「もしもし、ゴロー先生お久しぶりです。月野です」
「ああ、ヒカルくん久しぶり。半年ぶりくらい?」
ゴロー先生に電話がつながった。
「ですね。ゴロー先生はお変わりないですか?」
「相変わらず仕事が忙しいくらいだよ。なかなかライブにもいけないから困ってる」
少しおかしくなって笑う。
「ゴロー先生は今も患者さんに布教してる感じなんですか?」
「あー、うん、息抜きがてらにしてるね」
「すいません。こちらからチケットとか送れればいいんですけど」
「いや、僕との繋がりを予測される可能性なんか排除してしかるべきだよ。僕も行けそうなときは自分でチケット取るし問題ないよ」
「オレもできれば行きたいんですけどね」
「そりゃあヒカルくんはね」
ゴロー先生と二人で笑いあう。
あまりすぐこちらの本題を尋ねるのには気が引けたのでいろいろ話をする。
そういった雑談と同じレベルの話として今回の主目的を話題に出した。
「ところで、オレからこういうの聞くのもどうかと思うんですけど、ゴロー先生はそろそろ結婚とかしないんですか?」
「え、もしかして誰かから聞いた? いや、たまたまか。うん。僕ももういい歳だからね。そろそろ年貢の納め時になりそう。というかね、この歳で独身でこういう仕事してると見合い話とかも来るようになるし……」
声にならない悲鳴が聞こえた。
「それはおめでとうございます。いつ頃になりそうなんですか?」
「いや、まだ先の話だよ。それこそ来年とか、まあだから確定ってわけではないんだ」
復活したな。
いや、もうこういう話が出てる時点であとはタイミングの問題ってことだぞ。きっと。
「オレも引きこもりじゃなかったら参加したいんですけどね」
「いや、ヒカルくんが外に出てくるってことは僕の生きがいがなくなるってことなんだけど……」
「もうそろそろ二十歳ですからね……こっちもどうなるかはわからないんですけど」
「そうか。うん。僕も覚悟はしておこう。その時が来たらお祝いさせてほしい」
「いえ、オレもゴロー先生には感謝してます。出られるようになったらそちらに伺いますね」
「君たちが幸せならそれ以上のことはないよ。また会える日を楽しみにしてる」
「じゃあ、また電話しますね」
「うん、また」
電話を切る。
「せ、せんせのばかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
うん。よく我慢したルビー。自力じゃないけど。
アイの膝に乗ったルビーが叫ぶ。
電話中はアイに口を押さえられていたので声が出せなかったのだ。
「仕方ないよ。ルビー。さりなちゃんがなくなってもう7年だ。持った方だよ」
「お、お兄ちゃんが言うな!」
ルビーが横にあったクッションをアクアの顔に投げつける。
今のはアクアが悪いと思うよ。
「パパ、今からでも名乗り出れば何とかならないかな!?」
「でもルビー、今からルビーが二十歳になるまでゴロー先生待たせると50歳だよ。ゴロー先生が自分から独身を選ぶならルビーが突撃するのも祝福するけど……」
ショックを受けた顔で、そのままアイに振り替える。
「ママ!」
「ママもね。ルビーが望むなら止めないよ。でもね、今のルビーがセンセを止めたらね、4歳の子に結婚を引き止められたって事になっちゃって、センセが死んじゃうんだよ」
思ったよりバッサリいったな……
まあ、表には出ないだろうが、のちのちルビーと結婚したら社会的立場が死にそう。
「うぅ……産まれてすぐにせんせ居たし、運命だと思ったのに……」
オレも劇的な再会だとは思うんだけどね……
「私もう結婚しない……ずっと家にいる……」
やばいこと言いだしたな……いや、ルビーが望むならそれでもいいんだけど……
別に独り立ちして出ていかなくても問題ないけど、いや、娘が嫁に行かないのは父親にとっては嬉しいことなのか?
アイに泣きついているルビーの後ろをポンポンと慰めるようにアクアが叩くという絵図が展開されていた。
失恋を失恋した相手に慰められるのはきついと思うよ。アクア。
いや、アクアだから大丈夫なのか?
あと数話書いたらちょっと更新一時止まると思います。