恋姫†無双 孫呉に現れし黄金の獣   作:月神サチ

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第二十話 小沛にて

――side ラインハルト

 

あれから数日。

 

何故か真名を預けてきた関……愛紗がいたり、交換条件達成したのに『自分はまだ満たしていない』と言い出して亞莎が見せたこと無い不機嫌そうな顔をしていたがそれはさておき。

 

道中何度か黄巾賊のはぐれらしいやつと接敵したが兵力差などで鎧袖一触したりして進んでいる。

 

そんな感じで小沛までやってきたが……。

 

「対黄巾賊の最前線だけあるわね」

 

「城壁はボロボロ、周囲は死体だらけ……」

 

「……」

 

曹操、雪蓮、劉備の反応はそれぞれだ。

 

特に劉備は凄惨な状況に顔を青くしている。

 

すると最前列を指揮している曹操軍の隊長?らしき人がやってきた。

 

「どうした」

 

「代表者を見て判断したいとのことです」

 

「助力しにきた相手にえらそうに……!」

 

荀彧が憤慨してるけど、曹操はそれを視線で黙らせる。

 

「……私と孫策、劉備に護衛としてラインハルト。この4人で行きましょうか」

 

「まあ、妥当ね」

 

「愛紗ちゃんが信用できるって言ってるし……お願いします」

 

「これが数の暴力か」

 

雪蓮にドナドナされて4人城門前に降り立つ。

 

「お前たちは何者か!」

 

門の上から武人らしき姿の人が問いかけてくる。

 

「我々、皇帝の勅にて黄巾賊討伐にきた揚州牧孫伯符!」

 

「同じく、兗州牧曹孟徳!」

 

「義勇軍劉玄徳!」

 

「……亡き徐州刺史陶謙が名代、陳珪様より許可が降りた!貴公らの入城を認める!」

 

武人の言葉に門が開かれる。

 

兵士たちが入城していくが

 

「これで既に黄巾賊に小沛落とされてて、入場おえた途端内外から包囲されたら手痛い被害受けそう」

 

「……もし、斥候たちが数日前に黄巾賊と殺し合ってるのを見てなかったらその可能性が頭に過ったかもしれないわね」

 

「……」

 

私達はそのまま小沛に入城したのだった。

 

 

 

 

 

 

「手狭でごめんなさいね」

 

迎えたのは左右に勾玉の陰陽の片割れモチーフの髪飾りをあしらった、濃い蒼色の髪をした美女である。

 

……コレで経産婦というのだから世の中わからんものである。

 

手狭と言われたため、先程の4人+荀彧、亞莎、諸葛亮の3人を追加した7人で赴くと、城の応接室に案内された。

 

劉備、曹操、雪蓮の3人が椅子に腰掛け、それぞれの参謀がその後ろに、そして私は扉傍の壁でソレを傍観するような立ち位置だ。

 

対して陳珪側は娘である陳登と……

 

「……プレミアに……ティア……?」

 

黒髪の前髪ぱっつんのショートに金色の髪飾り、ライトブルーの瞳をした10代前半の少女(プレミア)とその少女の髪色を白に反転させ、およそ6~8年ほど成長させた姿の(ティア)の姿をみて思わずこぼす。

 

とある仮想現実世界の一つ(SA:O)にて、黒の剣士とその仲間が邂逅した少女たちだ。

 

「!?」

 

「私達のことを……ご存しなのですか?」

 

「……伝聞がほとんどが、多少は識っている」

 

「教えてください! 私達が何者なのかを!」

 

「……申し訳ないけど、ふたりとも後に「約束したはずです! 私達が何者か知るために協力して援助する、その代わりに力を貸せと!約束を違えるつもりで!?」……わかったわよ。ただし、こっちは話があるから外でやって頂戴」

 

「わかりました」

 

「ええ、わかったわ」

 

私は両腕を掴まれたので振り向いて

 

「私にも聞けるようにしておいてくれ」

 

ソレだけ伝えておいた。

 

そして片耳にイヤホンをつけつつ、連行された――。

 

 

 

 

――side 雪蓮

 

私は端末を起動し、ラインハルトとの通信を始める。

 

「……さて、話の続きと行きましょうか。――まずこちら……ああ、二人がどれだけ情報開示するかはお任せするわ――私達孫伯符の軍勢は歩兵2万に弓兵の兼業が1万の合計3万。――物資については実質青天井。――その気になれば100年でも籠城できる」

 

「なっ!?」

 

「いやそれあの人頼りなんでしょ?」

 

「私達だって、条件をうまく使えば無制限にできるんですから!(あと怖いですけど)」

 

アタシの言葉に陳珪さんは驚いたけど、曹操と劉備の部下の諸葛亮が指摘してくる。

 

彼の財は私も使えるから*1。――乱用するとロクな事にならないらしいけど。

 

「……それは本当で?」

 

「嘘言ってどうするのよ。――ほら、コレでどっ!……う?」

 

手のひらを皿のようにして、虚空から金の延べ棒を受け止め――重っ!

 

慌てて力入れて体勢ととのえてから、目の前の机にドンと置いて見せる。

 

「……本物の金でできた棒みたいですね」

 

「やろうと思えばこの城をコレの山で破壊もできるんだけど、どうする?」

 

「雪蓮様、流石にラインハルト様に怒られるのでやめましょう?」

 

あれー? 私主なんだけどしれっと亞莎が首元に暗器突きつけてきたわ。

 

……彼の狂信者のほうが正しいか。

 

「……主従揃って、できないとは言わないのね」

 

「もしソレが本当なら、この国の金の価値が大暴落するのでは……?」

 

「あの人の力が孫策さんにも使えるなら、私達も使えるんじゃ……? 出ない」

 

「何らかの権限をラインハルトさんから付与されないと今の孫策さんのマネできないみたいですよ?」

 

『……あとでお仕置きな』

 

どこからともなく聞こえた声に、いつの間にかすり替えられていた耳飾りが通信機対応してたのを思い出して口がひきつる。

 

「……ラインハルト様がお仕置きを決定されたのでこの場でなにかするのはやめておきます」

 

そう言って亞莎が武器をしまう。

 

「えっと……兵士は3万、物資の方は心配不要な量あるってことね?」

 

陳珪の言葉にうなずく。

 

「次は私ね。――兵士は歩兵2万に騎兵と弓兵が4000ずつよ。物資は陳留からの補給路経由で定期的に受けてるわ。最後に受けたのが昨日。一応半月持つようにしつつこまめに補給してるわ」

 

「騎兵かぁ……後方の撹乱とかに使えると楽ね……」

 

曹操の言葉に陳珪がうなずく。

 

「私達は義勇兵で兵力は……その、2千……です。代わりに私の配下なら食料に加え、武具や消耗品を無制限に使える契約をさっきの人と交わしてます!」

 

「なので、契約の解釈を使えば『城にいる兵士や義勇兵にも食料、武具に消耗品をほぼ無制限に提供できます』が……」

 

劉備の言葉と諸葛亮の発言に陳珪が察したようだ。

 

こちらは物資の支援できるぞ、と言っていることに。

 

……それ実質、ラインハルトから支給されたものの横流しなんだけど……大丈夫なのかしら。

 

『残念だが形式だけでも劉備配下になっているなら適応対象になる。――まあ条件の追加を互いに禁止していないのでな、適当に条件追加して不履行による強制解除はできるので、私視点目に余る場合は強硬手段を使うつもりだ』

 

しれっと解説されて複雑な心境。

 

「――何がお望み? できることは限られているけど」

 

アタシたちも何かを言おうとしたけど、目で『まずは彼女たちの条件を聞いてから』と陳珪に告げられたので黙る。

 

「そうですね……『形だけ配下になること、あと中央と渡りをつけて』くださるならそれで」

 

「……そうねぇ……」

 

こちらを向いて次は私達の番らしい。

 

さて、どう条件をつけ――うん?

 

扉の方から足音がしたのでそちらを向くと

 

兵士が扉を開き、息をきらして駆け込んできた。

 

「大変です! 推定敵兵数10万! 数刻以内に到達します!」

 

「なんですって!?」

 

「……城の兵数は?」

 

「一万も居ないわ。――いえ、ソレより厄介なのは城壁や城門がかなり損傷してるから、防衛中に崩れてそこからなだれ込まれる可能性も……」

 

曹操が問いかけると焦るように陳珪が告げる。

 

私の方を向く曹操。

 

「……ここは打って出ましょうか」

 

「ええ。――籠城なら守りながら反撃の隙を狙う事もできるけど防衛拠点が正直心もとないわ。それに私と孫策合わせた時点で兵数は向こうの半分以上あり、質は間違いなくこちらが上……でも兵士全員城にはいってるから完全な野戦は無理か」

 

野戦を選びたいが、展開が終わるより先に敵が城に張り付くほうが早い気がする。

 

「では変則的ですがこちらの案を――」

 

諸葛亮が即座に案を提示してきた。

 

「いや、その案だと――」

 

「ならばこの形で展開すれば――」

 

荀彧、亞莎も負けじと案を提示している。

 

知恵袋いるのは便利よね。

 

……早く冥琳、良くならないかしら。

 

 

 

 

――side ラインハルト

 

「――というわけだ」

 

「「…………」」

 

私が知り得る情報を提示したところ、二人は複雑そうな顔をしていた。

 

……本当にふたりとも名前と互いが身内であるコト以外エピソード記憶*2が完全に欠落しているらしい。

 

「……あと、おそらくだが……元の世界に戻っても、意味はない」

 

「何故です?」

 

「……あまり言いたくないが……卿らがそれぞれをもとに作られた分身の可能性が高いからだ」

 

「「……」」

 

ふたりとも考える素振りを見せる。

 

「なら、わたしたちがいる意味はなんなのでしょうか」

 

「そうね……その仮想現実に戻れないなら、いる意味は……ちょっと待って」

 

ティアがこちらを見る。

 

「貴方の話と映像見る限り『キリト』という人の視線で話してる。それでさっき伝聞でと言っていたわね。――何らかの手段でキリトを通じて私達を知っていた……ゲーム、そうよ、貴方がゲームのプレイヤーで、キリトがアバターなら辻褄が」

 

綴命の錬金術師の有名なセリフを言いそうになったが抑える。

 

「その仮説が正しければ、彼の愛人になることがキリトの愛人になることと同意義になりますね」

 

「…………さすが桁違いのリソースを持ったAIだ。――今は違うようだが、頭の回転の速さは変わらぬようだな」

 

私は両手を上げて降参のポーズを取る。

 

「……私達に話しかけたのは……後悔や罪悪感があったのかしら?」

 

「ああ。――すまない」

 

ティアの言葉に素直に謝罪する。

 

「先程からおそらくや多分などの類推を使っていましたが全部知っていてあえて誤魔化していたと?」

 

「そのとおりだ」

 

プレミアの澄んだ目を見ていたら嘘をいう気も無くした。

 

「ちなみに愛人などは?」

 

「……露骨な格付けは後に響くと思ってな、一応の序列を作った嫁たちがいるだけだ」

 

「そこに私達もいれてくれるのかしら?」

 

「……卿らが抜けたらここの防衛が詰むだろう」

 

私は余計な揉め事を持ち込まれては困ると思っていたら、口が勝手に喋っていた。

 

「なるほど。ではここの領地が安定したら、そちらに合流します」

 

「それなら文句無いわよね?」

 

「……なるべく穏便にな」

 

私の言葉にうなずく二人。

 

「なるべく」

 

「穏便にやります」

 

などと会話していると、雪蓮から追加で連絡が来る。

 

『迎撃戦の作戦決まったわ、私達は北に展開するから、急いで合流して頂戴!』

 

「うむ、分かった」

 

私は通信を切り、二人にまた後でと伝えて窓から飛び出す。

 

そして屋根伝いに北門を目指すのだった――。

 

*1
獣注:制限かけてるため、出せるのは食物か金か剣の近接武器のみ

*2
個人的な出来事や経験を記憶したり思い出したりする場合の記憶である

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