星と楓と電脳戦機~Maple of T.E.M.J.I.N~ 作:提夢 刃
「颯輝さん、私に力を貸してくれませんか?」
彼女ーー白狼天狗『犬走椛』の姿をした楓の樹の精霊は、力強く真っ直ぐな瞳で颯輝を見つめ協力を請う。その健気な視線に颯輝は耐え切れず視線を逸らし俯く。
颯輝は、元より椛を手伝うつもりではいた。だが、改めて頼まれると尻込みしてしまう。別に本物の『犬走椛』では無いから、と言った理由では無く、彼女の事を考えると自分より適した人物がいるのではないか、仮に手伝ったとして力になれるか分からない、自信がない、等ネガティブ思考が頭の中でぐるぐると回り、しまいには自分はこれと言った目的が無いから軽いノリで手伝う、と言っている事と同義な考えをした自分に嫌悪し悪循環する始末だ。前世の行いや性格が災いし難儀な性格をしていると自覚しつつも人間中々直せないものである。
「ふ〜ん。颯輝さんは自分好みの姿になってくれた女の子に恥をかかせて知らない人と一緒に居させたい趣味があるんですね?」
「いや!……そんな趣味は無い……無いんだけど……」
踏ん切りが付かない、と言った所か。颯輝は自分の発言に愛想を尽かされたか不安に駆られるも俯いたままの彼からは椛の表情は見えないーー天狗の性格が少し反映されているからか悪戯心での発言からか口許が若干緩んでいるのは内緒だ。
『馴れない土地では複数人での行動がリスクも減り合理的だと思われます』
「〜〜〜〜っ!!!!分かった!分かった!」
前世の颯輝にとって好みの女性、と言っても差し支えない2人の言葉に折れギュッ、と目を閉じ声を上げる。顔を上げ閉じていた瞳を開け今度こそ椛の瞳を見詰め返す。
「俺が……俺が責任持って椛の力になる!なるから……」
力強く発した声は、果たして覚悟の現れか不安を掻き消す為か。咄嗟に紡いだ言葉故か続く言葉が出なく詰まってしまう。
「最初からそう言ってくれれば良いんですよ。はむっ……ん〜♪初めて人々の食事を食べましたけど美味しいですね!」
颯輝の答えを分かっていたかの様に満足そうに言い、時間が経って少し冷めたパンを頬張り、尻尾を振りながら満面な笑みを浮かべ食べ始める。そんな光景に颯輝は開いた口が塞がらず呆然としてしまう。
「ーーえ、あ……えっと、何か、こう……無いの?」
「無いですよ?身体を創る時、記憶の一部を覗いて颯輝さんなら力を貸してくれると思ってましたしーー颯輝さんは自分が思っている以上優しくて、強くて、良い心の持ち主ですよ。だから、そんなに自分を卑下しないで下さい」
「ーーあ…………」
即答。お世辞抜きに本心から言っていると本能が伝えてくる。自分はそんな大層な人間ではないのに、たかが23年しか生きていないのに何が解るか、と言われればそこまでだが颯輝はそこまで心が強くもなければ出来てもいなかったのだ。
じわじわと忘れかけていた温かいモノが込み上げ視界が歪む。それは、昨日の様な冷たい痛みからでは無く温もりから。羞恥心からか颯輝は痛む身体にも関わらず素早くベッドに潜り込むと毛布を頭まで被り隠れる。
「どうかしましたか?」
「ーー眠たくなったからもう少し寝る」
「ふふっ、分かりました。おやすみなさい」
涙を見せたくなかった為だが下手な言い訳を知らぬ素振りで承諾する椛。鼻を啜ったり嗚咽を出さない意地を果たしつつ毛布の中で涙が溢れる颯輝は心地良い温かさに包まれ微睡み、噓が真となりそのまま寝てしまった。
「エイダさんも、これから宜しくお願いします」
『宜しくお願いします』
こうして、異世界転生者と独立型戦闘支援ユニットと精霊で編成された奇妙な3人(?)の旅が決まったのであった。
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「……ぐぅ……んんっ……ーーっ!?寝てた!?ごめんっ椛!大分待たせた……」
ガバッ、と毛布を捲り勢い良く身体を起こす。昨夜よりも良質な眠りだったのか身体が凄い軽く感じるし痛みも無い……いや、腹筋だけは未だ凄い筋肉痛だが。
体感的に凄く寝た気がするので寝起きだが謝るという考えに至った自分に及第点を送りたい。頭を下げ自分のヘラり具合に穴があったら入って空間跳躍で消えたい心境に陥りつつ恐る恐る顔を上げると別段気にしている様子も無く椅子に座って笑っている椛が映った。
「おはようございます。良く眠れたようですね。私はエイダさんと情報共有出来たので大丈夫ですよ」
『おはようございます。現在13時06分です』
寝起きの頭で考えてみる、どうやら7時間近く寝てたらしい。凄く充実した昼寝だったと言える。イビキとかうるさくなかっただろうか?
『メイプルアイランド、ビクトリアアイランドの地図作成に成功。現在【犬走椛】本来の能力は使えず視力が僅かに良い程度でしかありません』
「ふむン……まあ姿を真似ただけだからそればかりはどうしようも無いね。地図って2つだけ?」
「はい、楓の樹がメイプルアイランドから動けないので……ビクトリアアイランドまでしか分からないんです」
寝惚けてた所為か、変な相槌が出てしまったが気にしない。メイプルワールドは様々な島があるがメインであるビクトリアアイランド迄しか分からなかったらしい。まあ、知識としては俺にもあるから椛が知らない世界を見れるって事で1つ楽しみだと思って欲しい所ではある。
「……流石にそれだけで6時間保たせた訳じゃないでしょ?」
「まあ……その、秘密です」
なんと、エイダと椛で女子トークでもやったと言うのか。まあ、流石に違うだろうが込み入った内容なのだろう。そっか、と追求はせずゆっくりと立ち上がる。うん、思い通りに身体が動く。
「――よし、ギルドに向かうか」
「はい!」
腕を上や横に伸ばし腰を捻り筋肉を我流で解した後、俺に倣って椅子から立ち上がった椛に告げ部屋から出た。
おばちゃんに鍵を返却しお礼を伝え食事――意外にも味が口に合った――を軽く済ませるとエイダが示したルートを辿りギルドへ向かう。
「そう言えば食べ物とかはMWに入れたら結構保存出来るらしいですよ?」
「あー……食材とか買っておかなきゃだなぁ。でも、ここからサウスペリは近いしリス港口でもいいかもね」
時間経過が遅くなるのか止まるのか定かでは無い以上念には念を入れておこう。サウスペリも近いとは言ったがゲーム内の話であり実際はどの位時間がかかるのか想像が出来ない。
『アムホストからサウスペリの予想移動時間は5時間です』
そんな不安に気付いてかエイダが報告してくれる。今から行けば日が沈んだ時に到着するがこれからギルド長に会って色々と報告しなければ行けないし何が起こるか分からない、サウスペリに向かうのは明日になりそうだ。
と、考えている内にアムホストのギルドに到着した。気付いたら周囲にも冒険者成り立ての様な人が沢山いて、これからの予定やら色々と会話している声で賑わっていた。
建物は大きく横には柵で囲まれた鍛錬場みたいな所があり、紅いチャイナドレスを纏ったツインテールの女性が新人冒険者達を扱いていた。
……何か語弊がある様な言い方だった気がするが見た事そのまま伝えた筈なので悪くない。
「案外大きいんだなぁ」
『冒険者を生業とする場合、必ずアムホストでの登録が必要です』
ゲームの話になると必ず通る場所だったがどうやら違うらしい……
ギルドの入口近くにいた為思わず振り返り冒険者達を見る。椛が驚いた表情をしているのが映るが気にしている暇は無い、1人1人の顔を確認画面し思わず目を見開いてしまった。
「そんな……いや、そういう事……なのか……?」
「ど、どうかしましたか?」
「……いや、ごめん。大丈夫」
答えになってないだろうが少し動揺が抑え切れない。服装は勿論の事、
1度深呼吸。すー……はぁ〜……ーーよし、落ち着いた。1度椛の力になるって決めたんだろ、なら通さなきゃ男が廃るってモンだ。椛に視線を合わせ小さく頷く。
「病み上がりなんですから無理しないで下さいね?」
椛の心配に感謝しつつ改めて入口に振り向き、中に入る。
アムホストのロビーは意外にも広かった。正面は受付で沢山の冒険者達が並んでいて、右手には鍛錬場への入口があり左手にはホログラムか何かで各職業の教官の姿が映し出されていた。
「たまにやってたなぁ……」
「何をですか?」
「ん?あそこの真ん中に立ってさ、拳を開いて立て、エレナ、ダークロード、ハインズ、カイリン、あと俺っての」
「何ですかそれ……」
呆れた様な表情をする椛を尻目に昔自分がやっていた事をしみじみと思い出す。あそこに立つ事で自分も何か教官になったような気分に浸れる。あれだ、SNSで有名人と相互フォロワーになったから自分も有名人だと勘ちがーー
『それ以上いけません』
「エイダは俺の思考を読み取る事とか出来るのか?」
『その様な機能は備わっていません』
あ、はい。エイダは時折俺の思考に対して的確に突っ込んで来る事が何回かあった気がする。戦闘とか移動とかそういう情報は大変助かるのだが、こういうくだらない事にも反応されたら些か困ってしまう……今自分でくだらない事って言ったか?言ったな。
まあいい、流石に何時までも入口付近で立っていても邪魔になるだけだから中央で写真を撮ってる若者達を横目に移動をする。カメラなんてあったのか……ドロップ品であったような……?
律儀に受付に並んで対応して貰うのが筋だが急ぎの件でもある。2階もあり扉がある言葉からあそこがギルド長の部屋な気がしなくも無いが階段前には屈強な男が2人いる、片方は何処かで見た事があるな……
「あっ、昨日颯輝さんを運んでくれた方ですよ」
なんだと!?確かに、思い出して見れば昨日の門番の人だった気がする。
門番の人が此方に気付いたのか片手を軽く上げ挨拶してきたので俺と椛も会釈して返す。
「よう、兄ちゃん!元気になったか!嬢ちゃんも朝振りだな!」
「今日和ー!颯輝さんの調子が良くなったので寄らせて頂きました」
「うっす、昨日は運んで頂いたそうで。その節は有り難う御座いました」
「良いってことよ!ーーそれよりよぉ、嬢ちゃんとは何処迄言ったんだ?」
「!?!?ーーばっ……!馬鹿言わないで下さい!別にそんなんじゃ……!」
「ガッハッハ!冗談だ冗談!」
門番の人に近付き改めて挨拶をすると筋肉が凄い腕で肩を組まれ急に真面目な口調で俺にしか聞こえない声量で変な事を聞いてきた。予想外過ぎる質問に慌てて否定する……凄く悲しいが、実際椛とは昨日会ったばかりだし自惚れてはいない。というかガッハッハって笑う人初めて見たぞ。
「それはそうと、支部長が待ってる。ちょっと顔出してくれや」
褐色の筋肉おっちゃんが顔出せと言うと凄みがあるがさっきの言葉忘れんぞ。階段の前で見張るもう1人の男性に軽く会釈し階段を上る門番の後ろを着いて行く
「宜しくお願いします……えっと?」
「そういや自己紹介がまだだったな。俺はガーテだ、宜しくな!」
「日下部颯輝です。宜しくです」
首のみ後ろに向け名乗る門番ーーもといガーテさんのテンションに少し気後れし、簡素な自己紹介を改めて返す。
「ガーテです。昨夜の当事者を連れて来ました」
2階の通路を歩き予想通り1階から見えた扉の前で止まると扉をノックし報告する。中から入室の許可が降りると扉を開けガーテさんが入室し後に俺と椛が続く。
執務室、と言った所か。部屋は広く豪華では無く質素でも無い赤い絨毯が敷かれ小綺麗な内装をしていた。壁には本棚がぎっしりと並ばれており本も隙間無く並んでいて、他にも観葉植物やら武器やら飾ってある。
素人目でも分かる位高級そうな木材で出来た執務机の前で座るのは金髪の中年……いや、壮年男性だった。ギルド長という立場であるから勝手に判断したが、腕の筋肉ははっきりとあるし顔の肌も若く見える。まだ前線に立っているかも知れない。
「ご苦労ーー初めまして。私は冒険者ギルド、アムホストの支部長を務めさせて貰っているトータス·プレイスだ。宜しく」
「お目に掛かれて光栄です。日下部颯輝です、宜しくお願いします」
「初めまして、犬走椛です」
「そう硬くならなくて良い。話も長くなりそうだ、座ってくれたまえ。ガーテにも話を聞いていて欲しい」
「はいよ」
椅子から立ち上がりガーテさんを労った後俺達に笑みを向け近付き挨拶と共に握手をする。椛は後ろで一礼をしているだろう。ちょっと緊張気味だが間違った対応はしてない筈だ。
俺と椛は促されるまま執務机の手前にあったソファに座りテーブルを挟んで支部長であるトータスさんと向き合い、ガーテさんはトータスさんの後ろで待機するーーソファふっかふかだな、前世でも座った事がないぞ。
「名前からしてジパングの方から来たのかな?」
「……詳しくは言えませんがそんな感じです」
「ふむ……何か訳あり、って所だね」
「初対面にも関わらず察して頂いてすみません、椛の方も深く聞かないで頂けると助かりますーー今はまだ、と言う事でどうか」
「……分かった。君達の素性は聞かないでおこう。それで良いかな?」
「有り難う御座います」
ジパングーーキノコ神社やショーワ町がある島の事だ。実際日本も昔はそう言われていたし嘘は吐いてない……筈。嘘を吐くのは宜しくないが初対面の人にいきなり自分は異世界から来ました!こっちは楓の樹の精霊です!独立型戦闘支援ユニットもいます!なんて言ったら頭可怪しいと思われるか異世界からの侵略者とか思われそうで怖い。
さて、と前置きしトータスさんは柔和な表情から真剣な表情へ変わった。本題に入るのだろう。
「先ずは昨夜の出来事だが、あの男性は先月辺りから我々も探していてね。殺しても厭わかったのだよ」
「……理由を聞いても?」
状況が状況だけに仕方無かったとは言え人生初の人殺しである。部外者だとしても理由を聞いても罰にはならないだろう。
「……まだ少数の冒険者達にしか知らされてないから内密に頼むよ?ーー最近、正気及び理性を失い無差別で襲う冒険者が増えていてね。昔封印された闇の魔術師が復活した、と冒険者ギルドは予想している」
あの禍々しい感じが出ていたのはそういう事だったのか。武器強化を失敗して暴れた訳では無かったらしい……そもそもそんな事思っても無かったが、楓の樹との何か関係があるかも知れない。
「……なるほど。メイプルアイランドの外れに大きい楓の樹があるじゃないですか?そこで男と似たような感じのママシュとメイプルキノコと遭遇しました」
「なんだって!?」
昨夜の男とこの世界に来た時に接敵したママシュを思い出すと似たような雰囲気を纏っている事に気付き此方の状況を伝えるとガーテさんが驚愕の声を上げる。
「ふむ……メイプルアイランドにママシュは生息していない筈だ。いよいよ闇の魔術師説が濃厚だね」
「此方も目的があるので一緒に調べたいと思います」
「情報提供及び協力感謝する。これも何かの縁、私の連絡先を教えよう。それならばお互い連絡取りやすいだろう」
「支部長の連絡先知ってるのは中々いないんだぜ?運が良いな兄ちゃん」
これはフレンド登録のお誘い、って事だな!恐らくMWを近付けてやるのだろう……というかMWをろくに触ってないから使い方未だに分かってないんだけど。取り敢えずウィスパーチャットをイメージしてエイダにフレンド申請をお願いしてみる。
『了解。フレンド申請を行います』
(!?通じた!?)
『MWのライブラリを更新。ウィスパーチャットを登録しました』
エイダもMWの機能については完全に把握していないのだろう、正面の2人の無反応さを見る限りエイダもウィスパーチャットとして俺だけにしか聞こえないらしい。験しに椛にウィスパーをしてみる。
(ぬるぽ)
『犬走椛にウィスパーチャットぬるぽを送信しました』
あ、そんな風になるのね。というかエイダがぬるぽって言うだけでなんか感無量なんだけど。そんな事を思っていると隣にいる椛が小さく首を絞める傾げMWから仮想キーボードを表示させ打ち込む。
流石楓の樹の精霊からか使い方はバッチリだ。というかこの世界でもキーボードなのか。
『犬走椛からウィスパーチャットを受信。何かの合言葉ですか?』
椛にごめん、とウィスパーを送りつつ椛ともしてなかったと思い、取り敢えずさり気ない感じに椛のMWに近付け連絡先ーーもといフレンド申請をするとトータスさんが以外そうな声を漏らした。
「おや、颯輝君のMWにはAIが搭載されてるんだね?搭載するのに結構な金額がする筈だが」
『その様なモノと一緒にしないで下さい』
「まあ……これも色々ありまして……」
エイダの俺にしか聞こえない異論を聞き流し、苦笑いを浮かべ歯切れ悪く返す。さっきから隠し事ばかりで罪悪感が凄い。
次にトータスさんとフレンド申請しついでにガーテさんともする。「俺の連絡先知ってもあんま良い事ねぇぜ?」と言っていたが満更でもないらしい。
「おや?二人共まだ冒険者ギルドに登録していないようだね。失礼だがこのステータスでママシュを倒せたのが不思議な位だ」
「まあ……そこは頑張りました」
今更ながら自分のステータスを確認してみると、ステータスはTHE一般人と言われても差し支えない程低く、職業も初心者以前に無記入だった。レベルも当然0だった。
「ギルドに所属していない者は原則狩りを禁止している。破った者は罰せられるが……不測の事態による例外もある。今回の件は不問にしておこう」
支部長としての務めを果たしているのだろう。軽く会釈をして了承した意思を見せるとトータスさんは柔らかい笑みを見せてくれた。
「ところで、今日もアムホストに滞在するのかな?」
「はい、時間も時間ですし明朝発とうと思います」
俺の代わりに椛が丁寧に答える。流石に移動はゲーム知識が通用しない為極力夜道は避けたい……以前も言ったような……?
「そうか。なら、宿屋には私から通しておこう。厄介事に巻き込んでしまったお詫びとさせてくれ」
「有り難う御座います。それじゃあ、俺達はこれで」
「ああ、君達の武運を祈ってるよ」
今夜の宿代をトータスさんが出してくれるらしい。お言葉に甘え感謝を伝え、話す事も終わったので立ち上がる。激励には一礼して応え、部屋を出る時にもう1度お辞儀をして退室した。
防音対策していたのか疑う程部屋から出ると冒険者達の賑やかな声が耳に入り、無意識の内に強張っていた身体を解すべく1度腕を上げ身体を伸ばし一息吐く。目尻に涙を浮かべつつ正面の転落防止の柵に両肘つけ、階下を眺める。
「んん〜っ……!はぁ……」
「緊張してたんですか?」
「ああ言う雰囲気に慣れてないからねぇ」
「人生経験豊富なのに、ですか?」
「まだまだ人生長かった筈だよ。所詮20年ちょっとは短過ぎる」
「この世界でもっと豊富になりましょう。私も生後2日目ですし」
悪戯そうに尋ねる椛に溜め息混じりに返すも、続いた言葉に思わず隣に並ぶ椛を見遣れば指でVサインを作り笑っていた。
犯罪で捕まらないか?と内心思いつつ椛に背を見せ軽口叩きながら階段へ向かう。
「んじゃ、赤ちゃんを連れてギルドに登録でもするかぁ」
「あっ、颯輝さん酷いです!」
トタトタと小走りで俺の横に並び、此方に抗議する視線を向ける椛に笑みを見せ階段を降りていった。
ご愛読有り難う御座います、提夢 刃です。キャラの会話のバランス、描写に悩み続け中々執筆が進まないのと、先の展開を妄想ばかりしていて勝手にニヤニヤして捗らないのが現状です。私の勘違いで無ければお気に入りが0から1に増えていて嬉しい限りです!!有り難う御座います……!励みとモチベーションになります!!
中々展開が進まないですがこれからも書き続けたいと思うので公でもひっそりでも構いませんので応援して頂けたら嬉しいです。
P.S最近フリックと予測変換の誤タッチが多くて辛い。最後にキャラ紹介して終わります。長々とお待ち頂けたら幸いです。
ガーテ 『門』 フルネームはガーテ·ジャーソル。褐色肌の筋肉ムキムキの人。見た目の割に頭もそこそこ良い。名前の由来は門番兵士、得物は大剣で狩猟、執務幅広くこなせる。すごい。投稿前までゲーテと打ち込んでいたのは内緒だ。
トータス·プレイス 『始』 名前の由来は始まりの場所。そこそこ若くしてアムホストの冒険者ギルド支部長に上り詰める。すごい。