お腹の検査をするために宮崎の病院まで来た。
テルくんも来たがったし、私も来てほしかったけどこの状況でいきなり二人揃って通院するのはまずいだろうというので斉藤社長と一緒に来ることになった。
「アイ……本当にどうしてこうなった。いや、やるやるとは言っていたが本当にやる奴があるか……」
「アイドルになる前から決めてたんだよ。そりゃやるよ」
「12の時からかよ。14で聞いたときだってオレは冗談だと思いたかった」
「ドーム間に合わなかったねー」
「最初から知ってれば……いや、うちの事務所じゃどうやっても4年は無理か……」
「あはは、気にしない気にしない」
事前に伝えておいたのに、いざその時が来ると斉藤社長の気も弱ってしまっているみたい。
私のわがままに振り回されてのことなので、私には励ますくらいしかできない。
「検査の結果、20週双子ですね」
「双子……」
やった。
「アイ……本気なんだな? 16歳で妊娠出産なんて世に知られたらお前もウチの事務所も終わりだぞ」
「もう。何度聞かれても答えは変わんないよ。絶対産むからね」
「先生も何とか言ってくださいよー」
「いえ、最終的な決定権は彼女にありますし、私からはよく考えて決めてくださいとしか」
「ほら、先生もこう言ってるからもう決定だよ」
「アイー」
社長も往生際が悪いよね。もうここまで来たら引き返すなんてありえないのに。
私はちゃんと二人を迎えに来れた。
あとは二人と手をつないで帰るだけ。
あ、早くテルくんに電話しないと。
「あっセンセ」
「星野さん」
ゴロー先生は屋上まで一人で来た私の心配をしてくれた。この人がもしかしたら私の子供になるんだ。ちょっと想像がつかない。私よりずっと大人。
少し話をするとゴロー先生は私のことを聞いてきた。
ああ、やっぱり知ってるんだ。
「君は……アイドルをやめるのか?」
「なんで? やめないよ。社長もそんな気は全然ないみたいだし」
「でも、それは……」
「お腹に居るの、双子なんでしょ? やっと迎えに来れた子供たちなの。産まれたらきっと賑やかで今よりもっともっと楽しくなるよ」
私に新しい家族が増える。
それはきっと幸せな日々。
「子供は産む……アイドルも続ける。つまりそれは……」
「そ……! 公表しない」
テルくんの記憶の中の私も先生とこんな会話をしたのかな?
嘘を本当に。
嘘は愛。
私にとっての愛を理解して、これもきっと愛なんだと私は思えるようになった。
私はファンのみんなに愛を届けて、アイドルとしてファンの愛を受け止めよう。
テルくんの知る私はどんな気持ちでゴロー先生に話をしたんだろうか。
案外自分の気持ちを知ってもらいたかっただけかもしれないなぁ。
アイドルだってばれたんだから、嘘をつく必要がないと思ったのかも。
そうして、私もゴロー先生に私の思いを伝えていく。
「全部ほしい。星野アイは欲張りなんだ」
ここで引き返すくらいの覚悟なら、最初からアイドルになんてなってない。
「和解した。星野アイ。僕が産ませる。安全に、元気な子供を」
ゴロー先生は思うところもあったと思う。それでも強く宣言してくれた。
ああ、この人がもしかしたら私の子になってくれるのかぁ。
「お願いね。センセ」
でも、こんな良い人、死んでほしくないな。
それはそれとして、さっきまではそんなそぶり見せてなかったのに、反応がファンの子たちと一緒になってるのはちょっと可笑しい。
ごめんねみんな。和解したは原作準拠なんだ。
ゴロー先生視点じゃないのと原作とほぼ同じ会話をスキップしてるのでわかりづらくなってます。
ゴロー先生「(医者の俺とファンの俺が)和解した」