真・女神転生オタクくんサマナー外伝 -ロストキリギリス- 作:名無しの骸骨
真紅の空で切り裂くような音が響き渡る。黒い粒子が宙を舞い、空を翔ける者達へ降り注ぐ
『ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ッ!!』
\カカカッ/
| 破戒のアンジャリカストラ | Lv99 | 火炎反射・BS全無効 |
けたたましい咆哮を上げ、
\カカカッ/
| 剣士 | 久遠 由奈 | Lv94 | 全てに強く、物理吸収。火炎・氷結・ 破魔・呪殺・精神・神経・魔力・緊縛反射 |
| 破壊神 | カルティケーヤ | Lv82 | 銃反射。物理・破魔無効。呪殺耐性*1 |
「電撃を纏ってないなら物理です!」【物理吸収】
『へへっ、なら問題ないね!』【物理無効】
カルティケーヤが急反転。由奈が五本の爪を太刀にて受け止め、
\カカカッ/
| 巫女 | 神城 真澄 | Lv92 | 全てに強く、火炎・氷結・破魔・呪殺 精神・神経・魔力・緊縛反射 |
| 邪龍 | セト | Lv86 | 銃・投具・氷結・電撃に強く、破魔・呪殺・精神・神経・魔力無効*2 |
「しゃんなろーっ!」【徹し】
『< ᴼ ᴼ >』【ウアス】
攻撃を受け止められ、怯む潰滅竜へセトは突貫する。すれ違い様に胸元を食い千切り、真澄が渾身の掌底を叩き込む
\カカカッ/
| ガンスリンガー | 久遠 エリヤ | Lv90 | 全てに強く、火炎・氷結・破魔・呪殺 精神・神経・魔力・緊縛反射 |
| 凶鳥 | フレスベルグ | Lv86 | 火炎無効。氷結吸収。破魔・呪殺・緊縛・一部の物理に強い。*3 |
「撃ち抜け!」【ヘヴィソニックトリガー】
『撥ネトバス!』【超羽■た■】
掌底を以て、身体を一時的に麻痺した潰滅竜より急速に由奈達は距離を離す。認識し、再度襲い掛かろうとする潰滅竜に弾幕が降り注ぎ、
「だーっ! 埒が明かないわね!」
「追わせて殴り掛らせる。そういう戦法を取っているから仕方ありません」
「取り敢えずヒット&ウェイじゃあれは倒せなさそうだな」
一定の距離を保っての追走劇は暫く続いていた。だがいずれも潰滅竜に与えた傷は時間経過と共に溶けるように消失している。MAGにも似た
「時間は稼げるけど、フェイの仲魔を使いながら長時間ってのはリスキーね。ラハブにあの子がやられたら私達は仲良く海にドボンよ」
「仲魔に関しては魔術契約とMAGバッテリーで暫くは持ちます*4。でも、本当に暫くです。結局の所、奴を討ち果たしてフェイと合流するのがベストだ」
「あの再生は戦闘中は発動する余力はないらしい。直接戦闘で削り続ければ、恐らくあれも死ぬだろうよ」
仲魔が全て健在である以上、フェイ達が無事であるのは事実だろう。但し、何処まで無事なのかは分からない
ラハブ相手に優勢なのか、拮抗しているのか、劣勢なのか。知る術はなく、逃げに徹すればタイムリミットが来てしまう可能性もあった。ラハブだけではなく潰滅竜もまた放置できない以上、打倒はしなければならない
潰滅竜の情報は逃げながらある程度把握した。厄介な点は尋常ならざる速度と凶暴性以外にも見受けられたが
| 龍眼*5 | 自身の命中率を大幅に増加させる(30%) |
| ブロックリング*6 | 攻撃が無効化された場合のプレス消費を1つに抑える。吸収・反射にも適用する(裁定) |
潰滅竜の戦闘スタイルはプレスターン。攻撃性を
爪と尻尾による殴打を基本に、四属性を織り交ぜながら
「貫通まであったら戦いになるかも怪しかったわね」
「それでも耐えれる保証はありません。此方が空に慣れていない以上、先手も取れないでしょう」
「ま、何とかするしかないな。オフェンスはお前達でやるか?」
「ええ、援護と引き際の見極めを御願いします」
勝ち目が必ずある戦いではない。ミスをすれば、運が悪すぎればだけではなく、どれだけ最善手を打とうと単純に押し切られるかもしれない。潰滅竜の手数は圧倒的で、有り余る暴虐性と裏腹に構成は堅実的
しかし、此処までの攻防においてある程度の勝機を見出してもいた。通用すれば打倒を目指し、通用しなければ逃げに徹する。方針は定まり、由奈達は円を描くように緩やかに反転して潰滅竜との距離を詰めていく
| 戦闘参加メンバー | セト・由奈・カルティケーヤ・真澄 |
| パートナー*7 | エリヤ・フレスベルグ |
「ドラゴンだか何だかか知りませんが、このクソ忙しい時に邪魔してきた借りは返させて貰いますよ」
殺意に満ちた竜の双眼が獲物を捉え、雄叫びを上げた。由奈達は臆せず仲魔を駆り、衝突の為に加速する
『ラーヴァナアアアアアッ!!!』
| 大逆鱗*8 | 3ターンの間、自身の攻撃力を3段階上昇させる |
| オールリセット*9 | 敵全体の能力上昇、チャージ、反射状態を解除する |
| 咆哮*10 | 3ターンの間、敵全体の全能力を2段階低下させる |
| 極竜の大絶叫*11 | 自身のプレスアイコンを6つ増加する(半プレス) 敵に無効・吸収・反射の耐性を持つ或いは付与されている時に発動できる 文明を喰らい続けた竜は破壊できぬ全てを許さない |
『シ゛ィ゛イ゛ッ゛ァ゛ァ゛ッ!』
「やはり戦闘機動では不利ですね……!」
潰滅竜が由奈達より先んじて動く。高位覚醒者でなければ鼓膜を潰す程の叫びが何度も何度も飽きるほどに響く。怪物の叫びに人は無意識に畏怖を抱き、心体を委縮させる。そうして動きを鈍らせた獲物に全身凶器たる五体を叩きつけるべく潰滅竜は距離を詰めた
| 制縛の爪*12 | 敵単体へ斬属性の大ダメージ。確率で麻痺を付与 |
| 破砕の尾*13 | 敵全体に壊属性の大ダメージを与える |
そして、目にも止まらぬ連撃が幕開けた。カルティケーヤに対する攻撃は無効化されたが、即座に巨大な尾が振るわれる
壊属性は<全対応>防具ではカバーできず、悪魔で耐性を付けるのは物理耐性以外*14では難しい。加えて潰滅竜の攻撃力は三段階上昇、由奈達の全能力は2段階低下している。潰滅竜側のステータスの高さも含めて連撃一つ一つが致命傷になり兼ねない
| 掌握*15 | 格闘攻撃のダメージを軽減し、骨法の特技を用いた攻撃を1回行える防御技 |
| 徹し*16 | 敵前列1体に万能相性の特大ダメージ(防御力無視)を与える 前列の他の敵に拡散し、本来の半分のダメージを与える |
| 五分の活泉*17 | 最大HP+50% |
「
| 吉祥天咒法*18 | 防御スキル。自分への物理攻撃1回を副次効果も含めて無効化する |
| 引き*19 | 相手が防御した、自身が攻撃を防御した際に発動可能。判定成功でペナルティ修正なしで攻撃が可能。攻撃対象の回避/防御に大幅なマイナス修正を与える |
| モムノフⅡ*20 | 物理属性のクリティカル率が上昇する |
| デッドリーブレイク*21 |
| 直線状の敵全てにLVと能力値の全てを加算した武器依存(物理)のダメージを与える 両手剣型武器COMP【アウトブレイク】に付加されたスキル。1ターン1回まで使用可能(裁定) |
「この近距離なら反撃は容易です!」
攻撃に被弾する中で由奈と真澄が切り返す。腹部への掌底、喉元への斬撃は潰滅竜にダメージを与えるものの勢いは止められない。反撃があろうと、耐性によって無効化されようと首輪が速度を一定に抑制し、過剰に暴走をさせない。連撃は依然として続く
| 雷の連爪*22 | 敵単体に電撃属性の中ダメージを2~4回与える |
両腕に宿された雷撃が火花を散らしてセトに迫る。セトは戦闘参加する面子の中で唯一物理耐性もHP上昇スキルを持ち合わせていない。電撃に対しては耐性を持っているものの
「させるかよ!」
| 援護射撃*23 | 銃器装備中、自身以外の味方が攻撃を受ける際に使用可能 対象は回避・防御・反撃の判定に+40%の修正を受ける 1シナリオ3回まで使用可能 |
『((( ̄( ̄( ̄( ̄ー ̄) ̄) ̄) ̄)))』【MISS】
『ギ゛ッ゛ォ゛ッ!?』
故に選択されたのは銃撃による援護。稲妻より速く、潰滅竜の両腕に数発の弾丸が命中した。攻撃は止まらず爪は振り下ろされるが、作り出された猶予が回避を容易にさせる
三度振るわれた雷爪を潜り抜け、セトは潰滅竜の胸元へと飛び込んだ
| 回転打ち*24 | 格闘攻撃を回避した後に対象に剣相性の大ダメージ(防御力無視)を与える |
「良いステップね!」
『(*・∀・*)/ 』
そうして再び撃ち込まれる掌底。内部を抉り、流石の潰滅竜もたたらを踏む。攻撃を避けられた事によって明確によろけ、
「やっぱり回避は有効か。確かめる事はまだあるが……」
「まだ来ます!」
『グォオオオオオ!!』
それでも全ての攻撃は止め切れない。乱暴に片腕が真澄に命中し、流れるままに尾が空間を削いだ。由奈とカルティケーヤは耐性にて無効化し、斬撃を反撃で喰らわせる
「初手から際どいわ、ほんと……!」【不屈の血】*25【カバー(手番放棄)】*26
『((っ´;ω;)っ』
セトへの攻撃は真澄が受け止めた上で
「物理のみですか、となると次は魔法のみ?」
「あれのルーチンがどうなっているかまでは分からんな。万能がいつ来るかもある」
「悩む必要ないでしょ。出来る事なんて少ないんだから」
| 味方:補助 | 全能力-2(3ターン) |
| 敵:補助 | 攻撃力+3(3ターン) |
潰滅竜の手数はプレス増加を含めて10回。対して由奈達の手数はパートナーの動きも含めて5回。潰滅竜側が解除・強化・弱体もしてきた上で攻撃を重ねられても、由奈達は攻撃にまで手を回せる余裕が一切ない。ダメージは反撃で稼がなければならず、誰も死なずに生存する必要性もある
「それとあの
「ラハブが使ったデカジャと同じだと?」
「性質は酷似していると思う。別物でもあるようだが」
「<マカラカーン>は使えないって断言するのは早いけど、今当てにも出来ない訳ね」
「当初のプランで行くしかありませんか」
<カバー>に手番を使った関係で今回動けるのは四手のみ。カーン系で反射が出来ればダメージも抑えられるが<オールリセット>がそれを許さない。潰滅竜の動きも確定した訳ではなく、挙動も不安定。その中で由奈達は動き始めた
| 外法のいざない*27 | 味方全体の能力上昇と能力低下を反転させる 回数制限はレベル上昇と共に撤廃された |
「(」゚Д゚)」」
| 捕り物縄*28 | 3ターンの間、敵単体の命中・回避が低下する。店売り |
「堅実に詰めていきましょう」
| ランダマイザ*29 | 敵全体の攻撃、防御、命中・回避を低下させる |
『今は只管妨害っと!』
| メシアライザー*30 | 味方全体のHPを全快させ、DEAD以外のBSを回復 |
「回復は任せろ!」
回復・補助を挟んで盤面をリセットし、弱体を積み上げる。あらゆる強化は解除される以上、あまり意味はない。狙うのは命中弱体化による回避、それによって潰滅竜の手番を減らす
<ブロックリング>は耐性によるプレス消費にしか対応しておらず、回避されればプレス消費は起こる。六連撃をもろに受け続ければジリ貧になるのは明白で、戦闘を継続するにはミスを誘う以外に方法はない
潰滅竜も本能から理解し始めている。奴らは自身の本質を見抜いた上で弱点を突かれようとしているという事実を
猶予は後どれほどか。刹那の交戦の果てに詰め切った方が勝ち、詰め切れなかった方が負ける
『オ゛、ァアア゛ァア゛ッ!!!』
狂いし飛竜は叫ぶ。繰り返される人類の破滅、文明の終焉を確定した運命として抗う全てを喰らい尽くす為に止まる事なく駆動し続ける
潰滅竜が動く。初動に変化はなく、しかし由奈達より距離を取って己の魔力を高めていた。共鳴する様に両翼に纏われる疾風、牙の隙間より漏れ出す炎と氷。竜が持つもう一つの武器、驚異的なまでの魔法の力が示される
| 業炎の息*31 | 敵全体に火炎属性の大ダメージを当て、一定確率で火傷を付与する |
| 氷華の息*32 | 敵全体に氷結属性の大ダメージを与え、一定確率で凍傷を付与する |
| 破滅の暴風*33 | 敵一列に疾風属性の特大ダメージを与える |
「次は魔法だ!」
灼熱のブレスがまず降り注ぎ、絶対零度の吐息が熱気を急速に冷却させる。潰滅竜はは羽ばたき、尋常ではない風の刃が前方に居た者を襲った
| カバー*34 | 他者が失敗した際に判定を行い、カバーに入る。由奈は攻撃を庇う事にスキルを特化させている。●士の構えに通ずる力。1ターン中、2回まで使用可能(独自裁定) |
「防具耐性が有効ならば!」【火炎・氷結反射】*35
眩く燃え滾る火炎も空気すら凍らせる氷結も耐性は貫通できない。カルティケーヤを
| 後列配置*36 | 後列に下がり、近接攻撃力と被ダメージが減少する(前列は近接攻撃力上昇)。隊列移動に手番消費はない |
「あんたが鍵よ、セト。上手く捌いて!」
『٩(=゜∀゜)ง』
先の後列へと移動していたセト達は暴風を受けない。列移動によっては凌げない火炎は命中し、氷結は回避に成功する
| 龍の反応*37 | 自身の命中・回避率を大幅に上昇させる |
回避によって揺らぐ勢い。反射であろうともダメージを受けるか無効化するだけだが、運良く避けられたのなら竜はよろめいてしまう。それが由奈達の唯一の勝機。回避・命中減少を中心に妨害を行った理由である。<龍眼>は命中を大幅に高めるが絶対ではなく、セトにも<龍の反応>がある
補助の差が埋まる中で潰滅竜と
『ヒィー! 死ぬ! えっ!? 生きてる!? ボクゥ!?』【三分の活泉】*38
『--==(/・_・)/==≡≡卍』【MISS】
再び潰滅竜が攻撃し、セトが避ける。最後の<援護射撃>を切り、
「耐えたが……力を使い過ぎた。次の援護が限界だ」
「この感じ、次は“あれ”が来るわ」
「分かっています。奴は本気で私達を潰しに来るでしょう」
今回も凌げたが状況に余裕はない。連撃の火力は強化・弱体が合わさって非常に高く、通常耐性であるなら2発で沈む。HP増強があるなら耐えれるが六連撃である以上は全てを掻い潜らなければ意味はない
潰滅竜は最初は物理、今回は魔法のみで攻撃を行った。そして、次がどうなるかの検討もついている。遭遇時に見せた物理と魔法が混合された高火力コンボ。超火力の万能すら織り込んだそれは1、2発凌いだ所ではどうにもならない
「なので
| 受けるダメージを大幅軽減する。作品によって多少の効果の差はある |
大きな動きはない。宣言通り、攻撃も補助も捨てた防御のみの構えを全員が取る。強化はどちらにせよ解除され、妨害は最低限掛かっている。ならばと回復だけ行い、手番は終わった
全ては最大の死線を超え、次に繋げる為に
露骨過ぎる守りの構えを見ても潰滅竜の動きに変化はない。瞳は何物も見逃さず、爪牙があらゆる物を惨殺し、息吹で全てを巻き込めても其処に思考は介在しない
滅尽滅相。込める思いはそれだけ。具現化された文明の滅びは潰滅を以て完成する
| ブラフマーストラ*39 | 敵全体に万能属性の特大ダメージを与える 羅刹神族には大幅な特攻が入る(独自効果) |
開帳される、万物を滅する光。ブラフマーの加護を受けた一撃は小規模な核兵器にも匹敵する威力を引き起こす
『オオオオオオオオオオオオッ!!!』
赤焼けの空を眩い輝きで染め尽くす。竜の息吹を媒体に、視界に映る空間そのものを禍々しい光彩で焼き払う
「やはり、切り札を使いましたね」
倒れた者は居ない。全ての者が
だが、潰滅竜にとってこれは初撃に過ぎない。大幅軽減されたが与えたダメージは甚大で、このまま火力をぶつけ続ければ防御の上からでも殺せる範疇でもある
『ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!』
「まだ、全然へばってないわね。こっちもだけど!」
互いの視線が交差する。片や殲滅を、片や生存を望みながら竜は攻勢を構え、人は守勢に入る
「切り抜けましょう!」
「セトが一発捌いた! 穿てェッ!」
| バイパースマッシュ*41 | 敵単体に100%属性のダメージを与える 使用する度に威力が上昇する(最大、特大規模) |
迫りくる潰滅竜の猛攻をそれぞれが掻い潜る。一人は庇いながら受け止め、翼に十字に切り裂く。もう一人は回避した勢いのまま肉薄し、顎を打ち抜く
続けて竜が吐き出そうとした
潰すべきは何処か、荒れ狂う意志のまま選択した。怒涛の風雷を伴って、潰滅竜は
真澄を雷爪にて削り、暴風でセト諸共に吹き飛ばす。この戦場において最も目障りな者達を片付け、勝利の天秤を傾けるべく竜は翔ける
「お、らァッ!」【掌握】【徹し】
電撃を纏った一撃が四発、真澄を穿つ。耐性&防御でダメージは抑制されているが、強化と弱体が雷の出力を高めている。反撃に竜の爪を殴り折るが、回避でない以上は勢いは止められない。遅れて到来した疾風がセトを捉える
「此処で切るしかないな!」【援護射撃】
『彡(ノ゚ー゚)ノ 卍』【MISS】
「返すわ!」【回転打ち】
放たれた竜巻をセトは再び回避する。3回目の<援護射撃>が竜巻に文字通りの風穴を開け、掻い潜る
「リソースは殆ど吐き切った。後は祈りながら戦うしかないですね」
猛攻を由奈達は受け切った。しかし、これまでの行動を踏まえれば
そして、奴がある行動を行った途端に由奈達の戦術は瓦解する。そうでない事を祈りながら
弱体反転、
「次は物理よね」
「瀕死なれば
現在、潰滅竜の命中・回避は三段階低下している。数値としては20%×3。効果減衰も上昇もなく、<咆哮><龍眼>があった上で由奈達の回避力は潰滅竜のそれを上回っている。セトに至っては5割ほど避けれるようになるだろう
だが、低下を最大限積んだ以上は<デクンダ>を警戒しなければならない。此処までで使わなかったのは持っていないか、発動に条件があるかの二パターン。そして
「<デクンダ>が発動すればまた一からやり直しです。最悪、直接戦闘から時間稼ぎに移行しなければならない」
此処で発動しなかったとしても考慮はし続けなければならない。圧倒的なまでの暴を示し続けた竜が<デクンダ>のみ発動しないとは考え難い
だが―――
<デクンダ>の発動はこのターンもこれ以降もない。物理を浴びせ、魔法を喰らわせ、万能・物魔混合で吐き散らす。初動の補助と妨害は変わらず、サイクルが回る。回避の安定化によって由奈達は潰滅竜の猛攻を耐え凌ぎ、反撃で竜の傷だけが増えていく
『オ゛……ォ゛……ッ!!』
「最後まで油断は許されませんが……此処まで追い込んでも発動しない、か」
其処からも攻防は長く続き、竜の喉も潰れてきた。最早、由奈達が余程のミスをしなければ負けない盤面にまで追い込んだ。例え<デクンダ>を今から使ったとて、押し切られる方が先だろう。潰滅竜は己の本能が故に動きを変えられない。詰みと分かっていても同じ事を続けるしかない
この戦いにおける勝者は決まった。竜殺しは為される。そう、確実に断言できるほどに
『し■し、それは面■くな■な』
『テコ入■をす■としよ■』
であるなら不都合だ。そう答えるように誰の耳にも入らない声が響いた。無貌たる影が果ての城より、片手間の介入を開始する
『………………』
「何……?」
潰滅竜の動きがピタりと止まる。あれだけ破壊衝動に呑まれていた瞳が淀み、曇っている。まるで別物になったかのように不気味な変化が訪れていた
対峙する彼女達も変化に気付きつつも動けない。それが何を意味するか、理解しないまま行動は移せない。後手に回るのは良くないが、先手を取ろうとして不意に盤面を崩されれば今までの全てが無駄になる
何があっても対応できるように構える事が最善
『ハ、は、っァァアぁァア!!!』
「なっ、このタイミングで逃げるのですか!?」
「速いわよ、あいつ! 追いつけないわ!」
それを見切ったように潰滅竜は脇目も降らずに逃亡を開始した。一瞬で音速にまで到達し、自壊しかねない程に両翼を羽ばたかせる
「選択の余地はないぞ!
「チッ……!!!」
追い掛けないという選択肢は潰滅竜の行き先によって完全に潰された。未だラハブと激戦を繰り広げるフェイ達へ何らかの狙いによって潰滅竜は向かおうとしている
挟撃が狙いか、はたまた別の狙いがあるのか。どちらにせよ放置すれば、フェイが死亡する可能性がある。潰滅竜は何処までも加速し、由奈達を見向きもしない
「あの速度、銃撃での足止めは無理だ。俺達も急ぐしかない」
「セトの<空間転移>*43も使って距離詰めるわ。奴が反転したら、それはそれでボコればいいし」
「……無事で居てください、フェイ」
終結が見えた二体のドラゴンとの激戦。しかし、イレギュラーは続く。未だに太平洋に平穏はなく、全ての者が死力を振り絞っていた
<ロスキリヒロインズ>
物理はほぼ殴り返してくる二体の近接強者と射撃と回復と瞬間補助が出来る射撃強者
よくよく考えなくても騎乗しながらの近接戦(一人は素手の距離)は頭おかしいのだが、きっとそういう訓練を日頃から積んでいるのでしょう(何だかんだフェイ以外も飛ぶ機会が多い連中)
<高速飛行三羽烏>
セト・カルティケーヤ・フレスベルグのはやくて飛ぶ奴ら
普通にこの三体で大体の事が完結するので別にこういう局面でなくても強い
特に今回、セトは回避力が功を奏して実質MVP(セトが居ないと魔法・物魔混合攻撃における耐久が成り立たない)。生存し続けるのでコウリュウと違って普通にイキイキしている
<破戒のアンジャリカストラ>
名前の元ネタはラーマヤナにおけるラクシュマナがインドラジットを討ち取った矢。メタファーの文明破壊竜にあれやこれやとデヴァローガが魔改造して投入した姿。隙のない補助・妨害・パッシブから高威力の六連撃が襲い掛かる。但し、デクンダがなかったので足元を掬われた。今は怪しい鎧野郎にラジコンされながら何らかの目的でフェイ・ラハブ方面へ向かっている
。デビサバの<真・夢幻の具足>として扱われる事も