恋姫†無双 孫呉に現れし黄金の獣   作:月神サチ

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「敵を殲滅したい、ですか……」
「けど味方の人的被害少なく?」
「できれば練度違えば足並み揃わないからある程度役割分担出来るように?」
「いいじゃない。作戦立案、やってやるわよ!」


第三十話 決戦! 北海の戦い!

――side ラインハルト

 

青州に入り、北海郡に辿り着いた。

 

「作戦を説明する」

 

何故私が司会進行してるのか内心で首を傾げつつ、群雄の前で説明を続ける。

 

「今回の作戦は複数の段階による波状作戦となる。第1段は敵の補給物資に兵士を混入、同時に黄巾賊に扮して北海内部に合計一万を侵入させる。ここは懐に潜り込む関係上、かなり危険な役目だが、内部に1番乗りでき、張角の討伐が一番可能な部隊とも言える」

 

黄色い駒がひしめく北海の城郭の中に連合のコマを入れる。

 

「第二段階として侵入した者たちが動きやすくなるよう、敵の目を引き付ける軍。……なるべく派手に、陽動をする陽動部隊だ。陽動といえど殲滅を目標に据えているため、西門から通常の攻城戦を行う」

 

西門に黄巾賊の駒を集め、西門の外に連合軍の駒を配置する。

 

「第三段、潜入部隊が時を見て食料庫の火付け、城門のうち北と南の開門及び内部の撹乱を行う」

 

火のマークの駒を置いて代わりにいくつかの黄巾賊の駒を取り除く。

 

「第四段階として北、南の開門した門より侵入し、潜入部隊と合流後、東門へ黄巾賊が逃げられるようにしつつ、敵を攻撃」

 

北と南に連合軍の駒を置く。

 

「……それ敵に逃げられない?」

 

雪蓮の言葉に頷きつつ続ける。

 

「このままでは逃げられるな。故に最終段階がある。――東門より脱走した敵を騎馬隊による機動力で撹乱、撃破していき、各部隊が担当する場所の敵の減り具合を見て順次掃討に移行する。これが作戦の全体像だ」

 

「1番危険だけど首魁の首を狙える潜入・撹乱部隊。逃げた敵を殲滅する騎馬隊。敵を削り東門へと潜入部隊と共に追い立てる北と南の後詰め部隊。そして陽動の西門攻撃部隊。この4つ、細かく言えば5つに分けるってことね」

 

華琳の言葉に私は頷く。

 

「その通り。……さて、16万2千とすこしの兵力の割り振りの時間だ」

 

潜入部隊 孫策軍千+キリト+梨晏、粋怜、劉備軍千+関羽と孫乾、袁術軍千、曹操軍二千+夏侯姉妹、董卓軍千+華雄、呂布、袁紹軍四千

 

西門攻城部隊 孫策軍約四万+孫策軍潜入部隊と南門後詰め担当以外の面々、袁術軍一万九千、袁術と張勲、袁紹軍五千

 

北門後詰め部隊 袁紹軍四万一千+袁紹武将、劉備軍千+関羽以外の劉備軍武将。

 

南門後詰め 曹操軍二万九千+曹操、曹洪、荀彧、董卓軍四千+董卓、賈駆、孫策軍一万+祭、穏、明命

 

東門追撃部隊 曹操軍騎馬隊四千+三羽烏、董卓軍騎馬隊五千+張遼、陳宮

 

遊撃(劣勢箇所に援護、陽動の援護、掃討戦移行時西門未突破の場合西門破壊等) ラインハルト

 

 

 

「……1人で遊撃という巫山戯た提案はさておき概ねこれで良いかね?」

 

「異議あ「「「「「異議なし!」」」」」……むう……」

 

数の暴力で約1名の意見を封殺する諸侯。

 

……その連携取れるなら作戦も問題あるまいよ……。

 

 

 

 

 

 

――side 黄巾賊

 

「はえー、これ全部飯や金か」

 

日が暮れ始めた頃、北海の南門を門番してるオレたちの所に珍しいモノが来ていた。

 

「おうよ、成金袁紹のとこからかっぱらってきたんだ」

 

荷車を何台も引き連れた優男は自慢げにそう言いやがる。

 

相方の門番は全く疑ってねぇが……。

 

「本当に全部飯と金なんだろうなぁ?」

 

「なら適当に調べりゃいいだろ。だけど全部見るのは骨だぞ?」

 

「わーってるよ」

 

優男の言葉に反発しつつオレは適当な荷車の箱を開ける。

 

「……チッ」

 

嘘なら言いがかりつけてその女に持てそうな顔ボコボコにしてやるのに

 

他にもいくつか開けたがどれも米や銭、いくつかは砂金や宝石もあった。

 

だが変なところは『見つけられなかった』。

 

「……くそっ、さっさと入れ。なんか知らねえけど近くに下邳の同胞を殺しやがった連中がいるらしいからな」

 

「ああ、用心するよ」

 

開門するように指示し、優男と荷車が入るのを見送る。

 

「……にしてもあれだけあっても1月持つか怪しいのは、困ったもんだ」

 

「んだな」

 

とんまな相方と話していると、門の上に詰めてる連中が叫び声を上げた。

 

「おい!西から大量明かりが見える!敵襲だ!お前らも戻れ!こっちにも来るかもしれねえからな!」

 

「敵襲!? 巡回してる連中は何で見つけられなかった……!」

 

オレと相方も門を潜ってから門を閉める。

 

一息付けたとおもったが、ふとおかしいことに気がついた。

 

あれ?何でさっきの優男がこんな――

 

視界がズレて、意識が遠く――。

 

 

 

 

 

 

 

 

――side 雪蓮

 

「後陣の者は篝火を増やせ!我らの数を誤認させるのだ!」

 

「使い切るつもりでジャンジャン設置してくださいねー」

 

篝火を作りながら、進軍していく。

 

日が暮れてきたのもあり、北海の中が大騒ぎになってる気配を感じられる。

 

第二段階は順調ってとこかしらね

 

「前衛! 梯子や弓にて攻撃の準備!敵の眼をこちらに引きつけるのだ!」

 

でもまあ、城門こじ開けて乗っ取ってしまってもいいと思うのよね。

 

 

 

 

 

 

――side 恋

 

「……華雄とお前達は、南門確認したら張角探す。恋はあっちの北門開ける」

 

荷物から這い出して武器を手に取ったあと、兵士や華雄に指示する。

 

騒がしい方が西、ここは南門が近い。――なら北門を恋が開けにいく方がいい。

 

必要な事は伝えた。

 

さっさと行こう。

 

「……?」

 

そちらを向くと屋根伝いに走る黒い男の姿があった。

 

たしか……何だっけ?

 

味方なのはたしか。

 

気配がラインハルトによく似ている。

 

……家族にしては似すぎてる。

 

でも本人にしては少し違う。

 

……気になるけど後回し。

 

黒尽くめの彼を追いかけつつも、通りすがりに賊を薙ぎ払う。

 

……飽きるほど嗅いだ血と鉄の匂いが広がる。

 

早く終わらせよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――side 張角

 

「……ほんとうにどうしよう」

 

私達3人、ただの旅芸人をしてたところ、『その歌唱の才能なら天下を取れる』と金持ちの男に唆され、持ち上げられて気がついたら黄巾付けた応援団とそれに便乗した賊徒の首魁にされていた。

 

おまけに唆した男は行方知れず。

 

そして私達を朝敵として討伐する軍が今来ているというのだ。

 

「逃げるのは……無理かな」

 

「無理な気がする」

 

顔が真っ青な地和(ちーほう)ちゃん。

 

「……なにか方法は……?」

 

あんまり頭良くない私達分も頑張って考えてる人和(れんほう)ちゃん。

 

……2人は名前知られてないみたいだし、2人だけでも逃がせないかな……?

 

外が騒がしい。

 

……敵?

 

そう思って居ると扉が蹴破られる。

 

蹴破ったのは黒髪と赤い服をしてる女性と、黒髪黒服でまっくほくろな男性だった。

 

「……こいつらも捕虜でいいのか? 張角を名乗るやつはさっき殺したし」

 

「は?」

 

「え?」

 

「???」

 

え? 張角は私だよね?

 

どういうこと……?

 

「……いいんじゃないか? 念入りに隠されてたし。まあ捕虜以外は根切り*1って命令だから違うと答えたら……」

 

自身の首を親指で横に切る動作をする男。

 

……つまり捕虜と言い張らなきゃ殺されるということだ。

 

……あれ? でもなんでわざわざその事を口に……?

 

「根切りか……気が進まんがそういう話だったな。んで、お前たちはどっちなんだ?」

 

この人が忘れっぽいから釘刺しただけかな。

 

「私は――「「私達は張角に捕虜にされてました!」」」

 

……張角、ワタシ、アレ、チガッタ?

 

「……夏侯惇「春蘭で良いぞ! 華琳様が真名をあずけたしな!」……春蘭がここ怪しいといったんだから彼女たちを保護できた。だから華琳のところに連れてくがいいか?」

 

「……うむむ……」

 

男の言葉に女が少し困ったような、なにか品定めをするような目でこちらを見る。

 

「……役目をしっかりこなしたってオレやラインハルトが一筆書いても「よしすぐ連れて行け!」」

 

……この男の人相方さん?乗せるの上手いなぁ……。

 

男は肩をすくめた後、わたしたちのそばに来た。

 

「――ってことだから君たちを曹操という人のところで保護させてもらう。――くれぐれも君は張角と呼ばれても反応しないように。――二人は彼女の偽名考えてあげて。張華とか良いかもしれない」

 

後半の小声の言葉に私達は目を見開いた。

 

「「「――!?」」」

 

口を開こうとしたがその口を彼は人差し指で触れ、クビを横に振った。

 

「張角は夏侯惇が討伐した。――君たちは張角の慰み物にされていた捕虜だ。同時に『真実』を知るのは――オレと当事者の君たち……あと庇護する人物だけ。それでも前を向き生きるならよし。――真実につぶれて死ぬならそれまでだ」

 

最後だけ、どこか冷たい目で私達を見る男。

 

一度瞳を閉じて再び開いた彼の目に冷たさは無く、普通の目をしていた。

 

「――はい、色々聞きたいことあるだろうけど、ちょっとまっててね」

 

気がついたら天幕の中(外は……北海の中?)に居て、他にも明らかになにかされた後の姿の娘とかが周りに居た。

 

彼は風のようにいなくなり、私達は、何が起きたのかわからず困惑するばかり。

 

少しすると金色の髪の女性?(にしては胸と背丈が……)を連れて彼が戻ってきた。

 

「……それで?」

 

なんか浮気問い詰める奥さんみたいな声してる。

 

「春蘭……真名預けてくれた夏侯惇が張角を討伐したという表向きの討伐成果を提供したからその成果でトントンってことで」

 

男の言葉に大きなため息をつく女性。

 

「だから殲滅と彼が言っていたのね。保護するけどトントンじゃないわ。貸しイチよ」

 

「げ……お、お手柔らかにひとつ……」

 

「わかったから持ち場に戻りなさい。人の天幕に連れてくるんじゃないわよもう」

 

そういって彼を女性は追い払った。

 

そしてこちらを彼女は向く。

 

「ここじゃなんだから別の天幕で話しましょうか……」

 

 

 

 

 

 

 

 

結論から言えば、私が張華へ名前を変え、私達は曹操さんの庇護下に入ることに。

 

歌で人を引き付けることをどこからか(あの黒尽くめの彼だと思う)聞いたのか歌を歌わされ、歌手として兵士や街の慰安を条件にされたのは少し予想外。

 

反乱の原因になったのに同じこと起きないか心配しないのか聞いたら

 

「もしそうなったらせっかくの命が無駄になるだけね」

 

と言われた。

 

……絶対逆らわないようにしなきゃ……。

 

 

 

*1
1人残らず皆殺し




たぶん次かその次でこの章は締めくくり。
しばらく拠点回の予定。
高評価、感想お待ちしています。
それではまた。
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