――side ラインハルト
城についた時点で夜は明けており、既に起きていた周泰と張昭に見つかり、大騒ぎ。
寝てる面々が叩き起こされ、玉座の間に寝ぼけ眼数名含めた孫家の現在所属する恋姫が一堂に集められた。
玉座の前に私、背後に炎蓮、私に対し半円を描くように並ぶ恋姫たち。
「……私はラインハルト。フルネーム……正式な名をラインハルト・トリスタン・オイゲン・ハイドリヒという。真名を持たぬ所の育ち故に預け呼んでもらう真名を持たぬ。ラインハルトで通っているのでそう呼んでもらいたい」
私の言葉に背後で頷いたらしい炎蓮が口を開く。
「とりあえずお前らはコイツのことラインハルトで呼んどけ。んで、粋怜と祭紹介済みで真名預けてるから省略して……雷火、冥琳、穏!わかりやすいように前に出ろ」
炎蓮の言葉に3人の女性が一歩前に出る。
1人は幼児体型だが貫禄のある薄水色の髪をしたあまり日に焼けていない女性。
1人は腰まである黒髪と翠玉色の双眸、赤いフレームのメガネをかけたスタイルのいい褐色肌の女性。
1人は小さなメガネを付けた若草色の髪と白い肌の女性。
「ワシは張昭、字は子布。……お主が本当の天の御遣いか知らぬが、孫家に害為す者なら覚悟しておけよ?」
「……周瑜、字は公瑾。その、なんだ……色々大変そうだな」
「私は陸遜、字は伯言です。真名は穏といいますー。天の御遣い様って色々なことご存知ですよね?ぜひとも本を交えながら色々談議してみたいですねぇ」
「とりあえず3人下がれ。次、明命!」
その言葉に張昭、周瑜、穏は下がり、かわりに膝まである黒髪の娘が一歩前に出てから、慌てふためく。
「私だけ!? えとえと、私は周泰、字は幼平、真名は明命です! 御遣い様、よろしくお願い致します!」
そういうと元の位置に戻る。
「最後はオレの娘たちだ。――雪蓮、蓮華、小蓮!」
右から長女、次女、3女とわかる炎蓮の面影が色濃く残っている3人が前に出る。
「私は孫策、字は伯符。雪蓮って呼んでね」
「……孫権、字は仲謀」
「シャオは孫尚香。真名は小蓮。皆シャオって呼んでるから、お兄さんもシャオって呼んでね♪」
自己紹介終わると3人とも元の位置に戻る。
「――で、誰か気に入ったの居たか?」
「……顔と名前だけで判断はできん。いや、そもそも己を種馬にしようと目論んでる相手にそんなこと答えると思うかね???」
炎蓮の言葉に反論すると、つまらなそうな顔をする。
「はーーーーーー、つまんねぇ。ここで何人か食い散らかせばそれ理由に他所に行かないように楔にできたのによぉ……」
「しれっと恐ろしいこと言ってるな、コイツ」
「大殿をコイツ呼ばわり……!!!」
張昭が私の呼び方で反応して少なくない怒りを見せる。
「とりあえずコイツは食客……客人扱いでウチに居させる。かわりにラインハルトは天の知識あたりでなんか役に立ちそうなモンあったら提供しろ、できねえなら種出せ」
「種馬にならんよう、知恵なり何かしらを出させてもらうとするか」
「んじゃまあ、とりあえず他になんか報告無きゃ解散だ。ーーなさそうだな? んじゃ、解散。オレと粋怜と祭は寝てるからどうしてものときは起こせ。あとラインハルト、寝るときは部屋の前の札黒い札に代えとけよ、寝てるって意味だから」
そう炎蓮が連絡事項など伝えると一同は解散する。
「ねえ、ラインハルト」
……約一名が好奇心全開で寄ってきた。
「何かね、シャオ」
「お兄さんって本当に天の御使い? ちょーーっと信じられないんだけど……」
メスガキ風の煽りに見えた気がしたが、気のせいと思いつつ、少し考える。
「ふむ……ならコレを見せるか。――近いうちに外に出してやろうと思ってたしな」
私は懐からマスターボールを取り出し、それを近くに放り投げる。
「ウルォーード!!」
飛び出てきたのは剣を背の鞘に収めたザシアン。
マスターボールが手元に戻ってきたのでそれをキャッチし、懐に戻す。
「……ザシアン、ちょっとおとなしくしててくれ」
「?」
こちらを見て首を傾げたあと、おすわりの体勢になるザシアン。
「コレ何!? どうやって出したの!? 犬でも狼でも無いよね!? 何コレ!?」
目を丸くして近づき、あちこちを見たり触ったりするシャオ。
「天の国より離れた地のとある地方にて、伝説とされていたモンスター……一番近い言葉では怪物かな。その片割れだ。名はザシアン。ーーよほどのことがなければ私の言うことを大人しく聞くから多少なら触ってもいいぞ。ーー大丈夫だよな?」
「ウォン……」
なんか少し肩透かし食らった感じで覇気がない返事をするザシアン。
「懐から出した球から出てきたわよね。それ私も使える?」
興味津々のシャオ。
「出したとしても私以外の言うことは基本聞かんし、広域豪雨による災害起こせるヤツ*1や自然発火する鱗粉を無意識に撒くヤツ*2や体が鋼の棘で覆われているの*3がいるゆえ、取り扱いが難しいのだ。ーー後ろから腰にあるであろうボールを取ろうとしてる雪蓮あたりは特に気をつけてもらいたいものだ」
「げ、バレてる」
振り向くとそそくさと距離を取る雪蓮。
「……テメェが出すなら、問題ないんだろ? 出せるだけ出してみろよ」
玉座の位置に戻ってる炎蓮。
周りを見るといつの間にか全員が戻ってきてザシアンを見たりこちらの挙動を注視したりしている。
私はため息混じりにボールを4つ投げる。
ネットボールから出てきたのは頭、両腕に2個ずつ、背中に4つのコブを持つ青いカエルことしんどうポケモンのガマゲロゲ。
モンスターボールから姿を見せたのは赤い3対の羽を持つ蛾のような姿のたいようポケモンのウルガモス。
タイマーボールから現れたは背面が黒、前が黄色の翼を持つ黄色い鳥のでんげきポケモンことサンダー。
ハイパーボールから飛び出したのは表面の鋼に太い棘をつけた金属の円盤のような身体に頭側から生える3本の足で体を支えるとげだまポケモンのナットレイ。
4匹が揃って着地し、そこそこ音が鳴り響く。
「……あと1体が、その、雨を降らせるやつなのか?」
張昭がおずおずと問いかけてきた。
「……短時間雨降らせる程度なら出してもいいが、ここだと少し狭い」
「そんなにでかいの!?」
シャオが興味津々。ついでに孫権も気になってる様子。
「そっちの中庭ならどうだ?」
炎蓮に言われてそっちを確認。
「問題ない。――雨が降り始めるが構わんな?」
私の問いかけに一部はまだ疑いの目をもつが一応全員が了承の反応を見せてくれる。
「――出てこい、カイオーガ!」
2つ目のマスターボールを投げるとそこにはゲンシカイキしたカイオーガが……
「なぜゲンシカイキしている!」
瞬間的に天気が塗り替わり、大陸全土に土砂降りの雨が降り始める。
「んべっ」
カイオーガが口から何かを吐き出したのでそれをキャッチすると……
濡れてるあいいろのたまがあった。
「…………ゲンシグラードンが現れたら返す。とりあえず没収な。」
そう言い終える前にカイオーガの姿が光り、光が収まるとそこにはいつもの姿に戻ったカイオーガが鎮座していた。
「……」
どこか不満そうだが洪水起こされたらたまったものではないのでやむなし。
「……本当にそいつが現れた瞬間に大雨になったな……」
祭が困惑する面々を代表してそうこぼす。
なお雨はゲンシカイキの解除とともにすぐに弱くなり、軽い雨で10分もすれば止むだろう。
「天候を操る獣従える男が天の御使いじゃなかったら何が天の御使いだと思う? 雷火ァ」
振り向くとニヤニヤしながら張昭に疑問を投げかける炎蓮の姿が。
「――わかりました、コヤツを天の御使いだと認めますから、そのような顔はやめてくだされ」
頭を振りながらそう答える張昭。
「とりあえず、そいつらが何できるか、オレたちに説明してくれるよな?」
「構わんよ。――最も、コレが私の手札の全てではない。追々見せることになるとだけ言っておこう……」
彼らを従えることだけが取り柄と思われるのはあまり気分がよくないので釘を差しつつ、説明を始めるのだった――。