かなり短め……。
『獣、風呂を欲する』
イオン視点。
『城』や影の国に風呂を持っているか、大陸側に風呂を持っていないのでどうするか悩み、お風呂を作るフラグを立てるようです。
『獣、前世の業を思い出す』
???&ラインハルト視点
どうやらラインハルトの中身は前世でも女の子を泣かせていたようです。(風評被害)
『獣、風呂を欲する』
――side イオン
「……そういえば……風呂がないな」
朝起きて私の髪をブラシで梳かしながら私の旦那様がそう答えた。
「たしかに……でもお湯を用意するための労力を考えると……この世界だと難しいかなって……」
個人では桶とかに水を汲んで、それをつかって手ぬぐいとかで拭くのが精一杯。
薪はそこそこ値が張るし、使う量からも自力で用意は難しい。
水も浴槽を満たす量を用意するのも骨が折れるし加熱するのも火加減とかある。
「……作るのはできるが、維持管理が問題か……」
(´・ω・`)ってかおしてる旦那様。
つ、妻として知恵を……あ……。
「炎蓮さんに相談してみるのはどう? 乗り気なら、巻き込めるかもだし、城で使うなら、共用ってことで私達も使えるかも?」
「なるほど……イオン、ありがとう」
優しく撫でられて嬉しくなるちょっと?単純な私。
「さて、食事は城で食べる故、早めに出るぞ。……髪は整えた。着替えが終わったら呼んでくれ。それまで隣で別のことをしておく」
「はーい」
私は返事して旦那様を送り出す。
……こういう時間でグルメ界というところから食材を採ってきたりするらしいが、私が採取してる間待ってたあの人もこんな気持ちだったのかな……?
旦那様が夜なべして作ってくれたシックなロングスカートのメイド服を着て、旦那様と出仕。
私の仕事は雑用たがら、基本朝の集会に呼ばれないんだけど、旦那様のお願いで同行することに。
何が起こるかと思ったら、おもむろに旦那様が影の国ってところに皆拉致したの。
何が目的かなとおもってたらそこに作った銭湯に全員放り込んで体験させることだったみたい。
旦那様の持つ城とやらから4人、監視兼入り方の指導として銭湯に派遣された。
私? 旦那様と一緒に服のお洗濯。
乾燥機とかも付いてるから便利なんだよねー。
「つーことで城に湯の設置を決定した。ラインハルトと亞莎、レナルルが主体となるから、頼まれたら力貸すように」
炎蓮さんの言葉に拱手するみなさん。
ジャンプーやコンディショナーはラインハルトさんこだわりのものだったのもあってか、皆髪の毛の艶が良くて皆喜んでる。
なんだかんだで身だしなみを気にしてるのもあるのかも。
ちょっと強引だけど、私の自慢の旦那様。
……レシピと材料があれば、私もなにか作ってお手伝いできるんだけどなぁ……。
っと、お仕事やらなきゃ。
今日も1日、がんばるぞい。
『獣、前世の業を思い出す』
――side ???
とある地にて、人参型のロケットのハッチが開く。
「到着っと……空間、位相の座標はあってるし、時間もそこまで誤差ないはずだから、ここの何処かにいるはずだよ」
中から現れた機械のうさみみを付けた女性の言葉に、中から顔を出した同行者四人が怪訝そうな顔をする。
「でも束さん、明らかに荒野では?」
黒髪の優しい雰囲気の娘が首傾げる。
「でもここに出現したのはたしか。束さん、嘘付かない」
「なんでカタコト……?」
うさみみの女性の言葉にツインテールの娘は困惑。
「水と食料があるとはいえ、補給をできるようにせねばならん。……ちゃんとこのロケット仕舞えるんだよな?」
少し吊り目気味の女性の言葉にうさみみの女性はふんすふんすしながら答える
「モチのロンだよちーちゃん。まあ一応、戻れるようにビーコン埋めとくからちょっとまってね」
「……あの人はこの地でも、独身のままなのだろうか……誰かに操を立てていたし、きっとそのはず……」
ポニーテールの娘の言葉は荒野の大地が無慈悲に消し去っていった……。
――side ラインハルト
今日は珍しく非番なので、隣で寝ていたイオンに書き置きと大きな柿*1を机に置いて朝早くから外出することにした。
早朝というだけあり、街は比較的静かだ。
動いているのは仕込みをしてる料理屋や街の外の農作業を監督するもの、あとは巡回してる孫家の兵士くらいか。
元の世なら、新聞配達などが終わって戻る者や早番の人間の移動時間あるから、もう少し人通りがあるだろう……。
――千冬たちはトレーニングとかいって走って配達していたな……。
……千冬? はて……その名前は……。
突然踏み出した足が浮遊感に襲われ、意識を戻すと街の高台から私は片足を突き出して片足が行き場を無くしていた。
慌てて空中歩行に切り替え、力技で軟着陸してから一息吐く。
なんの偶然か前世の記憶が殆ど忘却の彼方なのを再確認した私は、何か思い出すきっかけがないかという思考を頭の片隅に置くこととした……。
適当に露店で小物を買ったり摘めるものを買っていたらそこそこ大きな料理店を見つける。
金は有り余ってるのでそのまま入店。
「お好きなとこどうぞ」
私は適当な席に座り、メニューを確認。
羹や肉の丸焼きなどのシンプルなものが多い中、酢豚定食が目についたのでそれのご飯大盛りを注文。
ふと厨房を見ると、ガタイの良いおじさんが中華鍋を駆使して炒飯を作ってるところが見えた。
――鈴が中華鍋に振り回されなくなったのは中1くらいだったか……
またも思い出す名前。
「おまちどうさま」
そういって出された酢豚と飯と羹。
一口食べるとやはり食べ慣れた味ではないと魂がぼやくのを感じる。
米は一夏が研いで炊いたものが良いし、それを箒がおにぎりにすると束が喜んでいたっけ……。
……「直前の前世」を完全に思い出した私に来たのは2台のトラックに挟まれて死んだショック。
次に5人に別れを告げられずに居なくなったことに対する申し訳無さで胃がキリキリし始める。
しかし強靭な肉体のおかけで普通に完食し、そのまま店をあとにできた。
……5人とも、元気にしていればいいが……。