キミガマリア   作:れいんいる

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002a学校生活

 最近学校というものが少し楽しくなった。

 

 私は人が嫌いだ。

 私から人に話しかけたりしないし、そもそも人の名前を覚えるのが苦手。

 多分興味がないから記憶できないんだと思う。

 

 母親に愛されなかった私は、最終的に捨てられて、今は施設にいる。

 家から施設に移動して学校も変わった。

 お母さんが迎えに来なかったときのことは思い出したくもない。

 あの人にとって私は愛する対象ではなく邪魔なものだったんだろう。

 

 施設から通う学校生活もあまり変化はなかった。

 ううん、家での心配がなくなった分学校では余裕ができたのかもしれない。

 周りを見る余裕がなかった前に比べたら人に合わすことを覚えた。

 どこから漏れたのか人によっては私の事情を知っていたりもしたが別にそれでいじめられたりとかもなかった。

 上っ面だけの付き合いで、友達なんて作ろうとすら思わなかった。

 全部嘘。

 嘘で私を固めて吐き出すのも全部嘘。

 

 

 中学に上がっても、代り映えのない毎日が続くのかと思ったら変な人がいた。

 私が自己紹介したとたんグルンと首をねじってこっちを凝視してきた人。

 私もビビったし、周りの人も私じゃなくて彼に注目してしまっていた。

 

 そう。星でも降ってきたかのような驚き方だった。

 結局、彼は次の人に自己紹介が回った後も私を見続け、そんな彼をクラスのみんなは見ていた。

 私も声をかけれなかったし、ちらと見ると先生も声をかけるにかけれなかったのはどうかと思う。

 

 学校が終わりとなってクラスのみんなが帰り始めても彼はずっと座ったままだった。

 彼が自己紹介したときに聞いた名前なんて覚えてなかったので確認をする。

 月野ヒカル。

 目の前で手を振っても、小さく声をかけても、反応しない。

 

 帰るクラスメイトの一人が同じ小学校出身だったらしく、固まってる彼を見ながら軽く彼のことを教えてくれた。

 いつも、小さく笑顔を浮かべて困ったことがあったら手助けしてくれるお兄さんみたいなひとらしい。

 

 いや、同い年でしょ。

 何よこんなお兄ちゃんほしかったって。

 

 惚れられちゃったんじゃないのー?

 とか言われたけれど、どう考えてもそんな反応じゃなかったじゃん。

 あと、明らかに聞こえてないとはいえ、本人の目の前でそういうのを言わないでほしい。

 

 結局、月野くんはみんなが帰っても周りが見えてないままだった。

 

 

 

 多分、お母さんに捨てられてから初めて人が視界に映ったのだと思う。

 月野くんとは学校で話をするようになった。

 私のことについては話題に上がらない。

 彼が言ってることが正しいかどうかもわからないのに聞くのは無駄だと思ったし、彼も進んでその話をする気はないようだった。

 

 月野くんと話すのは楽だ。

 とりとめのない話を垂れ流すようにするだけ。

 

 あまり人付き合いをしたくない私としては彼がいるだけでずいぶん楽に感じていたのだと思う。

 月野くんのほうは私と比較的によく話をするせいか、最初の時のことをよく周りにからかわれていたけど、否定するだけで他の人に私のことをどうこう言う気はないようだった。

 

 

 そうして、少し仲良くなったころ、その日がやってきた。

 

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