恋姫†無双 孫呉に現れし黄金の獣   作:月神サチ

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残酷な描写や苦手そうな描写(採血描写)があります。
ご注意ください。


拠点にて その5

『抜き打ち?健康診断』

 

――side 炎蓮

 

ラインハルトが雪蓮と祭、穏を食ったので非番なのにかこつけて自分の部屋で1人祝い酒してたらラインハルトがやってきた。

 

――お? 次はオレを相手してくれんのか?

 

そう思って用件尋ねると

 

「主だった将官の健康診断をしたい」

 

と言い出した。

 

健康診断……?

 

「言葉からして健康かどうか調べるってことなのは分かるけどよ……何処か具合悪けりゃ気がつくもんじゃねえの?」

 

「ある程度のものはな。……一部の病には、『自覚出来るような症状出てきた時点でかなり不味い、あるいは手遅れ』なものがある」

 

ボケかましてる目じゃねぇな……実際に気がついたときには手遅れだったなんて話も聞いたことあるし、オレの周りでは『見たことがない』だけなんだろうな。

 

「……その健康診断受ければわかるもんなのか?」

 

「無論だ。ちなみに体質や生活習慣で自覚がないことなども診断でわかることもある上、自分の健康状態を数値として『見える』形に出来る。悪い話では無いと思うが」

 

……見える形なら『大丈夫なのかわからない』がなくなる。

 

「……いいんじゃね?」

 

「では、通知の方や日取りの選定を頼む。一応半日あれば検査項目総て終わらせられるが、難しければ2日のどちらかに参加という形も対応可能だ」

 

そう言って逃げ出すラインハルト。

 

あ、アイツ予定調整をオレに丸投げするためにわざわざ来たのかよ!

 

あとでとっちめて……?

 

いつの間にか部屋の真ん中にある丸机に抱きかかえられる大きさの柿と3本の大瓶が並んでいた。

 

柿の下に『予定調整と通知仕事の依頼報酬の半額前払い。残りは診断終わったら渡す』という紙が敷かれていた。

 

……仕方ねえ、一肌脱いでやるか。

 

ところで、この柿も前払いの半分扱いなのか……?

 

 

 

 

 

――side 冥琳

 

ある日の朝の集会にて。

 

特に何かあるわけでもないので、報告無しでおわるとおもわれたが……

 

「……つーわけでオレの判断により明日は健康診断ってのをやる。今夜から明日の診察終わるまで、色々飲み食いに制限あるから、今日好きなもん食いたい場合は昼飯までに済ませるように」

 

……前触れのない言葉に皆目を丸くした。

 

我に返った者たちの反応は様々。

 

大殿の宣言に文句言ったり困惑したりする面々が多いが、一夏たちあいえす組なる5人組や、ラインハルトの正妻であるイオンは懐かしそうな顔をしている。

 

「……健康診断とはなにをするんだ?」

 

近くにいた一夏に聞いてみる。 

 

知らないことを聞くのは少し勇気が居るが、知らないことを知っ出るように振る舞い、後で痛い目に遭うよりは遥かにいい。

 

「んー、胸とか腹に専用の道具当てられながら深呼吸して、その呼吸の音に変な音がないか調べたり、手首や足首、心臓のあたりとかに吸盤みたいなのつけて心臓の拍動がおかしくないかとか調べたり?」

 

「他には視力……ある程度離れた距離からこういう……一部欠けた円を見せられてどの向きが欠けてるかを確認させて目がどれだけ見えてるかを確認したり、高さや大きさの違う音をちゃんと聞き取れるかの検査もするぞ」

 

一夏の説明に箒が追加をしてくれた。

 

にしても視力か……メガネはずしたらかなり厳しいのだが……。

 

「あとは採血……二の腕と腕の間のここらへんに針刺して少し採取して、その血液を使って色々検査するわよ?……コレは採血だけやって、調べた結果は後日になるんじゃないかな?」

 

「針を刺して……血を抜く……?」

 

血を取るのはわかるが、針を刺す場所は指先で良いのでは?

 

鈴の言葉に疑問符が浮かぶがそれはさておき。

 

「あとは……尿検査とかレントゲンかな?」

 

「バリウムは不味いし胃カメラがいいなぁ……」

 

イオンは恥じらいの表情を、束は嫌そうな顔をする。

 

「……というか設備有るのか? 胃カメラとかレントゲンとか」

 

「人類の生み出したものが入ってる蔵を兄さんが持ってるからあるんじゃない? 前現場猫たちが宝物庫から持ち出した戦車乗り回してたのを村の人が見て、怪物騒ぎになってたし」 

 

知らないところで面妖なことが起きていたらしい。

 

後でラインハルトに確認取らねば。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――side ラインハルト

 

検査項目について問い合わせが多発したので、検査項目とその説明(ゆるキャラによるイメージ図つき)のパンフレットを配布したところ、過半数が昼食を抜くという自体が発生。

 

抜いてないのはイオンやネイ、鈴に束、箒に千冬に一夏、炎蓮などの『割り切れてる』組と亞莎や明命の『説得で折れた』組くらいだ。

 

「……さ、最近お腹周りが……」

 

「二の腕にたるみが……」

 

一部白目向いて説得拒否したりらしくなく焦ったように理由を捲し立てるメンツを見て

 

「次は寝起きに襲撃かけて朝から検査するか」

 

と心に決めたのだった……。

 

 

 

 

 

 

 

――side 明命

 

私は今、城の中庭にて健康診断というものを亞莎ちゃんと一緒に受けて回ってます。

 

「えっと……あと何を受ければいいんだっけ……」

 

アワアワしてる亞莎ちゃんの質問に、私は持っている『検査項目表』を確認することに。

 

「検尿ってのは朝終わってて……身長体重に聴力視力とれんとげん?に聴診と問診は終わってるから……採血で終わりかな? 胃の検査とかは今回私達対象外みたいだし」

 

数字らしきものや、見たこと無い文字が検査結果の項目に記入されてる物を確認したあと、検査結果が空欄の項目を確認してそう答える。

 

「採血……は、針刺すんだっけ……?」

 

「さっきイオンさんが『採血はちょっとびっくりするだけ』って言われたでしょ? たぶん大丈夫だから。ほら、終わったら胡麻団子食べに行くんでしょ?」

 

「ふええ……がんばる……」

 

そういってぷるぷるする亞莎ちゃんを『採血』と書かれたゲルという屋根付きの天幕に向かった。

 

そこには片方の二の腕と腕の間部分を抑えている雪蓮様やカノンさんが居た。

 

「はい、カノンさんはもう大丈夫ですね。一応それは夜くらいまで外さないように」

 

手元の時計?とやらを見ながら白い顔、長身の細身の男の人がそう告げた。

 

……ここはシュピーネさんが担当みたいですね。

 

「明命さんと亞莎さん、採血は今手隙なので採血できますが今すぐやりますか?」

 

「お願いします」

 

「え?」

 

「ではこちらに」

 

亞莎ちゃんと一緒にシュピーネさんについていく。

 

机の上に細くて短い帯?のようなものがいくつかあった。

 

「明命さんから順にやっていきましょう。確認なのでまとめて聞きますけど、酒は弱かったりします? わからないならちょっと別の確認したいので追加でお時間いただきますから」

 

「人並みには飲めるかなと」

 

「私は……御主人様が出した強い酒のんでも特にふらつくことなかったし、たぶん大丈夫かなと」

 

え、あの雪蓮様が一杯で呂律あぶなくなったアレを!?

 

「なら大丈夫そうですかね。それじゃ、追加で確認。どちらで採血します? 利き腕の逆の方がいいと思いますが」

 

「なら左かな」

 

「私も左で」

 

「では失礼」

 

私の言葉にシュピーネさんは私達から検査項目表を回収し、私の腕を掴んで机の上の台に腕を乗せ、前腕と二の腕の中間、関節部分で何かを確認する。

 

「では……こちらの血管に刺します。まずは消毒を」

 

そういって指で示した場所周りに湿った綿を当てて塗り拡げた。

 

「……あ、酒精の匂い。お酒が苦手か聞いたのは、肌に塗っても大丈夫か聞いたんですね?」

 

「その通り。肌が荒れるならまだマシな方。ひどいと採血どころではないこともあるので」

 

亞莎の言葉にシュピーネさんは丁寧に教えてくれた。

 

「では、次は二の腕に少しきつめに帯巻きます」

 

そう言って少し痛いくらいのキツさで帯を巻いたシュピーネさん。

 

「少しチクッとしますけど、暴れると針が折れたりするので……我慢してくださいね?」

 

そういって針のついた硝子の管みたいなのを見せるシュピーネさん。

 

手早い動きで私の腕を抑えつつ、私の腕に針を刺した。

 

なんか少し痛かったけど怪我の痛みに比べたら一瞬で痛みもそんなになかった。

 

代わりに血が針を通じて管の中に入っていく間、腕から血が抜けてく感覚がかなり変なでもどかしい感じがした。

 

「……はい、これで終わりです」

 

そういって針を抜く前に針を刺した場所に小さな固めた綿?っぽいのを当てたかと思うと、針が抜かれて綿を覆うように包帯を一巻き巻かれた。

 

……正直、針を抜かれるときの痛みはなくて、ほっとした。

 

「刺した場所の傷口を早く塞ぐため、ここをこのくらいの強さでしばらく抑えててください。時間になったら呼びますので。お若いのですぐ止まると思いますがなにか気分悪くなったりしたら別途言ってくださいね。……あ、亞莎さんの付き添いします?」

 

そして包帯部分をおさえるとシュピーネさんは二の腕の帯を外してくれた。

 

「……お願いします」

 

亞莎ちゃん見たらそういわれたので同席することに。

 

「といってもやることは変わりないのですぐ終わりますよ」

 

そういって手早く針刺す血管を見つけて綿を押し付けて塗りつけをしたあと、二の腕に帯を巻くと手早く針を刺した。

 

「うっ……」

 

「亞莎ちゃん、がんばれ!」

 

「……あんまり痛くないけど、血が出てく感覚が……違和感でしかない……」

 

「わかるよ!」

 

「……はい、終わりましたっと」

 

硬めの綿で刺したところ抑えつつきれいに針を抜いて手早く後処理をするシュピーネさん。

 

「とりあえずお二人もあちらの方の席でしばらく待っててくださいね。 次の方ー……あれ?いない?」

 

シュピーネさんの指示通りに行くとカノンさんと雪蓮様が居た。

 

……あれ?カノンさんはもう大丈夫なのでは?

 

「雪蓮殿が暇すぎて話し相手ほしいといわれたので。私は、採血で終わりなので彼女が終わるまで居る予定です」

 

なるほど?

 

「……ふたりともすぐ終わったのね」

 

「? どういうことで?」

 

雪蓮様の言葉に私は首を傾げた。

 

「雪蓮殿、血管採血できる血管がなかなか見つからなかったので、そこら辺で時間かかったのと、針刺されたとき大声あげてましたからね……シュピーネさんが暴れて針折れないように取り押さえたりしてたようなので……」

 

「ちょっと、カノン!?」

 

「へぇ……」

 

「怖いもの知らずの雪蓮様にも、怖いもの類、あるものなのですね」

 

しれっと告発したカノンさんに驚く雪蓮様。

 

……針苦手になってないといいけど……。

 

「あ、雪蓮さん、腕の圧迫はもう大丈夫です。但し、今日一日採血した腕で重いもの持ったり、夜まで包帯外すのは止めてくださいね。その包帯なら風呂も一応はいれますが、気になるなら日が沈んだあとに外してください、お疲れ様でした」

 

いつの間にかこちらに来ていたシュピーネさんがそう告げたので、2人は天幕をあとにした。

 

「そう言えばこれ、年に一回できたらやりたいって言ってたけど、遠征とかしてるときはどうするんだろ」

 

「帰ってきてからとか……?」

 

そんな世間話してると、蓮華様、思春さんが姿を見せた。

 

「……ふたりとも……終わったかんじ?」

 

こちらを見た蓮華様がやってきて何かを確かめるように聞いてきました。

 

「はい、今は傷口を早く塞ぐため、傷口圧迫してます」

 

「……痛くなかった?」

 

「鍛錬の怪我に比べたら誤差ですよ?痛みは一瞬だけなので。……代わりに血を抜かれてる間の感覚は変というか、もどかしいところありますけどね」

 

「……なるほど、ありがと。おかげで心構えできたわ」

 

そういって思春さんと共にシュピーネさんがいる衝立の向こうに進んでいった……。

 

「あ、明命さん、亞莎さん。圧迫は大丈夫です。先程聞いたと思いますが、今日一日採血した腕で重いもの持ったり、夜まで包帯外すのは止めてくださいね。その包帯なら風呂も一応はいれますが、気になるなら日が沈んだあとに外してください、お疲れ様でした」

 

と衝立越しに告げられた。

 

「それじゃ、胡麻団子食べに行こっか」

 

「うん!」

 

私達は街に繰り出すことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――side 一夏

 

健康診断から3日後。

 

朝の集会にて学校で成績表もらうときみたいに旦那様から一人一人名前呼ばれて健康診断の結果を渡された。

 

結果は『至って健康、特に注意することもない、健康でよろしい』と日本語、中国語*1とドイツ語*2で書かれてた。

 

――一部の人が顔を青くしたりしてるけど、なにか不味いことあったのかな……?

 

「たぶん酒の飲み過ぎを指摘されてるだけでしょ。本当にやばかったら旦那様が禁酒を皆の前で言い渡してるだろうし」

 

鈴の言葉にそうだなって納得する。

 

「雪蓮」

 

「何?」

 

あ、旦那様がなんか雪蓮さんに動いた。

 

「――しばらく冥琳は入院。仕事は禁止。絶対安静だ」

 

「「「「は!?」」」」

 

突然の宣言で困惑する一同。

 

「……相当ヤバい病?」

 

束さんが険しい顔で問うと

 

「……特発性間質性肺炎だ。状態は線維化がそれなりに進んでいる。発症理由は遺伝と環境の複合が予想されるがそれは後だ。治療の方法は有るが――問題は症状が悪化するのが先か肺の培養と手術に取り書かれるのが先がだ」

 

険しい顔で返した旦那様。

 

「……ISの身体保護使えば症状遅延できるかも。あと培養の方引き受けよっか」

 

「任せた。――というわけだ、しばらく彼女を借りていく」

 

そういうと、目を丸くしてる冥琳をお姫様抱っこで連れていき、束さんはすこし急いで城の中庭に作った地下室のラボへと駆けていった。

 

しばらくして我に返った一同。

 

ざわつくが炎蓮が手を叩いて冷静に告げた。

 

「冥琳が動けないだけで機能不全になるような組織作った覚えねぇぞ! それに他のやつも小言以外特に無い健康とわかったし、手遅れになる前に気がついたから僥倖だろ!ほら、わかったら解散!」

 

そして追い出すように私達は大広間から追い出された。

 

……思うところ有るけど、仕事しないとな……。

 

 

*1
そういえばここ一部情勢とかちがうけど、後漢末期、つまり三国志の時代の大陸だった

*2
束さんが教えてくれた。あと筆記体みたい




次話からほんへに戻る予定です。
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