恋姫†無双 孫呉に現れし黄金の獣   作:月神サチ

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「……あとはラインハルト様を使者として送り、『やらかして』くだされば完璧です」
「……彼そろそろ怒らない?」
「どっちかというと何も知らされてなくてしょんぼりするかなって」
「既知感よりはマシみたいだけど、これ悪い意味のサプライズでは?」
「……帰ってきたら優しくしてあげよっか」
「「「「賛成」」」」


第三十二話 暗躍する?黄金の獣

――side ラインハルト

 

私はレナルルの依頼で漢中の城に使者として訪れていた。

 

「ようこそ、使者様。 歓迎します。面を上げてください」

 

頭を上げるとそこには玉座に座る有明の女王……鹿島そっくりな娘にその隣で微笑む四条貴音そっくりの女性、そして貴音?の反対側にはペコリーヌそっくりの娘がこちらを興味深そうに見ていた。

 

「私は張魯。漢中太守を努めさせていただいています。隣にいるのが母の張範と妹の張衛です」

 

鹿島……張魯がそういって自身と貴音そっくりの女性、ペコリーヌそっくりの娘の紹介をした。

 

「私はラインハルト。揚州牧孫仲謀より『五斗米道の長』と『漢中太守』への手紙を持ってきた」

 

「……拝見しましょう」

 

近くに兵士が来たのでそれに2通の手紙を渡す。

 

それを兵士が持っていき、1つずつ中身に目を通していく。

 

……左右に居る2人も覗き込んでいる。

 

ちなみに中身は『五斗米道を広げるつもりはないか、あるなら揚州、及び漢中―揚州間の長江沿いに展開していくのはどうか。希望するなら手伝いたい』という提案と『劉焉と敵対しているのは知っている。防衛で武具等不足していることも。必要なら用立てたい。代わりに漢中―揚州間の長江沿いに孫家の者で作った商会を出すので輸送などに多少人手を貸して欲しい』という提案だ。

 

「……なるほど」

 

割と読むのが早いのか、直ぐに2通とも読み切る張魯。

 

「……話はわかりました。いずれもそれなりに気の長い話になりますが、私や五斗米道……そして漢中の事にとって良い話には違いありません。両方の件について提案を飲ませてもらいます。……口頭での返事だけでは心もとないと思います。お返事を認めますので、一度客間にてお待ちを」

 

私はその言葉に頷いて拱手し、退出する。

 

 

 

 

 

 

 

外に出て、兵士に案内されるのかと思っていたら、張衛と張範がやってきて2人で両腕を掴み、客間に案内された。

 

そして私の左右に座り、ものすごく甲斐甲斐しく世話をし始める。

 

「……使者一人に随分と待遇が良い気がするのだが」

 

すると2人は微笑む。

 

「孫家の実権握ってる方と仲良くしておけば何かと困ったときなどに助けていただけるかなと」

 

「それに皇帝でさえ食べたこと無い美食の数々を知り、1人で万の軍さえ鎧袖一触と聞きました! それもありますが、純粋に一目惚れですかね」

 

「……素直でよろしい。張魯殿次第だが、使者としての仕事が終わったら、一食振る舞おう」

 

その言葉に張衛がピョンピョン跳ねて喜ぶ。

 

色々零れそうになってるのだが、指摘したら嫌な予感したので目線をそらしてお茶を飲む。

 

「……気に入りましたら側室などにどうですか?」

 

張範の言葉にお茶を吹かなかった私を誰か褒めて欲しい。

 

「……母親としてそれはどうなんだ?」

 

「娘が乗り気なら、背中を押すのも親の務めですから。……たしか手紙には孫家の長の母娘とも関係があるとありましたね。……父の命で契った夫も今は土の下。私も持て余しておりますので娘と一緒にどうですか?」

 

墓穴掘ったな(確信)

 

「……長女だけ仲間外れだがそれは良いのか?」

 

不意打ち連打で思考が狂ったか口からトンチキ発言が飛び出した。

 

訂正しようとしたが後の祭り。

 

「まあ、鹿島にもお情けをいただけるので? ありがたいですわね」

 

……逃げると今後の計画が破綻し、受けるとイオンのふくれっ面が確定である。

 

「……少し揚州と連絡する」

 

私はそう言いながら通信端末で揚州にいる面々に連絡を取る。

 

すると通話開いた途端

 

『歓迎するから、遠慮なく食べちゃっていいよ』

 

とイオンからの回答が飛んできた。

 

「……同調*1経由で見てたか」

 

『うん。ちなみに情報共有は既にしてて、正妻権限で強行採決したから問題ないよ』

 

「……左様か。では……またな」

 

『寄り道せずに帰ってきてね、あなた♪』

 

イオンの言葉で通信が切られた。

 

「……では早速……」

 

手を下半身のほうに伸ばしてきた張範だが

 

「失礼します! 返事のほう認め終えたため、改めて謁見の間に起こしください!」

 

兵士によってそれは阻止された。

 

「……では行きましょうか」

 

私は2人に両腕を掴まれて連行される。

 

ドナドナの歌が流れて来そうだ。

 

 

 

 

 

 

謁見の間にたどり着くと、張衛が誰かに怒られている。

 

「休みを与えると珍しく言ってくださったと思ったら――」

 

そこそこ長い説教なので聞き流していると、張衛がこちらを見る。

 

「都、使者の方がいますからそのへんで……」

 

すると説教していた人物はこちらに目線を向けた。

 

……峰津院都そっくりの娘はこちらを見て茫然としている。

 

「……えっと、手紙の件ですが正式にお受けしますのでこちらどうぞっ!」

 

そういうと張衛は全力でこちらに駆けて半ば叩きつけるように手紙を渡してきた。

 

「あっちょっと!?」

 

「都、独立独歩が理想だけどできるとは限らないのよ」

 

……話がいまいち読めない。

 

「……実はそっちの閻圃、どうも漢中だけで完結させたいと考えているのか、外ならの干渉を毛嫌いしているのです」

 

「内政をほぼほぼ一手に引き受けている有能な娘なんですけどね……」

 

張範と張衛の言葉に張魯も頷く。

 

「……では細かい話は張範殿の閨にて詰めるとしようか」

 

私の言葉に3名は何かを察したのか頷き引っ張るように案内する。

 

後方から待てとの声が聞こえたが、3人が待つわけ無し。

 

張範の閨に飛び込む。

 

それを追いかけるように駆け込む閻圃。

 

そして閉じられる閨の扉。

 

閉じたのは部屋の主とだけ弁明しておく。

 

 

 

 

 

 

 

「……ということで外交は私がやるから、都は引き続き内政をお願いね」

 

「は、はいい……」

 

白濁液が白磁のような肌のあちこちについた状態で都(閻圃)は鹿島(張魯)の言葉に頷く。

 

「……お母様……まだお元気そうですね……」

 

「ふふ、ペコリーヌ。回数重ねればなれるものですから」

 

私を軸に反対側で貴音(張範)とペコリーヌ(張衛。貴音曰く大秦被れた夫が付けたとのこと)が呑気に会話している。

 

……とりあえず漢中とコネ作れて五斗米道を隠れ蓑にする協定など諸々結べたのでヨシ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……なるほど。この端末もっている人は『お手つき済み』か『ラインハルトさんと水面下で繋がっている』かのどちらかと」

 

翌日、謁見の間にて改めて会話。

 

私の渡した端末を見ながら都はそう口にした。

 

「……もう少し言い方……まあいい。とりあえず契約通り貴音とペコリーヌは連れて行く。……代わりに下級文官、武官として使える者を100ずつおいていく。好きに使うといい」

 

「食べてばかりの穀潰し2人を押し付けてしまった挙げ句、仕事に役立つ者を200も貸していただけるとは……ありがたい限りです」

 

「ちょっと都さん?」

 

「穀潰しはひどいです!」

 

貴音とペコリーヌの横槍にキッとした顔をする。

 

「ペコリーヌは10働いて100食べてるんで結果的に穀潰しです。貴音様は突発的な催事を企画実行をされるので内政の予定が狂ってるので邪魔です」

 

「……私も同意かな~って」

 

「「裏切られた!?」」

 

「……とりあえず近いうちに来ることになるだろう。……寂しければ呼ぶと良い。いつでもとはいかぬが、こちらに足を運ぼう」

 

長引きそうなので話をぶった切って別れの挨拶を告げる。

 

「はい、お待ちしていますね♡」

 

「……デキたら責任は取ってもらいますので」

 

私は内心胃痛に苛まれつつも頷き、ペコリーヌと貴音を連れて廬江へと転移した……。

 

*1
サージュ・コンチェルトの用語。精神的に繋がることで相手の思考を共有したり、視覚聴覚なども共有できる。共有の度合いは双方で調整可能だが、共有する段階になるには深い信頼関係が必要。なおラインハルトはこの時点まで素で同調関連のことを忘れていた

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