真・女神転生オタクくんサマナー外伝 -ロストキリギリス- 作:名無しの骸骨
突如とした合一神ギリメカラと悪魔の軍勢による出現。それに対抗する黄金の花園・キリギリス・ヤタガラスetcの混成軍。両者の衝突はついに妖精郷を揺るがす激戦へ至っていた
「戦線ぐっちゃぐちゃの所に押し寄せてくるな、ボケが!」
「悪魔共のレベルも上がってるがこっちの増援含めりゃ押し返せる! ビビらず行け!」
「余波には気を付けて! デカい怪獣が4体も同じ戦場で暴れてるんだから!」
地上に蔓延る悪魔の軍勢はギリメカラのマガツヒスキルにより、凡そ全てが蘇生&全回復。戦場全域をギリメカラが神威で染め上げた事により各々の戦意もレベルも上昇させながら淀みなく攻勢に入っている。
混成軍もまた立て直しに行っているもののギリメカラの一撃によって崩された戦線はそう簡単には戻らない。其処へ勢いに乗った悪魔の軍勢が攻め込めば尚の事で、それを増援の逐次投入よって何とか保たせている
\カカカッ/
| Lv99(+4) | 邪龍 | ファフニール | 全体的に強く、破魔無効*1 |
| 毒竜の感応*2 | 物理貫通を得る。命中、回避、クリティカル率、与BS確率が上昇 自身が生存中、敵全体は次の効果を発揮 「毒状態の時、与えるダメージが大幅に減少」 |
| ベノンザッパー*3 | 敵全体に物理属性の大ダメージと確率で毒状態を付与する |
| まどろみの渦*4 | 敵全体に睡眠・幻惑を付与する |
| 雄叫び*5 | 敵全体の攻撃力・防御力を低下させる |
「この邪龍、素のスペック高いし貫通も持ってるで御座るよ!」
「毒無効持ち以外じゃ相手出来ねぇんだけど、対策した奴らが他のBSで刈り取られてやがる」
「毒掛かるとアホみたいに力入らんわ、毒回るとほぼ瀕死になるわで地獄過ぎる」
\カカカッ/
| Lv96(+4) | 鬼神 | アタバク | 物理・ガン・氷結・電撃・破魔・呪殺・魔力・金縛・神経反射*6 |
| 外敵粉砕*7 | 敵全体の全能力を低下させた後に連動効果を発動 敵全体に貫通を得た物理属性の大ダメージを与える |
| メルトダウン*8 | 四方向の直線状(1~7)に存在する敵に爆発属性のダメージを与える |
| ゴッドハンド*9 | 敵単体に物理属性の特大ダメージを与える |
「爆発属性はマイナー過ぎる。<マカラカーン>で反射できるから良いんだけどさぁ!」
「露骨に魔法メタ張ったら物理連発してくるからどっちにしろクソだぞ。そっちは<テトラカーン>で反射できねぇ」
「自分は貫通を複数反射で封殺してくるのずっこいからやめろ! 物理と銃が通じないだけで辛い!」
\カカカッ/
| Lv95(+4) | 魔神 | ホルス | 斬撃・衝撃・自爆・耐性。銃撃・呪殺無効 火炎吸収。突撃・打撃・電撃・破魔・反射*10 |
| メギドラオン*11 | 敵全体に万能属性の特大ダメージを与える |
| メディアラハン*12 | 使用者の周辺に居る味方のHPを大幅に回復させる |
| テトラ*13 | 敵の特殊攻撃・魔法攻撃を1ターンの間、無効化する |
「挙動は他より普通なんだけど万能・回復・魔法封殺を連打されるのがいっちゃん腹立つ」
「蘇生時に自動で万能ぶつけてきやがる、あの鳥!」
「魔法通じないから攻め手限られるのに物理耐性多いの何? カスなの?」
ギリメカラの覚醒に共鳴した三体の悪魔将もまたそれぞれが混成軍を苦しめている。邪龍による即死に近い毒、鬼神による貫通すら跳ね返す反射、魔神による魔法・特殊攻撃封殺。それら単体なら対処はまだ可能だが、他に厄介な行動をするなら話は別
「ファフニールは毒は勿論ですが状態異常そのものに強い面子でどうぞ。アタバクは火炎・衝撃、マイナー系と万能は通じます。ホルスはアタバクが通じない物理勢を向かわせたので火力は足りるでしょう。この三体と軍勢はなるべく距離を離して、各個撃破してください。近寄られると互いのスキルが適用されてしまいます。相手の攻勢は一時的な時間稼ぎに過ぎません。増援も含めれば戦力は既に大幅に上回っています。落ち着いて、攻めていきましょう」
滞りつつ戦線へ、シロエが指示を出す。
現状として押されつつあるのは事実として、長期的に見れば有利なのはやはり混成軍側だった。東京というホームベースに、第三次喇叭を乗り越えたという実績。東京で動乱を起こしたという点で似通っている阿修羅会とギリメカラの軍勢を比較すれば、阿修羅会側が遥かに上だ。
ギリメカラ、三体の悪魔将に頼らなければそもそもとして勝負になりはしない。順当に行けば、勝てる。そう、これらが本領を発揮しなければ。
「頼みますよ、ラスキン老。貴方が耐えなければ、全てが終わる」
総戦力としては圧倒している。しかし、それを一掃できる化物が存在している。
覚醒した今のギリメカラは一撃で戦線を粉砕できる。少なくとも今の戦力差程度なら引っ繰り返せる程にその威力と存在感は異常極まっている。
轟音。見上げれば数十mの合一神が槍を振り上げている。本来ならば<巨大化>した事でギリメカラの攻撃は戦場そのものへ降り注ぐ。
それをラスキン・アーノルドが造り出した偶神は立ち塞がり、受け切っている。攻防が繰り替えされる度に大地が陥没し、異界が軋みを上げている。鋼鉄の肉体に幾つもの穴と斬痕が残るものの、クスィ・アンバーの眼光はギリメカラに強く向けられている。
『堅いな!』
「次は此方の番だ」
「火力差のせいでダメージレースは成立せんが……!」
『チィッ……!』
三又の槍に貫かれながら、八本の剣が振り抜かれる。
威力としてはギリメカラのソレを大きく劣りながらも、少なからずダメージを刻みつけている。
『(この巨大造魔、想定以上に耐久性に振り切っている! 反撃も含めて俺の天敵だな!)』
少なからずの攻防にて、ギリメカラはクスィ・アンバーの性能を看破した。自らに並ぶ程の大きさ、それと比例しない常識的な
| 聖騎士の名乗り*14 | 1ターンの間、防御しながら敵の注意を引きつけ味方の攻撃を肩代わりする その大きさ故に全体攻撃も肩代わりできる(特殊裁定) |
| 仁王立ち*15 | 回避できなくなるが、受けるダメージが半分になる |
| プルクェ酒*16 | 自身の最大HPを2倍にして、最大MPを1/2にする |
| ハイリジェレート*17 | 行動する度にHPが回復する |
鋼鉄の女神にはラスキンの魂由来の“英雄の力”、そして造魔としての“悪魔の力”が混ぜ込まれている。それは不完全であり、元型とも呼称できない姿は歪であるが“立ち塞がる者”としてこれ以上の適任も居ない。
防御を固めながら、常に注意を引き、それを膨れ上がった生命力で受け止める。過剰な攻撃には過剰な防御をぶつける事で、一騎当千の合一神を抑え込む事に成功している。
| クイッカ*18 | 味方単体に反撃状態を付与する |
| 自然の助け*19 | 格闘武器に火炎・電撃・氷結・銃・衝撃のいずれかの相性を与える 戦闘終了まで継続。重ね掛けした場合、新たに選択された相性を与える |
| テトラ*20 | 敵の特殊攻撃・魔法攻撃を1ターンの間、無効化する |
使役者であるラスキンもまたクスィ・アンバーの性能を底上げしている。
ギリメカラの物理攻撃への対抗手段としての<クイッカ>。ギリメカラの耐性を掻い潜る為の<自然の助け>。ギリメカラ以外からの魔法攻撃を防ぐ為の<テトラ>。
クスィ・アンバーはその巨体故に他の補助魔法は受け辛い傾向*21にあるが、魂の繋がりがあるラスキンであれば問題なく適用が可能。
幾つもの魔法の補助を受けながら、ギリメカラに対してクスィ・アンバーは切り返す。徐々にその身に纏う鋼を削ぎ落されながら
「生身でスーパーロボット大戦に介入するの、正気じゃないと思うんすよ」
「君の狙撃は優秀だった。大丈夫だよ」
「あのデけぇ腕に撃って効いてると思います!?」
「やれる事をやれ。俺の
「例え雀の涙だとしてもギリメカラを食い止める事が最も必要な行為だ。二人共、宜しく頼む」
ギリメカラとクスィ・アンバーの攻防に介入する者も多い。規格外の巨体に対して遠距離攻撃はほぼ必中。混成軍、軍勢ともに攻撃・回復・補助・妨害を行いながら互いの勝算を少しでも引き上げようとしている。
比企谷、エリヤ、リンゴォの三人のガンスリンガーも地上より援護に入っている。
比企谷は<腕部狙撃>にてダメージを落とし、リンゴォは攻撃を行いながら<ガンマンの心意気>による軽減を狙う。エリヤは<メシアライザー>で味方とクスィ・アンバーの回復を繰り返す。
絶望的とも言えるサイズの差は効果量にも影響を及ぼし、クスィ・アンバーに対してもギリメカラに対しても本来の性能を発揮できていない。しかし、此処が崩れれば実質的な勝敗が決まってしまう故に、誰も彼もが無視できない。余波で何人ものDBと何体もの悪魔が吹き飛びながら、戦力を集中させている
「俺達も加勢行きたいんだけど!」
「こいつらも放置できない。対処するぞ!」
立ち止まり、陣形を整えるロラン、ムラカミ、真澄、カナエ、彼らの仲魔達。クスィ・アンバーの元に赴き、加勢に向かいたいのが本心ではあるものの眼前には無視できない障害が立ち塞がっている。
\カカカッ/\カカカッ/\カカカッ/
| 外道 | サカハギ | Lv97(+3) | 破魔・呪殺・魔力・神経・精神無効*22 |
| 女神 | ノルン | LV90 | 氷結・電撃・魔力・緊縛に強く、神経・破魔・呪殺無効 |
| 龍王 | ヴィーヴル | LV89 | 精神・破魔・呪殺・突撃に強く、電撃・緊縛・神経に非常に強い |
| 幽鬼 | クドラク | Lv84 | 火炎に弱く、一部の物理に強い。氷結・電撃無効。呪殺吸収*23 |
軍勢や悪魔将と同様に強化されたサカハギに率いられた高位悪魔達。ギリメカラの元へ行かせないという明確な意志の元、ロラン達との交戦に入っていた。
「クルースニクは潰したが、こうも足止めに動かれてはな!」
戦いの様相は皮肉な事に先程とはまるで真逆だった。此処を突破したいロラン達と足止めをしたいサカハギ達。ギリメカラが食い止められているのは同じだが、クスィ・アンバーは時間経過で確実に疲弊していっている。
今のギリメカラを止めれる他の存在が居ない以上、クスィ・アンバーが耐えている間にギリメカラの打倒を目指さなければならない。混成軍は多くの戦力をギリメカラへ向けたいが、他の軍勢や悪魔将がそれを許さない。サカハギ達もまたその為の役割に徹している。
| ガーネットの共鳴*27 | 敵が毒状態になった時、次の連動効果が発動 「2ターンの間、敵全体の防御力・回避と命中を低下させる」 ヴィーヴルが習得する |
| ヴィーヴル思念融合3*28 | 物理貫通を得る。 無効以上の耐性持ちには与ダメージが30%減少する |
回復と弱体、強化、最低限の攻撃に状態異常を軸とした遅延戦闘。ギリメカラ不在により決定力に欠けるサカハギ達が取れる時間稼ぎの最善手がそれだった。
ギリメカラとの戦闘で損耗が激しい戦士達はあまり無理が出来ない。故に間違いなく、戦法としては適切。何よりそれは彼らがギリメカラ相手に行った戦いと同じであり――
| 徹し*31 | 敵単体に剣相性の大ダメージ(防御力無視)を与える。 確率で即死を与える。即死しなかった対象は感電状態を与える 物理攻撃が効かない霊体に対しても効果を発揮する為、相性を貫通する物として裁定 |
「ならその見え透いた時間稼ぎ、終わらせてやるわ!」
喝破と共に女神の肉体を停止させる骨法の奥義が直撃する。揺れる意識と共に、一時的にノルンの意識は
| 生存効果、味方全体は状態異常の敵に対して魔法攻撃でもクリティカル発生 |
| アトミックフレア*33 | 敵単体に核熱属性の特大ダメージ 炎上・凍結・感電中の敵に対してテクニカル発生 |
| ダウン状態*34 | 回避率が0%となり、被ダメージが増加 ダメージで解除される |
「
<感電>する敵へ浴びせた蒼炎は奇しくもラハブへ与えたそれと似通っている。感電によって発生したTECHNICAL*35に、冥府神の権能によって発動する余地を得たCRITICAL*36。燃え盛る火は大きなダメージを与えながら、女神を
| ニヤリ状態*37 | ダメージ、クリティカル率がアップ 攻撃が必中となり、弱点・クリティカルを受けない ターン経過、BS付与等で解除される |
| アカシャアーツ+9*38 | 敵単体に物理属性の特大ダメージを与える ニヤリ状態なら貫通が付与される。適性上昇でダメージ増加 |
「ご老体に無理はさせたくないんでな! 道を開けろ!」
大地を駆け抜け、振り落とされた渾身の刃はノルンの命脈を断ち切った。サカハギ達による時間稼ぎより、戦士達の火力の方が一つ上回っていた。
仲魔達の補助に回復、そうして
突破は出来る。だが、執拗な足止めは続く。悪魔達の目が死んでいない。確実に時は稼がれる。
その間にも邪鬼たる合一神と剣の女王たる偶神はあまりに激しく斬り合っていた。
クスィ・アンバーが只管に防御を固め、ギリメカラが幾度も大気を震わせながら槍にて装甲を貫く。反撃の刃が振るわれ、ギリメカラも手傷を負う。攻撃回数は同じ。クスィ・アンバーの強固な護り、ギリメカラの異次元の暴威は釣り合っている
『……始まったか』
ぽつりとギリメカラの呟きが、誰にも聞こえないまま消えた
この戦場よりも奥底、妖精郷の迷路にて自らと同様に招かれざる存在が襲来していた
それは新たな戦いの狼煙でもある。
<黄金の花園>。ここ数カ月により祖国へ帰還できなくなった外国人を主体とした集団であり、リーダーであるメアリ・クラリッサ・クリスティは
彼らの行動方針は自ら達と同様に日本に取り残されてしまった外国人の救済。そして、妖精郷であるヨヨギ公園の管理である
過去に生じた<緑化会>の一件によって後者の管理の側面はより強まった。妖精郷の復興に、安定化。妖精郷は数多の神話にて存在が示唆され、重要度も高い。次なる何処かの勢力による襲撃もまた、想定するべき物
故に<黄金の花園>は多くの勢力へと繋がりを持ちながら、所属メンバーの強化にも力を回してきた
その行動の正しさは、今回生じた二度目の襲撃によって証明されている。少なくとも<緑化会>のような完全なる遅れは取っていない
繋がれたコネクションと彼らへの嘆願によってギリメカラに対する早期の対抗が叶った。<黄金の花園>の面々の生存に関しても、迎撃しながらの異界深部への退避によって成功している
妖精郷の迷路、自分達のホームベースへと逃げ込んで悪魔達を翻弄しながら追跡を振り切った。これ以降は悪魔達の様子を伺いながら、集ってくれたDB達との合流を目指す。それで全てが上手くいく、筈だった
――最初に悪魔達の気配が消えた。真っ赤だったエネミーソナーは徐々に青色に傾いて、不審な平穏が訪れた
そして、そう思ったのも束の間に妖精郷の迷路は物理的に打ち砕かれた。妖精達が編み出した迷路は複雑怪奇。妖精の本質とは惑わし、揶揄うという事。一度内部に入れば幾多の罠、魔法による幻覚、妖精達による煽り罵声
<緑化会>での一件より構築された迷路は対策なしであれば覚醒者であろとも脱出は難しい。それを内側ではなく外側から呆気なく壊された
一体何が?どうやって?と目を向ければ破滅的な存在が垣間見えた
「――ガイア再生機構」
<黄金の花園>の誰かがそういった
妖精郷を狙っていると宣告するか如く、今まで幾度に渡って侵入をはかろうとしていた者達
他の場においても何度か衝突していた敵対勢力であり、紆余曲折ありつつも全て撃退に成功していた。悪魔戦闘に特に優れたバルツァーが<黄金の花園>の面々を鍛え上げた成果である。前線を張る一級のDBと比較しても引けは取っていない
人数では劣っている。レベルでも劣っているだろう。だから、取るべきは再びの退避。此処に来てくれるだろう援軍、それを期待しての遅滞戦闘
迷路が形無しとなった以上、闇雲に退避しても袋小路に行きついてしまう。戦闘は避けられなかった。今回の戦いはいつもとは違うと、全員がそう思いながらも襲撃者と相対した
「抵抗を確認。彼らの殲滅を要請する」
「許可します。
「委細承知」
結論から言えば、遅滞戦闘には失敗して<黄金の花園>は壊滅に近い状態にある
戦術に間違いはなく、認識に相違はなかった。であるなら敗因は、絶望的なまでの戦力差に他ならない
今回の襲撃者達はこれまでとは違い、酷く冷たかった
良くも悪くも個性に溢れていたエターナルとは違い、行為に感情が乗っていない。装備もよりサイバネティクで、人間も悪魔すらも統率し切られている。機械的で、昆虫のような異質さを秘めていた
そして、そんな集団を率いる三人のエターナル。彼らが動いた途端に全てが終わった
| メギドラオン*39 | 敵全体に万能属性の特大ダメージを与える |
| 闇の審判*40 | 敵全体に暗黒属性の大ダメージを与え、確率で即死させる |
| デロリアン*41 | 直線上の敵全員に近接攻撃力の50%を上乗せした火炎魔法ダメージ 低確率で炎上を付与する |
挨拶代わりに飛んできた
彼らの傍に控える三体の悪魔が動かないままに、数十秒にも満たない戦闘は終わった
「追いつくまでに時間を掛けてしまいましたね……さて、交渉願います。メアリ・クラリッサ・クリスティ」
「……脅迫の間違いでしょ」
「先んじて暴威を振るってしまったのに相応の理由はあります故、ご容赦を」
ポニーテールの幼い少女が笑みを浮かべて、メアリに声を掛けた
機械的な装備を身に纏う彼女は表面上穏当であったものの、メアリに取っては銃口を突き付けられながら強要されているに等しい
何より、この少女から最も圧力を感じた。にこやかな笑みの裏に隠された、冷え切った殺意を感じ取ってメアリは警戒を強める
「ヤヒロノヒモロギを差し出しなさい。さすれば貴方と彼らの安否を約束しましょう」
「……ッ」
少女の問い掛けにメアリの言葉が詰まった
そう、ヤヒロノヒモロギを<黄金の花園>は確保していた。度重なる妖精の狂乱の元凶を突き止め、回収及び沈静化に成功している。悪魔の襲来がなければ喜ばしい事態だった
エターナル達も、今回の襲撃は本意ではない。テオゴニアとは異なり、最優先はヤヒロノヒモロギの無力化。安全性を重視し、メアリ以外を殺さずに倒した後に譲渡を要請しているという迂遠な方法を取らざるを得ない
この距離でもメアリにもエターナルにもヤヒロノヒモロギの危険性は把握できた。ヤヒロノヒモロギは最悪といっていい程にマガツヒをため込んでいる。暴発すれば、最悪の未来は予見できた
「嫌よ。こんな事をしでかした貴方達を信用できない」
しかし、メアリはそんなエターナルの思惑を知る由もない。侵略者である彼女達が最悪の未来の為にヤヒロノヒモロギを使う可能性すらあった
強奪の危険性を予期して、そう簡単には解けないカルトマジックのプロテクトは仕込んだ。自分達が全滅しても、それで多少時間は稼げる
「では」
少女の笑みが消えた
やはりこうなるかと凍てついた精神で思いながら、メアリの首に手を掛ける
ブラックフィエンドとして接触してヤヒロノヒモロギの処理を協力するという手もあったがこの現状では不可能だと上層部が望まなかった以上、こうするしかない。リスクはあるがメアリと<黄金の花園>を抹殺し、ヤヒロノヒモロギ奪取した上で退散する
正面突破という馬鹿な手を取ったテオゴニアの思惑もそれで挫ける。最悪はデヴァローガの手に渡る事だが、気配は感じない。来たとしても返り討ちにするだけだと、考えて
「……新手が来る」
「間に合いませんでしたか」
刹那、メアリを縊り殺そうとした手へ斬撃が飛んだ
咄嗟に手を離した隙に、メアリは消失。消えゆく先、メアリを奪った下手人達へ視線を向けた
\カカカッ/\カカカッ/
| ウィッチ | 久遠 フェイ | Lv94 | 全てに強く、破魔吸収。BS無効 一部の物理・火炎・氷結・呪殺反射*42 |
| 剣士 | 久遠 由奈 | Lv96 | 全てに強く、物理吸収。火炎・氷結・ 破魔・呪殺・精神・神経・魔力・緊縛反射*43 |
「ごめん、ギリギリ間に合わなかった! メアリさん!」
「いえ、最悪は避けられたわ! 本当にありがとう、来てくれて!」
箒を乗ってメアリを抱えながらフェイがギリギリの所で殺害を食い止める。隣には相棒である久遠 由奈が剣を構え、仲魔達が彼らを守護している
この二人だけなら対処は容易だったが、乱入者は彼らだけではない
「バルツァー先生、一番ヤバそうなのはこっちで引き受けるんで残りを御願いします!」
「了解した! 必要なら援軍を寄越す!」
ベルント・バルツァーが率いる即席のDBの集団がエターナルとの交戦に既に入っている。人数で言えばほぼ同じ、総合的なレベルはエターナル達が上回っているがバルツァーが居る以上はそう易々と崩れはしない
「黒曜、指示を」
「何事も上手く行きませんね。全て殺してください。ヤヒロノヒモロギも指向性を与えなければそう簡単には暴発しません」
「では灰燼に帰すとしよう」
フェイ達の前に残ったのは三人のエターナルと彼女達の悪魔達
頭数で言うのであれば同じだが、瞬間的な簡易アナライズを通して劣勢になるのは自分達の方だと悟った
\カカカッ/\カカカッ/\カカカッ/
| 黒曜のエターナル | Lv98 | 耐性不明 |
| 業炎のエターナル | Lv96 | 耐性不明 |
| 蛇影のエターナル | Lv94 | 耐性不明 |
| 天使 | 流出のケルプ | Lv92 | 耐性不明 |
| 死神 | 流出のニュクス | Lv90 | 耐性不明 |
| 鬼神 | 流出のビシャモンテン | Lv93 | 耐性不明 |
「……由奈、どう見えた?」
「機械式なら殆どの面子が100オーバーです」
「僕で見てもレベルだけなら90代しか居ないね。参ったな」
冷や汗と共にフェイは現状を理解した。
異様な高レベルに、感じられたそれ以上のプレッシャー。アンナやウリックの仲魔と同様に幾度に渡るデビルリユニオンを重ねた感触があった
完成度で言うのであれば二人のそれよりも極まっている。今までで一番の警戒を向け、陣形を整えた
「メアリさんは下がってて」
「いえ、私も戦います。妖精郷なら私は統治者として幾らか強化されるから、足手纏いにはならない筈よ」
「……分かった、僕も手数が欲しい。確か回復と補助できたよね? 基本は回復をやり続けてほしい」
「ええ。後、理屈は分からないけど彼らは反射結界を維持し続けられるみたい。今も物理・魔法両方張ってる筈で、一度張られたら2回まで反射するわ。炎の男とケルプは即死級の火力を持ってる。注意して」
「了解。はぁ、苦しい戦いになりそうだね」
逃亡の文字が頭を過ぎるが、恐らく今逃げようとすれば一気に火力を向けられて全滅するだろうという確信がフェイにはあった
事実、彼らは逃亡をより警戒しながらも殺意を向けて止まっている。此方が行動を開始すれば、後の先で潰そうとしてくるだろう
「どうも最近はババを引きがちだね。君達はどうかな?」
「我々の運は上向きですね。ヤヒロノヒモロギを確保した上で、貴方も殺せるんですから」
「なら大凶に変えてあげよう」
黒曜を名乗るエターナルが旗を振り下ろす。フェイもまた仲魔を展開し直し、陣形を構築した
間合いをはかりながら
此処に、妖精郷における二つ目の死闘の幕が上がろうとしていた
<クスィ・アンバー>
他にもスキルはあるが防御力に振り切ってるタイプの巨大造魔。HPが2倍になって、ダメージは防御含めて1/4になって、自動回復する。相応に火力がないと心が折れる。しかし、素のステータスは控えめなのとギリメカラの火力が異常なので外部の補助・回復込みで耐久はギリギリ
後はアホみたいに燃費が悪いのでいざという時にしか出せない(という事にしないとヤバい)
巨大怪獣の相手は辛いぜ!
<ラスキン・アーノルド>
幾つかの剣術(IMAGINE式)を使いながら、魔道を軸に複数のマイナー魔法を使用するスタイル
属性エンチャ、クイッカ反撃、テトラで魔法封殺。後は魔道の魔法で準物理貫通も付与できたり
錬金術での道具作成もできるのでとても便利なお爺ちゃん
<メアリ・クラリッサ・クリスティ>
今回の騒動で一番ババを引いてる人
最初にテオゴニアの大群に襲われ、逃げ込んだ先でエデンの連中に襲われるという運の悪さを発揮している。現状、辛うじてLOSTまで行った者はいない
<久遠 フェイ>
以前のダイテングがフェイ視点92に対して、機械式だと99だったので簡易的な見鬼だとそれ位に見えてる人。今は多少強くなったので見え方が違ってるかもしれない
普通に勝てなそうな戦力差に頭を抱えている
<エデン陣営>
散々ガイア再生機構としてちょっかい掛けてるのに今更ブラフィのツラ被って穏当に動くのは無理でしょと判断して、クソ容赦がない暴特化な連中が駆り出されている。フェイは今までのなんやかんやでエデンの指名手配みたいなものなので優先的に殺しにくる。よかったね