ハリー・ポッターがバグった件   作:怠惰の徒

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ホグワーツ特急

Sideリイン

 

今日はホグワーツへ向かう日です。マリお兄さん手配の車でキングスクロス駅まで向かいます。

 

「リイン~準備できたー?」

 

「あ、はい。準備できてます!今行きます」

 

何事もなく駅まで到着。目立つのは苦手な私のことを考えてか、外見は普通の車で駅まで送ってもらえた。中身はすごく豪華で、飲み物もいろんな種類があっておいしい。

 

「そろそろ到着だよー」

 

アイお姉ちゃんが外を見て言う。駅に近くなってきている。そろそろ出る準備が必要だろう。

 

「マリお兄さんは何をしてるんですか?」

 

ふと、一言も喋らないマリお兄さんが気になり見てみると、何やら書面を見ているようだった。

 

「ああ、ちょっと魔法界でも権力が欲しくてね。魔法薬学の歴史を20年ほど進めようと思ってスネイプ教授と合同で論文を作ったんだ。著者は僕とスネイプ教授で、前に教えた錬金術を取り込んだ魔法薬の作成と効率について論文を出してみた。思いのほか取り上げられて、国際魔法薬学会でも話題になったみたいで、アメリカ向けの英語の翻訳を確認しているところ」

 

凄いことを言い出した。魔法薬学って国際学会あるんですね。

 

「えっと、その論文で権力が得られるのでしょうか?」

 

「少なくとも、魔法薬学の権威として扱われるだろうね。あとは聖マンゴで使えるような、精神とか呪いの治癒ができる魔法薬を優先して作成しているよ。命を救う薬を開発した人、というのは治された方としては恩を感じるものだよ。ちょうどヴォルデモートが暴れた余波でそこそこの魔法族に被害が出ているし、一石二鳥だね」

 

なんだか俗っぽい言い方ですね。

そんな話をしていると駅についた。アーリアさんはスネイプ教授と用事があるようで、後から来るようだ。

 

「じゃあ9と四分の三番線に向かおうか」

 

前と同じようにキングスクロス駅の9番線に向かい、3つ目の柱の前まで進む。

 

「……ん?」

 

柱に向かう最中にマリお兄さんが何かに気が付いたようで、止まる。

 

「あれ、マリ?どうしたの?」

 

「どうしました?」

 

壁をじっと見るマリお兄さん。

 

「あー、そうだね。せっかくだからアイもよく見てみて?」

 

「ん~?」

 

アイお姉ちゃんは私と違って魔力を見る目を持っています。何かあるのでしょうか?

 

「うーん。なんか、特定の人の時だけ移動を阻害しようとしてる?いつもの移動する魔法の流れとは別に、それを阻害するような魔法がかかってる感じがする」

 

「お、よくわかったね。100点だ。これ、ポッターの家名を持つ人が入ろうとすると移動させないように阻害する魔法がかかっているんだよ。この右上の部分が指定しているところだね。だからこの辺りをこういじってあげれば……うん。リインが通れるようになったね」

 

どうやら私がホグワーツに行けないように細工されていたらしい。

 

「おー。なるほど。でもどうしてリインを通さないようにしてたんだろ?」

 

「今年のホグワーツは危ないんだってさ。だから色々作ったんだけどね」

 

今年はマリお兄さんがやたらと防衛用のグッズを作って渡してきたから何でだろうと思ったら今年は危ないらしい。身代わりの腕輪や呪い移しの護符など色々な物を持たされていた。それでもマリお兄さんが危ないと表現するホグワーツに行っても大丈夫なのだろうか?

 

「保険として作っているだけだから。多分、危ないのは僕たちじゃなくてグリフィンドールの方の人たちだと思うよ。しかしまあ、本当に雑に魔法かけるなぁ」

 

ポッターは私だけでなく、グリフィンドールにもいる。そちらに対しての警告なのだろうか。

正直、私はいまだに私の実の兄と姉に近づかれると昔を思い出して恐怖を感じる。9年間記憶があるのは3歳ぐらいの頃からだから実際は6年分の記憶だけど、刻まれた心の傷はまだ癒えない。

マリお兄さんはゆっくり治していけばいい、と言ってくれるし、アイお姉ちゃんは癒えないなら近づかないようにすればいいと言ってくれる。

でも、私はこのままは嫌だ。マリお兄さんに、アイお姉ちゃんに誇れる人間でありたい。だから小さなことからでも前に進みたい。

 

「うんうん。頑張っている子は好きだよ」

 

リイン・ポッターの世界は狭い。ダーズリー家にいたころは人は自分を傷つけるだけで世界、リインの世界には自分だけしかいなかった。

マリに引き取られてからは、マリとアイから救われて、愛されて、温かい気持ちに気が付かされて、世界が少し広くなった。リインの世界には自分とマリ、アイの3人がいるようになった。

ホグワーツに入学して、世界がまた少しだけ広くなった。こんな自分でも助けてくれる人もいることを知った。リインの世界は変わらず3人だけだったけど、アーリアやスネイプ教授、ドラコやダフネに席の位置を助けてもらったり、宿題を助けたりして、友愛を知り、少しだけ世界が広くなった。

マリが一度死んだとき、世界は狭くなった。私は……

 

「リイン大丈夫?そろそろ列車に行こうか」

 

リインが思考の渦にとらわれていると、マリお兄さんから声がかかる。少し考えすぎていたみたいだ。

 

「そうですね。行きましょう」

 

もうアイお姉ちゃんは中に入ったらしい。私も続けて進む。検知不可能拡大呪文で拡大している鞄に物を入れているおかげで他の人より荷物が少ないとはいえ、ここに立っているのも邪魔だろう。

解除されているとはいえ、通るのは少し怖い。が、そんな思いとは別に普通に通ることができた。

 

あれ?というか私の分しか解除していなかったら、実の兄と姉は通れないのではないのだろうか?

 

「マリ!リイン!こっち空いてるみたい!」

 

先に言っていたアイお姉ちゃんが空いているコンパートメントを見つけていたようでそこに入り、去年と同じようにくつろげるように広げる。

 

「ああそうだ。ちょっと入口に細工しておこう」

 

マリお兄さんが入口に何か魔法を掛ける。人避けの魔法?

 

「僕らと親しい人しか開けられないようにしただけだよ」

 

「あー。厄介ファン対策ね」

 

アイお姉ちゃんは分かっているようだけど、どういうことだろう?

 

「リインは無垢で可愛いねー!」

 

疑問に思っている私に気が付いたアイお姉ちゃんが後ろから抱きしめて頭を撫でてくる。

 

「マリとアイドルやってるとね、たまに変なファンがやってくるから……」

 

「この前も髪の毛(?)事件とかあったし、どうしても警戒するよね。ああ、リインは詳細を知らなくていいからね」

 

何やらすごいことがあったらしい。

 

「あ。列車が出発したみたいです」

 

「もうそんな時間になったのか……あれ?アーリアは?」

 

……いませんね。アーリアさんには場所分かるようにしているとマリお兄さんが言っていましたが。

 

「これは、巻き込まれちゃったかなぁ……」

 

しばらく雑談しているとコンパートメントのドアがノックされる。

 

「どうぞ」

 

マリお兄さんが一言いうと、ドアが開かれる。

 

「ごめんなさい。ここ空いているかしら?」

 

そう言いながらドアを開けたのはダフネさんだった。

 

「ダフネ!久しぶり!」

 

「アイ!久しぶりね。マリもリインも。ここあなたたちが使っていたのね」

 

「久しぶりだね。アーリアが多分トラブルで来れなそうだからここに来るかい?」

 

「助かるわ。空いてるところが見つからなくって」

 

マリお兄さんがダフネさんをコンパートメントに入れる。それと、ダフネさんに似た子も一緒に入ってくる。少し顔色が悪いように見える。

 

「この子は?」

 

「私の妹のアストリア・グリーングラスね。アストリア。挨拶しなさい」

 

ダフネさんが言うと、隣の子が自己紹介をしてくる。

 

「アストリア・グリーングラスと申します。皆様の1つ下の学年になります。ご指導、ご鞭撻よろしくお願いいたします」

 

「アイだよ。スリザリンに組み分けされたらよろしくね」

 

「リインです。えっと、頼りないかもしれませんがよろしくお願いします」

 

「僕はマリ。一応男だけど、こんな容姿だから女子寮でマリたちと一緒の部屋にいるよ。血筋からするとスリザリン寮だと思うから、何かあったら気軽に頼ってほしいかな。」

 

自己紹介が済み、全員座る。既にマリお兄さんが6人座れるように空間を広げている。

 

「というかここ4人席じゃなかったかしら?相変わらず自由にやるのね」

 

「そりゃ快適に過ごしたいからね」

 

「というか聞いていい?何でこの子呪われているの?」

 

雑談していると、アイお姉ちゃんからとんでもない話が聞こえた。呪われてる?

 

「血の呪いみたいだね。ダフネには無かったけど、ここまで強いと……長くは生きられそうに無いね。家族にも何人か呪われてない?」

 

マリお兄さんが説明してくれる。血の呪い。

 

「……そうですね。私は血の呪いを引き継いでしまっています。グリーングラス家の呪いは薄命。私はそんなに長く生きられないんです」

 

私が感じていた、いつ死ぬか分からない状態とは違う、長く生きられない状態。想像もできないけど、きっと同じように苦しいのだろう。私はマリお兄さんに救われた。でもこの子は何にも救われていない。あの時のリイン・ポッターと同じ……

 

「でもいいんです。いつ死ぬかわからなくても、いつ死んでも、きっと私の世界は変わらない。だから私は、私らしく最期まで生きようって決めたんです」

 

私と同じだと思った。でもそうではなかった。そっか、もう救われているんだ。こういう生き方もあるんだ。

 

「うーん……まあ、ダフネの妹だから伝えてもいいか」

 

「あら?どうしたのもったいぶって。何かあるのかしら?」

 

「あまり希望は持たないでほしいけど、アクロマンチュラの毒かヌンドゥの毒が手に入れば、呪い殺しが作れると思う。副作用とか見なきゃ使えないけど、ありとあらゆる呪いを呪い殺せる薬ができるようになるはずだよ」

 

ダフネさんとアストリアさんが唖然とする。魔法薬学をスネイプ教授と研究している一環で作ろうとしたのだろう。

 

「いやまあ、あなたならできるんでしょうけど……はあ、私の卒業後の目標が1つ消えたわ……」

 

「マリとリインと行ったノクターン横丁にも無かったからねー。気長に待つしかないかも」

 

「まあ、渡りに船なのは間違いないわね。アクロマンチュラの毒かヌンドゥの毒って言ったわよね。純血の魔法族としてのコネも含めて探してみるわ」

 

「愛されてるねー」

 

どちらも魔法省分類「動物」XXXXXの生物の素材。コネを使ってもなかなか手に入るものではない。それでも家族のために必死に集めようとしてくれる人がいる。

この子は、幸せなんだろうな。

 

「ほらリイン。おいで」

 

嫌な思考になる前にマリお兄さんが膝枕してアイお姉ちゃんが頭を撫でてくれた。

 

「マリお兄さん……アイお姉ちゃん……」

 

「大丈夫大丈夫。リインは愛されてるよ」

 

気持ちいい声と、優しい頭の感覚で、私はすぐに眠りに落ちた。

 

「ちょっと甘やかしすぎじゃないかな?」

 

 

 

 

「姉さま。この人たちいつもこんな感じなのでしょうか?」

 

「そうよ。慣れなさい」

 




難産でした。心理描写難しい……
魔法省分類XXXXX これ、なんて読むのだろうか?

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