恋姫†無双 孫呉に現れし黄金の獣   作:月神サチ

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『劉備、漢中を得る』
劉備はラインハルトの提案で漢中に拠点を移すようです。


『曹操と袁紹と燻る火種』
なにやら曹操と袁紹の間で火種が燻っているようです。


拠点にて その8.5

『劉備、漢中を得る』

 

――side 趙雲

 

私は趙雲、字子龍。真名を星という。

 

桃香様たちと共に黄巾賊征伐に参戦し、今は桃香様の将として槍を振るっている。

 

「こっちだ」

 

そして現在、愛紗の提案と桃香様の決断により、ラインハルトという黄金の獣の招聘に応じ、我々は寿春に来ていた。

 

謁見の間の扉が開かれると、そこには孫家の文官武官が勢揃いしていた。

 

……む? たしか黄巾賊征伐の時に董卓軍として参戦していた董卓とその配下もいるのはなぜだろう。

 

「よく来てくれた」

 

たしか孫権だったか……江東の虎と呼ばれし孫文台の次女と聞くが、何故揚州牧の孫策を横に侍らせて孫権が玉座に座る??

 

「知らぬものもいるだろうから名乗らせてもらう。私は孫権、字は仲謀。――中央より認められて家督と州牧を姉の孫策より引き継いだものだ」

 

「そゆことだから、今度から孫家の長とか揚州牧宛は私じゃなくて妹に届くからよろしくね」

 

……寿春に挨拶することを条件にしたのはこれが理由だったのだろうか。

 

……まだなにかあるかもしれんな。

 

「……えっと……私は劉備、字は玄徳です。この度益州牧に任命されたのでそちらに向かうことになりました」

 

「ああ、話は聞いている。……移動やこちらへの挨拶についてはラインハルトの独断だ。……ラインハルト、挨拶も済ませたし話に必要ないものは下げようと思うが残しておきたいものはいるか?」

 

「ペコリーヌと立ち会いとして卿だな」

 

ラインハルトがいけしゃあしゃあというと、孫権が顔をしかめた。

 

「……埋め合わせはしっかりしてもらうから」

 

「無論だ」

 

「では残りは撤収。あとはラインハルトに一任する」

 

そう孫権はいうと頬杖ついて傍観の構えになった。

 

ペコリーヌと呼ばれた娘――私より胸があるな――はラインハルトの隣で腕に抱きついた。

 

……愛紗が嫉妬の視線を向けているがお構い無しのようだ。

 

「さて、卿らの行き先についてだが、――穀倉地帯であり張魯ら五斗米道が治める郡である――漢中だ」

 

「質問いいですか?」

 

朱里は手を上げてそう発言する。

 

「質問を認める」

 

「たしか、馬超さんが赴任してるはずですが、何故張魯さんが治めてるのですか?」

 

「まだ赴任してきていないからだ」

 

「なら漢中はこちらに敵対してるのでは?」

 

雛里が疑問を口にする。

 

「それらを含めこれから説明する」

 

そういうとどこからともなく机と机の大きさとほぼ同じ大きさの地図が現れる。

 

ラインハルトがその傍に向かったので私達もそこに向かう。

 

「まず益州の主な勢力だが、漢中の張魯、永安の張任、そして残る領域の劉焉となっている」

 

張魯と書かれた旗と張任と書かれた旗が漢中と永安に配置される。

 

「ここで注意したいのは永安の勢力。劉焉に一応従うが、荊州への睨みを効かせる事が最優先で、劉焉に敵対しないが、積極的に味方になることもしない。とにかく荊州からの敵を排除することに心血を注いでいる。触らなければ戦うことはほぼ無い」

 

張任の旗の隣に一回り小さい『中立』という旗を建てる。

 

「次に張魯だが……実のところ漢にちゃんと従っているし、収めるものも納めている。まともな統治をするなら喜んで従うことも確認済みだ」

 

「ちょっと込み入った話があるんですよね……」

 

ペコリーヌという娘の言葉にラインハルトもどう話すか悩んでいるようだった。

 

「まず劉焉が赴任早々に私腹肥やすために漢中が納める税率を5倍にするよう命令してきた。それに激怒した漢中は使者を叩き返した。その後漢中で放火人さらい果てには成都から中央への税の輸送だけ襲撃されるという事件が漢中でおき、劉焉から補填しろと要求された」

 

「そのため漢中以南の関を閉鎖して『漢中は危険なため、荊州経由で輸送しましょう』と三行半叩きつけて漢中は漢中で直接中央に税を納めることにした……までは良かったんですが」

 

「中央にツテはなく、とりあえず宮城の役人に依頼したところ9割中抜きされて国庫に収められており、それが数年続いて中央から収めるべき税を納めてないと言われ、今に至るようだ」

 

「ちなみに劉焉は意図的に収入を低く見せて差額を懐に収めたりしてたみたいですが、改ざんが甘く中央から指摘されたようです。それに反発して税を納めてないせいで、益州は反乱してる認定されたみたいです」

 

ラインハルトとペコリーヌの説明に一同が顔を覆った。

 

「……張魯の方は依頼する役人選び間違えたのが運の尽きだな。劉焉の方は論外だ」

 

「なので、劉焉討伐して、法に定められたとおりに税を収める分には漢中は素直に従いますし、劉焉討伐なら協力惜しまないかと」

 

「では各自理解したようなので移動するとしようか」

 

ラインハルトの言葉で一瞬空間が歪んだと思ったら、いつの間にか孫権が玉座から消えていた。

 

……いや、良く見たら謁見の間の装飾などが違うのでここは……。

 

「あら、ラインハルトさん、良くきましたね」

 

近くに見慣れぬ女性がいた。

 

「劉備とその配下だ。彼女が張魯。部下の閻圃とともに漢中の切り盛りと五斗米道の統括をしている」

 

「益州牧就任おめでとうございます。漢中として劉焉の横暴や中央の悪徳役人に頭を悩ませておりました。皆様のお陰で悩みもなんとかなると思うと、気が楽になりますね」

 

「あ、はい。よろしくお願いします!」

 

張魯の言葉に桃香様は返事して握手する。

 

「ラインハルト様からお話は伺っています。お部屋も人数分城2用意しましたし屋敷も用意がありますのであとでご確認ください。あと荷物についてはラインハルト様にここへ出してもらいますのであとで各自使う屋敷をきめたあと回収いだたければと」

 

そういって張魯は食堂へと私達を案内する。

 

 

 

 

 

このあと歓迎の食事をしてるところに馬超が乱入したり和解して桃香様の旗下に妹たちとともにはいったりしたがそのあたりは割愛させてもらおう。

 

 

 

 

 

 

 

『曹操と袁紹と燻る火種』

 

 

――side 華琳

 

私は執務室にて、書簡に乗ってるある報告を見て顔をしかめる。

 

「……黄河にて袁紹軍が商隊を襲撃……今月で6回目ね、この手の報告が上がるの」

 

「なーんかおかしいですよねぇ」

 

書簡を読む手を止めて風(程昱)がそう口にする。

 

「本当に袁紹軍の犯行ならあからさま過ぎますし、誰かがなりすましているなら誰がという疑問が残りますからね」

 

稟(郭嘉)も風の言葉に具体的な箇所の指摘をする。

 

「……袁紹軍の末端まで掌握しきれてない…とかあり得るのでしょうか?」

 

桂花の言葉に私はしっくりこない。

 

「あり得るけど、冀州は麗羽が最初に治め始めたところよ?他の州が掌握できてないなんて考えられないとおもうのだけど」

 

私の言葉に思案する参謀の3人。

 

「……ぐー」

 

「風寝るなっ!」

 

「おおっ、推測する手がかりがなさすぎて意識が遠くなってました」

 

突然船を漕ぎ始めた風とそれに突っ込む稟。

 

相変わらず息が合うわね。

 

「今思ったのですが、袁紹さんって今回の黄巾賊討伐の報酬として部下2人が収牧に任命されたと記憶してます」

 

「……そういえばそうね」

 

「つまり冀州の人員を新しく部下が治める州に割り振って、并州の人員を冀州に引っ張ってきたから起きてる可能性があるってこと?」

 

桂花も頭の切れる娘だから、風の言おうとしたことを察し、言葉にしたようね。

 

「……それでも月に何度も襲撃するようなことやっていれば流石に気がつく……委任してる郡守以上の人間が握りつぶしている?」

 

「可能性は否めないかと」

 

稟が否定しようとしてあり得る可能性に至りそれを仮説として口にすると、風は頷いた。

 

「……細作を使って秘密裏に手紙を送ってみましょう。それと表向きにもしっかり問い合わせるべきね。とりあえず細作の手配と問い合わせの使者の手配を風、おねがいね」

 

「それでは早速行ってきます」

 

私の言葉にすぐさま動き出す風。

 

……中央も異様に静かだし……警戒しておくにこしたことはないわね。

 

 

 




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