真・女神転生オタクくんサマナー外伝 -ロストキリギリス-   作:名無しの骸骨

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第三次喇叭:太平洋防衛戦 その1

【ヨコハマ裏中華街跡地近郊】

 

 荒廃しきった大地がある

 

 夥しい量の建物の残骸がグチャグチャのままに放置され、その彼方には広々としたビル群と港湾が見えている

 

「また此処に戻ってくるとはね」

 

 無造作に置かれたままの瓦礫の山をフェイは高台より見据え、COMPを確認する。掲示板を見れば、やはりというべきか一つの話題で全てのスレが埋め尽くされている

 

 第三次セプテントリオン。それはこの世界における一つの終わり。七つの喇叭の名の如く、理不尽としかいえない人でも悪魔でもない化物が世の全てを蹂躙する。一度目を乗り越え、二度目も凌ぎ切った故の三回目。只でさえ凶悪な怪獣はその規模も数も増しながら今度こそ世界を終焉に導こうとしている

 

 それを阻止する為に自衛隊や現地のDB、漂流者も一丸となって今回の終末を乗り越えようと各方面に戦力を集結させていた。フェイもまた由奈達を連れて政府の指示の下、かつての戦地である横浜にて待機している

 

「今回は三種類でしたか。前回も相当酷かったですが、今回は……」

 

「前より戦力が多いってのは何の安心材料でもないね。一種類だけでも世界終わるのに三種類って事は世界滅亡チャンス三回って事じゃん? 実際どれ位の規模の奴が来るかは分からないけど、前回より数段ヤバいと思うよ」

 

 今回出現する三種類のセプテントリオンは前のそれと比較しても極悪な性能を誇っていた

 

 ダイン級の衝撃を放つ無尽蔵に近いミサイルを放ちながら、全長がキロ単位という驚異的な巨体を持つメラク。さらにこれが2体同時に出現。それぞれ北海道・沖縄より侵攻し、個体によって特殊な能力を保持するらしい

 

 次がメグレズ。三位一体の化物であり、同時討伐でなければ即座に復活。太平洋より<芽>と呼ばれる物体を射出し、大地震を発生させながら地面と接触。この芽はいずれドゥベ(第一セプテントリオン)へと至り、海洋に存在するが故に手出しが非常に難しい

 

 最後にミザール。性能としてはセプテントリオンの中でも控えめのこの個体は無限に増殖を繰り返す性質を持っている。それはドラえもんのバイバインに例えられるように一定の条件によって小さく分裂し、時間経過で巨大化を行う

 

 かつてフェイ達が相対したマザー=アバドンも増殖という観点で言えば同じであるが、あちらとは質の悪さが格段に違う。マザーという一点よりアバドンを溢れさせていたのに対し、ミザールは本体もなくそれぞれの個体毎に分裂を繰り返す。足し算を繰り返すのではなく掛け算を繰り返す、その恐ろしさは計り知れない

 

 フェイ達はある程度の作戦だけ大まかに伝えられているだけで、セプテントリオンの詳細までは分かっていない。しかし前回のより酷くなるという確信はある為、それが恐ろしくて仕方がなかった

 

「幾つかのセプテントリオンに関しては手は打ってあるらしいな。それが何処まで上手く行くかは分からないから結局はケースバイケースだが」

 

「後、横浜にはかなりの戦力が配置されているみたいね。少し不自然な位に」

 

「色々と理由はあるんだろうねぇ。ま、その辺りは考えがあって事だろうし気にしないでいいでしょ。此処を抜かれると横浜も東京もヤバいってのは確かだし」

 

 フェイが此処を戦場に選んだ理由は複数ある。一つは此処が都市部の近くだからであり、都市への被害を少しでも抑制させたかったから。二つ目に此処は最早何もない場所であり、特に躊躇もなく戦えるから。三つ目に海も近い事からメグレズの被害を受ける可能性もあった為である

 

 自らのキリギリスにおける立ち位置を踏まえ、最前線に陣取った上で戦いながら大まかに区画内の指揮を取る。無尽蔵に近いセプテントリオンを相手取る以上は大規模で詳細な指示は出せない物の、フレスベルグやエリヤを用いた広範囲観測やかつてマザー相手に白兵戦を続けた由奈や真澄といった戦力は揃っている

 

 彼女達や他のDBも助けを借りて、前線を維持しながら情報の収集と発信を持続。横浜・東京へと流れるセプテントリオンの数を一体でも多く此処で食い止めながら生存し続けるのを第一目標と定めた

 

「こっちはフレスベルグ、カルティケーヤ、セト、ボティスの構成で行く。僕はサポートに徹するから前線は……ッ!?」

 

 フェイが仲魔を召喚したその瞬間、大きく揺れる地面。日本の観測上でも類を見ない程の激しい震動は覚醒者ですら身動きを取られなくなり、頑丈の日本家屋すら損壊させる

 

「三人とも仲魔に乗って! フレスベルグ、状況を!」

『シュウイカンソク!』【虚空の眼界】*1

 

 飛行悪魔達(フレスベルグ・カルティケーヤ・セト)の力を用いながら、フェイも箒に跨って即座に空中浮遊。フレスベルグの目を利用しながら、横浜における状況観測に入る

 

「とんでもない揺れだったけど地震は短時間。被害規模も大分局所的……あまりにピンポイント過ぎるけど」

 

 観測を元にフェイ達は高速飛行で発生地点へと急行を開始した。眼下には折れた電柱や崩れた石塀、隆起した道路が見受けられる。地震に驚き恐怖して逃げ惑う人々もまた多く居るものの即座に自衛隊が対応に移り、配置されていたDB達も救助活動に入っている

 

 一般市民にとっては恐怖に値する事象ではあるものの政府や事情を知っている者達にとってはこれはまだマシな状況に等しい。これより恐ろしい事象は既に2回起こっており、今回の戦いの為に誰もかれもが備えてきたのだから。たかが本来の到来より一日早倒しになった所で対応し切れないなんて事はないのだ

 

 市民達も多くは内心はともかく避難誘導には冷静に従い、淀みはない。現場は悲惨そのものではあるものの避難は順調に進んでおり

 

 

\カカカッ/\カカカッ/\カカカッ/\カカカッ/\カカカッ/

貪狼星ドゥベLv20物理反射。全相性無効

貪狼星ドゥベLv20物理反射。全相性無効

貪狼星ドゥベLv20物理反射。全相性無効

貪狼星ドゥベLv20物理反射。全相性無効

貪狼星ドゥベLv20物理反射。全相性無効

貪狼星ドゥベLv20物理反射。全相性無効

 

 

 避難する人々に立ち塞がるようにかつて襲来した化物達が跋扈していた

 

「フェイ、既に一部のDBは交戦状態に入っています! 耐性も以前の物とほぼ同一のようです!」

 

「なら火力優先で補助積んで、遠距離で叩く! 指示通りに御願い!」

 

-《タル・カジャ珠》-*2

-《ラスタキャンディ》-*3

-《タル・カジャ》-*4

-《マカ・カジャ》-*5

 

「補助完了! 巻き込まない様にドゥベだけ叩いて!」

 

-《ヤブサメショット+3》-*6

-《マハブフダイン》-*7

 

 スポンジのような上半身を膨張させるドゥベを戒める様に降り注いだ物理と氷結の雨あられ。貫通を付与されたそれは強固な耐性をすり抜け、ドゥベの大半を撃ち貫く

 

-《大屠殺》-*8

-《ワンスモア:セト》-*9

-《ヤブサメショット+3》-

 

 残存あるいは再出現したドゥベはフェイの補助を受けたセトにより貫かれ、ミサイルが如く音速で踏み飛ぶ由奈に斬り捨てられた

 

「ドゥベ撃破! 再出現した場合は僕達が対処する。救助と避難を優先して!」

 

 そうして撃破と同時に地震発生地点にまでフェイ達は到達した。至る所の地面が隆起・陥没し、最早何が何だか分からない程に区画一体が破壊され尽くされている。再出現時の撃破を担当する様に宣言しながら、仲魔の探知(虚空の眼界)を頼りに瓦礫に押し潰された人々の救助を急ぐ

 

「有り得るとしたら第一次の時かな。地中に何か仕込んでたんだと思う。潜伏してたのが時限爆弾みたいにドカってね。それでドゥベが溢れ出たんだ。ただもう出てこない辺り、此処に居たのは全滅したんだと思う」

 

「しかし、この被害です。救助と避難には大分時間が掛かる。その間に他のセプテントリオンが到来したら……」

 

「状況把握・発信は僕が、救助探知はフレスベルグ、エリヤは襲撃警戒。他は救助と再出現時の撃破に専念して。どちらにせよ急ぐしかない」

 

 そうしてDB・自衛隊・警察等が協力しながら救助活動が続けられる。破壊されたこの場所はそもそもとして人通りがあまりなく、生き埋めになった人々も想像より少ない。ただ、土地に流れる地脈の状態や各所に転がる瓦礫から此処が何かしらの魔術が施された要所だったのは理解できる

 

「……まだこない?」

 

 ドゥベの再出現はなく、順調に救助は進んでいる。到来すると思われていたセプテントリオンも横浜においてはまだその姿を見せていない。既に先程の地震から数十分経過しているのにも関わらずである

 

「まさか、そういう事なのか」

 

 時は平等に進む。状況把握に専念していたフェイも世界の状況を理解し始めていた

 

「通信が取れない程に海外はセプテントリオンと衝突してるし、日本じゃ北と南の方は怪しいね。本当に嵐の前の静けさだ」

 

 日本内部における通信、キリギリスの掲示板は現状使えている。が、各国の放送や通信が徐々にだが途絶あるいは爆発的に増え続けていた。まだ通信が可能な国外でもまた既にセプテントリオンとの衝突を示唆する様に情報が拡散されている

 

 そして日本においても北と南、北海道あるいは沖縄付近でも出現があったという書き込みがあったらしい。本土の殆どでは未だにセプテントリオンは襲来していないというのに

 

「エリヤ」

 

「微震が幾つか、連続で。だがミザールも含めて此処への襲来にはもう暫く掛かるだろう。それと、セプテントリオンとは別に複数の邪気を感じる。気を付けた方が良い」

 

「横殴りの可能性もある、か。確か北陸でも城のような物が出現したとは聞くけど……僕は此処を離れられない。救助もあるし、到来までの間にやれる事はやっておこう。転移の準備はしてあるから他の人にも伝えておいて」

 

 日本本土は現在台風の目にあると認識したフェイは今の間に落ち着いて避難を行い、混乱にならないように情報を掲示板で勧告。その上で各々の持ち場を厳守するように何度も掲示板で述べて、並行で救助活動も行い続けた

 

『サマナー!』

 

「潮時だね。セプテントリオンとの戦闘に参加する面子を集めて。後は自衛隊と警察に任せるしかない」

 

 飛行索敵を行うフレスベルグの叫びにより、襲来が近い事をフェイは察知した。地震発生から既に1時間以上経過し、可能な限りの救助は行った。とはいえこれは本来の役割ではなく、果たすべき事の為に多くのDB達は呼応して動き出した

 

「幾つかの防衛ポイントの手前にサークル(避難所)は作ってある。県外までは流石に無理だけど、直ぐに向かいたい人は<妖精の輪>*10で一緒に飛んで!」

 

 そうして行われたのはフェアリーサークルを用いたテレポーテーション。複数のPTを連続で飛ばし、防衛地点に到着すればまた別のPTを転移させる。各地の戦力の配置を急ぎながら、あらかたの希望者をフェイは飛ばし終えた

 

「海岸線の方からセプテントリオンの芽みたいなのが複数飛んできている情報が入ったわ! 対処してる面子が居るみたいだけど横浜の都市部に流入しかけてるみたい!」

 

「サークルは……よし、近くにあるか。まず其処が安定するまで援軍にいこう。其処を一旦押し返して、海岸線を目指す」

 

 戦端は前触れもなく開かれた。転移したフェイ達が垣間見たのはドゥベらしき影と地面に突き刺さる三角状の棘のような物体だった

 

「情報によれば万能通じるみたいだけ、ど!」【ワイルドハント】*11

 

 補助を積んでの視界を埋め尽くさんばかりの万魔の光波がセプテントリオンを諸共焼き尽くす。その他ノックを重ねながら掃討を続けていく

 

「よし、今回のドゥベは万能が効く! 前の奴よりやや弱体してるみたいだ。ただ物理や他無効はそのまま! 各チームに通達! 手数が増える!」

 

 この場におけるセプテントリオンはあらかた掃討し終えた。が、飛来するメグレズの芽によって断続的に地震が発生。既に沖より複合的な津波が形成されて、それが迫りつつあった

 

「地震悪用しすぎでしょ。元々海岸線予定だったからいいけどきついって!」

 

「全員、持ち場を離れるな」

 

-《マカ・カジャ》-*12

-《マハブフダイン》-*13

 

 刹那、最大倍率のマカカジャによって強化された全体氷結(マハブフダイン)が迸る海面を凍らせた。それを為した眼鏡をかけた魔術師(城鐘 恵ことシロエ)は付近のDBに指示しながらフェイと合流する

 

「シロエさん!」

 

「フェイか! 津波に関しては水撃で相殺。その前に氷結か地変で消波ブロックの形成で対処を!それと!」

 

 端的にシロエよりフェイに情報が伝達される。ある種類の補助魔法はフィールドそのものに効果が適用され、永続する*14という事。そして、間髪入れずに飛んでくるメグレズの芽によって発生する連続地震によって巨大津波が数時間後に本土に到達するという事

 

「そういう訳だから君も苦しんでほしい」

 

「く、くそ……! 状況がカスすぎる……!」

 

「ははは」

 

「取り敢えず受け持ち元々海岸線だから、由奈達連れて東京湾付近の沖合で迎撃するよ。水撃も氷結も用意あるから他のセプテントリオン引き付けながら迎撃するけど沖合出れそうな面子いたら引っ張りだしてきて。僕達の方で一番危険なのは請け負うから」

 

「ほんと、宜しく。こっちも頑張るからさ……」

 

 シロエとの会話を切り上げ、フェイもまた防衛地点まで転移を行う。そうして帰還したヨコハマ裏中華街跡地の先には見渡す限りの海が波立って、地平線には夥しい数の悪魔でもない化物が浮かんでいる

 

「仲魔は初期はボティス、カルティケーヤ、フレスベルグ、セト。エリヤと僕はフレスベルグ、由奈はカルティケーヤに、真澄とボティスはセトに乗って。沖合に行くまでに補助を張り巡らせて、ボティスはバフ撒き終えたらCOMPに戻す。作戦内容はこっちに寄ってくるであろうセプテントリオンを叩きながら津波を減衰し続ける事。動きは各自理解していると思うけれど、修正の必要があれば僕が逐次指揮を取る」

 

 崩れ、黒い灰のようになった建物の残骸を踏みしめてフェイ達は飛翔する。海岸線の防衛を他のDBに任せながら沖合を目指した。その間にも化物、ミザールは時間経過と共に増殖しながら海面を揺らして行進を続けている

 

 最早一刻の猶予は過ぎ去った。どれだけ逃げて隠れて現実逃避しようとも、世界が滅びるその時まで喇叭は鳴り続ける。そして当然のようにこの場に居る者達は滅びを看過する事は出来ない。それぞれの理由は違くとも世界を守る為にキリギリスになる事を選んだのだから。世界から逃げるのではなく、守るのであればこれを真っ向から乗り越える以外に道はない

 

「高さ数百mの巨大津波とか、そういうSFパニック映画あったような気はするね」

 

「現実でもリツヤ湾大津波は高さ524cmに到達したと言われてたな。ただ、それは街を襲った訳ではない」

 

「減衰できずに到達すれば日本はそれこそ全部丸ごと流されてしまうだろうね。何とかしないといけないけど、やっぱり命の保証はできないかも。ごめんね」

 

「いつもの事だ。それに元々一蓮托生だろう? 今回はお前が堕ちれば俺も堕ちるんだからな」

 

「ふふっ、じゃあ末永く頼むよ。皆で一緒に帰ろう」

 

 内より溢れた恐怖をエリヤの言葉で押し殺しながら、沖合の状況を確認する。相も変わらず無造作に増え続けるミザールと其処に混じるドゥベ、一番に目を引いたのが数十mには達するであろう津波だった

 

 陸へと到達するには猶予はあるもののその脅威は計り知れない。食い止めなければまたやってくる津波と合流し、さらに止めようがなくなってしまうのだから

 

補助強化状況

全員の物理・魔法攻撃力+4(SH1式。450%)。防御・命中、回避+4(DSJ式)

魔法の輪*15:フェイ、フレスベルグ、エリヤ、真澄

摩利支天咒法*16:由奈

 

戦闘参加面子

フレスベルグ騎乗:フェイ・エリヤ

セト騎乗:真澄 カルティケーヤ騎乗:由奈

 

\カカカッ/\カカカッ/\カカカッ/

ウィッチ久遠 フェイLv91全てに強く、破魔吸収。BS無効

一部の物理・火炎・氷結・呪殺反射*17

剣士久遠 由奈Lv94全てに強く、物理吸収。火炎・氷結・

破魔・呪殺・精神・神経・魔力・緊縛反射*18

ガンスリンガー久遠 エリヤLv90全てに強く、火炎・氷結・破魔・呪殺

精神・神経・魔力・緊縛反射*19

巫女神城 真澄Lv92全てに強く、火炎・氷結・破魔・呪殺

精神・神経・魔力・緊縛反射*20

 

\カカカッ/\カカカッ/\カカカッ/

凶鳥フレスベルグLv86火炎無効。氷結吸収。破魔・呪殺・緊縛・一部の物理に強い。*21

破壊神カルティケーヤLv82銃反射。物理・破魔無効。呪殺耐性*22

邪龍セトLv86銃・投具・氷結・電撃に強く、破魔・呪殺・精神・神経・魔力無効*23

 

「補助も積み終えた。いつでもいける」

 

「射程圏内にもう直ぐ入る。始めよう」【COMP送還:ボティス】

 

 高速で飛ぶ三体の悪魔達を駆り、荒れ狂う海の上空にて戦端は開かれた

 

「合わせて、エリヤ!」

 

「了解!」

 

-《マハアクア》-*24

-《精霊召喚》-*25

 

 

「押し流せ、ウンディーネ!!!」

 

 

ウンディーネP2罪出典

水撃系魔法+精霊召喚によって発動する合体魔法

敵全体に術者のLVを加算した水撃属性のダメージを与える

(フェイの場合は91+65=154。メギドラオンを超える特大規模となる)

 

 眼下で荒れ狂う水の壁と呼ぶべき巨大津波を制御・減衰するようにウンディーネが干渉を開始。巨大な波を発生させて付近に居たセプテントリオンを巻き込みながらこれを相殺させた

 

「フェイ、これ効いてるか!?」

 

「勢いは弱まってはいる。だけど、敵も来るよ」

 

\カカカッ/\カカカッ/\カカカッ/

武曲星ミザールLv45
 
武曲星ミザールLv47

武曲星ミザールLv50
 
武曲星ミザールLv48

武曲星ミザールLv47
 
武曲星ミザールLv45

武曲星ミザールLv48
 
武曲星ミザールLv50

武曲星ミザールLv45
 
武曲星ミザールLv50

武曲星ミザールLv47
 
武曲星ミザールLv45

武曲星ミザールLv50
 
武曲星ミザールLv48

武曲星ミザールLv45
 
武曲星ミザールLv47

 

 相殺した波の背後より、浮遊しながら陸を目指す怪物の群れが迫る。フェイ達を障害物として認識しながら増殖を続け、その数は正しくもう一つの津波にも見えた

 

「フレスベルグ、今回の作戦の要は君だ。頼んだ!」

 

『ボーナスハ弾メヨ!』

-《準氷結貫通》-*26

-《氷結高揚》-*27

-《マハブフダイン》-

 

 強大な二つな津波を圧し留めるようにして霜を纏った氷嵐が吹き荒れた。最上位悪魔であるフレスベルグの氷結は準貫通・高揚も含めて非常に強力ではあるものの、この圧倒的な数と質量の前では力不足だ

 

 だが、それを後押しする魔法強化(マカ・カジャ)は展開されている。シロエの言伝によってその性質が明らかになったものの、そもそもとしての出力が桁違いに高い。実に4倍以上に強化されたフレスベルグの氷結はミザールを凍てつかせて、津波もまた直ぐに破砕されはするものの減衰させている

 

-《武曲星の証》-

-《武曲星の証》-

-《武曲星の証》-

-《武曲星の証》-

 

 水撃と氷結の衝突によって幾つかのミザールが倒れ、幾つかのミザールが分裂・増殖を開始する。沖合での攻防が始まった影響で増援に新たなミザールも迫っている

 

「そりゃ集まってくるか。対処は任せたよ。真澄、由奈」

 

「柄じゃないんだけどね!撃ち落とす!」

 

「真っ向から蹴散らします!」

 

 そして、敵の想定通りの挙動に攻撃役の面々が行動を開始した

 

-《龍の反応》-*28

-《物理ハイブースタ》-*29

-《ヤブサメショット+3》-

 

-《火神の弾丸》-*30

-《焔のSOUL》-*31

-《ライトマシンガン》-*32

 

 一定の距離を保ちながらもセトはスキルによる全体物理で、真澄は軽機関銃による掃射によって攻撃を仕掛けた。双方共に高揚程度のパッシブ(常時効果)が乗り、其処にさらに物理強化(タル・カジャ)が付与済み。確定会心(ヤブサメショット)弱点特攻(火神の弾丸)*33の全体攻撃は群がるミザールの大半を一掃する

 

「大きいのが何体か残った! 分裂もしてるわ!」

 

「なら接近戦で叩く!」

 

-《韋駄天》-*34

-《獰猛》-*35

-《天覇の将》-*36

-《銃ギガプレロマ》-*37

-《天扇弓》-*38

 

-《防御》-*39

-《自然の助け:火炎》-*40

-《豪傑の転心》-*41

-《焔のSOUL》-

-《如意棒:ATTACK》-*42

 

 カルティケーヤに同乗しながらも燃え盛る如意棒を構え、由奈は突貫する。カルティケーヤは極まった火力の連続射撃でミザールを射抜き、残存したそれらが数m単位に拡張された如意棒で無造作に蹴散らされる

 

-《武曲星の証》-

-《武曲星の証》-

-《武曲星の証》-

-《武曲星の証》-

-《百烈突き》-*43

-《千烈突き》-*44

-《怒りの一撃》-*45

-《主星の圧撃》-*46

 

 振り抜かれた火炎の一撃は確かにミザール達の命を葬った。しかし、ミザールは未だに増える。無限に、何処までも。新たに増援に来た者達も含め、朽ちる事なく増殖しながら単騎で翔けてきた由奈を全方位から嬲りに攻撃する

 

「これはマザーの時にも見せましたね」【DRAIN】

 

-《引き》-*47

-《如意棒:ATTACK》-

 

 ミザールの攻撃は物理属性のみ故に由奈に吸収され、防御と攻撃をトリガーとして反撃(引き+通常攻撃)が返される。カルティケーヤは物理無効でダメージを受けないままにミザール達に突貫を続け、さながら重騎兵のように戦場を疾走していた

 

「お前達が無限に増殖を繰り返すなら僕達にとっても好都合だ。利用させて貰うよ」

 

北端の凍てつく風D2出典

敵が死亡したとき、次の連動効果が発動。敵全体に氷結属性の小ダメージを与える。この効果の使用回数に制限はない。フレスベルグ専用のスキルであり、これにも準貫通&高揚は適応される

 

 そして、今まで死亡していったミザールの回数分だけフレスベルグの深層の力(D2スキル)が解放される。ミザールの死をトリガーとして発揮される力はダメージだけ見るならば中ダメージに近い小ダメージといった所。だが其処に高揚と魔法強化、使用回数の制限もなく連続発動が可能であれば全てを凍てつかせる暴風へと至る

 

-《北端の凍てつく風》-

-《北端の凍てつく風》-

-《北端の凍てつく風》-

-《北端の凍てつく風》-

-《北端の凍てつく風》-

-《北端の凍てつく風》-

-《北端の凍てつく風》-

-《北端の凍てつく風》-

-《北端の凍てつく風》-

 

 連鎖的に発動したそれはミザールを殲滅し、部分的にではあるものの巨大津波を静止させた

 

「こっちに増援としてくるミザールを引きつけつつ、場所を移す! 点じゃなくて面で止めないとこれも意味がない!」

 

 大量のミザールを相手取れるだけの火力と手数は十分。MPやHPの消耗も軽微になるべくなるように戦い方を組み立て、<妖精の祝福>*48による自動回復や溜め込んできた消耗品の甲斐もあって数時間以上の戦闘は可能。飛行機動に関してもこれまでの経験や積み重ねられた補助によってミザールを振り切りながら叩き潰せるだけの安定性は維持できている

 

 が、やはり不安点も多い。ミザールの数があまりに増えて捌ききれなくなる事や他のセプテントリオンの乱入の危険性。メグレズによって発生する津波があまりに大きくなりすぎればフェイ達だけでは到底対処できなくなるし、海に落ちてしまえば津波に呑み込まれてほぼ確実でLOSTしてしまう

 

「(それでもやらないと日本は本当に終わりだ。どれだけ搔き集めたとしても沖合で動ける戦力は恐らくあまり多くない。可能な限り、僕達が頑張らなきゃ)」

 

 日本に迫る脅威は地震と津波だけではない。無限増殖のミザールは言うまでもなく、北と南における戦闘も激しくなっているという情報は此処に来る前に入手した。避難所における暴動や北陸で出現した建造物の件、さらに言えばそれ以外にも不穏な情報が幾つかある

 

 その全てが適切に対処しなければ破滅に繋がるだろう。誰も彼もが奮闘しているし、脅威に対して戦力は明らかに足りていない。沖合で対処が可能な戦力が居ても、必ず来られるとは限らないだろう。増援に期待はしているし信頼もしているが当てにできるかはまた別の問題で、そういった意味でもフェイ達のみで今は頑張り続ける必要性があった

 

「次!」

 

 向かった先に居た迫りくるミザールと津波を駆け抜けながら掃討した。波は乱れ、怪物は絶えない

 

「次!!」

 

 その先に居たミザールと津波を駆け抜けながら掃討した。波は乱れ、怪物は絶えない

 

「次!!!」

 

 またその先に居たミザールと津波を駆け抜けながら掃討した。波は乱れ、怪物は絶えない

 

「MP回復アイテム使用して、次のポイントへ!」

 

 津波同士が融合し、巨大津波と成り果てる前に氷結で波を防いで凍らせて水撃で相殺。ミザールは火炎属性を中心に叩き潰して、時折出現する別のセプテントリオンも蹴散らした。それが何度も続いている

 

-《武曲星の証》-

-《武曲星の証》-

-《武曲星の証》-

-《武曲星の証》-

 

 果てなく続く太平洋に平穏は未だ見られず、何処からともなく怪物達は溢れ出している。外部との通信を取る暇もなく、状況は改善する事なく継続している

 

「(ミザールがこのまま増え続けたとしても恐らく殲滅力は問題ない。消耗品の消費も想定通り。後はこのマラソンを何処までミスなく続けられるか、だね)」

 

 既に幾度となく波は堰き止め、数え切れない程のミザール達は撃破した。巨大津波となるべきだった物は幾らか規模を縮小させているし、このまま続けられれば地上の方で対処できる可能性は上がっていく。終わりは見えない物の不確かながら希望はあった

 

「ふぅ……このまま頑張ろ……ッ!?」

 

 頭に奔ったノイズ。脳に直接釘を突きさされたような痛みはフェイの動きを停止させた

 

みぃつけた

 

「ガ、ぁっ! ぐっぅゥ゛……!」【不■状態】

 

「フェイ!?」

 

 視界が真っ赤に染まり、意識が途絶えそうになる。認識していた現実から強制的に引き剥がされるような気持ち悪さに口を抑え、悶えた

 

 異変に気付いたエリヤはその異変の正体を超視覚を用いて索敵する。既に由奈と真澄はミザールとの再衝突に臨んでいる。此方に手を出す余力はない

 

\カカカッ/

妖精デッ■アールヴ(楽■の妖精)Lv■6

 

「なんだ、こいつは……!」

 

 目を凝らす事でようやくエリヤはフェイの内部に潜むその元凶を認識した。フェイに憑りついた、幾つもの思念を固めたようなセプテントリオンではない何か。目的も分からない思念の塊はフェイの心を侵して、内部に入り込もうとしていた

 

「エ、りや……指揮を、引き継イで。多分、少し僕ガ駄目にナるから……! 」

 

「だが!」

 

「皆ガ危なクなル。召喚ハ何とカ維持すル。こノ異変は僕ガ対処、スる」

 

 既に五感は現状を認識できていない。真っ赤に染まった意識のまま、精神の奈落に引きずり込まれるように全てが遠のいていく。言葉を残しながらも、鬩ぎ合う思念の奔流に心が呑み込まれていく

 

みぃつけた みぃつけた みぃつけた

みぃつけた みぃつけた みぃつけた

みぃつけた みぃつけた みぃつけた

あなたのうんめいはだぁれ? あなたのうんめいはだぁれ? あなたのうんめいはだぁれ? あなたのうんめいはだぁれ? あなたのうんめいはだぁれ? あなたのうんめいはだぁれ?

  

わたしはだあれ わたしはだあれ わたしはだあれ わたしはだあれ わたしはだあれ わたしはだあれ わたしはだあれ

つ つ つ つ つ つ つ つ つ

か か か か か か か か か

ま ま ま ま ま ま ま ま ま

え え え え え え え え え

た た た た た た た た た

! ! ! ! ! ! ! ! !

 

 エリヤの叫ぶ声も搔き消され、堕ちていく精神が思念の声を認識した

 

 殺意、執着、憐憫、疑問、同情、愛情、悲哀、一番に諦観。数十以上の夥しい量の思念を埋め込まれる感覚はフェイにとって酷く懐かしく、痛く感じられた

 

 真っ赤に染まった視界が次第に黒く染まって、痛みはなくなり、最後には何も残らないまま

 

「……此処は」

 

 唐突に落下は止まった。セプテントリオンと衝突している現状を踏まえれば、酷く取り乱してもおかしくはないというのに心は不自然な程に安心している。

 

『ふふっ、びっくりした?』

 

「うんざりしてるかな。お前は誰? 何が目的? 早く此処から出してくれない?」

 

『手厳しいね。でも、当然かな』

 

 音もなく、現れた人影……思念の塊の主に苛立ちをぶつけながらフェイは現状を整理し始めた

 

 このような状況になってしまったのは自らの不注意が原因だった。幾度目かのミザールとの攻防中に見えた黒い影。一瞬だけ知覚は出来たものの構っている暇もなく、エリヤとフレスベルグも認識できていなかった故に気付かないままに憑りつかれていたのだろう

 

「(で、こいつの容姿は……大人になった僕みたいだな)」

 

\カカカッ/

妖精デックアールヴ(楽園の妖精)Lv78

 

 現れた人影……アルヴは華やかな妖精羽を持つ凹凸の取れた豊満な肉体を持つ美女だったが、それ以外の特徴はフェイの方に偏っていた

 

 煌びやかな金髪に先端が尖ったエルフ耳、澄み渡る碧い瞳。その上で隔絶した美貌を保持しながら、思念の波長が自らのそれにとてもよく似ていた

 

「きびきび答えるか、此処から出しなよ。手間取ってると僕も君も死ぬだけだ」

 

『あははっ、答える前に君の不安を取り除こうかな。大丈夫、此処はとっても時が遅いんだ』

 

 警戒と苛立ちを重ねるフェイに対し、アルヴは軽やかに答える

 

『おとうさんとおかあさんが得意だったからね。私もそういうの得意なんだ。此処がわたし達の精神世界だったら猶更ね。此処での一時間は向こうの1秒にも満たないよ。君自身もそれは分かってるんじゃない?』

 

「……」

 

 フェイの体感として目の前の存在が言っている事は概ね事実だと分かっている。自身もまた非常に限定的だが時間操作は行えるし、時間の流れが緩慢なのは疑う余地もない。肉体面もエリヤが守ってくれているお陰か平常に動いている。仲魔も召喚状態のままで、自らが居なくてもミザールを撃退するだけなら何とかなりそうな状態だった

 

「じゃあ……質問に答えてほしいな。君は何者だ?」

 

『わたしはきみだよ。別の世界の僕は、私なんだ』

 

「何が目的なんだ?」

 

『君に諦めてほしくて。この世界で抗う事を』

 

 淡々と質問と返答が返される。アルヴが別の世界の自身であるというのは想定内。ラーヴァナと由奈という前例もあるし、同位体である類似点も多すぎる位にあったから

 

 だからこそ解せない事もある。かつてフェイであったアルヴの目は酷く淀んでいた。外面は取り繕ってはいるものの流し込まれたどす黒いあの思念こそが本質で、フェイを堕とし込めようとする意図が感じられた

 

「どういう事?」

 

『おとうさんにはもう会ったでしょ。だったら妖精郷にも誘われてる筈だよね。其処で大切な人達と死ぬまで過ごすんだ』

 

「随分、後ろ向きなんだね。今までの僕は」

 

『今の君も、でしょ。今のわたしは随分やせ我慢が得意なんだね』

 

 アルヴの微笑みが消え、能面のような無表情のままフェイを見据えている。本心を射抜き、瞳に負の思念を込めながら問い掛けた

 

『痛くて苦しいのは嫌な筈だ。だが私達はそれから逃れらない。未来永劫、どのようにしても苦しんで死ぬ運命に囚われている。だったら、諦めておとうさんが提示した救いに身を委ねるべきだ』

 

「戦う事で開けた未来もある。少なくとも今の僕は戦わなければ生きる事さえできなかった」

 

『でも、もうその必要はない筈だよ。この世界もどうせ終わるんだから』

 

 アルヴの平坦な声に徐々に感情が乗っていく。眼前のフェイの言葉を否定する様に言葉が止めどなく零れる

 

『君は紛れもなく私なんだ。どれだけ強くなっても本当は戦いたくないし、大切な人も戦わせたくない。外の事なんて気にしない。わたし達だけ幸せに、眠る様に安らかになりたいんだ』

 

「……それは出来ない」

 

『どうして??? なんで???』

 

 困惑する様に言葉を荒げながら、アルヴはフェイの感情を読んだ。心の奥底であり、同位体でもあるアルヴにとってフェイの心を見透かすのは造作でもない。今に至るまで何度もそれを読み取り、フェイを理解していた

 

 今まで言った言葉の数々にフェイは共感しているという事も、同じ精神性をしているという事も分かっている。なのにフェイは真反対の事を宣いながら、此方を否定している。見えない何かに縋る様に、何かを信じようとしていた

 

「君の言う通り、僕はオベロンの提案に魅力を感じていたのは事実だし、それを救いと認識していたのも事実だ。今の僕も一杯一杯だからね。勤勉な方でもないし、これから戦っていけるだけの自信もない。全て投げ出して、由奈や真澄やエリヤやラクシュミと眠る様に死んでいけたらとても楽な事だと思う」

 

『なら』

 

「だがそんな簡単な話じゃない。それでは救われない。繰り返すだけだ。理解している筈だ、君自身も」

 

 現実逃避して安楽死を迎える。何処までも楽な結末で、其処で何もかもが終わるならそれもいいだろう。だが現実はそうじゃないし、運命の車輪は回り続ける。螺旋に紡がれた時間は決して終わらない

 

「君はきっと僕に同じ所まで堕ちてほしいんだね。其処から抜け出す事が出来なかった一人として足を引きたいんだ」

 

『ちがう、わたしは』

 

「違わない。君はオベロンに縋っているだけだ。いい加減、親離れしないとね」

 

『どうして、そんなことがいえるの?』

 

 アルヴがフェイを見透かしたようにフェイもまた心を、記憶を見通した

 

 積み上げられた幾つものフェイだった物の死体。死体は残滓となり、黒い影となって集合して形取られていく

 

 自らの死の運命に対する絶望、苦しみ、悲哀。それを救い上げようとしてくれたオベロンに対する感謝と本当の意味で救いをくれなかったという怒り、殺意。妖精郷でただ安息に死んでいくだけという諦観と不安

 

 終わりもなく唯々、非業の死だけが残る。その未来を今までのフェイは全て認識していた

 

 だから受け入れた妖精郷を。悲惨な過去しかなく、苦痛だけの未来しかないなら眠る様に死んでいこうと。おとうさん(オベロン)の言葉は正しかったと信じる様に運命を繰り返す

 

 何度も何度もフェイを誘導して、駄目なら取り込むつもりだった。これまでそうしてきたのに、今のフェイは何かが違っていた

 

『なんで? あなたはわたしのはずなのに。わたしはぼくのはずなのに。どうしてこんなにちがうの?』

 

「ただ、運が良かっただけよ。だけどこれだけははっきり言っておく。僕はもう救われている。だから君の救いは必要ない」

 

『なら、もういいよ』

 

 空間がぐにゃりと歪む。真っ暗だった空間は血に濡れた地面と崩れ落ちた木々で彩られた妖精郷だった場所へと変わっていく

 

『最初からこうすればよかった。貴方を食べて、心を書き換える。おとうさんの事、ちゃんと聞くようにしないとね?』

 

「精神を書き換える行為は僕も君も最も嫌悪してる行為だろう」

 

『はは、ふふっ。だいじょうぶ、少しだけ変えるだけ。君はきえないから、安心して? でも抵抗するなら、他のわたしの手も借りなきゃね』

 

 薄気味悪く嗤うアルヴは瞬く間に三体に分裂し、出現した二体がその姿を変えていく

 

\カカカッ/\カカカッ/

愛属性アルマドLv11
 
怨属性シュトロモニクLv11

 

 浮かび上がるその姿は古代の節足動物のような姿を持つ異形だった。片や盾のような装甲(アルマド)を纏い、片や金属の仮面のような物(シュトロモニク)をつけている。それらはアルヴの隣に随伴しながらフェイに迫っていた

 

『ここは私の力も制限されるけど、貴方はもぉっと制限される。ここじゃ、貴方は何もできない。だから諦めて?』

 

「成程ね」

 

 確かに力が出せない。心象世界の中でも奥底に位置するこの場所は単なる精神世界のように振舞える場所ではない

 

 深すぎて、心だけが剥き出しになるこの場所では魔法(ウィッカ)も仲魔も使う事が出来ずに思念による戦闘のみ行う事ができる。そして、アルヴが展開した二体の異形はそれを可能とするマインドと呼ばれる存在だった

 

 感情や記憶を凝縮させたエネルギー生命体がマインドで、それを用いる事が出来るのがマインド使いと呼ばれる存在。この周回において存在してはいない或いは知られていない概念をフェイは無意識に理解していた

 

「なら、僕にもやりようはある訳だ」

 

 フェイの身にはスピリア(記憶溶剤)を通して、幾つもの記憶と思念が流れ込んでいる。親の愛を知らずに死んでいったデビルドーター達と親と引き離されて焦がれながら死んでいった子供達の心を注がれ、喰らった

 

 何処までも悍ましいフェイにとってもトラウマでしかない過去はある特性をフェイに与えていた。それは思念を糧にマインドを産み出す事、産み出したマインドを指揮下に置く事

 

 今の今まで発現する機会もなく、出来るかどうかもわからないそれは今に至っては行う以外に道はない。記憶にもない、己の原点(ヨ■ヒム)が出来た事をなぞる様にフェイもまたマインドを顕現させる

 

\カカカッ/\カカカッ/

絶属性ダムドスフィアLv11
 
怨属性ナイトブレイダLv12

 

『へぇ、そう。だせるんだ、マインド。それも随分強力だ。でも良かった。弱い者虐めは心が痛むからね』

 

「ファザコン拗らせてる癖にそんなに強い言葉使って大丈夫?」

 

『ふふっ』

 

「ははっ」

 

 傍らに剣を携えたマインド(ナイトブレイダ)一つ目のマインド(ダムドスフィア)を浮かべ、フェイはアルヴと相対する。買い言葉に売り言葉。お互いに対する理解が終われば浮かび上がるのは目の前の存在が気に喰わないという思いだけ

 

 光を見上げて不確かな変化を求める者(<ウィッチ>久遠 フェイ)

 闇を見下ろし確実な不変を求める者(<楽園の妖精>デックアールヴ)

 

 両者には反目し合う以外に道はなく

 

『じゃあ、さっさとわたしにくわれて?』

 

「これでも忙しいんでね。直ぐに消え失せてほしいな」

 

 喇叭も鳴り響かない、何人も届かない心の奥底にて刹那の衝突が始まった

 


 

<久遠 フェイ>

横浜で大地震の後始末やら人員転移やら情報収集と発信やらドゥベ吹っ飛ばしてたらシロエニキにカスみたいな敵の情報を流されたので沖合で孤軍奮闘する事になった人。実際、割とミザールに特攻なフレスベルグやら火力高くて高速飛行できる面子が揃ってるので安定してミザールと津波を太平洋で止め続けている。尚、そんな時に唐突なマインドダイブを喰らう。切れて不機嫌となりながら、なんか出てきたマインドでよく分からないままこれから戦っていく

 

<ヒロインズ>

フェイの状態が気掛かりで仕方ないものの津波とミザールが押し寄せてきてるので召喚されてる仲魔と共に双方何とか捌いている

 

<デックアールヴ>

ほびーさんより渡された三次ボスの一部

正体は今までの周回で死んだフェイの残滓が集合して、世界を彷徨う亡霊のような物

大体悲惨な目にあって死ぬという運命が定められており、根本的にそれに諦観している

今居るフェイを否定してお前もこっちやするのが目的ではあるものの、普通にこの世界クソだし運命もクソだしオベロンに従った方が楽じゃない?とは本当に思っている

 

設定的にこれもう裏ボスじゃない?となったので正式な登場はかなり後となる。でも出さないのも詐欺だよなぁという事でマインドバトルをする事となった。作者がデスピリア要素出したかっただけである

*1
NINE出典。同階層を全部明確化し、明確化された範囲の相手は認識lv3。また、同フロアのトラップエリアをすべて認識

*2
SH2出典。3行動中、味方全体の攻撃力を上昇させる。真澄が使用

*3
DSJ出典。味方全体の攻撃力、防御力、命中・回避を上昇させる。カルティケーヤが発動

*4
SH1出典。味方全体の物理攻撃力を上昇させる。三段階目なので350%上昇。エリヤが発動

*5
SH1出典。味方全体の魔法攻撃力を上昇させる。三段階目なので350%上昇。ボティスが発動

*6
真VV出典。敵全体に物理属性の小ダメージを与える。相性を無視して貫通し、必ずクリティカルが発生する。スキル適性で性能が向上し、物理ハイブースタで威力が底上げされている。セトが発動

*7
真3出典。敵全体に氷結属性の大ダメージを与える。準氷結貫通・氷結高揚付き

*8
DDSAT2出典。敵全体に物理属性の大ダメージを与える。残りHPが高い程威力が上昇し、命中率は低いがクリティカル率が高い。武器COMP効果で物理反射まで貫通し、踏み込み&エレメンタル・スラッシュでドゥベとの大幅に距離を縮め、射程を延長している

*9
魔神2出典。味方一人を未行動状態にする。フェイがセトに対して発動

*10
誕生篇(ウィッカ)出典。妖精の輪と呼ばれる門を開き、あらかじめ用意しておいた避難所にテレポートする。避難所を用意していない場合でも妖精を呼んでいれば、妖精の導きで1km以内の空き地にテレポートする

*11
覚醒篇(ウィッカ)出典。敵全体に相性:-(万能相性処理)のダメージを与える。威力は加護(運)×2となり、フェイのステータスではメギドラオン以上の特大ダメージとなる

*12
SH1式の物を四段階(450%)

*13
SH2出典。敵全体に氷結大ダメージを与える。ソウルハッカーズにおいて通常のマハ◯◯がライン上や拡散だったのに対して敵全体指定のため、効果範囲が広いと裁定

*14
SH1式のカジャ・ンダは戦闘参加メンバーではなく、味方・敵フィールドそのものに効果を残す。それによって味方が死亡からの復活、COMPからの召喚、敵より出現した増援等にも既に発生していたカジャ・ンダが適用されるという仕様となっている

*15
覚醒篇(ウィッカ)出典。覚醒段階に等しい数(4つ)の光の輪を生み出し、輪1つにつき一人の味方を守る。輪の中に居るキャラクターは魔法防御点・物理防御点が威力点(ウィッチ技能値参照)上昇する。同時にその強度以下のレベルのアンデッドはこの輪の中にいるキャラクターに対しては攻撃を行えない。1度かけるとかけたターンも含めて威力×1ターンの間、魔法の輪は維持される。この魔法の輪は重複しない

*16
誕生篇(ウィッカ)出典。摩利支天の加護を受けて、神速の動きを得る。2倍の行動ができるようになる(ラウンド毎に2回分のアクションが可能に)。移動力や回避値は変わらない。効果ターン数はマントラ技能値-10により、10+αターン継続する物とする。SH2の<アクセラレート>と同じ物として裁定処理

*17
双鬼冠・スプリガンベスト・Aマックスアーム・ミラージュブーツを装備。BS無効はとあるスキルによるもの

*18
双鬼冠・カラミティスーツ・ガネーシャリング・ミラージュブーツを装備。物理吸収はパッシブスキルで上書き

*19
双鬼冠・カラミティスーツ・ガネーシャリング・ミラージュブーツを装備。

*20
双鬼冠・カラミティスーツ・ガネーシャリング・ミラージュブーツを装備。

*21
真2仕様。火炎弱点をスキルで火炎無効に

*22
DSJ仕様。銃反射(真4)を習得

*23
NINE仕様。御魂合体で魔力無効を追加

*24
P2罪出典。敵1グループに水撃属性の小ダメージを与える

エンジェルが習得するスキルで、エリヤが発動

*25
P2罪出典。敵全体に高確率(64%)で幻影状態を与える。ウィッカの妖精召喚の応用。フェイが発動

*26
D2出典氷結貫通を得る。氷結貫通時に敵の氷結属性が「無効」「反射」「吸収」の場合に与えるダメージが70%減少する

*27
真3出典。氷結属性攻撃時の攻撃力を1.5倍にする

*28
真4F出典。命中率・回避率が大幅に上昇する

*29
DSJ出典。物理属性のダメージを1.5倍にする。取引で手に入れたベルセルクのデビルソースにより習得

*30
真4F出典。威力136。火炎属性の弾丸

*31
真4出典。自身の火炎属性の攻撃力を大幅に上昇(1.5倍)させるアクセサリー

*32
真4出典。攻撃力158で敵全体を1回攻撃可能。銀座での店売りでクッソ高い

*33
デビサバ2において登場するミザールは全て火炎弱点を持っている

*34
D2出典。このスキルを持っている悪魔が生きている間、味方全体は次の効果を発揮する。「物理命中率が15%増加し、クリティカル率が20%増加する。」

*35
SH1出典。忠誠度:5の性格:獰猛における効果。物理ダメージが1.2倍になる

*36
術者が物理攻撃で与えるダメージが増援を含む味方の生存者1体につき12.5%上昇する。悪魔3体・人間4体なので87.5%の上昇

*37
真4F出典。銃撃属性のダメージを大幅に上昇させる

*38
DSJ出典。敵全体に銃属性の大ダメージを与える

*39
真VV出典。ダメージを半減して、クリティカル・BSを防ぐ

*40
覚醒篇(ウィッカ)出典。戦闘終了まで格闘武器に火・電・氷・物・風のいずれかの相性を与える。重ね掛けした場合、新たに選択された相性を与える。フェイの手によって火炎属性が付与されている

*41
超力兵団出典。約50%の確率で物理攻撃の威力を100%上昇させる

*42
デビサマ出典。敵全体を攻撃できる格闘武器

攻撃130命中80で能力値も幾つか上昇する

これを用いた全体攻撃を行う

*43
デビサバ2出典。敵単体に2〜7回、小威力攻撃を放つ。速の値が対象より高いほど回数増加

*44
デビサバ2出典。敵チームにそれぞれに2〜7回、小威力攻撃。速の値が対象より高いほど回数増加

*45
デビサバ2出典。必ずクリティカルが発生するが、命中率が50%になる物理攻撃を行う

*46
デビサバ2出典。敵単体に、命中すれば必ずクリティカルになる物理攻撃を行う

*47
誕生篇(剛剣)出典。割込行動。相手が防御した時或いは自分が相手の攻撃を防御した時に後方に跳び上がって、間合いを取り、攻撃につなげる技。判定に成功すればペナルティ修正なしで1回、攻撃できる。この攻撃の対象の回避/防御は威力分(剛剣技能値参照。値は60)のペナルティ修正を受ける。本来はMP消費だが技の鍛錬ルール(覚醒篇)によって本来のコストの2倍のHP消費で発動している

*48
NINE出典。1カウント毎にパーティ全員のMPを1/20(5%)回復する。フェイが習得している

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