもこいつは傑作でな。<百鬼夜行>も良い材料と資料を送ってくれたわ。それにこやつの製作にはおぬし等のマントラも参考にしているからのぉ。ある意味遠い親戚のようなもんじゃないか?」

 

「殺すぞ」

 

「おっと」

 

 言葉を遮る様に無造作に振り抜かれた天魔の刀を魔王は錫杖で振り払いながら、その翼を広げて飛翔した。

 

「カカカッ!まぁまだ血は納められよ。逸らなくとも時は訪れる。その為にお主を勧誘して、この天将を作り出したのだからな」

 

 魔王は嗤い、天魔は憤り、天将はただ其処に在るだけ。どれだけの言葉で語り尽くそうとも、違いを述べようとも此処に居るのは三体の妖しく怪物的な外道である。

 

「故にこそ!戦場となるこの地に我らの恐怖を刻もうではないか!我ら<三大化骸>の名と共に!」

 

 蠢く闇と共に悪鬼は吼え猛る。外道共の戦争はもう、間もなく

 


 

<久遠 フェイ>

仲魔を恐怖で縛り上げるのも或いは親愛なりで絆を結ぶのにも自信がないので、もう明確な雇用関係作っちゃった系サマナー。仲魔も十何体いるので負担も相応にあるが、副業である魔道具作りも現状儲かっているので現状全然黒字。

 

<ラクシュミ>

まだソシャゲじゃなくて良かったと思う反面、子供みてぇなサマナーにやんちゃする子供みたいな眼つきで見られたのが堪えられなかった。この後、マダにヤケ酒を強請りにいく。

 

<他の仲魔達>

それぞれなんやかんやで趣味を作ったりして楽しんでいる。とはいえ忙しい身の上なので短期的な娯楽や食べ物なんかに使いがち。

 

<三大化骸>

本スレにも出てきた今回のボス連中。この命名に対して魔王は凄い喜んでるし、天魔はこいつらと括られたのが非常に嫌で不満そうにしてるし、天将はそもそも自意識があんまりない。

*1
SH2出典。敵よりレベルが低いとき、戦闘で得られる経験値をアップする

*2
SH1に存在する端杯手の突き・惑いの千鳥足といった飲酒によって性能を変えるスキル。SH1のマダは両方取得するが、此処のマダは特に何も習得していない

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