恋姫†無双 孫呉に現れし黄金の獣   作:月神サチ

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第十四話 揚州牧孫策と揚州刺史劉繇

――side ラインハルト

 

数日後の廬江にて。

 

「皇帝 劉宏様の名の下、孫文台の家督継承に伴う廬江太守の役職の継承を認め、同時に孫伯符を揚州牧に任じる。漢への忠義、忘れぬようにな」

 

「はっ!」

 

使者に対して拱手する一同。

 

私は変に目立つので気配遮断して梁の上に回されている。

 

ちょっと複雑。

 

それはさておき、これでかなり権限が増大した。

 

代わりに面倒事や仕事量も増えるだろうが。

 

「あとは劉繇がどう動くか……よね……」

 

「雪蓮が州牧になるという噂を細作使って現在の拠点周りで流して居たから、耳にしているとは思うのだが……」

 

使者が用事済んだとばかりにとっとと帰ったので私は上から降りて着地。

 

「本人の人となりを知らぬから推測できんな……」

 

「……あ、その人、お猫様好きなので、悪い人ではないかと……」

 

思い出すように明命が零す。

 

「猫好きに悪い人居ないかはさておき……それ初耳なんだけど」

 

「いつの話?」

 

雪蓮が驚き、蓮華が冷静に確認する。

 

「えっと……昔修行の一環として、「あるものを持って帰るまで家の敷居またげぬと思え」と家から追い出されたことがありまして、その折に建業の町外れの庵でお猫様に「にゃーん」とお猫様の鳴き真似で話しかけているところに遭遇して、一晩お世話になったことあります。劉繇様と呼ばれていましたし、その人も属人と言ってましたので」

 

懐かしそうな顔をする明命。

 

「……」

 

「ん? どしたのイオン」

 

「ネロのことを不意に思い出しただけ。ソレイルで宇宙の中心にに向かってる時暇だからって猫のマネしたりしてたなーって」

 

イオンとネイのやり取りでネロと呼ばれたパールホワイトの髪と金色の瞳をした、苦難の人生を歩んだ少女を思い出す。

 

私はなんとなくスケッチブックと鉛筆を取り出してネロの似顔絵を描いてみる。

 

「……兄さん相変わらず工具系関わらないと完成度高いわよね」

 

「なにそれ詳しく」

 

鈴の零した言葉に反応するネイ。

 

「……兄さん、鉋掛けや釘打ちとかのいわゆる工具に呪われてるみたい。そういうの使うと何故か大体変なことになるんだよね。釘とかは真っ直ぐ叩いても曲がるし、鉋掛けなら真ん中凹むような削れ方するし……。代わりなのか、工具系使わないことについてはプロ……一流どころ顔負けのモノ作れるんだ」

 

「だから日曜大工とかやるとなったら、兄さんは設計、姉さんと千冬さんが加工、私達3人が組み立てと役割分担したりしてたな……」

 

一夏、箒がなんでかなーという顔をしてる横で私は似顔絵を完成させた。

 

「劉繇とは、こんな感じかね?」

 

私が描いたネロの似顔絵を見せると目を丸くする明命。

 

「そうですそうです! この人です!」

 

「……え? もしかして劉繇もあなた達の前世つながり?」

 

粋怜が察したのか問いかけてきた。

 

「それなりに可能性ある。もっとも、そうだったとしても記憶があるのかは……会ってみねばなんとも言えんな」

 

「とりあえず解散だ解散。今じゃこっちが立場上だからな。向こうが動くまでどっしり構えてりゃ良い。――あ、レナルルは細作使って揚州全体に揚州牧就任の噂を流せ。雷火は今の仕事ラインハルトとレナルルに丸投げしていいからツテ使って揚州の豪族と連絡取れ。穏は山越に州牧になったこと伝える挨拶の使者の選定と挨拶の手紙やっとけ。蓮華は祭と甘寧と共に揚州域の長江の賊討伐と吸収。あとは先日雪蓮が言った通りで」

 

炎蓮の言葉に全員頷いて各自仕事にとりかかる。

 

――劉繇から先触れが来たのが翌日、本人が来たのはその2日後だった……。

 

 

 

 

仕事の都合上蓮華、祭、雷火、甘寧が不在。

 

そんな状況で劉繇とその従者が来たのだが……

 

「あれ、アンタ……」

 

「やっほー、お久しぶり」

 

従者の1人……たしか太史慈だったか?

 

雪蓮に対してフランクだが不敬罪とか大丈夫なのだろうか……。

 

「梨晏……積もる話はあとよ。先に堅苦しい挨拶と面倒くさい話すませてから」

 

劉繇がそういうと太史慈は大人しく引き下がる。

 

……その劉繇の後ろに気になるのが数名いるが今は無視しとこう。

 

「……こほん……。孫伯符殿、州牧就任おめでとうございます。 皇帝の威光をしらしめ、不忠の輩を取り締まる役目を持つもの同士力を合わせられればと思います」

 

「え、ええ……それができると良いと思うわ」

 

雪蓮がそういったあと、頷いてから

 

「堅苦しい挨拶はこの辺で。とりあえず、いくつかそちらの部下に質問いいかしら?」

 

と確認をする劉繇。

 

「……私達も聞いてていいなら構わないわよ?」

 

「どうも」

 

そういうとイオンのところまでやってくる。

 

「……イオナサル、貴女は家に帰れた?」

 

「! うん。……なんとか……ね」

 

「そう……良かったわね。ところで、彼が……そうなのかしら? お揃いの指輪してるし」

 

「……そう、だね」

 

そういうと、私の方に歩いてくる。

 

マイが防ごうとしたのでそれを止めて私も歩み寄る。

 

「貴方のお陰で元の世界に帰れた。ありがとう。……あと、約束覚えてるかしら?」

 

――もしあなたに会えたら、そのときはアプローチするから

 

思い出した記憶に懐かしさを感じながら、申し訳無さや無駄に近い抵抗じみた意味を込めた確認の言葉を告げる。

 

「……私、妻帯者なのだが???」

 

「この国、内縁の妻は黙認されてるから大丈夫。……それにイオナサルをあなたは娶ってるでしょう?」

 

「? そうだが……」

 

何か約束とかした覚えがないので困惑しかない私。

 

それを横目に劉繇……ネロはイオンの方を向く。

 

「『どちらがが彼の伴侶になってるなら、もう片方が内縁の妻になれるよう、手引する』って協定を帰るときに結んでるの。……イオナサル、忘れたなんて言わないわよね?」

 

「も、もちろん」

 

イオンの焦り方で『忘れてたな?』とこの場の面々の意思統一されたがそれはさておき。

 

「……イオナサルには協定の条件満たしてるから履行してもらうとして……孫伯符」

 

「はいっ」

 

急に呼ばれてビクッとする雪蓮。

 

「私と私の部下を召し抱えてくれないかしら。もちろん何かしらの仕事するから」

 

チラッと母親を見るが、当人は好きにしろとアイコンタクト。

 

「梨晏はさておき「えっ?」私は彼が責任とってくれるなら彼に身も心も捧げるから敵対することはないだろうし、私の妹分は幼いながら家宰の仕事もしてたから文官として優秀よ? それと後ろの鎧のと金銀の3人、武人や指揮官の適正あるし、私に返しきれない借りがあるから、私が居る限り、私のいる勢力の為にがんばってくれるわよ?」

 

「しれっと梨晏ちゃんが外されてる……」

 

「いやまあ、我々の中では新参だし、先々月きたばかりだからなぁ……」

 

「私達と色々違うので除外されたようですね……」

 

後ろ3人が小声でヒソヒソ言ってるが全部聞こえてる。

 

「……わかったわ。『全員』召し抱えることにする。……仕事や給金については各自の資質と実績からこちらで決める。それでいい?」

 

「ええ。……劉繇、真名はネロ。孫家の為……正しくは旦那様が仕えている孫家に微力ながら力を貸します……かしら」

 

「こ、コッコロは、主様の部下として、微力ながら孫家に仕えさせていただきます」

 

「……私はジュン。攻めの戦いはあまり得意ではないが、守ることはそれなりに自身がある」

 

「私はクリスティーナ。クリスでかまわん。……ここには楽しめそうな相手が多くてたすかる。いずれ手合わせ願いたいものだ」

 

「私は、トモ。他の人に比べたらまだまだ未熟者ですが、よろしくお願いします!」

 

ネロと古参の部下が挨拶したあと、ちらっと太史慈の方を向く。

 

「……えっと、私は太史慈。字は字義。真名は梨晏ですっ! よろしくお願いします!」

 

どうしてこうなった?という顔で挨拶する太史慈……梨晏。

 

「……こちらとしても想定外が多かったけど、歓迎するわ。ラインハルト、プランC?でよろしく」

 

「では、時間も良いし、夕食も兼ねた歓迎会をするとしよう。――支度はできている故、食堂に移動だ」

 

 

 

 

その後、早い夕食を兼ねた歓迎会をしてネロたちはそれを楽しんだ。

 

……のは良かったが、雪蓮たちが飲み比べ等で酒飲みまくってダウンしたりしたため、翌日二日酔いに悩まされながら仕事することになったが是非もないだろう……。

 

 

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