恋姫†無双 孫呉に現れし黄金の獣   作:月神サチ

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遠征にはまだ出る予定は今のところありません。 
もし遠征に孫家が動くなら、それは予定外です……。


第九話 第2歩目で予定が狂う

――side ラインハルト

 

遠征の準備といっても、まだ中央に第一報が届いてないはずなので、周辺で黄巾賊が出現したら即座に動ける体勢を整え、中央の動きを見てから管轄外の討伐等をすれば良い。

 

――そう考えていた時期が私達にもありました。

 

「……黄色い頭巾被った賊が寿春と汝南の城を包囲してるから何とかしてほしい……?」

 

客人を迎えるために雪蓮を中心に左右に展開して雪蓮の対面に客人がいる形になったのだが……。

 

――その客人は袁術と張勲で、用件が想像の斜め上だったので私達一同は思考停止してしまった。

 

「……城には誰がいるのかしら?」

 

再起動して引き攣った顔で問いかける雪蓮。

 

「うむ? 汝南には紀霊。 寿春にはの丁奉、あとそれぞれの兵士……たしか5千ほどかのう?」

 

「それ何日前?」

 

「汝南は半月前、寿春は先週包囲されてるのも見たのじゃ」

 

「お礼はしますので対応お願いできませんかね?」

 

張勲の言葉に雪蓮と炎蓮が互いにアイコンタクトし、雪蓮は立ち上がる。

 

「報酬は救援にかかった費用の負担は当然として、口止め料とか諸々と、そうね……もし私達が遠征することになったとき、その遠征に必要な物資を6割援助するでどうかしら?」

 

「……七乃、それは高いのかぇ?」

 

「足元見まくりでドン引きですー。せめて遠征期間の上限と遠征終了の認識をすり合わせさせてもらわないと、遠征してるって言い張られて延々と搾取されかねませんからねー」

 

雪蓮の言葉に首を傾げ、張勲に問いかけると冷静に問題点を告げた。

 

「そのあたりは雷火、穏、すり合わせよろしく。さて、残る面々は前言っていた通りの割り振りで、出立は明後日。寿春、汝南の順で包囲してる賊徒を追い払うわよ」

 

「「「応!!!」」」

 

 

 

 

 

「亞莎、千冬は冥琳の補佐。おそらく兵士の確認などを頼まれるから各隊長から確認とること。束はレナルルの手伝い……何?嫌? イオンの姉だから心象良くしておけばイオンの印象良くなるぞ? 情報分析する奴がいると私も助かるしな。……で、一夏、箒、鈴はイオンの手伝い。たぶん物資の搬入出の指示手伝いもするから誘導間違えんようにな」

 

私は自分の直下にいる面々に指示をし、全員が退出するのを確認する。 

 

「……さて……いつの間にか追加されたこのボールの中身は……おそらく……」

 

懐から『5つ』のボールを出して放り投げると5匹ノポケモンが飛び出す――

 

緑の冠のようなものを被ったシカノような顔つきの小柄なヒトガタポケモン……豊穣の王バドレックス

 

分厚い氷を纏った白馬――ブリザポス。

 

黒い体に紫のたてがみ、そして一房白いたてがみをもつ片目を隠した黒馬――レイスポス

 

そして一見双子に見える鎧のような模様の毛並みをした熊……ウーラオスのれんげきのかたといちげきのかたの二匹だ。

 

「……バドレックス、馬車の御者を頼んでも?」

 

私の言葉に冠の王はものすごく嫌そうな顔をするが、馬の2匹は人参くれるならと顔に書いてあったので多数決で折れてくれた。

 

今夜の夜食はカレーに決まりだな……。

 

気を取り直し、2匹のウーラオスの方を向く。

 

「……お前達については、2人の少女の護衛を頼みたい。交代要員も用意するゆえ、問題あるまい?」

 

私の言葉に対し、2匹は顔を見合わせてからこちらに向き直って頷く。

 

 

 

 

 

 

 

 

「というわけで卿らにこの2匹のウーラオスとナットレイ、ウルガモスを預けておく。孫家の姫の護衛として申し分ない働きをするはずだ」

 

「藪から棒過ぎない???」

 

「ならシャオこっちの熊とこの……虫?さん借りてくね」

 

「シャオは順応早くない?????」

 

暇を持て余していた2人を捕まえて4匹のボールを預けておく。

 

ちなみに最初の6匹うち、サンダーは先日から城の中庭におり、たまにそらから城の周り等を確認させてる。

 

そのせいか文官とかからは吉兆の鳥扱いされている。

 

そしてガマゲロゲ、ザシアン、カイオーガは手元、あるいは影の国にいるので今の手持ちはその3匹に加えバドレックスとブリザポス、レイスポスとなる。

 

「とりあえずその2匹は人の言葉もわかるし、身振り手振りで意思表示するから会話も一応できる。可能な限りどちらかを常に出しておけば、何かと役立つはずだ」

 

「……ありがとう?」

 

首を傾げながらとりあえずウーラオス(いちげきのかた)とナットレイを受け取る蓮華。

 

ベイやマレウス、クリストフを駐在させておくが念のためである。

 

「それはそれとして」

 

「ん?」

 

蓮華が何か説教っぽいことを言い出す気配。

 

「……孫家の誰かに手を出す予定は無いの? お母様アレでも心配というか、目論見が外れてて私達の縁戚から年頃の女見繕って宛てがおうが本気で考えてたから私としては……被害者?を増やしたくないと言うか……」

 

「シャオは何時でも良いからね? イオンお姉さんとも仲良くしてるし、派閥云々が起きてもシャオが孫家派閥まとめるからさ。……だめかなー?」

 

しれっと隣から腕を抱きしめるシャオ。

 

「卿が私に思いを向けてるのはわかるが……それは恋や愛のそれでは無い。どちらかというと未知に対する好奇心だ。 故に同意もできねば抱くこともできんよ」

 

何かを見ようとして、同時に見たくないと言いたげな顔をする蓮華。

 

「私の場合は?」

 

「……孫家の役に立ちたいという義務感。奔放な姉や妹に対する劣等感と反発の心ではないかね? 政略結婚ならばあとから恋や愛を抱くのも良いだろうが私は気が乗らん。それに『私』にまだ疑心を持っているが興味を持っていない。無関心でないだけマシだか……愛が足らんよ」

 

「そうね……言われて自覚できたわ。ありがとう」

 

蓮華は憑き物が落ちたような、どこか穏やかな顔になっていた。

 

「ぶー、シャオ良いお嫁さんになるのにー。料理だってできるもん」

 

「いや、シャオ? この人料理は下手な料理人が裸足で逃げ出すくらいうまいわよ? 一昨日夜食食べさせてもらったけど、今までの食事と雲泥の差だったから」

 

「え!? ラインハルトの手料理食べたの!? お姉ちゃんばっかりずるい!私も食べたい〜」

 

近くの郡で黄巾賊がいるとは思えない、長閑な時間が過ぎていくのだった……。

 

あ、料理はやむなしと軽いものとゼリーを振る舞っておいた。

 

袁術と張勲がしれっと同席していて、シャオが不機嫌になったがまあ……2人の運が良いということで……。

 

 

 

 

「七乃。あの男を籠絡……?できんかえ?」

 

「もしかしてあのゼリーとかいうの気に入りました?」

 

「それもあるか……ほれ、麗羽……お姉様に妾の旦那として自慢したらどちらが格上か理解するかもしれんじゃろ?」

 

「流石お嬢様! 従姉に見せびらかすために明らかに多彩、偉丈夫、美形にお金持ちな人の旦那寝取ろうとは、よっ、悪ですね〜」

 

「悪ではない、賢いと言うんじゃよ七乃」

 

「よっ、お嬢様天才!どう育てばそんなこと思いつくんでしょう!」

 

「もっと褒めるが良いのじゃ」

 

「(ただあの人幼女趣味じゃなさそうですし、本当にそうなら私がこまりますからねー。……私の身体使えば行けるかなぁ……。お嬢様のためだし、がんばりますか)」

 

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