ハリー・ポッターがバグった件   作:怠惰の徒

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転生特典

「ロン!!」

 

「ハリー、君がチェックメイトをかけるんだ!」

 

チェスの部屋ではロンを犠牲に、ハリー、ハーマイオニー、ドリムは次の部屋に進んだ。その先の部屋で絶望が待っていると知らないロンはある意味幸せのだろう。

 

「……ドリム、ハーマイオニー、静かに。トロールだ」

 

チェスで勝負した広間を抜けると、100m四方くらいの大きな広間がありそこにはトロールが4匹いた。

 

「どうやって抜けるつもり?……剣で殺すとかはやめて欲しいわ」

 

「走って抜けるとかどうかな?」

 

ハーマイオニーとドリムが言うが、さすがにすぐ近くを走ったらバレてしまうだろう。

であれば、首を切るか?それもまだハリーの実力では厳しいだろう。いいところ2体までしか倒せないと思う。そもそも4体相手にすること自体が難しく、ハーマイオニーとドリムを守りながら戦うのも厳しい。

そうなるとまだ一番可能性がありそうなのはスニーキングか。

 

「足音を消して向こうまで行こう。ダメそうなら僕が対応する」

 

「あのねハリー。普通に足音殺して歩けるように言ってるけどそれできるのあなた

だけよ?」

 

ハーマイオニーから何言ってんだこいつ、って顔をされる。

 

「ハリーって結構アホだよね」

 

ドリムにだけは言われたくない。いや、最近はちゃんと考えているような気がするけど。

 

「じゃあ倒すしかないか。僕が2体やる。ハーマイオニーとドリムは1体ずつ倒してくれ」

 

「M.O.M.分類XXXXの生物を倒せるわけないでしょ……!というかあなた2体なら行けるの!?」

 

「でもでも、このままだとスネイプ教授に賢者の石取られちゃわない?どっちにしても進まないとだよ?」

 

ドリムの言う通り、覚悟を決める時だろう。覚悟を決めろ……!

 

「いやいや、ここは私に任せてほしい」

 

そう覚悟を決めた時、白い髪の、少女のような男がこちらに来た。

 

「マリ師匠!」

 

「うん。君の師匠もどきをしているマリだよ。さて、この場ではこう言うのがいいと聞いたよ」

 

もったいぶった言い方をしてマリ師匠は言う。

 

「ここは私に任せて先に行け!」

 

「「「それ死ぬやつ!」」」

 

そういうと。師匠は剣を持ってトロールに向かっていった。

 

「ハーマイオニー、ドリム、とにかく走るよ!」

 

師匠でも4体のトロールは……めちゃくちゃ余裕な気もするが、守る対象がいるといないのとでは話が変わってくる。できる限り早く僕たちは進むべきだ。

 

トロールを相手取るマリ師匠を信じて、次へ進む。

 

 

 

 

 

さて、ハリーは次の部屋に進んだようだし、ここからは秒殺させてもらおう。

 

「ねー。なんで私隠れてたの?」

 

ハリー一行が次の部屋に進んだことを確認すると、ややこしそうだったので隠れて貰っていたアイが出てくる。今のドリムに会わせるのは、なんとなくなのだが嫌な感じがした。だから隠れていてもらった。

 

「うーん。正直これといった理由を説明できないんだけど、なんとなく、が一番合ってるかな?」

 

「直感みたいな感じ?」

 

「そうだね。そう表現するのがよさそうだ」

 

雑談しながら、トロールを斬り殺す。しかし、何でアイとドリムを会わせちゃいけないと思ったのだろうか。

相性が悪そうとか、そういう感じでもないんだよね。

色々と考えながら戦い、トロールの討伐を終わらせる。

 

「よし、終わり!」

 

「1分半か。ちょうどいいかな」

 

奪ってしまった命に、近くに咲いていた花を摘み、供える。ちょっとした気持ちにはなるだろうか。さて、時間的に、そろそろハーマイオニーが謎を突破する頃だろう。奥の部屋に着くころには多分ちょうどハリーとヴォルデモートが対峙している頃になるだろう。

 

「さて、せっかくだから物語を特等席で見に行こうか」

 

「あ、それで私を誘ったんだ~」

 

「…………」

 

「マリ?」

 

「あ、いやごめん。何でもないよ。じゃあ、幻術で分からないようにしてから行こうか。夢のように片付けよう」

 

幻術をかけてマリとハリーを見に行く。

 

途中戻ってきたハーマイオニーが全力で出口に向かっていた。

何でマリがいないのかとか考えずに走ってチェスの部屋に向かっているので、ロンを助けに行ったのだろう。

 

みぞの鏡がある部屋に入ると、ちょうど賢者の石を鏡から手に入れたところだった。入ってすぐ横にはドリムが気絶していた。おそらく、ハリーとドリムでクィレル教授と戦ったのだろうか。ハリーは金縛りを受けて操られ、ドリムは失神呪文を受けたのか、入口の横で意識を失っている。

 

「一応、死なれたら困るからね」

 

流れ弾をもらってもなので、見えないように物理的に壁を作っておこう。こういう状況だと幻術は便利だ。

変身術で少し厚めに壁を作り、ドリムを囲う。

 

さて、この物語の最終章だ。よく見させてもらおう。

 

 

 

 

 

 

「ねえ、マリ、あれは、何?」

 

ハリーの手によって焼かれているクィレル教授を見ながらアイはいう。

 

「あれ、愛の魔法だよね……?愛って、あんな風に人を傷つけるものなの?人を殺せる物なの?」

 

クィレル教授が灰になっていく。あんな風に人を殺すような魔法が、本当に愛なのだろうか。

 

「だって、だとしたらお母さんは……」

 

あれを愛の魔法の効果だとしたら、愛することで傷つけることが正しいのなら

 

「お母さんは、私を愛していた?」

 

傷つけることも愛だとしたら、きっと、お母さんは私を愛していたのだろう。物を投げつけられ、ガラスで口の中を切った。それも愛だった?

分からない。愛するってことが分かりかけていると思っていた。

 

アイの顔から血の気が引いており、真っ白で今にも倒れそうになっていた

 

「落ち着いて。少し休める場所まで行こう」

 

マリに連れられて秘密の部屋まで連れてかれる。そんなことが気にならないくらいに、私の心はぐちゃぐちゃになっていた。分からない。愛とは何なのだろう。私は、愛されていたのか。本物を感じていたのか。じゃあ、私が感じかけているこの思いは一体何なのだろうか。

 

「ゆっくり息をすって、大丈夫、心臓の音聞こえる?」

 

ソファーに座り、マリの胸元に抱きしめられる。右耳からマリの心音が聞こえる。

トクン、トクンと音が聞こえ、徐々にぐちゃぐちゃだった頭がましになってくる。

 

「……もう大丈夫」

 

「もう少し今のままでいて欲しいな」

 

マリは嘘で塗り固めた私を簡単に見抜くなぁ……

心音が少しずつ私をあったかい気持ちにさせて

少しだけ落ち着いた頭で、考える。傷つけるのも愛なのだとしたら愛ってなんなんだろう。マリにリインに、私は愛されていると思い始めていたけど、愛せるって思い始めていたけど、分からなくなってきた。

 

「話半分に聞いていればいいからね。感じ方は人それぞれだから」

 

「……うん」

 

少し落ち着いたところでマリが話し出す。

 

「例えばだけど、私もリインも、誰かがアイを殴ったら殴ったやつを殴り返しに行く自信があるよ。でもそれってさ、アイのことを愛しているからだと思うんだ。自分が愛している人が害されたら、そいつに報いを受けさせたくなるはずさ。それも1つの愛の形だよ」

 

例えば私が殴られたらアイはどうする?とか言いながらマリが話す。

 

「……マリが殴られることは天地がひっくり返ってもありえないかな」

 

「はは、そうかもね」

 

でもそっか。愛している人が害されたらそうなるのかも。

愛ゆえに傷つける、か。

 

「でも、そっか。じゃあ結局、お母さんは私を憎んでいたってことなのかな……愛しているって言ってくれたのに」

 

きっと、私以外を愛していて、それで私がその人の邪魔になるから私を……

嫌な思考に陥っていく、その前にマリが言葉を発する。

 

「それに関しては、多分だけど違うよ」

 

「……何で?」

 

「うーん。そうだな。可愛さ余って憎さが百倍って諺があってね、愛しているからこそ、そのあとに憎んでしまったら、より憎んでしまう、負の感情を出してしまうって意味だよ」

 

じゃあ、私は愛されていたのだろうか。

不安から、少しだけマリを抱きしめる力が強くなってしまう。

 

「最初は愛していたんだと思うよ。でも、上手くいかなくて、感情が整理できなくなっちゃったんだろうね。多分、憎い、というよりは怒ってたんだろうね。怒りって感情は自分の思い通りにならないことで発露する感情だ。愛しているのにどうして思い通りにならないのか、そう思ってしまったのだろう。でもそれはアイがもっといい子になればいいとか、そういう話じゃない。自分自身の行動が、周りの環境が、上手くいかない状況が、様々な要因が噛みあって、どうしようもなくなって、周りにあたってしまった」

 

そっか。

 

「人の感情は移ろうもの。何かを体験したことで、何かを見たことで、大なり小なり考え方は変わってしまうもの。でも、最期まで愛そうとしていたのは確かなんだろうね」

 

お母さんは、私に何かやってしまった時、謝っていた。だんだんとそれもなくなってきて、警察に捕まって、最後は迎えに来てくれなかった。

 

「だからアイは本物の愛を知っているんだよ。ただ色々ありすぎて分からなくなっちゃただけ。ゆっくりでいいんだ。最初に会った時より、知りたいことは近くなっているよ」

 

「……うん」

 

でも、もう少し、こうしていたい。

 

「大丈夫。大丈夫だよ。アイはちゃんとできてるよ。私もリインもアイのことが大好きだよ。安心して」

 

マリに優しく頭を撫でられ、体から力が抜けていく。いつの間にかマリの膝に頭が乗っている。

気持ちよい微睡みの中、いつしか夢の中に落ちていった。

 

 

 

 

 

 

「……寝ちゃったか」

 

ゆっくり頭を撫でるのをやめて、アイにタオルケットをかける。

寮に行くと周りの目が気になってしまうだろうから、8階の必要の部屋を使わせてもらった。誰か来ても困るので、入口はコロポータスで塞いだ。

 

「少し寝てもらってから寮の自室に戻ろうかな」

 

眠ったばかりなのだ。もう少し寝かせてから移動した方がいいだろう。眠気が取れすぎても良くないから15分くらいしたらアイを起こして部屋に戻ろう。

そう考えて、今日のことを少し振り返る。愛は

 

「やっぱり、見せるには早かったかな」

 

……やっぱり?

 

ふと違和感に気が付いた。どうして私はアイをハリーとヴォルデモートの前に連れて行ったのだろうか?

列車の時のアイの様子から分かっていたはずだ。愛の魔法に焼かれるクィレル教授を見て良い刺激にならないことくらい。なのに何で連れてきた?

賢者の石を取りに行くハリーたちを手助けした際、ロンを救わずに、トロールのタイミングで介入したのも私にしては変だ。

いや、そもそも禁じられた森で介入したこと自体もおかしい。あれは別に介入しなくても誰も死なないし、傷つかなかったはず。

 

共通点はなんだ?

 

 

 

 

ああ、どちらもドリム・ポッターがいたことか。

 

らしくないと思った。関わり深くない人のために動いていた。

 

アイと会った時の、私の行動指針とほぼ関わりがないドリム・ポッターを助けるために動いている。

 

「なるほど、そうか。そういうことか。私はドリム・ポッターの転生特典として用意された存在だったのか」

 




もう1話くらいシリアスやったらもとに戻ります。

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