設定確認しようとしてはずみで1巻ラストを読んでしまい心に傷を負う(N回目
あ、視点B配信されてたんで聞いてない方聞いてみるといいですよ。
アイエミュにぶれは生じなかったですけどおつらかったので二度は見ないと思います……
ドラマのことで監督に文句を言ったら、映画に出ることになった。
有馬かなの演技を隣で眺める。
ああ、この子本当に演技はうまいんだな。
天才子役と言われるだけのことはあるんだ。
どうも感覚がおかしい。合わせようと思えば普通に合わせられる気がする。演技なんてまともにしたことないはずなのに。
なんならそう。この前ルビーがやったみたいに誰もが目を引き付けられるあの感覚。お父さんとお母さんがやっていてルビーにもできたあれ。あれだってできそうな気がする。
でも、この場面でやっても意味がないよな。
監督が望むものとは違う。
こういうのは全体のバランスだ。
全体を見たうえでその方が良いというならともかく今やる意味はない。
監督が僕に求めているのはこうだ。
演じるな。
いつもどおりの僕でいい。
演じなくても普通の人たちにとって僕たちは十分気味が悪い。
「カット。OKだ!」
過剰な恐怖はここでは必要ない。
監督が僕に色々話してくれる。
この業界で食べていくならとても大切な話だ。
「お前はすごい演技よりぴったりの演技が出来る役者になれ」
「……うん。役者って思ってたより良かった。今回は演じなかったけど凄く、楽しかった」
そう。表には出さないでいられたが、僕はずっと高揚していた。
これだ。ピタリとはまった感覚がある。
できるからやるんじゃない。やらなきゃいけないからやるんじゃない。
やりたいからやる。
僕にルビーほどの才能があるかはわからないが、僕は役者として生きていきたい。
「はは、そうか! 楽しかったか! それならまた使ってやる!」
監督が僕の頭をなでる。
「でも監督、それならこういうのもできるって、覚えててね?」
家族のみんなができるなら僕ができないはずがない。
あの何もかもを引き付けるような在り方。普通の人間なら恐怖を覚えるような圧力。まるで人間ではない別の生き物かのように錯覚させる。
そろりと監督の手に触れると、大げさなほどにビクッとされた。
「怖かったでしょ。この前、見せてもらったんだ。僕も見たときは泣きそうになった」
「早熟……お前、そういうことができるなら先に言えよコラ!」
「いや、監督だって何も指示せずに撮ってたじゃん」
「演技とかそもそもやったことないと思ってたんだが、そうでもないのか?」
「習ったことはないけど、妹が見ただけで真似してたから僕もできるかなって」
「やべぇな」
「僕もできるとは思ってなかったんだけど、今日ね、撮られてるときに凄く気分が良くて、なんだか僕もできそうって気がしてさ」
「あー、やばいのはわかったからコミュ力も忘れんなよ」
「うん。コミュ力、大事だよね。今日楽しかったから、監督もまたいつでも声かけてよ。あ、良かったら弊社のアイも一緒によろしくお願いします」
「お、おぉ、お前、本当にそつがねぇな……」
ルビーは見学でついてきたけど、家でパパと一緒の方が良かったかなとしょんぼりしてました。
原作とあまり変わらない部分は全カットです。