戦国♰ランブル!   作:ミヤビコウ

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楽しんでいただけるのなら幸いです。


三人組は大体ズッコケる

 ところ変わって岐阜城。

 現在城主である久遠が京に出向いているため、その留守を妻である結菜が城代を務めている。

 当然久遠の代わりを務めているので忙しいことこの上ないが、最近はイズナの尻尾という癒しアイテムが存在しているため、とても心労が軽い。

 そのイズナも結菜の仕事の一部を手伝ってくれているのだからありがたい。話を聞けば、陰陽寮に所属している頃から資料整理や書類作成等の仕事はよくやらされt、もとい、やっていたそうで、この手のことは全く問題ないそうなのだ。

 さらに言えば、こっちは厄介になっている身なのだから、これくらいやって当然だとも言っていた。

 それだけではない。ここに残っている式神の乙姫、閻魔天、酒吞童子も何かと城内の仕事を手伝ってくれている。

 乙姫は花嫁修業で培った料理の腕を台所で遺憾なく発揮し、

 閻魔天は地獄の公平な裁判官として、不正があれば即座に発見、訂正箇所を書き出して、

 酒吞童子はその腕力で力仕事を軽々とこなしていった。

「ん~~~はぁ。イズナ、ちょっと休憩にしましょうか」

「そうだな。ちょうどキリもいいし」

 今日も今日とて、政務室にて書類と格闘していた結菜とイズナが一息入れるところだった。

 互いに同じタイミングで背を伸ばすと、パキパキと小気味いい音が背中から聞こえてくる。そして完全に冷め切ったお茶を飲み、いつものように取り留めのない話をし始める。これがこの二人の最近の日課だった。

「じゃあ陰陽寮の資料室の整理も大変なのね」

「罰則に使われることもあるぐらい大変だ。年代別、地域別にそれぞれ整理しなければならない。おまけに書かれたのが数百年前なんて当たり前だしな」

「数百年ってすごいわね。なんだか想像出来ないわ」

「長生きしすぎて感情の起伏が少なくなった。とか言っていたヤツもいたぞ」

「そう思えるほど長生きしているってすごいわね……」

 今日も日差しが暖かく、穏やかな一日が過ぎていくのだろうな。と二人が考えながら話をしている時だった。

 二人の背後に、最早見慣れた門が出現し、扉の向こうから閻魔天が現れた。

「イズナ、来ましたよ」

「来たって、式神が来たのか!?」

「本当に来たのね。それでどんな式神が来たの閻魔天様?」

「太陽と月と武神です」

 

「お父さ~~~ん!おどうざ~~~ん!!どこですか~~~!!?」

「さぁ!あなた方もしゅ・し・ん!!であるこの私を存分に崇めるのです!!」

「うぅぅ、助けてくださいお兄ちゃん。ツクヨミにはもうツッコみきれません……」

 閻魔天に連れられ結菜とイズナが城門前にやって来ると、そこには三人の女性がいた。いたのだが、その内の一人は宙に浮かぶ三日月型の船(?)のようなモノに乗っていた。これはもう確実にセイの式神に違いない。

「スサノオとツクヨミだけならともかく、まさかポンコツ太陽神までおったとは……」

「誰がポンコツ太陽神ですか!?私主神ですよ!?しゅ!し!ん!」

「はいはい主神主神」

「ねぇイズナ、この子達もセイの式神なの?」

「ああ。そっちからアマテラス、スサノオ、ツクヨミだ」

「アマテラスにスサノオにツクヨミですって!!?」

 

天照大御神(あまてらすおおみかみ)

 以前紹介したのでパス。

 

須佐之男命(すさのおのみこと)

 日本書紀によれば天照大御神と月読命の弟。八岐大蛇を退治したことで有名。凶暴な一面もあったとかなかったとか。気になる方はwebでcheck!

 

月読命(つくよみのみこと)

 夜を統べる神、月の神と言われている。天照大御神の弟で須佐之男命の兄。一部では月読命と須佐之男命を同一視している説もある。気になる方はwebでcheck!

 

「ちょっと待って!?この日ノ本の神々じゃないの!?」

「こちらではな。あちらでは多少違う。スサノオはアヤカシだし、ツクヨミは月から落ちてきた」

「あのイズナさ~ん?主神である私の扱い雑なんですけど!?以前紹介したからパスってどういうことですか!?」

「作者に言ってくれ。それでスサノオ、ツクヨミ、今までどうしていたんだ?」

「ツクヨミが話します。もうとにかく大変でした……」

 こちらの世界に飛ばされた時、この三人は運良くバラバラにならず同じところに固まって飛ばされたそうだ。

 すぐに他の式神やセイの霊力を探ろうとしたが、違う世界を飛んだ影響か分からないが、誰の霊力も探ることが出来なかったのだ。

 そこで三人は考えた。おそらくこの世界には自分達以外の式神も来ているはず。そうなればその式神の力が噂になって事件にもなれば誰かしら式神と合流出来るだろうと。

 というわけで三人は旅に出ることにした。……のだが、そこからが大変だった。アマテラスは太陽信仰を喧伝するため暴走するわ、スサノオはあまりの純粋さでアマテラスに巻き込まれるは騙されそうになるわ、そんな二人の暴走を止めるべくツクヨミの心身は疲労するは自分のツキフネをどう誤魔化そうかと大変だった。

 そんな日々が数日続いたある日のことだった。僅かではあるがセイの霊力を探ることが出来たのだ。探ることが出来たのならば後は向かうだけ。普段森の中に隠している月の舟に全員乗せて夜の間に空を飛んで移動して、やっとの思いでここまでやって来たのだ。

「それはまた大変だったな……」

「スサノオさんはともかくとしてアマテラスさんが……」

「だから何で私だけ扱いがおかしいんですか~!?」

「「自分の胸に手を当てて考え(ろ)(て下さい)」」

「閻魔天さん、お父さんは何時帰ってくるのですか?」

「分かりません。会いたいのならば獄門を使いましょうか?」

「待って待って待って聞きたいことが山ほどあるからちょっと待って頂戴!」

 段々とこの場の収集が付かなくなってくる空気を察した結菜が、話の流れをぶった切って会話の主導権を握る。

「とにかく一旦落ち着いて。積もる話もあるだろうけど、私達の事も話しておきたいの。いいかしら?」

 情報の共有は大切だ。式神の事は結菜を含めこの城にいる人間は知っているが、今回はまさかの神様だ。何もしないままだと今まで以上の大混乱が起きてしまう。さらに言えばその会話でアマテラス達の人となりを把握しなければならない。さっきからイズナがアマテラスを『ポンコツ太陽神』と呼んでいることも非常に気になる。

 まぁとにかく、話をする場所に案内しなければ。その場所はもう決まっている。というか、もはや定位置だ。

「それじゃあ付いてきて。ちょっと狭いかもしれないけれど私の夫の部隊の隊舎に案内するわ」

 

「神仏のご尊顔を拝見することになるなんて信じられませんね」

「閻魔天様だけでも畏れ多いというのにな……いよいよ幻覚ではないかと自分を疑ってしまう」

「でも本当の事なのよ。私も最初は面食らったけれど、毎日イズナの尻尾を触っているせいかすぐに慣れちゃった」

 隊舎の大広間。そこに結菜、壬月、麦穂、三若が揃い下座に座り、上座にはアマテラス、スサノオ、ツクヨミが座りその隣にイズナと閻魔天が座った。

 アマテラス達は下座に座ろうとしたのだが、流石に相手が別世界とはいえ日ノ本の神々だということで上座に座ってもらった。

 そして全員落ち着いたところで互いに判明している現状を話していく。この世界にはマガツヒはおらず、鬼と呼ばれる存在がいること。自分達アヤカシや神がこちらでは伝承の存在だということ。今現在のセイの霊力のこと。

「お父さんの霊力を感じ取れなかったのはそういう理由だったんですね」

「お兄ちゃんは大丈夫なのでしょうか?」

「セイならば大丈夫でしょう。これまでに幾つもの修羅場を乗り越えてきましたから。それは我々がよく知っているじゃありませんか」

「さて、情報共有はこれくらいにして。我々に何か質問は?」

「質問と言ってもねぇ……」

 大筋の質問はこれと言ってない。それに神々+閻魔様にこちらから質問していいものなのだろうかと思ってしまう。やはりどうしても、こちらとあちらの常識の違いなのだろう。

「じゃあ雛から一ついいですか~?」

「では可愛い可愛い雛さんどうぞ」

「閻魔天様は相変わらずね……」

「どうしてスサノオ様とツクヨミ様は、セイ君のことをお父さんとかお兄ちゃんって呼んでるんですか?もしかしてセイ君って本当は神様だったり?」

 それはここにいる全員が思ったことだ。別世界とはいえ神が『父』『兄』と呼んでいるのだから。そしてその答えはアマテラスからもたらされた。

「各々が呼びやすい様に呼んでいるだけです。それに我々も兄弟姉妹というわけではありませんし」

「ああ。セイは正真正銘人間だ。神ではない」

「ほっ。たま~にセイ君にいたずらしてたからどうしようかと思ったよ~。あ、それともう一つなんだけど、ツクヨミ様の『それ』ってどういう仕組みなの?」

 雛の疑問の『それ』というのはツクヨミのツキフネのことだ。そりゃ目の前で人ひとり乗っけて宙に浮いているのだから摩訶不思議である。

「えっと、なんて言えば……ツクヨミの霊力で浮くようになってます。雛ちゃんでしたっけ?乗ってみますか?」

「うぇっ!?いいの!?なんか畏れ多いんだけど……でも失礼しま~す」

 よくよく考えてみれば、ただの人間が神様の持ち物に触れるなどもってのほかなのだろうが、その神様本人がいいと言っているのだから問題はない。だがその場にいる『人間』全員が思う。流石にそれは遠慮しろ。

 だがまぁ気が付けば、雛はツクヨミと一緒にツキフネに乗っていた。

「おぉ~なんだか不思議な乗り心地だね~。なんていうのかな?ふわふわユラユラしてて……ずっと乗ってると眠くなってきちゃう感じがするね」

「お兄ちゃんも雛ちゃんと同じこと言ってました」

「そうなんだ。でもこれでお昼寝したら気持ちいいんだろうな~」

 可愛い少女二人がキャッキャウフフしているこの空間。いや流石に無礼なのでは?と思い始めた壬月と麦穂が雛を止めようとしたその時だった。そんな空間を押しつぶすかのような覇気が発生していた。

 その発生源はなんと閻魔天。雛がやらかしたかと思ったが、そうではなかった。

 思い出しても見てほしい。ツクヨミと雛は可愛い。そう、とても可愛い。そんな可愛い二人が可愛い至上主義の閻魔天の目の前にいるとどうなるか?

「可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い……あぁ!!たまりません!!可愛い!!可愛すぎる!!今すぐにでもこの二人を獄門に磔にしたい!!いえ即刻します!!」

「やめんかーーーい!!!話が進まんではないか!!」

 結局、閻魔天が大いに暴走してしまったせいで、今回の話し合いは碌に進むことはなかった。

 

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