『湯で洗濯するのは汚れた心だけで十分』
――side ラインハルト
「……よし、完成した……!」
何故か現世に呼ぶと現場ネコ*1になる爪牙の髑髏たちが、私の言葉でゆるキャラ感ある丸い手を叩いたり跳ねたり小躍りしたりして喜びを見せた。
まあ何が完成したかといえば、風呂*2である。
サイズとしてはそこそこ……小さい銭湯くらいか?
数人入れる湯船が3つある浴室、脱衣所がある。
これを2セット。
片方は男湯 or 来客用を想定している。
どっちがどっちかは雪蓮たちに後で決めて貰う予定だ。
「さて……今日の非番は誰だったかな」
生贄……じゃなかった。
被験者を探さねばな……。
私の顔見てドン引きしてる現場猫がいたが、そんなに変な顔してたか……?
「それで、アタシたち集められたわけね」
雪蓮、蓮華、レナルル、穏、祭、ネイ、イオン、一夏、千冬、束、箒、鈴、甘寧、クリスと城にいた非番の面々はとりあえず捕獲……任意同行……ことの詳細伝えて付いてきてもらった。
「そのとおりだ。――左右対象に作った。――二手に分かれて好きな方を試しに使ってくれ」
「……あなたは入らないの?」
イオンが首を傾げて問いかけてきたが
「――私が入ると揉めるだろう。――故にここで卿らを待つ。――マレウスたちを同行させる故、問題なかろう」
私は丁重に断った。
異性に柔肌見せたくないのがいるだろうし、まだ心の準備ができてないものもいるはずだ。
――問題ない組とそうでない組で分ければいい?
……オチが読めるので論外。
「……カランとかシャワーの使い方や入り方の実演考えるとアタシ、イオンとそっちの元IS組*3の7人がどっちかに固まるのはダメね……ん? アンタら何して」
ネイが私の後ろの方を見たので振り返ると墨を顔面にぶっかけられた。
「――ワー、ゴメンネ―。オ風呂でキレイにシナキャネー」
「流石に主君ポジでもダメよね。――だからお詫びさせて、ね?」
墨で目を開けると面倒なので心眼と耳で対応するが……棒読みで目線が泳いでるイオンと、割りと本気で申し訳無さそうにしてる雪蓮が視えた。
「……ああ、そういう? ……んじゃ、アタシはこっちで実演とかするし、ひとっ風呂入るからイオンと雪蓮の『お手伝い』したい人はそっち、そうじゃないならこっちに分かれましょうね」
「あ、待て、ネイ。――マレウス連れて行け」
「ほいほい……ってうわ、ハイドリヒ卿の金ピカの髪が黒でまだらに……」
ぎょっとしたらしいマレウス。
「設備の説明の補足、お願いするわね」
「オッケー。それじゃ、私も説明ついでに風呂はいっちゃおっと」
そういってネイとマレウスがもう一つの方に向かう。
「うーむ……出世を狙うなら手伝うべきだろうが……しきたりなど面倒なのがあるのでな、今回は辞退させてもらう」
「……蓮華様、あんなのはほうっておくべきです」
「え、あ、ちょっと思春?」
ネイの方にはクリス、蓮華、思春が二人の後をついていく。
「主の失態は部下も連帯責任ということじゃな。儂もひと肌脱ぐとしようか」
「あれ、コレ私も巻き込まれます?」
祭と穏がこちらがわ……後の面々も以下同文らしい。
私はとりあえず爪牙を召喚して床の掃除を指示。
半ば自棄になりながら傍の脱衣所に向かうことに。
「とりあえずここが脱衣所。――棚の籠に服など入れて基本手ぬぐいや自分が使いたい小道具など以外はここに入れておけ。あと浴室につながる扉の石畳部分のところで極力水気を切って、髪を丁寧に拭くのはこちらでやるように」
私は目を閉じたまま脱衣。
「……アレが……」
「子供の頃見たときとサイズ変わってない」
色々言われてるが無視だ。
私はそのまま、籠棚から少し離れた、浴室傍の棚に近づく。
「――一応ここに大きめのバスローブ……湯上がり用の部屋着とタオル……身体を拭くための布はあるが、共有備品扱いだ。――使ったら洗って返却か雑色*4に渡して風呂の備品の旨伝えるように」
下から順に取りやすい作りになってるのでソレを実演するために一つタオルを回収。
「ここの説明はとりあえず終わりかな?」
「髪を乾かすための諸々があるが、それは戻った後だからな。――その時に説明聞ける状態かはさておき。先に入っているからな」
私がそう行ってタオル片手に扉を開き、そのまま浴室に進む。
入り口傍に風呂桶類や椅子類があるので適当に見繕い、左右の壁にあるカラン列のうちの一つを陣取る。
カランの傍に固定型のボディーソープやシャンプー、コンディショナーなどがあるのを確認し、ボトル部分の突起で判別つくか確認したあと、カランから湯を出し、手桶に湯を貯め、溜まったら身体にかけていき、墨を落とせるだけ落としておく。
「――説明前に一人でやったら意味ないんじゃない?」
扉が開き、人が何人か入ってきた音がしてるとそんなツッコミが飛んできた。
「墨を落とすの面倒なのでな」
「まあそうだけどさ……」
肩を落とすイオンが視える
「手桶や椅子類についてはそこにおいてある。――使ったら戻すのを、忘れないように」
その言葉にうなずく一同。
「――で、コレがカラン。安全面を考え、この取っ手を上向きに上げると――湯水が出るようにした。――熱さについては左右に取っ手を動かして調整可能だ」
「うわ、便利だわ……」
驚いてる雪蓮の声が聞けて少しスッキリ。
「ここで先に身体を洗い、身を清めてから、浴槽に行くように。……身体洗う前に浴槽に飛び込むたわけが居たら簀巻きにして軒先に吊るすからな?」
「あ、圧がすごい」
「お湯入れ替えとか考えると妥当……かしら?」
私の言葉に困惑する一同。
私は威圧を止めて説明を続ける。
「ここを押すと出る液体は身体、こっちは髪の毛を洗うのに適している。 こっちは髪の艶などを整える」
「実践するのが手っ取り早いかな。髪の毛から」
そういうとイオンがシャンプーを出して泡立てたあと、正面に立って私の頭を洗い始めた。
「……自分でできるのだが?」
「たまには尽くされてもいいと思うよ?、ね、雪蓮さん」
「そ、そうね。アタシがやったことでもあるし」
背中に先端が少し硬い全体的には柔らかいナニカがうしろから当たる感触。
前にイオンの気配と匂い、後ろは雪蓮。
しれっと私の足の間にいる束。
「お兄さんが手を出してくれればこんな強硬手段に出なかったんだから……責任取ってね」
「……無論だ」
待たせた自覚がある。
負い目があるので強く言えない。
「こういうのはノリと勢いってことでね」
「うわ……そんな事するんだ」
しれっと私の身体も弄り始める束。
私は一度湯を被って目を開いてから改めて、生まれたままの彼女たちに目を向ける。
緊張するもの、歓喜するもの、慣れてるものと三者三様だが、私は気にしない。
私は誰だ?
総てを愛する黄金の獣だ。
――総て受け止め、
現ハーレムメンバー
イオン、カノン、ネイ、ネロ、レナルル
雪蓮、祭、穏
一夏、千冬、箒、束、鈴