「……ねえ、次があれば必ず助けてくれるんだよね」
星野の目の周りは赤くなっている。
そしてオレが渡したハンカチはお亡くなりになられた。
「ああ、必ずだ。オレたち友達だろ? ……友達だよな? 友達が困ってれば助けるものだろ。いや、正直オレが星野にとって相当怪しいやつって自覚もあるからこれっきりと言われてもしょうがないんだが」
星野が泣き止み、抱きしめていた体を離した後、また椅子に座って話を続ける。
普通ならここで二度と顔を出さないでと言われても納得できる怪しさだとは思っている。
「怪しいのは最初からだから別に。でも友達……一緒に遊び行ったこともないのに友達? あ、うん。それでも友達だよね」
ただ星野はおそらく頓着しないだろうと思った。
「よし今度どっか遊びに行こう」
「初めての友達とか、ふふ、あおくさーい」
そうだよな。割と価値観同じなんだよな。
一緒に遊びに行かないようなやつを友達とは言わんよな。
でもオレは星野とだったら遊びに行くのに忌避感ないし、友達といってもいいだろ。
「……実をいうとオレもだ」
「月野くん友達結構いるじゃない」
「友好的な知り合いはいる。ただ相手も友達とは思ってないんじゃないか。個人的な付き合いってしてないから。仲のいいクラスメイトとか、親切な人とかそういう分類だろ」
転生の弊害だ。変な立場に追い込まれないだけの付き合いはするがそれ以上する気になれない。
「月野くんと小学校が同じだった子が色々助けてもらったとか言ってたけど」
「オレは基本的に付き合いが悪いから、困っていたりするやつがいれば助けることにしてる」
立ち位置の確保は人間関係の構築において必須だからな。
「あ、あーそういうこと」
「便利使いされないくらいにはしてるけどな」
「これが理想のお兄さんとか……」
「なんだそれ?」
クラスの子がと星野が言うので、眉を顰める。
「まあ、どんな意図があるにしろ人助けはいいことだろ。性に合っているというのもあるしな」
多分、オレが友人じゃなかったら世の中そういうもので流していたであろうことを考えると、そういうところに突っ込んでくるのはまっとうな友人関係を築けているとも言える。
星野はハァと息をつくと言った。
「なんか疲れちゃった」
「そうな、時間もあまりない」
施設には門限もある。
話を続けるには遅い時間だ。
「まだけっこう話長いんでしょ?」
「話はそんなに長くない。いや長いのか? まあ話を聞いても自分のこととして受け入れるのが難しいと思う。正直、伝えた後にフォローできる状態じゃない時に言いたくない」
「わかった。気になるけど我慢する。明日。明日また話そう」
「ん。わかった。そうだな、休みだしついでにどこか遊びに行くか」
「オッケー。いいよぉ」
別れる間際、こちらを向いた星野が
「また明日」
と言った。
この時の星野の笑顔はとても美しく思えた。
この笑顔は嘘なのか本当なのか、たぶん星野もわかっていないと思う。
ただ本当であればよいと思った。
なんなんだこいつ……
脳内エミュレートしてるオリ主が脳内エミュレートしてる星野アイと相性が良すぎて、自分で書いてるのになんか星野アイ攻略RTA見てる気分になってきた。