ハリー・ポッターがバグった件   作:怠惰の徒

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ろくでもない奴

キャンプから帰って2日後、夢の中で久しぶりにマリはレティに出会っていた。

 

「うーん。夢の中に入られる感覚ってこういう感じなんだね」

 

マーリンと出会った時のような空間にマリとレティがいた。

 

「随分と早い再会だね、姉さん。それはそれとしてぶん殴っていいかな?」

 

「弟が暴力的になった!反抗期なのかい!?……いや、うん殴らないでね?それに、私もこんなに早く手を出すことになるとは思わなかったよ」

 

ニコニコと笑っているレティ姉さん。変なことを言わなければいいけど。それはそれとして僕の顔をプーリン寄りにしたのは許せない。

 

「それで、何があったの?」

 

「えー。なんか怒ってない?それより、もうちょっと姉弟の会話とかしたいなー。こう、海でこんなことがーとかそういう話をするもんじゃない?というか私誘われてない……せっかく水着も用意してあるのに……お姉ちゃんは悲しんでいます」

 

め、めんどくせーとマリは思った。おそらく、誘われなかったことが思ったより悲しかったらしい。この人こんな性格だっただろうか。

 

「いや、さすがに無理だよ。急に僕の姉ですって出てきたら違和感しかないでしょ?姉さんがいることは僕しか知らないんだよ?」

 

アイとリインは一回会ってはいるけど、今のままだとただの姉を名乗る不審者でしかない。顔が似ている分、兄弟と認知される可能性は高いが、認知された場合弟を最低3年は放置している社会不適合者判定をされる。

 

「えーと、生き別れの姉弟とかどう?ちょうどいい感じで誤魔化せるんじゃないかな?」

 

「うーん。どうだろう?千里眼持ってて気が付かないの?とか言われそうな気がするけど、まだ誤魔化せるかな?」

 

まあ、千里眼も万能じゃないからね。

 

「お姉ちゃんがマリの姉であることは不変の事実だからね!いつか紹介してね。じゃないと遊べないし」

 

「アヴァロンに引きこもる予定じゃなかった?」

 

ただ、今までの発言でなんとなく分かってきた。レティ姉さん、多分初めての家族で浮かれてやがる。

でもそうか。混血とは言え夢魔はもうマーリンしかいない。アヴァロンで千年単位で引きこもっていたわけだし、人付き合いもアーサー王だけだし、そのアーサー王も別に家族とかではなく、物語が見たいからちょっかいかけていただけの人って扱いだったのだろう。

今まで夢魔としてのろくでもない部分が強調されていたが、それでも彼女は夢魔と人の混血。混血の人としての部分が寂しい、と訴えているのかもしれない。

それでもろくでなしの部分は変わらないので注意は必要だけど。少し優しくした方がいいのかもしれない。

 

「それで、わざわざ僕を呼び出した理由はなにかな?」

 

話が進まないので、本題に入るように催促する。

 

「つれないなぁ、まあいいか。えっとね、今年は千里眼使わないで欲しいんだ」

 

何故か縛りプレイを要求してきた。

 

「……聞き間違いかな?」

 

「今年だけだよ?ちょっと良くない物が出てきそうでね。万が一弟くんに効いちゃうと私も悲しいから……」

 

純粋な心配からの申し出だったようだ。

 

「うーん。原作知識を忘れえちゃってるから、何があるのか分からないけど、千里眼で何かを見ちゃうと危ないかもしれないってこと?」

 

「そうだよ。いつも通り過ごす分には問題ないけどね」

 

意外と親切かもしれない。ニコニコ笑顔の姉さんがじりじりと寄ってくる。……寄ってくる?

 

「……姉さん?何で近寄ってきてるの?」

 

「ほら、スキンシップって大事じゃない?」

 

そう言われるが、気圧されて少し後ずさりする。そう言えば、兄さんと違って夢魔としての特性を完全に受け継いでいるんだっけ?

 

「おや、どうして後ろに下がるんだい?」

 

姉さんの好きな物は人間の世界と……可愛い男の子だった。自分と同じような顔も対象になるのか?

 

「姉さん。……スキンシップって何するつもりか教えてもらえないかな?」

 

「?私たちは夢魔なんだから、やることは1つだよね」

 

人としての感性が残ってると思ったけど間違っていたかもしれない。夢魔(サキュバス)の感性じゃないか。前言撤回をこんなにすぐにすると思わなかった。

 

「レティ姉さん?普通弟と姉はそういうことしないよ?」

 

「私は少なくとも人の、人間社会にとっては異物だもの。人は人。私は私。積極的にその輪の中に入る気はないよ。じゃあ弟くんそういうことで」

 

そのセリフは違うところで聞きたかった。僕目線だと、自分自身が襲ってきている感覚なのでちょっと嫌なのだ。というか、姉弟での激しいスキンシップを好む人間は一般的には多くないと思う。

この後、ものすごく全力で逃げた。

 

「酷い目に会った……」

 

追いかけられて捕まり、あすなろ抱き(後ろ抱き)され、首筋を噛まれて、頬にすり寄られ、抱き枕にされた。ただ、それ以上をヤられる前に何とか起きることができた。やっぱり夢魔基準なところがあるせいで油断できない。

 

「陣地作成でちょっと対策しよう。さすがにあそこまで好き勝手されるのは困る」

 

何なら令呪を使いかけた。好意は普通に嬉しいけど、基準が人じゃないのはどうにかできないだろうか。……無理だろうなぁ。

 

この後もちょいちょい夢の中に現れたが、陣地作成で夢の中での自分の能力を強化させてどうにか抱きつかれるだけで済むようになった。

 

 

 

 

新学期まで残り1か月になったころ、ホグワーツからの案内が届き、ダイアゴン横丁に向かうことにした。

スネイプ教授とアーリアは予定が合わず途中から合流する予定だ。なので今日はアイとリインの3人で向かう。

 

「主な買い物は教科書だけど、本は重いし、アーリア達が来てからまとめて買いに行こうか」

 

そうアイとリインに提案する。

 

「いいよー。でもどこ行くの?」

 

「本以外に買うものありましたっけ?」

 

そういえば言ってなかったか。

 

「ノクターン横丁で少し買い物をね。魔法薬の原料が少し不足しているのと、どっかの誰かが仕掛けてくるから家の結界を少し強力にしたくてね」

 

「あ、確かに最近結界に色々手を入れてたね。あれも対策だったんだー」

 

「え、家を攻撃されてたんですか!?」

 

アイはいつも通りだけど、リインが驚いている。というかアイは知っていた。たまたま姉さんが夢の中に来ているときにアイが僕を見て、気配を感じたアイに起こされた。マリだよね!?とものすごく心配してきて申し訳なかったなぁ。

 

「僕の夢の中でもう一人の僕対策をしているだけだよ」

 

こう言葉にして出すと、なんだか遊戯王みたいだ。というかなんだもう一人の僕って。これじゃあただの中二病だよ。

 

「えっと……大丈夫なのですか?」

 

「大丈夫大丈夫。戯れみたいなものだよ」

 

なんとなくリインも察したらしい。同じことは起きないから大丈夫だ。ただ別の意味で襲われているだけ。……あんまり大丈夫じゃないかもしれない。

 

「じゃあ、行こうか」

 

ノクターン横丁を幻術で誤魔化しながら回る。目的の物は1つ以外手に入れられた。やっぱアクロマンチュラの毒は手に入らないかぁ。

 

少し時間がたち、アーリアと合流する時間になる。

 

「グリンゴッツの前で待ち合わせだねっと、もういるみたいだ」

 

待ち合わせ場所に着くと、既にアーリアとスネイプ教授が待っていた。時間より15分くらい早く着いたはずなんだけども。

 

「アーリア!キャンプぶり!」

 

「マリ、アイさん、リインさん!キャンプぶり」

 

「お久しぶりです」

 

というか、スネイプ教授服装は割といつも通りだけど、髪型は気に入ったのか清潔にして後ろで一纏めにしている。うんうん。いい傾向だ。

 

「ああ、少しいいかミスマリ。書店だが、少々ややこしいことになっている」

 

珍しくスネイプ教授が僕にひそひそと話しかけてくる。何かあったのだろうか?……冷静に考えたらキャンプで僕がナンパされたのはこの人がミスで呼んでたからでは?

 

「認めたくないのだが、今年から闇の魔術に対する防衛術を担当する、ギルデロイ・ロックハートというクソが書店でサイン会をしていた。あと、遠目で見たが、ウィーズリー家とグレンジャー家、マルフォイ家が親同伴でいた。おそらくだが、グリフィンドールのポッターも両方ともいるだろう。これから向かう書店に」

 

スネイプ教授にそこまで言わせるギルデロイ・ロックハートは多分ヤバい人だと分かった。そもそも何で1年の授業で小説を買わせるのか。まともな授業は期待できそうにない。スネイプ教授にやらせたくなってきた。ついでに、相性の悪いウィーズリーとマルフォイ、ドリム・ポッターが書店にいると。

 

「あたまいたくなってきた。かえりたい」

 

ちょっと幼児退行してしまった。こっちは姉さんの対策で頭を悩ませていたのに、何故こう、いらないトラブルが舞い込むのか。

というか組み合わせが最悪である。サイン会するような有名人がポッターを見逃すわけがない。コネを作るために、一緒にサイン会に参加させるなり、サイン本をプレゼントするなりをするだろう。有名人にコネや借りを作るのは同じ有名になった人間としては普通の行為ではある。が、ポッターなのが最悪だ。リインだけ額に傷がないのはいい方向に向かわないだろう。絶対に隠す。

極めつけはウィーズリーとマルフォイである。出会ったら喧嘩すると聞いている。つまり、これから向かう書店は、有名人がポッターに面倒な絡み方をしている上に喧嘩が起きているだろうってことである。

 

「悩んでても仕方ない。行こうか。マリ、リイン、アーリア。これからものすごく面倒なことが起きるみたいだから、僕の幻術で分からないようにしてすぐお暇するよ」

 

はーい、という返事を聞きながら、幻術をかける。容姿を変えて、こう、すっと買ってすっと帰ろう。

 

 

 

 

 

はいダメでした。リインがマルフォイとウィーズリーの喧嘩に巻き込まれて転んだ。膝を軽く擦る程度だったが、スネイプ教授がブチ切れた。とりあえず保険はかけてたけど、手当が必要か確認するところからかな。

 

「リイン大丈夫?」

 

「はい。怪我はないです」

 

アイとリインには簡易的な身代わりの腕輪を渡している。ちょっとした怪我なら自動的に防いでくれるものである。陰陽術から派生して作成したものなので、スネイプ教授はその効果を知らない。だからめちゃくちゃ切れているわけだが。

 

アーサー・ウィーズリーとルシウス・マルフォイを宙に浮かせて洗濯機のようにぐるぐる回すスネイプ教授を横目に教科書を買いそろえた。それでも喧嘩を続行しようとする2人はもう逆に仲が良いのかもしれない。

 

「ん?」

 

「あれ?」

 

僕とリインは一瞬だけジニー・ウィーズリーが持っている日記が気になった。邪悪な方法で無垢な魂を閉じ込めているような、違和感。リインは悲しい感じがしたようだ。

まあ、アイとリインに関わりがなさそうだから別にいいか、千里眼も一旦禁止されてるし、と思い放置してカウンターの方に進む。

 

「「うわぁ」」

 

アイとアーリアが思わず言葉を発してしまったようだ。僕とリインは絶句している。

そこには死んだ目のハリーと、生き生きとした目のドリムとロックハートがサイン会をしているのが見えた。

 

(近づきたくねぇ……)

 

ここにいる4人全員がそう思ってしまった。

ロックハートもドリムもノリノリでサインしている。とっても調子に乗っているさまは正直見ていられない。死んだ目のハリーが可哀想に見える。横断幕には「生き残った子達と今世紀最高のマシシャンによるサイン会」と書かれている。ロックハートが変身術で書き換えたのだろうか。大した腕は持っていないように見える。マシシャンってなんだマジシャンだろ。買う前にざっと読んだが、本の内容もフィクションな感じ、というか誇張して書いている感じがして本格的に授業には期待できない。

ハリーに関しては別のベクトルで見ていられない。本人はもういっそ殺せと思っているに違いない。それくらいに目が死んでいた。きっとドリムに押し切られたんだろうな、と同情した。

 

本も買えたし、さっさと帰ろう。

 

「おっとそこのお嬢さん方!ちょっと目についてしまってね。これをプレゼントしよう!」

 

(アイ、僕と対応してもらえる?)

 

(分かった!)

 

(アーリア。リインを連れてスネイプ教授のところまで避難。いつものカフェで合流)

 

(任せろ。リインさんに何かあったら父さんの機嫌が終わる!)

 

この間0.5秒。アイコンタクトで会話を終わらせて、サイン会の会場に向かう。本当に余計なことをしてくれる。

僕もアイもそこそこ有名になってきたので、幻術は解かない。というか幻術解いたらハリーがこれ幸いにと僕たちを理由に離脱しようとする。申し訳ないけどスネイプ教授の機嫌が悪くなるのでこのまま行かせてもらう。

 

「やあお嬢さん方……おや?もう2人いた気がしたけど?」

 

「えっと、僕たち2人だったし、気のせいじゃ無いですかね?」

 

そう言いつつ、ロックハートとドリム、ハリーのサイン本を渡される。全巻セットで貰ってしまった。普通に重い。

 

「せっかくだからツーショットとかどうだい?」

 

「申し訳ないけど、メディアに映るのはちょっと……」

 

幻術で容姿は誤魔化しているから、そんなに顔がいいように見えないと思うんだけども(基準がおかしいせいで麻痺してる)、ファンサービスの一環かな?こういうところは学んでいいかもしれない。けどファンじゃない人にやることではないぞ。

 

「そう?それは残念だ、美しいお嬢さん方。でも個人的に撮るでもいいよ?」

 

いや軟派なだけなのかもしれない。それを含めて有名人ってことだろうけど、ちょっと鬱陶しい。

 

「あ、ごめんなさい。両親との約束の時間になっちゃうので……ではこれで」

 

ナイスだアイ!その言い訳ならバレないだろう。その調子で来年のハリウッドも頼むよ!そのままいい感じに退場する。無駄に本が増えたけど、そのままカフェに向かう。入口でリインを拾って雑踏に紛れる。

 

「「つっかれたぁーー!」」

 

無事にカフェまで撤退して幻術を解く。幻術の維持に神経使ったし、無駄に大量に重い本を持ったし、ハリーにバレないように早く離脱するために演技してカフェまで歩いてきた。体力的にはまだ大丈夫だけど、神経使って疲労感はすごい。

 

「おつかれマリ、アイさん」

 

リインとアーリアとスネイプ教授は先に着いていたようだ。

 

「これからどうします?」

 

「買いたいものは買えたし、僕としては少し休んだら帰りたいところだけど、アイはどう?」

 

「私ももういいかなー帰ってゆっくりしたい」

 

消耗しているらしく、ダラーっと肩に寄りかかってくる。

 

「俺ももう今日はいいや。というか本当にあんなのが先生になるってか?冗談きついぜ……」

 

「ああ、そうだった。それに関してだけど、スネイプ教授、2年の闇の魔術に関する防衛術の先生やらない?」

 

アーリアが言った話題に便乗する形でスネイプ教授に話を振る。

 

「いやまあ、最悪僕がロックハートを眠らせるなり気絶させるなりして授業を乗っ取りしてもいいけど、それでスリザリンから点数引かれても嫌じゃない?」

 

マリの授業なら楽しみーとアイが言い、スリザリン生が更に非常識になるのは勘弁してくれ、とか言っているが、スネイプ教授が教鞭を取ったほうが収まりがいいだろう。

 

「それはそうだが……だが校長の決定は……本来の魔法薬の授業を考えると……」

 

「授業は僕も手伝うし、そもそもあれにリインを任せていいの?」

 

傷が無いことを揶揄したり、最悪授業の様子として新聞に載せられる可能性がある。それに漬け込んでドリムがあること無いこと言い始めるのが目に見える。あっちには原作知識残ってるから、傷の意味も分かってるだろうし。

 

「あれに、リインを、任せる……?任せろ。我輩が校長を頷かせる。フェリックス・フェリシスにはまだ余りがあったはずだな。後は威圧感を出すために……」

 

どうしょうもない程にリインの奴隷(ファン)なスネイプ教授は「あれにリインを任せる」の一言でガチになった。

 

「それくらいは融通するよ。はいこれ」

 

常備薬、と書かれている袋から黄金色に光る液体が入った瓶と赤黒く光る瓶を取り出す。

 

「え?常備薬の袋からなに取り出してるの?いや、片方は効果分からないけど、絶対常備するような薬じゃないよね?」

 

アーリアが突っ込むが、そんなことは知らない。リイン優先だ。スネイプ教授に続けて言う。

 

「フェリックス・フェリシスは分かると思うけど、もう一つは龍種の気配(ドラゴンズオーラー)。ざっくりいうと、龍と同じような気配を纏えるものだよ。効果はフェリックス・フェリシスと同じく12時間分の量」

 

龍と言っても、世界の外側にいった種の気配なので、大概の魔法生物はいうことを聞く。外出先で魔法生物と会った時に必要になる常備薬だ。

 

「なるほど。分かった。これがあれば校長にうんと言わせることができるだろう」

 

「待って?暴走しないで……!授業2つで突っ込みするのは嫌だよ!?かくなるうえは……!」

 

アーリアがハリセンでスネイプ教授を止めようとするが僕がそんなことをさせるとでも?

 

「はい麻痺」

 

「あばばばばばば」

 

「我輩はダンブルドア校長のところへ推し事に行ってくる。30分で戻る」

 

アーリアを阻止してスネイプ教授をホグワーツに行かせる。

 

30分後、許可は取ったと帰ってくるスネイプ教授に一切疲労感は無かった。

 






ダンブルドア教授「あいつ、ワシより強くね?」




マリの優先度はハリーポッター世界では

アイ・リイン(僕を僕にしてくれたから)

レティ姉さん(一応同族なので)

超えるのがほぼ不可能な壁

アーリアやスネイプ教授等仲のいいスリザリンの仲間(今のところアーリア、スネイプ教授、ドラコ、ダフネの4人)

スリザリン以外の仲のいい人(今のところ一時期弟子だったハリーのみ)

超えるのが大変な壁

スリザリン生

その他の人

人以外

という順位になっています。夢魔の血入っているので感性が若干人と違う感じです。
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